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1118.転売屋は相談される。
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「ボス、少しよろしいですか?」
廃鉱山の前ではマウジーを筆頭に新しく加わった鼠人族の女性も手伝いながら急ピッチで受付所の建設が続けられている。
今はちょうど基礎工事中。
休憩がてらすこし離れたところを散歩していると、後ろからマウジーが追いかけて声をかけてきた。
「どうした何かトラブルか?」
「いえ、そういうわけではないのですが・・・。」
「珍しいな、そんなにあやふやな回答をするなんて。」
「私もどうすればいいかわからなくてですね、こんな感情初めてなものですから。」
「ほぉ、詳しく聞こうじゃないか。」
いつもは完璧なリーダー俺と話すときは優秀な従者としていつも自信に満ち溢れているはずのマウジーが、なにやら年相応の若者のような雰囲気を醸し出している。
十中八九女関係なんだろうけど、そうかこいつにも春が来たか。
「実はですね、うちの若い奴と新しく入った女性達とでつがいになる者が増えていまして。今のところ順調ではあるようですが、何分閉鎖的な環境のため贈り物をするというのも難しい状況でして。庇護していただいている立場で大変恐縮なのですが、なにか素敵なものを手配していただけないでしょうか。」
「・・・お前じゃないのか?」
「生憎今はボスの下で彼らをまとめることが忙しくそういった事に意識を向ける時間がありません。それよりも今は彼らのことです。彼らが結ばれればすぐにでも次の世代が生まれます、我らは早産ですので次の春にはにぎやかになるのではないでしょうか。」
「贈り物ねぇ・・・。街ではやってるアクセサリーとかでもいいのか?」
「もちろんです。ここから出られない女たちにとって街の物が手に入るのは願ってもないこと。もちろんそれに見合うだけの対価はこちらで用意させます。」
廃鉱山にこもっているとは言うものの絶対に外に出ないというわけではなく、たまに周辺を哨戒してめぼしい魔物を見つけると狩っていたりするので、そういった素材で対価を用意するということなんだろう。
しっかし、てっきりマウジーに春が来たと思ったのにそうじゃなかったか。
まぁ、他の若いのも所帯を持てば少しはおとなしくなるだろうし、いいことって言えばいいことなんだろうけど。
「あ、あの?」
「どうした。」
「えっと、その・・・。」
「落ち着け、ゆっくり話せば問題ない。」
マウジーの後ろから走って来た鼠人族の女は必死になって言葉を探しているのだが、なかなか出てこないようでそれをみたマウジーが優しく諭すように声をかける。
そこそこ年齢は言ってそうな感じなのだが、その割に落ち着きがないというか頼りないというか。
しっかし、あんな子いたっけか?
「はい・・・。あの、受付所の間取りについて打ち合わせがしたいって言ってます。」
「そうか、分かったすぐに行く。すみませんボス、そういうことですのでよろしくお願いします。」
「そっちの方は任せとけ。それと、資材とかで何か足りないものがあれば倉庫の奴を適当に使って構わないし補充が必要なら明日もう一回来るからその時に教えてくれ。」
「何から何まですみません。」
深々と頭を下げたマウジーは小走りで他の連中のいる方へ駆けていく。
が、先ほどの女は取り残されたそうにその場に立ちすくむだけ。
「おい・・・。」
「ひっ!」
「あー、すまん脅かすつもりはなかったんだが・・・。」
心配になり声をかけると、恐怖に身を固め悲鳴をあげられてしまった。
そんなに怖い顔してたかな。
そのまま固まってしまった彼女をどうすることもできず立ち尽くしていると、それに気づいたマウジーが慌てた様子でこちらに向かって走ってきた。
「ジャンヌ!」
「は、はい!」
「君の意見も聞きたいそうだ、早く行きなさい。私はもう少しボスと話をします。」
「わ、わかりました!」
俺を一瞥することもなくジャンヌと呼ばれたその女はほかの鼠人族のところへ駆けていく。
別に挨拶しないのはいいんだが、鼠人族でそういう反応をする人に会ったことがなかっただけになんだか不思議な気分になってしまった。
「ボス申し訳ありません、彼女には後で言い聞かせておきますので。」
