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1378.転売屋は同業者からも買い付ける
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エリザ達が向こうに帰ってしまい店が急に静かになってしまった。
朝起きたらすぐに聞こえてくるルカの笑い声も、エリザの無遠慮ながら心の籠った文句も聞こえてこない悲しさ。
そんな俺を慰めるようにルフがいつも以上にそばに寄ってきて近くにいることをアピールしてくる。
もちろんアニエスさんも同様で、多少マシにはなったもののまだ辛いというのに俺の心配をしてくれている。
もうすぐ夏が終わり秋がやってくる。
秋といえば収穫の時期、次の長い冬に向けてしっかりと買い付けを頑張らなければ。
寂しさは仕事の忙しさと達成感でごまかすに限る、ってことで今日も市場を見て回ることにした。
とはいえ連日通えば出ている店も半分は同じなので真新しさはあまりない。
特に氾濫でだぶついている素材は価格が下がってしまい買う人がおらず、かといって他所で大量に売れば値崩れが起きてしまうので毛嫌いされてしまうだけに売るに売れず困っている人の多いこと多い事。
もちろん俺が全部買い付ける事も出来るんだけども、年単位での消化が必要なだけに儲かるとわかっていても手を出せないんだよなぁ。
「あれ、グレイウルフの毛皮がないんだが売れたのか?」
「さっきやっと売れたんだ。どうにもできず困っていただけに助かったよ。」
「どんな奴だった?」
「背の低い猫人族だ。」
ふむ、売れたのはいい事だがここで売られていたのは王都の相場よりも一割程高く値段設定されていたやつのはず。
通常価格の半値近くまで値下がりしているとはいえわざわざ高値をつけていたやつを全部買い付けるとは、これは何か裏がありそうだな。
相場スキルを駆使して市場中の毛皮を探してみるもそのほとんどが売れてしまっているようだ。
まさか全部買い付けたっていうのか?
市場価格に比べれば確かに格安だが使用方法は限られているしまとめて売ろうにも買い手はつかない状況だ。
よっぽど遠くに売りに行くのなら話は別だがそれをすれば輸送コストが上乗せされてしまって利益が減るのは目に見えている。
それをわかって買っているんだろうけど・・・。
まさかと思い他にも大量にだぶついていた毛皮や牙、骨類の素材を探し回ってみたもののその半数ほどがなくなってしまっていた。
うーむ、まさかあの素材全部を買い占めるやつが出てくるとは思っていなかった。
確かに利益は出る、だがそれにかかる労力と時間を考えると絶対に割に合わないはずなのになんでわざわざそんなことをするんだろうか。
そこまで考えた所で見逃していたある事に気が付いてしまった。
「いや、まさかそんな・・・。」
あまりにも大胆なやり方に思わずその考えを否定してしまったが、よくよく考えると理にかなっているやり方かもしれない。
もちろん金と場所があればの話だがどちらもあるところにはあるもんだ。
恐らく買い漁っているのは俺と同じ転売屋。
同業のやり方に賛辞を送りながらも俺が儲からないっていうのは宜しくない話だ。
相手がその気ならこっちもその気になってやろうじゃないか。
予定を変更し、同業が買い漁っている素材を俺も同じように買っていく。
幸い相場スキルのお陰でどの店で売られているのかはすぐわかるので王都相場の三割増しまでを上限に手当たり次第に買っていく。
そうするとあっという間に市場から氾濫の際にだぶついた素材がなくなってしまった。
かかった費用はずばり金貨15枚ほど。
さて、これをどうやって増やしていこうか。
「失礼、市場の素材を買い付けている人がいると聞いてきたのですがそれは貴方ですか?」
大量の素材を市場の隅に積み上げていると背の低い猫人族の女性が姿を現した。
てっきり男性だと思っていただけに少し驚いた顔をしてしまったが、すぐに表情を元に戻す。
