31 / 520
第二章
嵐の前の静かな夜
しおりを挟む
上機嫌で辿り着いた白鷺亭は酔いも醒めるような建物だった。
でかい、綺麗、ゴージャス!
村の生活や町の建物基準からすると明らかに頭一つ抜け出てる。
いや、これはお貴族様の泊まる場所なのではないでしょうか。
高いんだろうな。
手配してもらって言うのもなんだけど自腹だったら破産するぞ、これ。
店始まる前に破産して死亡とか悲しすぎる。
宿の前に立っていたドアマンに促され中へと入る。
中もこれまた豪華だな。
どこの高級ホテルだここは。
この格好は明らかに場違いすぎて申し訳なくなる。
「いらっしゃいませ、本日はご宿泊でしょうか。」
こんな身なりにも最高の営業スマイルで話しかけてくれるスタッフ。
「騎士団副分団長カムリ様からのご紹介できたのですか。」
最大限のはったりで折れそうなプライドを支えぬく。
びびるな、びびったら負けだ。
「お話は聞いております、イナバ様ですねどうぞこちらへ。お連れ様も先にお寛ぎいただいております。」
エミリアは先に戻っているようだ。
たぶん恐縮して部屋の真ん中でウサギの様にちぢこまっているのだろう。
「ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。私、こちらで支配人をしておりますハスラーと申します。カムリ様にはこの度イナバ様のお世話をするように仰せつかっておりますので、ご不便なことなどございましたら何なりとお申し付けくださいませ。」
支配人でしたか。
あのイケメンとんでもない部屋用意したんじゃないだろうな。
そして、支配人に先導されてついたのは4階。おそらくここが最上階かと思う。
だって階段これ以上昇れないし、外観もそれぐらいだったし。
他に部屋が二つ、一番奥に観音開きの扉が見える。
ありえないと思うが、まさかあの部屋じゃないよね。
どうみてもこの宿で一番高いスイートのような部屋だよね。
うん、そこですかそうですか。
支配人が立ち止まったのはその最奥の扉。
左右に開くとこれまた豪華な調度品が視界に飛び込んでくる。
宮殿か何かの間違いではないでしょうか。
こんな部屋テレビでしか見たことない。
「こちらのお部屋をお使いください、ドア横のベルを鳴らして頂ければ係りのものが参ります。食事は夕仕舞いの鐘の後半刻程でお持ちできますが、お嫌いな物などございますでしょうか。」
「あ、特にはないです。」
あ、ってなんだよあ、って。
「それではまた後ほど参ります。ごゆっくりお寛ぎくださいませ。」
腰が綺麗に90度に曲がるようなお辞儀の後支配人は静かに扉を閉めた。
なんというか部屋の雰囲気に飲まれて生きた心地がしない。
おいイケメン、いくらなんでもやりすぎだろう。
シルビアの許可があるからってここのお金どうするんだよ。
騎士団もちにしても高すぎるだろう。
そのお金って税金じゃないんでしょうか。
いいのかよ、こんな使い方して。
きょろきょろと辺りを見渡し、おそるおそるメインルームに入る。
そこはもうベルサイユ宮殿の如き豪華さで目が痛いほどだった。
本物見たことないけど。
メインルームのソファーの隅でエミリアがちぢこまって座ってる。
まるでハムスターのようだな。
中に入ってきた俺に気づきエミリアの表情が花が咲いたように明るくなる。
あ、漫画で言うパッ!とかいう効果音が聞こえてきそう。
そんな感じの変わり方だった。
「おかえりなさい、シュウイチさん。遅かったんですね」
「ちょっと長引いてしまいました、お待たせしてすみません。」
「大丈夫です。先ほどまでネムリ様がおられたんですけど、大事な食事の集まりがあるとの事で先に戻られました。ご自宅のほうの警護まで騎士団の方がしてくださるそうです。」
監視は自宅までね、当然か。
「食事までまだ時間がありますね。ちょっと別の部屋も見てきます。」
「こんなすごい部屋に通されるとは思っていなかったものですから、ちょっと恐縮してしまいます。」
「私もですよ。おや、こっちは寝室ですか。」
エミリアと共に部屋の冒険を始める。
