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1012.転売屋は追いかけられる
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大通りを抜けわき道に入る前にあたりを確認。
右良し、左良し。
前・・・。
「見つけました!」
大きな声と共に進もうとしたわき道から会いたくなかった人物が姿を現す。
その足元には自慢げな顔をするグレイウルフが一匹。
狼っていうかイヌ科って全体的に表情豊かだよな。
喜怒哀楽が人並みにはっきりしているというか、耳と尻尾が特にそれをあらわしているというか。
ともかくこの自慢げな相棒のおかげで今日も彼女は俺を探し出したというわけだ。
「何度来ても言うことは同じだ、俺は特別な何かをしているって訳じゃない。いい加減諦めたらどうだ?」
「お師匠様の弟子にしてもらえるまで諦めません!」
「いや、師匠じゃないし。」
「でもグレイウルフもカニバフラワーもワイバーンだって使役しているじゃないですか、立派なテイマーですよ!」
「生憎と俺はそれを生業にしていない。俺はただの買取屋でそれ以上でもそれ以下でもない。」
何度このやり取りをしてきただろうか。
いい加減飽き飽きしてきたのだが、本人はいたって真剣なんだよなぁ。
適当にあしらっても諦めない根性は中々のものだが、こっちとしてはいい迷惑だ。
唯一の救いは仕事の邪魔をしない程度の分別はあることだが、いい加減どこかに行って欲しいと思っている自分もいる。
「そうかもしれませんけど、私はそうは思いません。」
「ともかく俺が教えることは何も無い。いい加減相棒を大事にしたらどうだ?」
「ランダを?」
「こんな事に使われてかわいそうだと思わないのか?もっとこう、他にも活躍する場はあるだろう。というかその為にこの街に来たんだよな?」
「それはそうですけど・・・。」
「ともかく何かを教えて欲しいなら自分の師匠にでも聞けばいい、俺に教えられることは何も無い。以上だ。」
そう言い切ってヘルミーナの肩に手を乗せ、少し強引に横を通り抜ける。
相棒(ランダ)がじっと俺のほうを見たが危害を加えるわけではないと分かっているのか、唸ることもせず静かに横を通してくれた。
やれやれ、とりあえず今日はこれで大人しくなるだろう。
わき道を抜け城壁沿いに出てそのまま城門へ、そこを抜ければいつものように畑に到着だ。
「おはようルフ、レイ。」
「わふ!」
ブンブン。
レイは元気よく返事をして、ルフは俺の顔を見てから静かに尻尾を振る。
残暑の厳しい日が続くが、日陰は今まで以上に過ごしやすくなってきた。
秋はもうすぐそこまで来ている。
「あれ、アニエスさん何でここに?」
「これはシロウ様。今アグリ様に畑の収穫量について問い合わせをしていたところです。中々の量ですから畑に税金をかけることになりまして、具体的に調査をはじめることになりました。」
「あー、どう考えても個人消費のレベルを超えているからな。貸し畑はどうなんだ?」
「あちらは個人使用ですので問題ありません。おや、今日は彼女の姿がありませんね。」
そう言って俺の後ろのほうに視線を向ける。
探しているのは間違いなく彼女だが、何でそんなに気になるんだろうか。
「ヘルミーナならさっき裏路地で会ったぞ。今日もしつこく懇願されたところだ。」
「我慢強いのはいいことです。」
「そうか?」
「はい。いい主人だと彼が言っていました。」
狼人族の中でもその血が特に濃いアニエスさんは、彼らの言葉をなんとなくだが理解できる。
恐らくはどこかで会った時にコンタクトを取ったんだろう。
「その言葉を彼女に伝えてもらえると少しは自信がつきそうなものだが、一体何を目指しているんだ?」
「シロウ様のようなワイバーンを使役する調教師(テイマー)でしょう。」
「いや、だから俺は従えているわけじゃないんだって。」
「もちろん存じています。皆シロウ様を慕い、信頼しているからこそ今の関係が成立しているのです。とはいえ、それを他人が出来るかと言えば別問題。ならば私にいい考えがあるのですが・・・。」
そう言いながらアニエスさんは少しだけ意地悪な顔でニヤリと笑った。
「本当にこれが出来たら弟子にしてくれるんですか!?」
「弟子って言うか近くを歩くことを許可しよう。俺がどういう風に接しているかを見れば何か分かるかもしれないだろ?」
「ありがとうございます!正直に言うと、お師匠様に嫌われているんだろうなと思っていたのでとってもうれしいです!ランダ、頑張ろうね!」