何事もポーカーフェイスで行かないとな。
「確かに買い付けはしているが、これだけ安かったら同じことをしている奴も大勢いるだろ。それこそアンタとかな。」
「テトと言います。確かに相場の半値は魅力的ですが、そんな状況でもつい最近まで買い付けをされなかったのにどうして急に買うことにしたんですか?」
「そりゃ安いからだ。他所に流せばそれなりの値段で売れるし転がすにはもってこいの素材だろ?」
「とはいえ大量に流せば値崩れは必須、遠方に送ればその分余計な費用が掛かります。強欲な買取屋と名高い貴方が買うような素材だとは思えませんが。」
そうか、俺は強欲と名高い買取屋だったのか。
初めて聞いたんだが俺がそんな風に呼ばれていると知ったらジンが大喜びするんだろうなぁ。
「俺はただ高く売れるから買い付けてるだけだが?」
「どこで?」
「そんなこと教えるはずがないだろうが。まぁ、条件次第では教えないこともないけど。」
「それを飲めば教えてくださると?」
「同業のよしみってやつだ、自分だけが得をするんじゃ色々と恨まれるだろ。」
自分から歩み寄るような雰囲気を出しつつやり過ぎたら恨んでやるからなと脅しておく。
テトという同業者は何かを悩んだ後静かに頷くと俺の方を向き直した。
「わかりました、条件を飲みましょう。そのかわりこの素材をどうやって売るつもりなのか教えてください。」
「いいねぇその思い切った考えは嫌いじゃない。まずは条件の方だが、そっちが持ってるワイルドボアの毛皮を全て譲ってもらえるか?」
「全てですか。」
「もちろん色を付けて買わせてもらうつもりだ。悪い話じゃないだろ?そっちは買い付けた素材を高く売れるだけじゃなく本来教えるはずがない売り先を教えるんだから。そっちの狙いは後ろに積みあがってる俺の素材、そうだよな?」
俺の予想はこうだ。
氾濫のせいで一時的に在庫が増えて値崩れを起こしている各種素材だが、言い換えれば市場から無くなれば価格は元通りになるという事。
なので一度王都中から買い集める事で無理矢理元の価格まで相場を戻そうとしているんだろう。
もちろん一日で戻るなんてことはないので時間はかかるが、だらだら戻ることを考えると戻り幅はかなり大きいと言える。
安いとわかっているからこそそれを欲しがっている人は探しに来るし、せっかく王都まで来たのに市場から無くなったとなれば多少高くても買って帰ろうとするだろう。
そうすることで一気に相場を元に戻そうというわけだ。
このやり方なら最初にお金はかかるものの戻ってから売るだけでかなりの儲けが出る。
なかなか賢いやり方を思いついたもんだ。
「もちろん全て買わせていただきます。」
「因みに価格は全部で金貨16枚、そこからワイルドボアの毛皮の分を差し引いた分を支払ってくれ。」
「金貨15枚にはなりませんか?」
「それなら毛皮は王都の相場でしか買わないが構わないか?」
「結構です。正直ここでは売りにくいと思っていたのでむしろ買っていただける方が助かります。」
確かに今の王都でこれだけの量の皮を処理するのは非常に厳しい。
仮に買い上げて価格を戻したとしても処理できなければ買ってくれる人はいないので結果として売る期間は延び延びになってしまうだろう。
もちろん俺もわかってはいるが、場所が場所なら大量に持って行っても値崩れしない可能性がある。
あくまでも可能性の話なのでそうならないかもしれないがそれでも相場の半値以下なら利益は出なくても損をすることはないだろう。
大量の素材を一気に買う事で買い付けの手間が省けたと同時に利益は出ないものの王都の相場が戻れば冒険者たちの実入りが増えることになる。
結果、俺の店で買い物をする客が増えるので最後に儲かるのは間違いなく俺ってわけだな。
「交渉成立だ。」
「ありがとうございます。」
「なんだ、さっきと違って随分と柔らかい顔するじゃないか。」
「強欲の買取屋、そう聞いていたので買いたたかれるのではと思って覚悟していたんですけど・・・。なんだか拍子抜けしてしまって。」