玄関を抜けてまずメインのリビングルーム。
他に寝室が二つに応接室が一つ。
簡易の台所に、おぉ風呂まである。
すごいな、この部屋まであの量のお湯を運んでもらえるのか。
水浴びばかりだからお風呂なんてどのぐらいぶりだろう。
正直もうこの世界では暖かいお風呂は無理なんじゃないかと絶望していたところだ。
自分の家が出来たらなんとかして風呂を作ってみたい。
この際五右衛門風呂でもいい。
「お風呂まであるんですね、村では水浴びぐらいでしたので嬉しいです。」
「先に入っていただいて大丈夫ですよ。食事の時にお湯をいただいておきましょう。」
「そんな、シュウイチさんの残り湯で大丈夫ですよ。」
そんな失礼なことできるか。
あ、でもエミリアの残り湯も少し問題があるか。
というか、同じ部屋に二人きりで風呂とかどうなんだ。
寝室分ければ大丈夫か。
「なんなら外出していますので気にせず入ってください。」
「あ、そうですよね。でも、そんなお気遣い頂かなくても私はその、大丈夫ですから。」
何が大丈夫か教えてくださいエミリア。
むしろこっちが大丈夫じゃないんです。
「あはは、その時また考えましょう。エミリアはそっちの寝室を、私はこっちの部屋を使わせてもらいます。少しだけ横になるので食事の時に起こしてください。」
「少しお休みになられますか。あれ、お酒飲まれました?」
「付き合いで少し。一杯だけですからすぐ酔いもさめると思います。」
「お疲れ様です。では後程おこしに来ますね。」
部屋のドアを閉めてベットに倒れこむ。
村長には申し訳ないがベットの柔らかさが全然違った。
元世?のよりも柔らかいかもしれない。
スプリングが弱い分包み込むようにして眠れそうだ。
いかん、そのまま寝てしまいそうだ。
あー、でもいいか。食事までだし。
ぐぅ。
・・・・・・
・・・
「・・・イチさん、シュウイチさん。お食事が来るそうですよ。」
エミリアの可愛い声が聞こえてくる。
食事か。
食事もいいけどエミリアも美味しくいただきたい。
いただきます。
「そんな、私もだなんて。」
「すみません寝ぼけていました冗談です。おはようございます。」
いかん、全部口に出してた。
セクハラ発言も甚だしい。
何言ってんだ。
一発で目も酔いも醒めたわ。
「おはようございます、シュウイチさん。」
「食事でしたね、すぐ行きます。」
「お待ちしています。その、驚かないでくださいね。」
驚くって何をだ。
特にエミリアの服装は変わってなかったし、驚くようなこともないと思うけど。
ポリポリと頭をかきながらドアを開ける。
ドアの向こうはその、まだ寝ぼけているような錯覚を覚える光景が広がっていた。
どこのフルコースだよ。
食えないよそんなに。
部屋もそうだけど食事もおかしいだろ。
ちょっとは加減しようよ。
「これはなんていうか、驚くを超えてしまう光景ですね。」
「運び込まれているのを見ながら怖くなってしまいました。」
「ワインまで冷えてる。氷なんてどこから持ってくるんだ。」
「氷は恐らく魔法でご準備できると思います。」
魔法便利だなおぃ。
冷蔵庫いらなくなるな。
でもあれか、常に魔法使い続けるのは無理か。
せめて氷室ぐらいか。
「せっかく準備してくれたんですから遠慮なくいただきましょうか。」
エミリアを椅子へエスコートし、その対面に腰掛ける。
この世界でこんな料理食べれる日が来るとは思わなかった。
世のお貴族様はこんな飯食ってるのか。
庶民の暮らし考えたらまさに別世界だな。
「エミリアはお酒飲めますか。」
「少しぐらいでしたら大丈夫です。」
「では、いただきましょうか。乾杯。」
「乾杯。」
グラスを合わせると、澄んだ音が響く。
絵面だけ見ればプロポーズにスイートを予約した時の食事光景だろうか。
予約したこともないしプロポーズした経験もないけど。
その後あたりさわりもない会話をしながら食事を進める。
食材がわからないのでエミリアに聞きながら食べすすめる。
聞いてもわからないが、なんとなく現代で食べたような味もする。
どれもこれも全てが美味しかった。
やはり可愛い子と食べるご飯は最高だな。