「ウォフ!」
ダンジョンの最上層。
冒険者が少しずつ戻りつつあるその一角にヘルミーナの元気な声が響き渡る。
その横には完全装備に身を固めたアニエスさんの姿があった。
「引率は私がしましょう。今回の標的は中層の森に生息するフォレストディヒーア、気配を消すのが非常にうまく気づかずに襲われる危険もある魔物ですがその小さな角は薬効成分が高く高値で取引されています。人では感じにくい気配もウルフであれば問題なく察知できるはず、彼を上手く使役できることが証明できればシロウ様も認めてくださるはずです。」
「頑張ります!」
「俺は休憩所で洗濯ばさみの仕分けをしてるから戻ったら声をかけてくれ。くれぐれも死ぬなよ。」
「気をつけます。」
死ぬ。
その言葉を聴いた途端に表情が険しくなったが、大丈夫という感じで彼(ランダ)がヘルミーナの足に頭をぶつけた。
すぐに我に返り彼の頭を撫でて返事をする。
隷属の首輪はつけているものの、十分に意思疎通出来ていそうなもんだがなぁ。
ひとまず休憩所まで移動してから奥へと進む彼女達を見送る。
アニエスさんが一緒だから大丈夫だとは思うが、本当にうまくいくんだろうか。
『テイマーとしての自覚を持たせる為には、危機的な状況でお互いに連携することが大切』そうアニエスさんは考え、それにぴったりの魔物としてフォレストディヒーアが選ばれた。
全身が緑色のコケで覆われており気配を消すのが上手い為、気づかずに近づいた冒険者が何人も怪我をさせられている危険な魔物。
角が薬に使えるので常に討伐依頼が出ているのだが、魔物の性質上あまり好んで狩られていないのが実情だ。
コケのついた皮なんかもそれなりの値段で取引されているので、狩ってきてもらえれば非常に身入りのいい魔物といえるだろう。
人間には察知できない気配も、魔獣であれば敏感に感じ取ることが出来る。
そういう意味ではまさにテイマーにうってつけの魔物といえるかもしれないな。
そんな事を考えながら待つこと二時間。
持ち込まれる数は少なくなったものの、まだまだ大量に発生している靴底カニのハサミをへし折っていると、通路の奥からフラフラとした足取りでヘルミーナとランダが戻ってきた。
そして俺の顔を見るなりその場にへたり込んでしまう。
「おい、大丈夫か?」
「あ、あはは。安心したら腰が抜けちゃいました。」
幸い怪我をしている様子はどちらにも無いが、体中についた葉っぱや枝などが命からがら逃げてきたのを物語っている。
どうやら狩りに失敗したようだ。
ヘルミーナの腕を引っ張ってやるも立ち上がることが出来ず、心配そうに彼が身を寄せる。
「その様子じゃ逃げてきたって感じだな。」
「・・・はい。」
「アニエスさんの話じゃテイマーなら何とかなるか持って話だったが、そう甘くは無かったか。」
「私が悪いんです、私がランダを信じてあげられなかったから・・・。」
「その通りです。」
へたり込んだままうつむくヘルミーナの後ろから、血まみれのアニエスさんがやってきた。
その肩には巨大な緑色の鹿が背負われている。
どうみても体重100kgは超えていそうな巨体、それを一人で背負って帰ってくるあたり規格外だよなぁ、やっぱり。
「アニエスさん無事だったか。」
「お蔭様でこの通り獲物を確保することは出来ました。しかしながら彼女達では狩ることはおろかかろうじて察知できる程度。この分ではシロウ様に師事する等夢のまた夢、まずは彼の声を聞き彼を信頼することからはじめなさい。」
「・・・はい。」
「とはいえ、このディヒーアを察知したのは他でもないランダの功績。この角はその功績に見合う報酬としてお渡ししましょう。残りは私が頂戴します、構いませんね?」
「本当にありがとうございました。」
「自分の実力、そして弱さを知るいいきっかけになったでしょう。そんな貴女を見捨てることなく彼は傍にいることを選んだのです。そのことをよく考えなさい。」
何が起きたのかは現場にいなかったので分からないが、狩りに失敗してアニエスさんに助けられたのは間違いないようだ。
手に入れたのはフォレストディヒーアの短角が二本。
一本あたり銀貨5枚で取引されているそうなので大収穫といえば大収穫だが、それと引き換えに失ったものは大きそうだな。
「で、それは俺が買い取ればいいんだな?」
「宜しくお願いします。」
「立派なディヒーアだな、いい肉が食えそうだ。」
「お肉だけでなく肝も中々のものです。食べれば体中から力がわきあがり、夜も寝ないで過ごせるのだとか。今回の報酬としてもちろんお付き合いいただけますね?」
まさかそれが狙いだったのか?