話しかけてきたときは女豹のようなキリリとした顔をしていたのに握手を交わした途端にその表情が一気に崩れた。
元々猫人族は可愛らしい顔立ちなだけによっぽど緊張していたって事だろう。
誰がその通り名を付けたかは知らないがいい意味でも悪い意味でも影響は大きいようだ。
「百の噂話より一の会話とはよく言ったもんだ。それで、この買い付けた素材をどこで売ろうとしてたかっていう話だったな。」
「はい。」
「アンタだよ。」
「え?」
「俺はそっちが買い付けに来ると踏んで他の素材を買い集めたんだ。もちろんそうならなかったら仲間のいるダンジョン街に卸すつもりだったが、予想通り買いに来てくれた。しかもワイルドボアの毛皮を格安で譲るという条件でな。」
「え、つまり端から私が何をするかわかって手放すつもりだったってことですか?」
気付いたのはついさっきとは流石に言えないがどうやら当たりだったらしい。
もしかすると違うのかもしれないけれど向こうが誤解してくれているのならわざわざそれを正す必要もなし。
買取屋が買取屋から仕入れをしてはいけないという決まりはないし、向こうだってそれを理解しているはず。
さっきも言ったように儲けを独占すれば恨まれるがそうでなければお互いの実力ってことで多少の損得には目をつむってもらえるだろう。
もちろん最後は俺が儲けを出すのは間違いないけどな。
「良い考えだと思うしそれによって俺にもプラスがあると判断したからのっからせてもらった。因みに毛皮だが北方に行くついでがあるんでそこに持って行くつもりだ。輸送費はかからないしなによりこれから需要が増える地域だけに多少多めに持って行っても値崩れはしないだろう。むしろそこで相場よりも安く卸せば喜んでもらえる可能性が高い。こっちの価格操作はまかせたからしっかり頑張ってくれ。」
「前言を撤回します、やはり貴方は強欲の買取屋で間違いありませんでした。」
「そりゃどうも。」
今度はとても悔しそうな顔をして下から俺を睨みつけてくる猫人族。
俺と同じ考え方の出来る同業者とは今後もいいお付き合いが出来そうだ。
握手をしたままの手に露骨に力が加わってきてちょっと痛いがそれを表に出してはいけない。
何事もポーカーフェイスで行かないとな。
こうして同業者から仕入れは無事に終わり、俺は新たな金儲けのネタを手に入れたのだった。
朝起きたらすぐに聞こえてくるルカの笑い声も、エリザの無遠慮ながら心の籠った文句も聞こえてこない悲しさ。
そんな俺を慰めるようにルフがいつも以上にそばに寄ってきて近くにいることをアピールしてくる。
もちろんアニエスさんも同様で、多少マシにはなったもののまだ辛いというのに俺の心配をしてくれている。
もうすぐ夏が終わり秋がやってくる。
秋といえば収穫の時期、次の長い冬に向けてしっかりと買い付けを頑張らなければ。
寂しさは仕事の忙しさと達成感でごまかすに限る、ってことで今日も市場を見て回ることにした。
とはいえ連日通えば出ている店も半分は同じなので真新しさはあまりない。
特に氾濫でだぶついている素材は価格が下がってしまい買う人がおらず、かといって他所で大量に売れば値崩れが起きてしまうので毛嫌いされてしまうだけに売るに売れず困っている人の多いこと多い事。
もちろん俺が全部買い付ける事も出来るんだけども、年単位での消化が必要なだけに儲かるとわかっていても手を出せないんだよなぁ。
「あれ、グレイウルフの毛皮がないんだが売れたのか?」
「さっきやっと売れたんだ。どうにもできず困っていただけに助かったよ。」
「どんな奴だった?」
「背の低い猫人族だ。」
ふむ、売れたのはいい事だがここで売られていたのは王都の相場よりも一割程高く値段設定されていたやつのはず。
通常価格の半値近くまで値下がりしているとはいえわざわざ高値をつけていたやつを全部買い付けるとは、これは何か裏がありそうだな。
相場スキルを駆使して市場中の毛皮を探してみるもそのほとんどが売れてしまっているようだ。
まさか全部買い付けたっていうのか?