「いやそれは別に構わないんだが、あんな子いたか?」
「おそらくお会いするのは初めてかと思います。奴らから彼女らを解放した際一番心を病んでおり、回復するのに時間がかかっておりました。最近になってようやく外に出れるようになったのですが今だ見知らぬ男を見るとあぁして固まってしまうのです。これでも随分とましになった方で、最初は私が近づくだけで悲鳴を上げたものでした。」
「あー、そういうことか。」
なるほどそれで合点がいった。
彼女らはここに来るまでに随分とひどい扱いを受けていたようで、その中に心を病んでしまったものもいると聞いた覚えがある。
その後は興味がなく気にしていなかったのだが、そうか彼女がそうだったのか。
それは申し訳ないことしたなぁ。
「このままよくなるといいのですが・・・。すみません、先ほどのに追加してもう一つ探していただきたいものがあるのですがよろしいでしょうか。」
「ん?なにがいるんだ?」
「雪華がもし手に入れば。別に無理にとは言いません、可能ならで結構です。」
「セツカ?まぁ後で調べて可能なら明日運んでくる、それじゃあ一回戻るから後よろしくな。」
「おまかせください。」
「バーン帰るぞ~!」
「はーい!マウジーまたね!」
しかしあれだな、あのマウジーが態々俺に頼みごとをするなんてよっぽど必要なものなんだろうなぁ。
その時はさほど疑問にも思わず元の姿に戻ったバーンの背にまたがりそのまま街に戻ったのだが、その足で図書館に向かい調べてみたものの、残念ながらセツカという名前では該当するものを見つけることはできなかった。
うーむ、まさかアレン少年でも探せないとは。
雪華とはいったいどんなものなんだろうか。
「え、セツカ?知らないわねぇ。」
「だろうな。」
「ちょっとひどくない?」
「キキならともかく図書館ですら調べられないようなものをエリザが知ってるはずがないだろ?」
「まぁ、そうだけど。せめてどんな物なのかわからないの?」
「名前しかきいてないんだよなぁこれが。言葉の響き的に雪の華か何かだとおもったんだが・・・。」
元の世界ではそんな言葉があったように記憶している。
自然の中でひときわ趣のあるものを総称してだったと思うのだが、そもそも趣って言葉があいまいだよな。
まぁそれを俺がどうこう言っても仕方ないんだが。
「雪の華、セツカ・・・あぁ!スノーリリーのことじゃない?」
「まったく語感が合ってないんだが?」
「それはこっちの言葉だからよ。鼠人族って確か西方の方に住んでるでしょ?向こうの言葉でそんな言葉があったと思うんだけど。」
「雪月花ってか?」
「そうそれ!」
そんな偶然・・・いや、西方国ならあり得るか。
元の世界との類似性が高いのは今に始まったことじゃない。
それでも全く同じではないのはハルカやケイゴさんとの話で確認している。
あくまでも類似する部分が多いだけ。
それよりも今は折角見つかったヒントを生かさなければ。
「そのスノーリリーってのはどこで手に入るんだ?」
「一応ダンジョンでも手に入るけど、かなり寒い場所じゃないと見つからないのよね。それなら屋外を探すって手もあるんだけど、これだけ雪が降っちゃうと探すのも大変だし。」
「現物があればスキルを使って探せないこともないが、とりあえず依頼を出してみるか。」
「でもスノーリリーが欲しいだなんて、マウジーさんも隅に置けないわね。」
「どういうことだ?」
なんでそんなにうれしそうな顔をするんだろうか。
確かにあの堅物のマウジーが花を欲しがるってのは珍しい話ではあるのだが、別にエリザが喜ぶようなことは何もないと思うんだが。
「スノーリリーって花弁が雪みたいに綺麗なんだけどとっても繊細な花でね、その花を贈るってことは『あなたを守ります』って言っているのと同じことなの。」
「ほぉ、花言葉みたいなものか。」
「もちろんただ綺麗だからって可能性もあるけど、わざわざそれを指名するってことはそういうことよねぇ。」
「だがマウジーたちの故郷で同じような意味合いを持っているかはわからないだろ?」
「大体似たようなものよ。それにね、送られた花が枯れることなく最期を迎えると花弁が落ちて結晶が残るの。それを相手に返すとお互いに幸せになれるっていう言い伝えもあるわ。とっても珍しいから実際に見たことはないんだけど、もし本当にあるなら素敵よねぇ。」