俺としてはヘルミーナが落ち着いてくれればそれはそれで助かるのだが、どうやらアニエスさんの目的は別にあったようだ。
最近シャルロットを見るときの目が前と違ってきたんだよなぁ。
前はなんていうか可愛さが勝っていた感じだが、最近ではうらやましくて仕方が無いようだ。
狼人族は強いオスの子を欲すると聞いているのだが、何故アニエスさんがそこまで俺に固執するのかが分からない。
力でもなんでも勝てる気がしないんだが。
「お手柔らかに頼むぞ。」
「ご心配には及びません、シロウ様は私に身を任せてくだされば結構です。さぁ早速バラしてしまいましょう。」
敗北を味わいうつむくヘルミーナのすぐ近くで、いろんな意味で目を輝かせディヒーアを解体し始めるアニエスさん。
世の中弱肉強食、弱い者は食われ強い者は生き残る。
その次の日からヘルミーナの襲撃はなくなり、全身筋肉痛と引き換えにひとまず平穏な日々が戻ってきたのだった。
右良し、左良し。
前・・・。
「見つけました!」
大きな声と共に進もうとしたわき道から会いたくなかった人物が姿を現す。
その足元には自慢げな顔をするグレイウルフが一匹。
狼っていうかイヌ科って全体的に表情豊かだよな。
喜怒哀楽が人並みにはっきりしているというか、耳と尻尾が特にそれをあらわしているというか。
ともかくこの自慢げな相棒のおかげで今日も彼女は俺を探し出したというわけだ。
「何度来ても言うことは同じだ、俺は特別な何かをしているって訳じゃない。いい加減諦めたらどうだ?」
「お師匠様の弟子にしてもらえるまで諦めません!」
「いや、師匠じゃないし。」
「でもグレイウルフもカニバフラワーもワイバーンだって使役しているじゃないですか、立派なテイマーですよ!」
「生憎と俺はそれを生業にしていない。俺はただの買取屋でそれ以上でもそれ以下でもない。」
何度このやり取りをしてきただろうか。
いい加減飽き飽きしてきたのだが、本人はいたって真剣なんだよなぁ。
適当にあしらっても諦めない根性は中々のものだが、こっちとしてはいい迷惑だ。
唯一の救いは仕事の邪魔をしない程度の分別はあることだが、いい加減どこかに行って欲しいと思っている自分もいる。
「そうかもしれませんけど、私はそうは思いません。」
「ともかく俺が教えることは何も無い。いい加減相棒を大事にしたらどうだ?」
「ランダを?」
「こんな事に使われてかわいそうだと思わないのか?もっとこう、他にも活躍する場はあるだろう。というかその為にこの街に来たんだよな?」
「それはそうですけど・・・。」
「ともかく何かを教えて欲しいなら自分の師匠にでも聞けばいい、俺に教えられることは何も無い。以上だ。」
そう言い切ってヘルミーナの肩に手を乗せ、少し強引に横を通り抜ける。
相棒(ランダ)がじっと俺のほうを見たが危害を加えるわけではないと分かっているのか、唸ることもせず静かに横を通してくれた。
やれやれ、とりあえず今日はこれで大人しくなるだろう。
わき道を抜け城壁沿いに出てそのまま城門へ、そこを抜ければいつものように畑に到着だ。
「おはようルフ、レイ。」
「わふ!」
ブンブン。
レイは元気よく返事をして、ルフは俺の顔を見てから静かに尻尾を振る。
残暑の厳しい日が続くが、日陰は今まで以上に過ごしやすくなってきた。
秋はもうすぐそこまで来ている。
「あれ、アニエスさん何でここに?」
「これはシロウ様。今アグリ様に畑の収穫量について問い合わせをしていたところです。中々の量ですから畑に税金をかけることになりまして、具体的に調査をはじめることになりました。」
