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1100.転売屋は噂を耳にする
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寒さは厳しいものの、いつもの日常が少しずつ戻ってきたように感じる。
この前出したたこ焼きは冒険者の多大なる支持を受け、畑から場所を変え拡張工事現場の傍に常設の店を構えることになった。
もちろん俺が営業するわけにもいかないのでこの冬の間はうちから材料を買い付けるという条件付きで、立候補してくれた冒険者に譲ることになった。
因みに昨日鉄板を売り出していた店主から在庫をすべて買い付けておいたので、事業を拡大したいという申し出にも応じることが出来る。
鉄板も消耗するものだし、誰かが別の土地で頑張るというのならば応援しないこともない。
というか、俺がやるだけの時間がないって言うのもある。
仕入れ方にもよるが原価は大体銅貨3枚ほど。
銅貨10枚でも飛ぶように売れていたので、20人前作れば儲けは銀貨1枚を超える。
初日の売上はゆうに100人前を超えていたのでそれだけでも銀貨5枚。
それを一か月やればなんと金貨1.5枚も稼げるわけだ。
気になるところは小麦の値上がりではあるのだが、まぁそれでも原価率が5割を超える事はないはず、なんせ水と小麦がメインだしな。
「たこ焼き屋、大盛況みたいだけど本当にいいの?」
「そりゃ儲けは出るだろうが、毎日毎日クルクルクルクル回すなら別の事で同じだけ稼いだ方が性に合ってる。そういやさっきルティエが来ていたみたいだが、何の用事だったんだ?」
「ガーネットが必要になったから、残ってたのを買って行ったわ。」
「ガーネットを?なんでまた。」
「さっきその場にいたんだけどね、どうしても直したいっていう女の子が来てたのよ。」
ガーネットルージュに関しては現在生産を中止して、職人たちは王都の宝石商と一緒に新作を鋭意制作中のはず。
在庫はこの間全て売りつくしたはずだから、よっぽど切羽詰まった依頼だったんだろうな。
それを受ける受けないはルティエの自由だし、うちからすれば残ってたガーネットが売れるだけで万々歳だ。
「アレ一つの為にわざわざって感じはしたんだけど、すっごく真剣でそれで受けたみたい。この辺りじゃ見かけない子だったしわざわざ遠くから来たのかも。」
「わざわざ客の顔まで確認したのか。」
「中々可愛い子だったわよ、声も綺麗だったし。」
「ふ~ん。」
「興味なさそうね。」
「生憎ともういっぱいいっぱいなんでね。」
こんなにも大勢の女性に囲まれて、それで更になんて贅沢にもほどがある。
俺の目の届く範囲だけで十分だっての。
「ふふ、知ってた。」
「嬉しそうだな。」
「そりゃあね。って思い出した!さっきシープさんが探してたわよ。」
「またかよ。昨日無理矢理ポリプスを食べさせたのまだ怒ってるのか?」
「そんなんじゃないと思うけど、すっごく落ち込んでる感じだったし。」
あの男が落ち込むとかよっぽどの状況じゃないか。
何か用事があれば昨日のうちに連絡してくるだろうから、今日起きた余程の厄介事だと思われる。
はぁ、マジでめんどくさい。
呼び出しを無視する事も出来るのだが、小麦の件でかなり世話になったのでそれを無下にするわけにもいかないんだよなぁ。
突然届いた大量の小麦。
自前の倉庫にも詰め込むだけ詰め込んだのだが、それでもかなりの量が行き場を失っていた。
放置するわけにもいかずどうしたもんかと悩んでいると、ポリプスをほじくり出しながら最高の提案をしてくれたわけだ。
『工事中の下水道に収納したらどうか』
確かに工事中ならば不衛生でもないし、地下なら温度も一定で更には雪を詰め込んでおけば良い感じに冷えてくれる上に虫や小動物に食べられなくて済む。
ちょうど一区画工事が終わったと言っていたので、有難くそこを借りる事にした。
利用料は月額銀貨50枚と中々に高額だが、廃棄することを考えれば致し方ない。
北街道が動くようになれば廃鉱山に運び込めるし、長期で借りる事もないだろう。
そんな借りもあるので致し方なくギルド協会まで足を運んだわけだが・・・。
「なんだこの重苦しい雰囲気は。」
「シロウさ~ん、きいてくださいよ~。」
「酔っ払いかよ、シャキッとしろシャキッと。」
部屋に入るとなんとも暗い顔をした羊男がよろよろと顔を上げ絡んでくる。
いつものシャキッとした感じはいったいどこに行ってしまったんだろうか。
「むりですよ~。この冬の楽しみが何処かに行っちゃったんですから。」
「どういうことだ?」
「感謝祭の日に歌姫・・・えっと、オリガだっけ?ともかくその子が来るって話だったじゃない?だけど、突然行方不明になったとかで見合わせることになったのよ。それを聞いてからずっとこんな調子で、まったくしっかりしてほしいわ。」
「ほら、嫁もこう言ってるぞ。」
「私がどれだけ楽しみにしていたか知ってるじゃないですか~。はぁ、もう今年は仕事したくありません。」
ニアが横にいてもこの調子、よっぽどショックだったんだろう。
俺からしてみればチケットの持ち込みも全くなく転売も失敗に終わったので、ぶっちゃけどうでもいいといえばどうでもいいんだが本人のダメージは思っている以上に深刻のようだ。
この情報を開示すれば同じような状態になる人が多数出る事は容易に想像できる。
それでもいきなり中止っていうよりも前々からわかっていた方が面倒は少ないと思うんだが・・・って、もしかしてこの為だけに呼ばれたのか?