「そういえば、ネムリは何か言っていましたか。」
デザートを食べながら状況を確認する。
「種を売りに来ている商人の目星はある程度ついたそうです。その件で今日は食事をとりに行っているとか。」
なるほどね、情報収集にお酒は欠かせないか。
経費で請求とかされないよな。
「エミリアの方はいかがでしたか。」
「そうですね、木材特に砦などを建築する用の大型の木材が定期的に購入されています。卸先はわかりましたのでネムリさんに確認してもらっています。後は、同時期に大量の火薬とお酒が購入されていました。こちらはノアちゃんに頼んで調べてもらっています。」
「木材に火薬、そしてお酒ですか。統一性はなさそうですが同じ人物が購入しているとしたら問題はどこへ運んでいるかですね。」
木材と火薬はわかる。
恐らく砦のようなものを作っていてそこに運びこんでいるんだろう。
市で仕入れた情報とも合致する。
武器の購入者も同じとわかれば完全に砦か何かを作っていると考えられるな。
武装して根城も強化してどことやりあうつもりなのか。
「シュウイチさんの方はいかがでしたか。」
「こちらはこれと言って大きな情報はないですね。預かっていた蜜玉を換金してきたぐらいでしょうか。」
「種まき、と言っていましたね。まだ教えていただけないんでしょうか。」
「もう少したったらお答えできると思います。その時はエミリアにも協力をお願いしなければなりません。」
そう、この作戦にはエミリアがとても重要になる。
自分の命を左右する重大な任務だ。
だが今それを言ってしまうと拒否されてしまうのでできるだけ隠しておきたい。
どうしようもない状態になって初めて答えられる質問。
卑怯だと思うがこれしか方法が思いつかんあかったのだ。
「私でよければ喜んでお手伝いさせていただきます。」
「お店のサポートのはずなのにこんなことまでお願いしてしまって申し訳ありません。」
「私がお手伝いしたくて自分でしているんです。シュウイチさんは気になさらにでください。」
気にしないでって言われても気になるものは気になるんだよね。
別の意味でも気になるし。
こんな感情久しく感じたことなかったからなぁ。
「その時はよろしくお願いします。」
お互い目が合うとおかしくて笑ってしまう。
同じ釜の飯とはよく言ったものだ。
同じ部屋で寝泊まりしているのもあって普通では考えられないぐらいエミリアとの関係は近づいていた。
異性とこれほどまでに親密に話すのはいつぶりだろうか。
もう思い出せないぐらい昔な気がする。
何とも言えない感情に支配されそうになった時、ドアをノックする音が聞こえた。
「失礼いたします。お食事はいかがでしたでしょうか。」
「非常に美味しかったです。」
「私も、とても感動しました。」
「ありがとうございます。お湯の準備ができましたので半刻程しましたらお入りいただけます。」
シェフによろしくお伝えくださいなんて言ってしまいそうだ。
それぐらい美味しかった。
そして風呂か。
さすがに同じ部屋にいたままっていうのはお互いの関係上非常に良くない。
危険すぎる。
主に俺が。
「では酔い覚ましに外の空気を吸ってきます。エミリアはゆっくりしてください。」
「この時間にですか、奥の通りはあまり治安が良くありませんお気を付けください。」
「貴重品は置いていきますから。ごゆっくり。」
支配人と共に部屋を出て鍵を閉める。
「お出かけになられますか、よろしければ人をよこしますが。」
「大丈夫ですそんなに遠出はしません。そうだ、この町に女性を買うお店はあるのでしょうか。」
「そうですね、何軒かございますがお部屋にお呼びしましょうか。」
いや、エミリアいるのに呼んだらダメでしょ。
せっかく静かな夜を迎えられそうなのに、自分で嵐を呼んでどうするよ。
「そういうつもりはありませんよ、ただちょっと気になることがありまして。一番大きいお店はどこでしょうか。」
「南の通りを二本ほど中道に入ると色町がございます。この町一番と言えば猫目館ですね。」
「ありがとうございます。それでは少し出ます。」