市場価格に比べれば確かに格安だが使用方法は限られているしまとめて売ろうにも買い手はつかない状況だ。
よっぽど遠くに売りに行くのなら話は別だがそれをすれば輸送コストが上乗せされてしまって利益が減るのは目に見えている。
それをわかって買っているんだろうけど・・・。
まさかと思い他にも大量にだぶついていた毛皮や牙、骨類の素材を探し回ってみたもののその半数ほどがなくなってしまっていた。
うーむ、まさかあの素材全部を買い占めるやつが出てくるとは思っていなかった。
確かに利益は出る、だがそれにかかる労力と時間を考えると絶対に割に合わないはずなのになんでわざわざそんなことをするんだろうか。
そこまで考えた所で見逃していたある事に気が付いてしまった。
「いや、まさかそんな・・・。」
あまりにも大胆なやり方に思わずその考えを否定してしまったが、よくよく考えると理にかなっているやり方かもしれない。
もちろん金と場所があればの話だがどちらもあるところにはあるもんだ。
恐らく買い漁っているのは俺と同じ転売屋。
同業のやり方に賛辞を送りながらも俺が儲からないっていうのは宜しくない話だ。
相手がその気ならこっちもその気になってやろうじゃないか。
予定を変更し、同業が買い漁っている素材を俺も同じように買っていく。
幸い相場スキルのお陰でどの店で売られているのかはすぐわかるので王都相場の三割増しまでを上限に手当たり次第に買っていく。
そうするとあっという間に市場から氾濫の際にだぶついた素材がなくなってしまった。
かかった費用はずばり金貨15枚ほど。
さて、これをどうやって増やしていこうか。
「失礼、市場の素材を買い付けている人がいると聞いてきたのですがそれは貴方ですか?」
大量の素材を市場の隅に積み上げていると背の低い猫人族の女性が姿を現した。
てっきり男性だと思っていただけに少し驚いた顔をしてしまったが、すぐに表情を元に戻す。
何事もポーカーフェイスで行かないとな。
「確かに買い付けはしているが、これだけ安かったら同じことをしている奴も大勢いるだろ。それこそアンタとかな。」
「テトと言います。確かに相場の半値は魅力的ですが、そんな状況でもつい最近まで買い付けをされなかったのにどうして急に買うことにしたんですか?」
「そりゃ安いからだ。他所に流せばそれなりの値段で売れるし転がすにはもってこいの素材だろ?」
「とはいえ大量に流せば値崩れは必須、遠方に送ればその分余計な費用が掛かります。強欲な買取屋と名高い貴方が買うような素材だとは思えませんが。」
そうか、俺は強欲と名高い買取屋だったのか。
初めて聞いたんだが俺がそんな風に呼ばれていると知ったらジンが大喜びするんだろうなぁ。
「俺はただ高く売れるから買い付けてるだけだが?」
「どこで?」
「そんなこと教えるはずがないだろうが。まぁ、条件次第では教えないこともないけど。」
「それを飲めば教えてくださると?」
「同業のよしみってやつだ、自分だけが得をするんじゃ色々と恨まれるだろ。」
自分から歩み寄るような雰囲気を出しつつやり過ぎたら恨んでやるからなと脅しておく。
テトという同業者は何かを悩んだ後静かに頷くと俺の方を向き直した。
「わかりました、条件を飲みましょう。そのかわりこの素材をどうやって売るつもりなのか教えてください。」
「いいねぇその思い切った考えは嫌いじゃない。まずは条件の方だが、そっちが持ってるワイルドボアの毛皮を全て譲ってもらえるか?」
「全てですか。」
「もちろん色を付けて買わせてもらうつもりだ。悪い話じゃないだろ?そっちは買い付けた素材を高く売れるだけじゃなく本来教えるはずがない売り先を教えるんだから。そっちの狙いは後ろに積みあがってる俺の素材、そうだよな?」
俺の予想はこうだ。
氾濫のせいで一時的に在庫が増えて値崩れを起こしている各種素材だが、言い換えれば市場から無くなれば価格は元通りになるという事。
なので一度王都中から買い集める事で無理矢理元の価格まで相場を戻そうとしているんだろう。
もちろん一日で戻るなんてことはないので時間はかかるが、だらだら戻ることを考えると戻り幅はかなり大きいと言える。