「ニア、俺はこのためだけに呼ばれたとかそんなわけないよな?」
「あー、うん。本当はもっと大変な情報が入って来たんだけど、この調子で。」
「おいしっかりしろ、メインはなんだメインは。」
「西方で戦争が始まったって事よりもオリガがいなくなったことの方が大事ですって。」
「は?」
「だから、西方が・・・。」
「そっちの方が大問題じゃねぇか。」
何が歌姫がいなくなっただよ。
戦争が始まったんだぞ戦争が・・・って、まぁ俺達からしてみれば縁遠い話だけどさぁ。
戦地になるのは西方寄りのこの街からかなり離れた所、そりゃあある程度の影響はあるかもしれないが実害がないという意味では直接影響のある歌姫の行方不明の方がインパクトが強いのかもしれないが、金儲けをしている俺としては何かしらの影響が出てくるだろう。
徴兵制があるって話は聞いた事無いが今後その辺も問題になってくるのかもしれない。
それよりも影響があるのはこの前から勘案していた食糧問題。
一応ある程度の道筋は羊男と一緒に立てていたが、それが現実になってしまったようだ。
「冒険者ギルドはどうするんだ?」
「今の所なにも。装備品なんかはもっていかれたけど、冒険者が戦地に送られるわけじゃないから。」
「そうなのか?」
「戦うのは騎士団の仕事だし、噂話だけどそこまで大きな戦いにはならないんじゃないかしら。ほら、ディーネちゃんの他にガルグリンダム様もいるわけだし。いくら西方国とはえ、古龍二頭がいるとわかってむやみに突っ込んでくることは無いと思うわよ。」
確かにダンジョンのような閉所と違って、どこにでも飛んでいける屋外でドラゴンと戦うのは非常に難しい。
いくら魔法があるとはいえ射程はあるし、ディーネだってわざわざ近づいて攻撃することはしないだろう。
ドラゴンの炎は遠くからでも相手を燃やし尽くせるだけの力を持つ。
それを使われるとわかって突っ込んでくることは無いというのがニアの見立てだが・・・。
そうなるとわかっていて開戦なんてするだろうか。
「つまり俺達にはあまり影響はないわけか。」
「前に言っていた食糧価格の高騰ぐらいじゃないかしら。それもまた冒険者に頑張ってもらえば何とかなるわよ。シロウさんの買い付けた小麦もあるしね。」
「悪いがあれは街の為に使うんじゃないんだぞ?」
「そうなの?」
「なんていうか保険だな、もしもの時の。」
小麦粉は間違いなく高騰する。
それを見越して仕入れたわけだが、別に街の備蓄を増やすためじゃない。
そっちに関しては羊男が貴族や俺達から別の金をふんだくって・・・じゃなかった、寄付を募って買い付けていたはずだ。
通常の備蓄で冬は越せるし追加の分で夏ぐらいまでは何とかなるだろう。
後は米もあるし、いざとなったらそれを仕入れれば何とかなる。
小麦と違ってそこまで値動きが激しくないから遅れて仕入れても大丈夫だろうし清酒用の米はもうジョウジさんの所に運んであるのでそっち関係でも問題は起きないはず。
あくまでもはず、だけどな。
「とりあえず歌姫が来ないのは残念だが、別に感謝祭が無くなったわけじゃない。別に盛り上げるネタを考えればいいだけだろう。戦争が始まったって感謝祭は来るわけだしな。」
「シロウさんが何か面白いの考えてくれるから大丈夫よ。だから元気出しなさいって。」
「うぅ、オリガが来る以上の楽しみをシロウさんが与えてくれると?」
感謝祭にかかる費用は基本街持ち、確かに俺主導で動けばその分利益は上がるしみんなも喜んでくれるだろう。
だが、その為には知恵を絞らなければいけないわけで。
今回も年越しうどんは出店するつもりでいるけれど、それ以外のネタは正直何も考えていない。
オークションへの出店だってあるしこう見えて中々忙しいんだが?