「道中お気を付けくださいませ。」
金ができたら何をするだろうか。
良いものを食べて、うまい酒を呑んで、あとは女か。
そうなるよな。
種まきはしたが、もう一つぐらい保険をかけてもいいかもしれないな。正確にはエサか。
二本中道を通りすぎるとピンクや紫の煽情的な明かりがともった通りが見える。
ここか。
客引きのきわどい下着をつけた女性がこちらを見て手招きをしている。
うむ、エロい。
見えそで見えないのもいいけれどこれぐらいストレートに見えるのもいいよね。
乳といい、くびれといい、うん。
あの谷間は反則だわ。
手招きに誘われそうになるのをぐっと我慢をして通りを進む。
年齢も様々だし見た目も様々だ。
ヒューリンがやはり多いが、たまにホビルトもみかける。
エルフィーはやはりいないようだ。
プライドが許さないのだろう。
あんなセクシーな下着エミリアが着ていたら一発でノックアウトされるな。
なんて妄想をしていた時に一軒の店の前に着いた。
大きな猫の看板。
字は読めないがわかる、ここだ。
気負う必要はない、別にそういうことをしに来たわけじゃない。
いや、したいけど。
エミリアが部屋にいる手前さすがに無理だ。
そこまでの勇気はない。
力強くドアを押して中に入る。
中もまたすごいな、そんなに派手じゃないが匂いがなんていうかクラクラする。
「いらっしゃいませ、猫目館へようこそ旦那様。」
「支配人はいるか。」
少し偉そうに言う。
何事も勢いだ。
下手に見られてはいけない。
「本日はどのようなご用件で。」
「女を買うのにここに来るのがそんなにおかしいことか。」
「いえ、そんなことは、」
「近々宴を催すのにここの女がよいという話を聞いたのだがな。その気が無いようなら結構。白鷺亭の主人ももう少しましな店を薦めればいいものを。」
最後は独り言のように悪態をつく。
今回の目的はこうだ。
高級店の女を買いに来るぐらいの金持ちが白鷺亭に来ているという情報を流したい。
コッペパンの噂でも十分だとは思うが奴らの事だ、女を漁りにも来るだろう。
その時に直接でなくてもいいので奴らの耳に入れば御の字だ。
そうすれば大きな魚が引っ掛かるかもしれない。
あ、コッペンの間違いだった。
「これは大変失礼いたしました!すぐに支配人をお呼びいたします。」
「もう結構だ、失礼する。」
踵を返し外に出る。
慌てて男が追いかけてくるが無視して来た道を戻る。
先ほどこっちを見ていた女たちが驚いた顔で見てくる。
よしよし、何が起きたか覚えておいてくれよ。
「お客様お待ちください、どうか、どうかお話だけでも。」
「しつこいぞ。その気があればまた呼ぶこともあるだろう、今日はもう結構だ。」
店の者からしたらせっかくの上客を返したことになる。
この男には悪いがしっかり餌を巻いてくれればいい。
男を振り切り、最初に見たきわどい下着をつけた女性に目配せをして通りを後にする。
いつかご縁があったら楽しませていただきたい。
だって男だもの。
白鷺亭のロビーで時間をつぶし部屋に戻ると先に風呂から上がったエミリアがソファーで寛いでいた。
「おかえりなさいシュウイチさん。気を使わせてしまい申し訳ありませんでした。」
ほんのりと頬が赤くなり、寝間着姿のエミリアが目の前にいる。
いかん、さっきあんな所にいたから見えるはずのないモノが見えてしまいそうだ。
「大丈夫ですよ、私もお湯をもらって今日は早めに寝ますね。明日は朝からネムリの話を聞いたり忙しくなると思いますからゆっくり休んでください。柔らかいベットなんて久しぶりでしょうから。」
「あんなにふかふかのベットはじめてですよ。シュウイチさんもおやすみなさい。」
部屋に備え付けられた寝間着を取り風呂へ向かう。
落ち着け俺。
間違いを犯してはならない。
平常心だ。
よし、もう大丈夫だ。
大丈夫。
今日は1日頑張ったんだゆっくりやすもう。
明日はもっと大変な1日になりそうだからな。
頑張ろう。
自分を奮い立たせて風呂場へ入った。
その後、エミリアの入った後の湯に入るかどうかでしこたま悩んでしまうのであった。
入ったけどさ!