「あー、どう考えても個人消費のレベルを超えているからな。貸し畑はどうなんだ?」
「あちらは個人使用ですので問題ありません。おや、今日は彼女の姿がありませんね。」
そう言って俺の後ろのほうに視線を向ける。
探しているのは間違いなく彼女だが、何でそんなに気になるんだろうか。
「ヘルミーナならさっき裏路地で会ったぞ。今日もしつこく懇願されたところだ。」
「我慢強いのはいいことです。」
「そうか?」
「はい。いい主人だと彼が言っていました。」
狼人族の中でもその血が特に濃いアニエスさんは、彼らの言葉をなんとなくだが理解できる。
恐らくはどこかで会った時にコンタクトを取ったんだろう。
「その言葉を彼女に伝えてもらえると少しは自信がつきそうなものだが、一体何を目指しているんだ?」
「シロウ様のようなワイバーンを使役する調教師(テイマー)でしょう。」
「いや、だから俺は従えているわけじゃないんだって。」
「もちろん存じています。皆シロウ様を慕い、信頼しているからこそ今の関係が成立しているのです。とはいえ、それを他人が出来るかと言えば別問題。ならば私にいい考えがあるのですが・・・。」
そう言いながらアニエスさんは少しだけ意地悪な顔でニヤリと笑った。
「本当にこれが出来たら弟子にしてくれるんですか!?」
「弟子って言うか近くを歩くことを許可しよう。俺がどういう風に接しているかを見れば何か分かるかもしれないだろ?」
「ありがとうございます!正直に言うと、お師匠様に嫌われているんだろうなと思っていたのでとってもうれしいです!ランダ、頑張ろうね!」
「ウォフ!」
ダンジョンの最上層。
冒険者が少しずつ戻りつつあるその一角にヘルミーナの元気な声が響き渡る。
その横には完全装備に身を固めたアニエスさんの姿があった。
「引率は私がしましょう。今回の標的は中層の森に生息するフォレストディヒーア、気配を消すのが非常にうまく気づかずに襲われる危険もある魔物ですがその小さな角は薬効成分が高く高値で取引されています。人では感じにくい気配もウルフであれば問題なく察知できるはず、彼を上手く使役できることが証明できればシロウ様も認めてくださるはずです。」
「頑張ります!」
「俺は休憩所で洗濯ばさみの仕分けをしてるから戻ったら声をかけてくれ。くれぐれも死ぬなよ。」
「気をつけます。」
死ぬ。
その言葉を聴いた途端に表情が険しくなったが、大丈夫という感じで彼(ランダ)がヘルミーナの足に頭をぶつけた。
すぐに我に返り彼の頭を撫でて返事をする。
隷属の首輪はつけているものの、十分に意思疎通出来ていそうなもんだがなぁ。
ひとまず休憩所まで移動してから奥へと進む彼女達を見送る。
アニエスさんが一緒だから大丈夫だとは思うが、本当にうまくいくんだろうか。
『テイマーとしての自覚を持たせる為には、危機的な状況でお互いに連携することが大切』そうアニエスさんは考え、それにぴったりの魔物としてフォレストディヒーアが選ばれた。
全身が緑色のコケで覆われており気配を消すのが上手い為、気づかずに近づいた冒険者が何人も怪我をさせられている危険な魔物。
角が薬に使えるので常に討伐依頼が出ているのだが、魔物の性質上あまり好んで狩られていないのが実情だ。
コケのついた皮なんかもそれなりの値段で取引されているので、狩ってきてもらえれば非常に身入りのいい魔物といえるだろう。
人間には察知できない気配も、魔獣であれば敏感に感じ取ることが出来る。
そういう意味ではまさにテイマーにうってつけの魔物といえるかもしれないな。
そんな事を考えながら待つこと二時間。