その上歌姫よりもすごい催しを考えろとか・・・。
感謝祭まであと二ヶ月弱。
こんな事ならそのいなくなったとかいう歌姫を探した方が早いんじゃないだろうか。
「その歌姫がいなくなったってのは本当の事なのか?噂とかじゃないのか?」
「ほぼ真実っていうレベルの噂です。でもマイクさんが行方を捜しているのは事実ですし、正式な発表も時間の問題かと。」
「人気絶頂だったんだろ?なんでいなくなったんだよ。」
「なんでも、気に入っていたアクセサリーを直そうと思ったら新しいのを買い与えるっていう話になって揉めたとか。ほら、歌姫が身に着けるってだけで売れるじゃないですか。それ関係で何かあったんじゃないかっていうのがもっぱらの噂です。」
「こういう話題になると元気になるんだな、好きなのか?」
「普段真面目に仕事してるので、こういう話でそういうのを忘れないとやってられないんですよ。」
気持ちはわかるがゴシップに踊らされるのはどうかと思うぞ。
兎にも角にも現時点では噂止まり。
でもそれが正式に公表されれば間違いなく揉めるだろうなぁ。
チケット抽選とかでかなりもめたって話だし。
俺達は優先配布だったからそうでもなかったが、どの世界でもチケット争奪戦は熾烈のようだ。
冬が始まって五日目。
この冬はいつもと違う冬になる、そう確信するのだった。
この前出したたこ焼きは冒険者の多大なる支持を受け、畑から場所を変え拡張工事現場の傍に常設の店を構えることになった。
もちろん俺が営業するわけにもいかないのでこの冬の間はうちから材料を買い付けるという条件付きで、立候補してくれた冒険者に譲ることになった。
因みに昨日鉄板を売り出していた店主から在庫をすべて買い付けておいたので、事業を拡大したいという申し出にも応じることが出来る。
鉄板も消耗するものだし、誰かが別の土地で頑張るというのならば応援しないこともない。
というか、俺がやるだけの時間がないって言うのもある。
仕入れ方にもよるが原価は大体銅貨3枚ほど。
銅貨10枚でも飛ぶように売れていたので、20人前作れば儲けは銀貨1枚を超える。
初日の売上はゆうに100人前を超えていたのでそれだけでも銀貨5枚。
それを一か月やればなんと金貨1.5枚も稼げるわけだ。
気になるところは小麦の値上がりではあるのだが、まぁそれでも原価率が5割を超える事はないはず、なんせ水と小麦がメインだしな。
「たこ焼き屋、大盛況みたいだけど本当にいいの?」
「そりゃ儲けは出るだろうが、毎日毎日クルクルクルクル回すなら別の事で同じだけ稼いだ方が性に合ってる。そういやさっきルティエが来ていたみたいだが、何の用事だったんだ?」
「ガーネットが必要になったから、残ってたのを買って行ったわ。」
「ガーネットを?なんでまた。」
「さっきその場にいたんだけどね、どうしても直したいっていう女の子が来てたのよ。」
ガーネットルージュに関しては現在生産を中止して、職人たちは王都の宝石商と一緒に新作を鋭意制作中のはず。
在庫はこの間全て売りつくしたはずだから、よっぽど切羽詰まった依頼だったんだろうな。
それを受ける受けないはルティエの自由だし、うちからすれば残ってたガーネットが売れるだけで万々歳だ。