うーむ、あの堅物マウジーが彼女のためにそこまでするだろうか。
ただ単にきれいな花だから送りたいっていうのはあるかもしれないが、まぁ人の色恋なんてどんなきっかけで始まるかわからないしそれを俺が気にする必要はどこにもない。
頼まれたのならば探すだけ。
一緒に手配してほしいといわれたものもあるし、まずは依頼をかけつつ他の物を準備するとしよう。
「聞きたいんだが綺麗な花なのか?」
「何度か見たことあるけどとっても綺麗よ。」
「あと、さっきの話だがそれは誰でも知っている内容なんだよな?」
「女の子で知らない子はいないんじゃないかしら。でも男の人ってそういうの知らない人多いわよね。」
「現に俺が知らなかったからな。」
この世界にきてまだ日が浅いっていうこともあるだろうけど、その中でもスノーリリーなんて花の話は聞いたことがない。
いや、もしかしたら聞いたことはあるのかもしれないが興味がなさ過ぎて聞き流しているだけかもしれないけれど。
だが、それを知った以上無視することはできないわけで。
時期的にもぴったりだしこれは金儲けの気配がプンプンする。
もうすぐ24月。
元の世界同様年末に待っているのは、お世話になった人に感謝の気持ちを送る贈り物の日。
もちろんその中には恋人も含まれているわけで。
常日頃から戦いの場に身を置いている冒険者にとって、『守る』という強いメッセージを持った花はかなりの需要が出るだろう。
しかもそれが珍しいとなれば価値はうなぎのぼり。
もちろん最初の一本はマウジーのために用意するが、それを使って相場スキルを行使すれば量産するのも不可能じゃない。
贈り物の日。
そんな日にぴったりな雪の華、おひとついかが?
廃鉱山の前ではマウジーを筆頭に新しく加わった鼠人族の女性も手伝いながら急ピッチで受付所の建設が続けられている。
今はちょうど基礎工事中。
休憩がてらすこし離れたところを散歩していると、後ろからマウジーが追いかけて声をかけてきた。
「どうした何かトラブルか?」
「いえ、そういうわけではないのですが・・・。」
「珍しいな、そんなにあやふやな回答をするなんて。」
「私もどうすればいいかわからなくてですね、こんな感情初めてなものですから。」
「ほぉ、詳しく聞こうじゃないか。」
いつもは完璧なリーダー俺と話すときは優秀な従者としていつも自信に満ち溢れているはずのマウジーが、なにやら年相応の若者のような雰囲気を醸し出している。
十中八九女関係なんだろうけど、そうかこいつにも春が来たか。
「実はですね、うちの若い奴と新しく入った女性達とでつがいになる者が増えていまして。今のところ順調ではあるようですが、何分閉鎖的な環境のため贈り物をするというのも難しい状況でして。庇護していただいている立場で大変恐縮なのですが、なにか素敵なものを手配していただけないでしょうか。」
「・・・お前じゃないのか?」
「生憎今はボスの下で彼らをまとめることが忙しくそういった事に意識を向ける時間がありません。それよりも今は彼らのことです。彼らが結ばれればすぐにでも次の世代が生まれます、我らは早産ですので次の春にはにぎやかになるのではないでしょうか。」
「贈り物ねぇ・・・。街ではやってるアクセサリーとかでもいいのか?」
「もちろんです。ここから出られない女たちにとって街の物が手に入るのは願ってもないこと。もちろんそれに見合うだけの対価はこちらで用意させます。」
廃鉱山にこもっているとは言うものの絶対に外に出ないというわけではなく、たまに周辺を哨戒してめぼしい魔物を見つけると狩っていたりするので、そういった素材で対価を用意するということなんだろう。
しっかし、てっきりマウジーに春が来たと思ったのにそうじゃなかったか。
まぁ、他の若いのも所帯を持てば少しはおとなしくなるだろうし、いいことって言えばいいことなんだろうけど。
「あ、あの?」
「どうした。」
「えっと、その・・・。」
「落ち着け、ゆっくり話せば問題ない。」
マウジーの後ろから走って来た鼠人族の女は必死になって言葉を探しているのだが、なかなか出てこないようでそれをみたマウジーが優しく諭すように声をかける。
そこそこ年齢は言ってそうな感じなのだが、その割に落ち着きがないというか頼りないというか。
しっかし、あんな子いたっけか?