でかい、綺麗、ゴージャス!
村の生活や町の建物基準からすると明らかに頭一つ抜け出てる。
いや、これはお貴族様の泊まる場所なのではないでしょうか。
高いんだろうな。
手配してもらって言うのもなんだけど自腹だったら破産するぞ、これ。
店始まる前に破産して死亡とか悲しすぎる。
宿の前に立っていたドアマンに促され中へと入る。
中もこれまた豪華だな。
どこの高級ホテルだここは。
この格好は明らかに場違いすぎて申し訳なくなる。
「いらっしゃいませ、本日はご宿泊でしょうか。」
こんな身なりにも最高の営業スマイルで話しかけてくれるスタッフ。
「騎士団副分団長カムリ様からのご紹介できたのですか。」
最大限のはったりで折れそうなプライドを支えぬく。
びびるな、びびったら負けだ。
「お話は聞いております、イナバ様ですねどうぞこちらへ。お連れ様も先にお寛ぎいただいております。」
エミリアは先に戻っているようだ。
たぶん恐縮して部屋の真ん中でウサギの様にちぢこまっているのだろう。
「ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。私、こちらで支配人をしておりますハスラーと申します。カムリ様にはこの度イナバ様のお世話をするように仰せつかっておりますので、ご不便なことなどございましたら何なりとお申し付けくださいませ。」
支配人でしたか。
あのイケメンとんでもない部屋用意したんじゃないだろうな。
そして、支配人に先導されてついたのは4階。おそらくここが最上階かと思う。
だって階段これ以上昇れないし、外観もそれぐらいだったし。
他に部屋が二つ、一番奥に観音開きの扉が見える。
ありえないと思うが、まさかあの部屋じゃないよね。
どうみてもこの宿で一番高いスイートのような部屋だよね。
うん、そこですかそうですか。
支配人が立ち止まったのはその最奥の扉。
左右に開くとこれまた豪華な調度品が視界に飛び込んでくる。
宮殿か何かの間違いではないでしょうか。
こんな部屋テレビでしか見たことない。
「こちらのお部屋をお使いください、ドア横のベルを鳴らして頂ければ係りのものが参ります。食事は夕仕舞いの鐘の後半刻程でお持ちできますが、お嫌いな物などございますでしょうか。」
「あ、特にはないです。」
あ、ってなんだよあ、って。
「それではまた後ほど参ります。ごゆっくりお寛ぎくださいませ。」
腰が綺麗に90度に曲がるようなお辞儀の後支配人は静かに扉を閉めた。
なんというか部屋の雰囲気に飲まれて生きた心地がしない。
おいイケメン、いくらなんでもやりすぎだろう。
シルビアの許可があるからってここのお金どうするんだよ。
騎士団もちにしても高すぎるだろう。
そのお金って税金じゃないんでしょうか。
いいのかよ、こんな使い方して。
きょろきょろと辺りを見渡し、おそるおそるメインルームに入る。
そこはもうベルサイユ宮殿の如き豪華さで目が痛いほどだった。
本物見たことないけど。
メインルームのソファーの隅でエミリアがちぢこまって座ってる。
まるでハムスターのようだな。
中に入ってきた俺に気づきエミリアの表情が花が咲いたように明るくなる。
あ、漫画で言うパッ!とかいう効果音が聞こえてきそう。
そんな感じの変わり方だった。
「おかえりなさい、シュウイチさん。遅かったんですね」
「ちょっと長引いてしまいました、お待たせしてすみません。」
「大丈夫です。先ほどまでネムリ様がおられたんですけど、大事な食事の集まりがあるとの事で先に戻られました。ご自宅のほうの警護まで騎士団の方がしてくださるそうです。」
監視は自宅までね、当然か。
「食事までまだ時間がありますね。ちょっと別の部屋も見てきます。」
「こんなすごい部屋に通されるとは思っていなかったものですから、ちょっと恐縮してしまいます。」
「私もですよ。おや、こっちは寝室ですか。」
エミリアと共に部屋の冒険を始める。
玄関を抜けてまずメインのリビングルーム。
他に寝室が二つに応接室が一つ。
簡易の台所に、おぉ風呂まである。