「アレ一つの為にわざわざって感じはしたんだけど、すっごく真剣でそれで受けたみたい。この辺りじゃ見かけない子だったしわざわざ遠くから来たのかも。」
「わざわざ客の顔まで確認したのか。」
「中々可愛い子だったわよ、声も綺麗だったし。」
「ふ~ん。」
「興味なさそうね。」
「生憎ともういっぱいいっぱいなんでね。」
こんなにも大勢の女性に囲まれて、それで更になんて贅沢にもほどがある。
俺の目の届く範囲だけで十分だっての。
「ふふ、知ってた。」
「嬉しそうだな。」
「そりゃあね。って思い出した!さっきシープさんが探してたわよ。」
「またかよ。昨日無理矢理ポリプスを食べさせたのまだ怒ってるのか?」
「そんなんじゃないと思うけど、すっごく落ち込んでる感じだったし。」
あの男が落ち込むとかよっぽどの状況じゃないか。
何か用事があれば昨日のうちに連絡してくるだろうから、今日起きた余程の厄介事だと思われる。
はぁ、マジでめんどくさい。
呼び出しを無視する事も出来るのだが、小麦の件でかなり世話になったのでそれを無下にするわけにもいかないんだよなぁ。
突然届いた大量の小麦。
自前の倉庫にも詰め込むだけ詰め込んだのだが、それでもかなりの量が行き場を失っていた。
放置するわけにもいかずどうしたもんかと悩んでいると、ポリプスをほじくり出しながら最高の提案をしてくれたわけだ。
『工事中の下水道に収納したらどうか』
確かに工事中ならば不衛生でもないし、地下なら温度も一定で更には雪を詰め込んでおけば良い感じに冷えてくれる上に虫や小動物に食べられなくて済む。
ちょうど一区画工事が終わったと言っていたので、有難くそこを借りる事にした。
利用料は月額銀貨50枚と中々に高額だが、廃棄することを考えれば致し方ない。
北街道が動くようになれば廃鉱山に運び込めるし、長期で借りる事もないだろう。
そんな借りもあるので致し方なくギルド協会まで足を運んだわけだが・・・。
「なんだこの重苦しい雰囲気は。」
「シロウさ~ん、きいてくださいよ~。」
「酔っ払いかよ、シャキッとしろシャキッと。」
部屋に入るとなんとも暗い顔をした羊男がよろよろと顔を上げ絡んでくる。
いつものシャキッとした感じはいったいどこに行ってしまったんだろうか。
「むりですよ~。この冬の楽しみが何処かに行っちゃったんですから。」
「どういうことだ?」
「感謝祭の日に歌姫・・・えっと、オリガだっけ?ともかくその子が来るって話だったじゃない?だけど、突然行方不明になったとかで見合わせることになったのよ。それを聞いてからずっとこんな調子で、まったくしっかりしてほしいわ。」
「ほら、嫁もこう言ってるぞ。」
「私がどれだけ楽しみにしていたか知ってるじゃないですか~。はぁ、もう今年は仕事したくありません。」
ニアが横にいてもこの調子、よっぽどショックだったんだろう。
俺からしてみればチケットの持ち込みも全くなく転売も失敗に終わったので、ぶっちゃけどうでもいいといえばどうでもいいんだが本人のダメージは思っている以上に深刻のようだ。
この情報を開示すれば同じような状態になる人が多数出る事は容易に想像できる。
それでもいきなり中止っていうよりも前々からわかっていた方が面倒は少ないと思うんだが・・・って、もしかしてこの為だけに呼ばれたのか?