安いとわかっているからこそそれを欲しがっている人は探しに来るし、せっかく王都まで来たのに市場から無くなったとなれば多少高くても買って帰ろうとするだろう。
そうすることで一気に相場を元に戻そうというわけだ。
このやり方なら最初にお金はかかるものの戻ってから売るだけでかなりの儲けが出る。
なかなか賢いやり方を思いついたもんだ。
「もちろん全て買わせていただきます。」
「因みに価格は全部で金貨16枚、そこからワイルドボアの毛皮の分を差し引いた分を支払ってくれ。」
「金貨15枚にはなりませんか?」
「それなら毛皮は王都の相場でしか買わないが構わないか?」
「結構です。正直ここでは売りにくいと思っていたのでむしろ買っていただける方が助かります。」
確かに今の王都でこれだけの量の皮を処理するのは非常に厳しい。
仮に買い上げて価格を戻したとしても処理できなければ買ってくれる人はいないので結果として売る期間は延び延びになってしまうだろう。
もちろん俺もわかってはいるが、場所が場所なら大量に持って行っても値崩れしない可能性がある。
あくまでも可能性の話なのでそうならないかもしれないがそれでも相場の半値以下なら利益は出なくても損をすることはないだろう。
大量の素材を一気に買う事で買い付けの手間が省けたと同時に利益は出ないものの王都の相場が戻れば冒険者たちの実入りが増えることになる。
結果、俺の店で買い物をする客が増えるので最後に儲かるのは間違いなく俺ってわけだな。
「交渉成立だ。」
「ありがとうございます。」
「なんだ、さっきと違って随分と柔らかい顔するじゃないか。」
「強欲の買取屋、そう聞いていたので買いたたかれるのではと思って覚悟していたんですけど・・・。なんだか拍子抜けしてしまって。」
話しかけてきたときは女豹のようなキリリとした顔をしていたのに握手を交わした途端にその表情が一気に崩れた。
元々猫人族は可愛らしい顔立ちなだけによっぽど緊張していたって事だろう。
誰がその通り名を付けたかは知らないがいい意味でも悪い意味でも影響は大きいようだ。
「百の噂話より一の会話とはよく言ったもんだ。それで、この買い付けた素材をどこで売ろうとしてたかっていう話だったな。」
「はい。」
「アンタだよ。」
「え?」
「俺はそっちが買い付けに来ると踏んで他の素材を買い集めたんだ。もちろんそうならなかったら仲間のいるダンジョン街に卸すつもりだったが、予想通り買いに来てくれた。しかもワイルドボアの毛皮を格安で譲るという条件でな。」
「え、つまり端から私が何をするかわかって手放すつもりだったってことですか?」
気付いたのはついさっきとは流石に言えないがどうやら当たりだったらしい。
もしかすると違うのかもしれないけれど向こうが誤解してくれているのならわざわざそれを正す必要もなし。
買取屋が買取屋から仕入れをしてはいけないという決まりはないし、向こうだってそれを理解しているはず。
さっきも言ったように儲けを独占すれば恨まれるがそうでなければお互いの実力ってことで多少の損得には目をつむってもらえるだろう。
もちろん最後は俺が儲けを出すのは間違いないけどな。
「良い考えだと思うしそれによって俺にもプラスがあると判断したからのっからせてもらった。因みに毛皮だが北方に行くついでがあるんでそこに持って行くつもりだ。輸送費はかからないしなによりこれから需要が増える地域だけに多少多めに持って行っても値崩れはしないだろう。むしろそこで相場よりも安く卸せば喜んでもらえる可能性が高い。こっちの価格操作はまかせたからしっかり頑張ってくれ。」
「前言を撤回します、やはり貴方は強欲の買取屋で間違いありませんでした。」
「そりゃどうも。」
今度はとても悔しそうな顔をして下から俺を睨みつけてくる猫人族。
俺と同じ考え方の出来る同業者とは今後もいいお付き合いが出来そうだ。
握手をしたままの手に露骨に力が加わってきてちょっと痛いがそれを表に出してはいけない。
何事もポーカーフェイスで行かないとな。
こうして同業者から仕入れは無事に終わり、俺は新たな金儲けのネタを手に入れたのだった。
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