すごいな、この部屋まであの量のお湯を運んでもらえるのか。
水浴びばかりだからお風呂なんてどのぐらいぶりだろう。
正直もうこの世界では暖かいお風呂は無理なんじゃないかと絶望していたところだ。
自分の家が出来たらなんとかして風呂を作ってみたい。
この際五右衛門風呂でもいい。
「お風呂まであるんですね、村では水浴びぐらいでしたので嬉しいです。」
「先に入っていただいて大丈夫ですよ。食事の時にお湯をいただいておきましょう。」
「そんな、シュウイチさんの残り湯で大丈夫ですよ。」
そんな失礼なことできるか。
あ、でもエミリアの残り湯も少し問題があるか。
というか、同じ部屋に二人きりで風呂とかどうなんだ。
寝室分ければ大丈夫か。
「なんなら外出していますので気にせず入ってください。」
「あ、そうですよね。でも、そんなお気遣い頂かなくても私はその、大丈夫ですから。」
何が大丈夫か教えてくださいエミリア。
むしろこっちが大丈夫じゃないんです。
「あはは、その時また考えましょう。エミリアはそっちの寝室を、私はこっちの部屋を使わせてもらいます。少しだけ横になるので食事の時に起こしてください。」
「少しお休みになられますか。あれ、お酒飲まれました?」
「付き合いで少し。一杯だけですからすぐ酔いもさめると思います。」
「お疲れ様です。では後程おこしに来ますね。」
部屋のドアを閉めてベットに倒れこむ。
村長には申し訳ないがベットの柔らかさが全然違った。
元世?のよりも柔らかいかもしれない。
スプリングが弱い分包み込むようにして眠れそうだ。
いかん、そのまま寝てしまいそうだ。
あー、でもいいか。食事までだし。
ぐぅ。
・・・・・・
・・・
「・・・イチさん、シュウイチさん。お食事が来るそうですよ。」
エミリアの可愛い声が聞こえてくる。
食事か。
食事もいいけどエミリアも美味しくいただきたい。
いただきます。
「そんな、私もだなんて。」
「すみません寝ぼけていました冗談です。おはようございます。」
いかん、全部口に出してた。
セクハラ発言も甚だしい。
何言ってんだ。
一発で目も酔いも醒めたわ。
「おはようございます、シュウイチさん。」
「食事でしたね、すぐ行きます。」
「お待ちしています。その、驚かないでくださいね。」
驚くって何をだ。
特にエミリアの服装は変わってなかったし、驚くようなこともないと思うけど。
ポリポリと頭をかきながらドアを開ける。
ドアの向こうはその、まだ寝ぼけているような錯覚を覚える光景が広がっていた。
どこのフルコースだよ。
食えないよそんなに。
部屋もそうだけど食事もおかしいだろ。
ちょっとは加減しようよ。
「これはなんていうか、驚くを超えてしまう光景ですね。」
「運び込まれているのを見ながら怖くなってしまいました。」
「ワインまで冷えてる。氷なんてどこから持ってくるんだ。」
「氷は恐らく魔法でご準備できると思います。」
魔法便利だなおぃ。
冷蔵庫いらなくなるな。
でもあれか、常に魔法使い続けるのは無理か。
せめて氷室ぐらいか。
「せっかく準備してくれたんですから遠慮なくいただきましょうか。」
エミリアを椅子へエスコートし、その対面に腰掛ける。
この世界でこんな料理食べれる日が来るとは思わなかった。
世のお貴族様はこんな飯食ってるのか。
庶民の暮らし考えたらまさに別世界だな。
「エミリアはお酒飲めますか。」
「少しぐらいでしたら大丈夫です。」
「では、いただきましょうか。乾杯。」
「乾杯。」
グラスを合わせると、澄んだ音が響く。
絵面だけ見ればプロポーズにスイートを予約した時の食事光景だろうか。
予約したこともないしプロポーズした経験もないけど。
その後あたりさわりもない会話をしながら食事を進める。
食材がわからないのでエミリアに聞きながら食べすすめる。
聞いてもわからないが、なんとなく現代で食べたような味もする。
どれもこれも全てが美味しかった。
やはり可愛い子と食べるご飯は最高だな。
「そういえば、ネムリは何か言っていましたか。」
デザートを食べながら状況を確認する。