「はい・・・。あの、受付所の間取りについて打ち合わせがしたいって言ってます。」
「そうか、分かったすぐに行く。すみませんボス、そういうことですのでよろしくお願いします。」
「そっちの方は任せとけ。それと、資材とかで何か足りないものがあれば倉庫の奴を適当に使って構わないし補充が必要なら明日もう一回来るからその時に教えてくれ。」
「何から何まですみません。」
深々と頭を下げたマウジーは小走りで他の連中のいる方へ駆けていく。
が、先ほどの女は取り残されたそうにその場に立ちすくむだけ。
「おい・・・。」
「ひっ!」
「あー、すまん脅かすつもりはなかったんだが・・・。」
心配になり声をかけると、恐怖に身を固め悲鳴をあげられてしまった。
そんなに怖い顔してたかな。
そのまま固まってしまった彼女をどうすることもできず立ち尽くしていると、それに気づいたマウジーが慌てた様子でこちらに向かって走ってきた。
「ジャンヌ!」
「は、はい!」
「君の意見も聞きたいそうだ、早く行きなさい。私はもう少しボスと話をします。」
「わ、わかりました!」
俺を一瞥することもなくジャンヌと呼ばれたその女はほかの鼠人族のところへ駆けていく。
別に挨拶しないのはいいんだが、鼠人族でそういう反応をする人に会ったことがなかっただけになんだか不思議な気分になってしまった。
「ボス申し訳ありません、彼女には後で言い聞かせておきますので。」
「いやそれは別に構わないんだが、あんな子いたか?」
「おそらくお会いするのは初めてかと思います。奴らから彼女らを解放した際一番心を病んでおり、回復するのに時間がかかっておりました。最近になってようやく外に出れるようになったのですが今だ見知らぬ男を見るとあぁして固まってしまうのです。これでも随分とましになった方で、最初は私が近づくだけで悲鳴を上げたものでした。」
「あー、そういうことか。」
なるほどそれで合点がいった。
彼女らはここに来るまでに随分とひどい扱いを受けていたようで、その中に心を病んでしまったものもいると聞いた覚えがある。
その後は興味がなく気にしていなかったのだが、そうか彼女がそうだったのか。
それは申し訳ないことしたなぁ。
「このままよくなるといいのですが・・・。すみません、先ほどのに追加してもう一つ探していただきたいものがあるのですがよろしいでしょうか。」
「ん?なにがいるんだ?」
「雪華がもし手に入れば。別に無理にとは言いません、可能ならで結構です。」
「セツカ?まぁ後で調べて可能なら明日運んでくる、それじゃあ一回戻るから後よろしくな。」
「おまかせください。」
「バーン帰るぞ~!」
「はーい!マウジーまたね!」
しかしあれだな、あのマウジーが態々俺に頼みごとをするなんてよっぽど必要なものなんだろうなぁ。
その時はさほど疑問にも思わず元の姿に戻ったバーンの背にまたがりそのまま街に戻ったのだが、その足で図書館に向かい調べてみたものの、残念ながらセツカという名前では該当するものを見つけることはできなかった。
うーむ、まさかアレン少年でも探せないとは。
雪華とはいったいどんなものなんだろうか。
「え、セツカ?知らないわねぇ。」
「だろうな。」
「ちょっとひどくない?」
「キキならともかく図書館ですら調べられないようなものをエリザが知ってるはずがないだろ?」
「まぁ、そうだけど。せめてどんな物なのかわからないの?」
「名前しかきいてないんだよなぁこれが。言葉の響き的に雪の華か何かだとおもったんだが・・・。」
元の世界ではそんな言葉があったように記憶している。
自然の中でひときわ趣のあるものを総称してだったと思うのだが、そもそも趣って言葉があいまいだよな。
まぁそれを俺がどうこう言っても仕方ないんだが。
「雪の華、セツカ・・・あぁ!スノーリリーのことじゃない?」