持ち込まれる数は少なくなったものの、まだまだ大量に発生している靴底カニのハサミをへし折っていると、通路の奥からフラフラとした足取りでヘルミーナとランダが戻ってきた。
そして俺の顔を見るなりその場にへたり込んでしまう。
「おい、大丈夫か?」
「あ、あはは。安心したら腰が抜けちゃいました。」
幸い怪我をしている様子はどちらにも無いが、体中についた葉っぱや枝などが命からがら逃げてきたのを物語っている。
どうやら狩りに失敗したようだ。
ヘルミーナの腕を引っ張ってやるも立ち上がることが出来ず、心配そうに彼が身を寄せる。
「その様子じゃ逃げてきたって感じだな。」
「・・・はい。」
「アニエスさんの話じゃテイマーなら何とかなるか持って話だったが、そう甘くは無かったか。」
「私が悪いんです、私がランダを信じてあげられなかったから・・・。」
「その通りです。」
へたり込んだままうつむくヘルミーナの後ろから、血まみれのアニエスさんがやってきた。
その肩には巨大な緑色の鹿が背負われている。
どうみても体重100kgは超えていそうな巨体、それを一人で背負って帰ってくるあたり規格外だよなぁ、やっぱり。
「アニエスさん無事だったか。」
「お蔭様でこの通り獲物を確保することは出来ました。しかしながら彼女達では狩ることはおろかかろうじて察知できる程度。この分ではシロウ様に師事する等夢のまた夢、まずは彼の声を聞き彼を信頼することからはじめなさい。」
「・・・はい。」
「とはいえ、このディヒーアを察知したのは他でもないランダの功績。この角はその功績に見合う報酬としてお渡ししましょう。残りは私が頂戴します、構いませんね?」
「本当にありがとうございました。」
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何が起きたのかは現場にいなかったので分からないが、狩りに失敗してアニエスさんに助けられたのは間違いないようだ。
手に入れたのはフォレストディヒーアの短角が二本。
一本あたり銀貨5枚で取引されているそうなので大収穫といえば大収穫だが、それと引き換えに失ったものは大きそうだな。
「で、それは俺が買い取ればいいんだな?」
「宜しくお願いします。」
「立派なディヒーアだな、いい肉が食えそうだ。」
「お肉だけでなく肝も中々のものです。食べれば体中から力がわきあがり、夜も寝ないで過ごせるのだとか。今回の報酬としてもちろんお付き合いいただけますね?」
まさかそれが狙いだったのか?
俺としてはヘルミーナが落ち着いてくれればそれはそれで助かるのだが、どうやらアニエスさんの目的は別にあったようだ。
最近シャルロットを見るときの目が前と違ってきたんだよなぁ。
前はなんていうか可愛さが勝っていた感じだが、最近ではうらやましくて仕方が無いようだ。
狼人族は強いオスの子を欲すると聞いているのだが、何故アニエスさんがそこまで俺に固執するのかが分からない。
力でもなんでも勝てる気がしないんだが。
「お手柔らかに頼むぞ。」
「ご心配には及びません、シロウ様は私に身を任せてくだされば結構です。さぁ早速バラしてしまいましょう。」
敗北を味わいうつむくヘルミーナのすぐ近くで、いろんな意味で目を輝かせディヒーアを解体し始めるアニエスさん。
世の中弱肉強食、弱い者は食われ強い者は生き残る。
その次の日からヘルミーナの襲撃はなくなり、全身筋肉痛と引き換えにひとまず平穏な日々が戻ってきたのだった。
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