「種を売りに来ている商人の目星はある程度ついたそうです。その件で今日は食事をとりに行っているとか。」
なるほどね、情報収集にお酒は欠かせないか。
経費で請求とかされないよな。
「エミリアの方はいかがでしたか。」
「そうですね、木材特に砦などを建築する用の大型の木材が定期的に購入されています。卸先はわかりましたのでネムリさんに確認してもらっています。後は、同時期に大量の火薬とお酒が購入されていました。こちらはノアちゃんに頼んで調べてもらっています。」
「木材に火薬、そしてお酒ですか。統一性はなさそうですが同じ人物が購入しているとしたら問題はどこへ運んでいるかですね。」
木材と火薬はわかる。
恐らく砦のようなものを作っていてそこに運びこんでいるんだろう。
市で仕入れた情報とも合致する。
武器の購入者も同じとわかれば完全に砦か何かを作っていると考えられるな。
武装して根城も強化してどことやりあうつもりなのか。
「シュウイチさんの方はいかがでしたか。」
「こちらはこれと言って大きな情報はないですね。預かっていた蜜玉を換金してきたぐらいでしょうか。」
「種まき、と言っていましたね。まだ教えていただけないんでしょうか。」
「もう少したったらお答えできると思います。その時はエミリアにも協力をお願いしなければなりません。」
そう、この作戦にはエミリアがとても重要になる。
自分の命を左右する重大な任務だ。
だが今それを言ってしまうと拒否されてしまうのでできるだけ隠しておきたい。
どうしようもない状態になって初めて答えられる質問。
卑怯だと思うがこれしか方法が思いつかんあかったのだ。
「私でよければ喜んでお手伝いさせていただきます。」
「お店のサポートのはずなのにこんなことまでお願いしてしまって申し訳ありません。」
「私がお手伝いしたくて自分でしているんです。シュウイチさんは気になさらにでください。」
気にしないでって言われても気になるものは気になるんだよね。
別の意味でも気になるし。
こんな感情久しく感じたことなかったからなぁ。
「その時はよろしくお願いします。」
お互い目が合うとおかしくて笑ってしまう。
同じ釜の飯とはよく言ったものだ。
同じ部屋で寝泊まりしているのもあって普通では考えられないぐらいエミリアとの関係は近づいていた。
異性とこれほどまでに親密に話すのはいつぶりだろうか。
もう思い出せないぐらい昔な気がする。
何とも言えない感情に支配されそうになった時、ドアをノックする音が聞こえた。
「失礼いたします。お食事はいかがでしたでしょうか。」
「非常に美味しかったです。」
「私も、とても感動しました。」
「ありがとうございます。お湯の準備ができましたので半刻程しましたらお入りいただけます。」
シェフによろしくお伝えくださいなんて言ってしまいそうだ。
それぐらい美味しかった。
そして風呂か。
さすがに同じ部屋にいたままっていうのはお互いの関係上非常に良くない。
危険すぎる。
主に俺が。
「では酔い覚ましに外の空気を吸ってきます。エミリアはゆっくりしてください。」
「この時間にですか、奥の通りはあまり治安が良くありませんお気を付けください。」
「貴重品は置いていきますから。ごゆっくり。」
支配人と共に部屋を出て鍵を閉める。
「お出かけになられますか、よろしければ人をよこしますが。」
「大丈夫ですそんなに遠出はしません。そうだ、この町に女性を買うお店はあるのでしょうか。」
「そうですね、何軒かございますがお部屋にお呼びしましょうか。」
いや、エミリアいるのに呼んだらダメでしょ。
せっかく静かな夜を迎えられそうなのに、自分で嵐を呼んでどうするよ。
「そういうつもりはありませんよ、ただちょっと気になることがありまして。一番大きいお店はどこでしょうか。」
「南の通りを二本ほど中道に入ると色町がございます。この町一番と言えば猫目館ですね。」
「ありがとうございます。それでは少し出ます。」
「道中お気を付けくださいませ。」
金ができたら何をするだろうか。
良いものを食べて、うまい酒を呑んで、あとは女か。