「まったく語感が合ってないんだが?」
「それはこっちの言葉だからよ。鼠人族って確か西方の方に住んでるでしょ?向こうの言葉でそんな言葉があったと思うんだけど。」
「雪月花ってか?」
「そうそれ!」
そんな偶然・・・いや、西方国ならあり得るか。
元の世界との類似性が高いのは今に始まったことじゃない。
それでも全く同じではないのはハルカやケイゴさんとの話で確認している。
あくまでも類似する部分が多いだけ。
それよりも今は折角見つかったヒントを生かさなければ。
「そのスノーリリーってのはどこで手に入るんだ?」
「一応ダンジョンでも手に入るけど、かなり寒い場所じゃないと見つからないのよね。それなら屋外を探すって手もあるんだけど、これだけ雪が降っちゃうと探すのも大変だし。」
「現物があればスキルを使って探せないこともないが、とりあえず依頼を出してみるか。」
「でもスノーリリーが欲しいだなんて、マウジーさんも隅に置けないわね。」
「どういうことだ?」
なんでそんなにうれしそうな顔をするんだろうか。
確かにあの堅物のマウジーが花を欲しがるってのは珍しい話ではあるのだが、別にエリザが喜ぶようなことは何もないと思うんだが。
「スノーリリーって花弁が雪みたいに綺麗なんだけどとっても繊細な花でね、その花を贈るってことは『あなたを守ります』って言っているのと同じことなの。」
「ほぉ、花言葉みたいなものか。」
「もちろんただ綺麗だからって可能性もあるけど、わざわざそれを指名するってことはそういうことよねぇ。」
「だがマウジーたちの故郷で同じような意味合いを持っているかはわからないだろ?」
「大体似たようなものよ。それにね、送られた花が枯れることなく最期を迎えると花弁が落ちて結晶が残るの。それを相手に返すとお互いに幸せになれるっていう言い伝えもあるわ。とっても珍しいから実際に見たことはないんだけど、もし本当にあるなら素敵よねぇ。」
うーむ、あの堅物マウジーが彼女のためにそこまでするだろうか。
ただ単にきれいな花だから送りたいっていうのはあるかもしれないが、まぁ人の色恋なんてどんなきっかけで始まるかわからないしそれを俺が気にする必要はどこにもない。
頼まれたのならば探すだけ。
一緒に手配してほしいといわれたものもあるし、まずは依頼をかけつつ他の物を準備するとしよう。
「聞きたいんだが綺麗な花なのか?」
「何度か見たことあるけどとっても綺麗よ。」
「あと、さっきの話だがそれは誰でも知っている内容なんだよな?」
「女の子で知らない子はいないんじゃないかしら。でも男の人ってそういうの知らない人多いわよね。」
「現に俺が知らなかったからな。」
この世界にきてまだ日が浅いっていうこともあるだろうけど、その中でもスノーリリーなんて花の話は聞いたことがない。
いや、もしかしたら聞いたことはあるのかもしれないが興味がなさ過ぎて聞き流しているだけかもしれないけれど。
だが、それを知った以上無視することはできないわけで。
時期的にもぴったりだしこれは金儲けの気配がプンプンする。
もうすぐ24月。
元の世界同様年末に待っているのは、お世話になった人に感謝の気持ちを送る贈り物の日。
もちろんその中には恋人も含まれているわけで。
常日頃から戦いの場に身を置いている冒険者にとって、『守る』という強いメッセージを持った花はかなりの需要が出るだろう。
しかもそれが珍しいとなれば価値はうなぎのぼり。
もちろん最初の一本はマウジーのために用意するが、それを使って相場スキルを行使すれば量産するのも不可能じゃない。
贈り物の日。
そんな日にぴったりな雪の華、おひとついかが?
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