「ニア、俺はこのためだけに呼ばれたとかそんなわけないよな?」
「あー、うん。本当はもっと大変な情報が入って来たんだけど、この調子で。」
「おいしっかりしろ、メインはなんだメインは。」
「西方で戦争が始まったって事よりもオリガがいなくなったことの方が大事ですって。」
「は?」
「だから、西方が・・・。」
「そっちの方が大問題じゃねぇか。」
何が歌姫がいなくなっただよ。
戦争が始まったんだぞ戦争が・・・って、まぁ俺達からしてみれば縁遠い話だけどさぁ。
戦地になるのは西方寄りのこの街からかなり離れた所、そりゃあある程度の影響はあるかもしれないが実害がないという意味では直接影響のある歌姫の行方不明の方がインパクトが強いのかもしれないが、金儲けをしている俺としては何かしらの影響が出てくるだろう。
徴兵制があるって話は聞いた事無いが今後その辺も問題になってくるのかもしれない。
それよりも影響があるのはこの前から勘案していた食糧問題。
一応ある程度の道筋は羊男と一緒に立てていたが、それが現実になってしまったようだ。
「冒険者ギルドはどうするんだ?」
「今の所なにも。装備品なんかはもっていかれたけど、冒険者が戦地に送られるわけじゃないから。」
「そうなのか?」
「戦うのは騎士団の仕事だし、噂話だけどそこまで大きな戦いにはならないんじゃないかしら。ほら、ディーネちゃんの他にガルグリンダム様もいるわけだし。いくら西方国とはえ、古龍二頭がいるとわかってむやみに突っ込んでくることは無いと思うわよ。」
確かにダンジョンのような閉所と違って、どこにでも飛んでいける屋外でドラゴンと戦うのは非常に難しい。
いくら魔法があるとはいえ射程はあるし、ディーネだってわざわざ近づいて攻撃することはしないだろう。
ドラゴンの炎は遠くからでも相手を燃やし尽くせるだけの力を持つ。
それを使われるとわかって突っ込んでくることは無いというのがニアの見立てだが・・・。
そうなるとわかっていて開戦なんてするだろうか。
「つまり俺達にはあまり影響はないわけか。」
「前に言っていた食糧価格の高騰ぐらいじゃないかしら。それもまた冒険者に頑張ってもらえば何とかなるわよ。シロウさんの買い付けた小麦もあるしね。」
「悪いがあれは街の為に使うんじゃないんだぞ?」
「そうなの?」
「なんていうか保険だな、もしもの時の。」
小麦粉は間違いなく高騰する。
それを見越して仕入れたわけだが、別に街の備蓄を増やすためじゃない。
そっちに関しては羊男が貴族や俺達から別の金をふんだくって・・・じゃなかった、寄付を募って買い付けていたはずだ。
通常の備蓄で冬は越せるし追加の分で夏ぐらいまでは何とかなるだろう。
後は米もあるし、いざとなったらそれを仕入れれば何とかなる。
小麦と違ってそこまで値動きが激しくないから遅れて仕入れても大丈夫だろうし清酒用の米はもうジョウジさんの所に運んであるのでそっち関係でも問題は起きないはず。
あくまでもはず、だけどな。
「とりあえず歌姫が来ないのは残念だが、別に感謝祭が無くなったわけじゃない。別に盛り上げるネタを考えればいいだけだろう。戦争が始まったって感謝祭は来るわけだしな。」
「シロウさんが何か面白いの考えてくれるから大丈夫よ。だから元気出しなさいって。」
「うぅ、オリガが来る以上の楽しみをシロウさんが与えてくれると?」
感謝祭にかかる費用は基本街持ち、確かに俺主導で動けばその分利益は上がるしみんなも喜んでくれるだろう。
だが、その為には知恵を絞らなければいけないわけで。
今回も年越しうどんは出店するつもりでいるけれど、それ以外のネタは正直何も考えていない。
オークションへの出店だってあるしこう見えて中々忙しいんだが?
その上歌姫よりもすごい催しを考えろとか・・・。
感謝祭まであと二ヶ月弱。
こんな事ならそのいなくなったとかいう歌姫を探した方が早いんじゃないだろうか。
「その歌姫がいなくなったってのは本当の事なのか?噂とかじゃないのか?」
「ほぼ真実っていうレベルの噂です。でもマイクさんが行方を捜しているのは事実ですし、正式な発表も時間の問題かと。」
「人気絶頂だったんだろ?なんでいなくなったんだよ。」
「なんでも、気に入っていたアクセサリーを直そうと思ったら新しいのを買い与えるっていう話になって揉めたとか。ほら、歌姫が身に着けるってだけで売れるじゃないですか。それ関係で何かあったんじゃないかっていうのがもっぱらの噂です。」
「こういう話題になると元気になるんだな、好きなのか?」
「普段真面目に仕事してるので、こういう話でそういうのを忘れないとやってられないんですよ。」
気持ちはわかるがゴシップに踊らされるのはどうかと思うぞ。
兎にも角にも現時点では噂止まり。
でもそれが正式に公表されれば間違いなく揉めるだろうなぁ。
チケット抽選とかでかなりもめたって話だし。
俺達は優先配布だったからそうでもなかったが、どの世界でもチケット争奪戦は熾烈のようだ。
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