そうなるよな。
種まきはしたが、もう一つぐらい保険をかけてもいいかもしれないな。正確にはエサか。
二本中道を通りすぎるとピンクや紫の煽情的な明かりがともった通りが見える。
ここか。
客引きのきわどい下着をつけた女性がこちらを見て手招きをしている。
うむ、エロい。
見えそで見えないのもいいけれどこれぐらいストレートに見えるのもいいよね。
乳といい、くびれといい、うん。
あの谷間は反則だわ。
手招きに誘われそうになるのをぐっと我慢をして通りを進む。
年齢も様々だし見た目も様々だ。
ヒューリンがやはり多いが、たまにホビルトもみかける。
エルフィーはやはりいないようだ。
プライドが許さないのだろう。
あんなセクシーな下着エミリアが着ていたら一発でノックアウトされるな。
なんて妄想をしていた時に一軒の店の前に着いた。
大きな猫の看板。
字は読めないがわかる、ここだ。
気負う必要はない、別にそういうことをしに来たわけじゃない。
いや、したいけど。
エミリアが部屋にいる手前さすがに無理だ。
そこまでの勇気はない。
力強くドアを押して中に入る。
中もまたすごいな、そんなに派手じゃないが匂いがなんていうかクラクラする。
「いらっしゃいませ、猫目館へようこそ旦那様。」
「支配人はいるか。」
少し偉そうに言う。
何事も勢いだ。
下手に見られてはいけない。
「本日はどのようなご用件で。」
「女を買うのにここに来るのがそんなにおかしいことか。」
「いえ、そんなことは、」
「近々宴を催すのにここの女がよいという話を聞いたのだがな。その気が無いようなら結構。白鷺亭の主人ももう少しましな店を薦めればいいものを。」
最後は独り言のように悪態をつく。
今回の目的はこうだ。
高級店の女を買いに来るぐらいの金持ちが白鷺亭に来ているという情報を流したい。
コッペパンの噂でも十分だとは思うが奴らの事だ、女を漁りにも来るだろう。
その時に直接でなくてもいいので奴らの耳に入れば御の字だ。
そうすれば大きな魚が引っ掛かるかもしれない。
あ、コッペンの間違いだった。
「これは大変失礼いたしました!すぐに支配人をお呼びいたします。」
「もう結構だ、失礼する。」
踵を返し外に出る。
慌てて男が追いかけてくるが無視して来た道を戻る。
先ほどこっちを見ていた女たちが驚いた顔で見てくる。
よしよし、何が起きたか覚えておいてくれよ。
「お客様お待ちください、どうか、どうかお話だけでも。」
「しつこいぞ。その気があればまた呼ぶこともあるだろう、今日はもう結構だ。」
店の者からしたらせっかくの上客を返したことになる。
この男には悪いがしっかり餌を巻いてくれればいい。
男を振り切り、最初に見たきわどい下着をつけた女性に目配せをして通りを後にする。
いつかご縁があったら楽しませていただきたい。
だって男だもの。
白鷺亭のロビーで時間をつぶし部屋に戻ると先に風呂から上がったエミリアがソファーで寛いでいた。
「おかえりなさいシュウイチさん。気を使わせてしまい申し訳ありませんでした。」
ほんのりと頬が赤くなり、寝間着姿のエミリアが目の前にいる。
いかん、さっきあんな所にいたから見えるはずのないモノが見えてしまいそうだ。
「大丈夫ですよ、私もお湯をもらって今日は早めに寝ますね。明日は朝からネムリの話を聞いたり忙しくなると思いますからゆっくり休んでください。柔らかいベットなんて久しぶりでしょうから。」
「あんなにふかふかのベットはじめてですよ。シュウイチさんもおやすみなさい。」
部屋に備え付けられた寝間着を取り風呂へ向かう。
落ち着け俺。
間違いを犯してはならない。
平常心だ。
よし、もう大丈夫だ。
大丈夫。
今日は1日頑張ったんだゆっくりやすもう。
明日はもっと大変な1日になりそうだからな。
頑張ろう。
自分を奮い立たせて風呂場へ入った。
その後、エミリアの入った後の湯に入るかどうかでしこたま悩んでしまうのであった。
入ったけどさ!
29
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる