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989.転売屋はグミを噛む
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「うーむ。」
「どうしました?」
「いや、何でもない。」
「その顔でそれを言うのはちょっと無理がありませんか?」
仕事の打ち合わせ中、どうしても気になってしまい注意散漫になっていたのだが参加者にはバレていたようだ。
そもそも俺自身で解決しなければならない問題だけに、誰かの助力を頼むとかそういう話ではないのだが、言わなければならないのだろうか。
「いや、そのなんだ、口さみしいだけだ。」
「飴でも舐めますか?」
「んー、そういうんじゃないんだよなぁ。何て言うか、噛みたい。かといって干し肉でもない。」
「噛まれるじゃキスしてもダメね。」
それはそれ、これはこれと言いたいところだが比較的真面目な打ち合わせだけに自重しなければ。
でもなぁ、一度意識するとなんていうか口がもごもごしてしまうんだよなぁ。
ガムみたいなものがあればいいんだが、せめてグミでもいい。
「というか、キスしながら打ち合わせはダメだろ。」
「ダメでしょうか。」
「ダメ・・・ですね、やっぱり。」
「そこまで悩む話ではないと思うんだが。とりあえず俺の事は気にせず続けてくれ、次は誰だ?」
ミラとハーシェさんが残念そうな顔をしているのをスルーして他のメンバーの顔を見る。
えーっと、発表していないのはっと。
「次は私ね。最近になってアンデットの魔物が増えてきてるってギルドに報告が上がってるの、まぁ燃やすか神聖魔法で駆除すればどうって事無いんだけど、聖水とか聖布とかの需要が増えるかもしれないからモニカちゃんにお願いしておいた方がいいかもね。」
「それはいい事を聞いた、ちょうどこの後解呪を頼みに行くところだったから一緒に頼んでおく。」
「それならついでにラックさんの所で薬の備蓄を聞いてきてくれる?アネットに言われてたのよね。」
「頼まれたなら自分で行けよな、まぁついでだからいいけどさ。」
「ごめんごめん。」
立ってるものは親でも使えっていうし、旦那ならもっと気楽に頼めるってもんだ。
薬局はすぐ隣だし旅行中の備蓄についての話もあるので一緒に終わらせてしまおう。
月初めの話し合いはこれにて終了。
19月も順調に仕事は進んでいるようなのでこのまま何もなければ安心して南方旅行に行けるってもんだ。
口さみしいのはまだ治まらないので、一度食堂に行って干し肉を回収し小さく千切ったのを噛みながら教会へ。
もちろん中に入るときには全部飲んでから入っているぞ、マナーだからな。
「モニカちゃん!シロウが来たよ!」
「こら、シロウ様でしょ!申し訳ありません、シロウ様。」
「気にするな、今日は解呪とそれが終わったらもう一つ頼みたいことがあるんだが。」
「かしこまりました、すぐ準備しますので少しお待ちください。」
教会に入るなりあまり顔に覚えのない少女に絡まれてしまった。
恐らくは新しく孤児院に入って来たか、それとも保育所の方か。
どちらにせよその子たちにも俺の顔が知れ渡っているとはちょっと意外だな。
畑に来ている連中はしょっちゅう顔を合わせているが、こっちにはあまり顔を出していないんだがなぁ。
「ねぇねぇ、シロウ様。」
「なんだ?」
「モニカちゃんといつ結婚してくれるの?」
「ん~~、それに関してはノーコメントで。」
「お母さんが言ってたよ、女の子は大人になったら結婚できるって。モニカちゃんもう大人だよ?」
「その大人にも色々あるんだよ。これでも食って向こうで遊んでな、皆で分けるんだぞ。」
中々ストレートな質問をしてくるじゃないか。
別に触れられたくない話題というわけじゃないんだが、モニカの仕事の邪魔になりそうなので用意しておいた飴玉を渡して向こうに行ってもらう。
結構持ってきたから全員分あるはずなんだが、大丈夫だろうか。
「お待たせしました。すみません、お忙しいのに。」
「仕事を頼んでいるのはこっちの方だからな、宜しく頼む。」
雑談を交わしつつ解呪を進めてもらったのだが、持ち込んだ四種類全ての解呪に成功した。
昔は一つでも大変だったのに、モニカの腕前が上がったのかそれとも信仰のなせる業か。
「ふぅ、これで全部です。」
「これが解呪料な。」
「神も感謝してるでしょう、いつもありがとうございます。それで、もう一つのお願いは何ですか?」
「ダンジョンでアンデット系の魔物が増えているらしい。悪霊があふれても困るから前みたいに聖水を備蓄しておきたいんだ。それと、聖布も。」
解呪された品が聖水で満たされた盆の中から回収され、代わりにその中に大量の銀貨を投入する。
定められた解呪料なんてものは存在しないのでこれはお布施。
なのでお礼を兼ねていつも通り大量に銀貨を入れていく。
それはもうジャバジャバと。
「こんなにたくさん頂いたんです、頑張って準備しますね。」
「悪いな。」
「子供達にお菓子までもらってますから。」
「なんだ聞こえていたのか。」
「ちょっとだけですけど。」
昔のモニカなら顔を真っ赤にして慌てていただろうけど、今のモニカはそんなそぶりすら見せず冷静に対処してる。
そういう意味でも大人になったと言えるのかもしれないな。
最近はマリーさんの所で化粧品を紹介してもらったからか、前以上に綺麗になっている。
そういやルティエとも仲がいいんだったか?
年が近いだけにそういう横の繋がりがあるのは非常に良い事だ。
「あ、まだいた!」
「ん?どうした?」
「これね、皆からお礼。飴ちゃんありがとうございました。」
「どういたしまして。ちゃんとお礼を言えて偉いな。」
「えへへ、だってお礼言わないと悪いお化けが夜に来るんだもん。」
俺も子供の時にはこうやって親に色々言われて律儀に守っていたんだろうなぁ。
別にお礼を言わなくたって悪いお化けは来ないけど、その代わりに信用という宝物はなくなっていく。
残されたのは空っぽの信用と悪魔のささやき。
そういう意味でも、お礼ってのは疎かにしてはいけないものだ。
飴玉の代わりに渡されたのはブヨブヨとした半透明の固形物。
「これは?」
「グミグミンの実を煮詰めて作ったお菓子です。保育園を利用する奥様から教えて頂いたんですが、不思議な食感で美味しいんですよ。」
「後で作り方を教えてもらえるか?」
「もちろん、喜んで。」
これがあればもう干し肉を噛まなくても良くなるかもしれない。
教会を出る前にレシピを書いた紙を貰い、急いで屋敷に・・・の前に、ちゃんと薬局で薬の在庫を聞くことも忘れない。
頼まれた仕事をちゃんとやらないと、後でどうせ行かされるしな。
『グミグミンの実。北方の森に自生する果実。噛むと弾力があり、嚙み潰すと微かに甘い果汁が溢れて来る。砂糖と共に煮詰めて弾力のあるお菓子に加工されることが多い。最近の平均取引価格は銅貨10枚。最安値銅貨7枚最高値銅貨15枚、最終取引日は5日前と記録されています。』
レシピがあっても材料が無いと意味がないので市場に寄ってみたのだが、ごく普通に並べられていたのに驚いた。
取引所で確認をしてみると少量ではあるが街に入ってきた形跡がある。
お菓子だけでなく料理などにも使われているようで、本当にごくありふれた食べ物のようだ。
その割に加工されたものが出回っていないのは北方から持ち込まれた素材をわざわざ加工する人がいなかったんだろう。
加工しても自分の所で消費するだけで市場に出回っていない感じ。
モニカの所に子供を預けている奥様がいたから出会えただけで、わざわざ人様に出すようなお菓子という位置づけではないのかもしれない。
それでも今の俺には非常に有難い存在。
「これがグミグミンのお菓子なのね、歯ごたえが面白いわ。」
「ブヨブヨしててそれでいて噛みきると甘味が広がります、味を変えると楽しそうです。」
「これだよこれ、この感じを求めてたんだ。」
ぐにゅぐにゅというか、グミグミというか、ともかく口さみしい時にしっかりとした噛み応えを味わえるこれを求めていたんだ。
いやー作るのも簡単だし口さみしくなったら当分はこれで乗り越えられるな。
良かった良かった。
「アナタも満足そうですが、ちょっと悔しいですね。」
「わかります。これでキスの回数が減ると思うとちょっと。」
「いやいや、それはそれ、これはこれだから。」
「本当ですか?」
「なんだかんだ言ってそっちも好きよね、シロウは。」
「うるせぇ、そんなこと言うならもうしねぇぞ。」
「わー、嘘嘘冗談だってば。」
別にキス魔ってわけじゃないが、ふとそういう気分になった時に女達の唇を奪うのは支配欲も性欲も両方満たせるので個人的に気に入っている。
しかしながら、それを茶化してくるやつにしてやる義理はないので当分お預け決定だな。
「これ、味付け次第で売れますかね。」
「売れる。」
「言い切りますか。」
「口さみしいタイミングって人それぞれ絶対にあるはずなんだよ。そういう時に、サッと食べられて甘味や酸味を感じられてスッキリできるとなれば売れない理由が無い。塩分を多めにして労働者に食べてもらう手もあるし、酸味を多くして寝起きにすっきりしてもらうとか、夜に活動するときもいいかもな。」
元の世界ではグミだけでも山ほど種類があった、つまりはそれだけ需要があるという事だろう。
「口さみしい時かぁ、確かにあるかもしません。」
「アネットはそういう時どうしてるんだ?」
「薬草を噛んでます。」
「え、薬草!?」
「目覚めをよくするサップルという薬草があるんですけど、棒状なので噛み応えもあってちょうどいいんです。」
うーむ、世の中にはまだまだ知らないものがあるんだなぁ。
翌日、物は試しと3つの味で60袋程作製して売り出してみたのだが俺の予想と反してバカ売れすることは無かった。
売れるには売れたがこの勢いでこの単価では商売として成り立たない。
あくまでもオマケ程度という事なのだろう。
それよりも眠気覚ましの薬草の方が人気が高く、今度はそっちをメインに新しい菓子を考案中だ。
思い出すのはタブレット状のあのお菓子。
あれなら作っても売れる。
はずなんだけどなぁ。
「どうしました?」
「いや、何でもない。」
「その顔でそれを言うのはちょっと無理がありませんか?」
仕事の打ち合わせ中、どうしても気になってしまい注意散漫になっていたのだが参加者にはバレていたようだ。
そもそも俺自身で解決しなければならない問題だけに、誰かの助力を頼むとかそういう話ではないのだが、言わなければならないのだろうか。
「いや、そのなんだ、口さみしいだけだ。」
「飴でも舐めますか?」
「んー、そういうんじゃないんだよなぁ。何て言うか、噛みたい。かといって干し肉でもない。」
「噛まれるじゃキスしてもダメね。」
それはそれ、これはこれと言いたいところだが比較的真面目な打ち合わせだけに自重しなければ。
でもなぁ、一度意識するとなんていうか口がもごもごしてしまうんだよなぁ。
ガムみたいなものがあればいいんだが、せめてグミでもいい。
「というか、キスしながら打ち合わせはダメだろ。」
「ダメでしょうか。」
「ダメ・・・ですね、やっぱり。」
「そこまで悩む話ではないと思うんだが。とりあえず俺の事は気にせず続けてくれ、次は誰だ?」
ミラとハーシェさんが残念そうな顔をしているのをスルーして他のメンバーの顔を見る。
えーっと、発表していないのはっと。
「次は私ね。最近になってアンデットの魔物が増えてきてるってギルドに報告が上がってるの、まぁ燃やすか神聖魔法で駆除すればどうって事無いんだけど、聖水とか聖布とかの需要が増えるかもしれないからモニカちゃんにお願いしておいた方がいいかもね。」
「それはいい事を聞いた、ちょうどこの後解呪を頼みに行くところだったから一緒に頼んでおく。」
「それならついでにラックさんの所で薬の備蓄を聞いてきてくれる?アネットに言われてたのよね。」
「頼まれたなら自分で行けよな、まぁついでだからいいけどさ。」
「ごめんごめん。」
立ってるものは親でも使えっていうし、旦那ならもっと気楽に頼めるってもんだ。
薬局はすぐ隣だし旅行中の備蓄についての話もあるので一緒に終わらせてしまおう。
月初めの話し合いはこれにて終了。
19月も順調に仕事は進んでいるようなのでこのまま何もなければ安心して南方旅行に行けるってもんだ。
口さみしいのはまだ治まらないので、一度食堂に行って干し肉を回収し小さく千切ったのを噛みながら教会へ。
もちろん中に入るときには全部飲んでから入っているぞ、マナーだからな。
「モニカちゃん!シロウが来たよ!」
「こら、シロウ様でしょ!申し訳ありません、シロウ様。」
「気にするな、今日は解呪とそれが終わったらもう一つ頼みたいことがあるんだが。」
「かしこまりました、すぐ準備しますので少しお待ちください。」
教会に入るなりあまり顔に覚えのない少女に絡まれてしまった。
恐らくは新しく孤児院に入って来たか、それとも保育所の方か。
どちらにせよその子たちにも俺の顔が知れ渡っているとはちょっと意外だな。
畑に来ている連中はしょっちゅう顔を合わせているが、こっちにはあまり顔を出していないんだがなぁ。
「ねぇねぇ、シロウ様。」
「なんだ?」
「モニカちゃんといつ結婚してくれるの?」
「ん~~、それに関してはノーコメントで。」
「お母さんが言ってたよ、女の子は大人になったら結婚できるって。モニカちゃんもう大人だよ?」
「その大人にも色々あるんだよ。これでも食って向こうで遊んでな、皆で分けるんだぞ。」
中々ストレートな質問をしてくるじゃないか。
別に触れられたくない話題というわけじゃないんだが、モニカの仕事の邪魔になりそうなので用意しておいた飴玉を渡して向こうに行ってもらう。
結構持ってきたから全員分あるはずなんだが、大丈夫だろうか。
「お待たせしました。すみません、お忙しいのに。」
「仕事を頼んでいるのはこっちの方だからな、宜しく頼む。」
雑談を交わしつつ解呪を進めてもらったのだが、持ち込んだ四種類全ての解呪に成功した。
昔は一つでも大変だったのに、モニカの腕前が上がったのかそれとも信仰のなせる業か。
「ふぅ、これで全部です。」
「これが解呪料な。」
「神も感謝してるでしょう、いつもありがとうございます。それで、もう一つのお願いは何ですか?」
「ダンジョンでアンデット系の魔物が増えているらしい。悪霊があふれても困るから前みたいに聖水を備蓄しておきたいんだ。それと、聖布も。」
解呪された品が聖水で満たされた盆の中から回収され、代わりにその中に大量の銀貨を投入する。
定められた解呪料なんてものは存在しないのでこれはお布施。
なのでお礼を兼ねていつも通り大量に銀貨を入れていく。
それはもうジャバジャバと。
「こんなにたくさん頂いたんです、頑張って準備しますね。」
「悪いな。」
「子供達にお菓子までもらってますから。」
「なんだ聞こえていたのか。」
「ちょっとだけですけど。」
昔のモニカなら顔を真っ赤にして慌てていただろうけど、今のモニカはそんなそぶりすら見せず冷静に対処してる。
そういう意味でも大人になったと言えるのかもしれないな。
最近はマリーさんの所で化粧品を紹介してもらったからか、前以上に綺麗になっている。
そういやルティエとも仲がいいんだったか?
年が近いだけにそういう横の繋がりがあるのは非常に良い事だ。
「あ、まだいた!」
「ん?どうした?」
「これね、皆からお礼。飴ちゃんありがとうございました。」
「どういたしまして。ちゃんとお礼を言えて偉いな。」
「えへへ、だってお礼言わないと悪いお化けが夜に来るんだもん。」
俺も子供の時にはこうやって親に色々言われて律儀に守っていたんだろうなぁ。
別にお礼を言わなくたって悪いお化けは来ないけど、その代わりに信用という宝物はなくなっていく。
残されたのは空っぽの信用と悪魔のささやき。
そういう意味でも、お礼ってのは疎かにしてはいけないものだ。
飴玉の代わりに渡されたのはブヨブヨとした半透明の固形物。
「これは?」
「グミグミンの実を煮詰めて作ったお菓子です。保育園を利用する奥様から教えて頂いたんですが、不思議な食感で美味しいんですよ。」
「後で作り方を教えてもらえるか?」
「もちろん、喜んで。」
これがあればもう干し肉を噛まなくても良くなるかもしれない。
教会を出る前にレシピを書いた紙を貰い、急いで屋敷に・・・の前に、ちゃんと薬局で薬の在庫を聞くことも忘れない。
頼まれた仕事をちゃんとやらないと、後でどうせ行かされるしな。
『グミグミンの実。北方の森に自生する果実。噛むと弾力があり、嚙み潰すと微かに甘い果汁が溢れて来る。砂糖と共に煮詰めて弾力のあるお菓子に加工されることが多い。最近の平均取引価格は銅貨10枚。最安値銅貨7枚最高値銅貨15枚、最終取引日は5日前と記録されています。』
レシピがあっても材料が無いと意味がないので市場に寄ってみたのだが、ごく普通に並べられていたのに驚いた。
取引所で確認をしてみると少量ではあるが街に入ってきた形跡がある。
お菓子だけでなく料理などにも使われているようで、本当にごくありふれた食べ物のようだ。
その割に加工されたものが出回っていないのは北方から持ち込まれた素材をわざわざ加工する人がいなかったんだろう。
加工しても自分の所で消費するだけで市場に出回っていない感じ。
モニカの所に子供を預けている奥様がいたから出会えただけで、わざわざ人様に出すようなお菓子という位置づけではないのかもしれない。
それでも今の俺には非常に有難い存在。
「これがグミグミンのお菓子なのね、歯ごたえが面白いわ。」
「ブヨブヨしててそれでいて噛みきると甘味が広がります、味を変えると楽しそうです。」
「これだよこれ、この感じを求めてたんだ。」
ぐにゅぐにゅというか、グミグミというか、ともかく口さみしい時にしっかりとした噛み応えを味わえるこれを求めていたんだ。
いやー作るのも簡単だし口さみしくなったら当分はこれで乗り越えられるな。
良かった良かった。
「アナタも満足そうですが、ちょっと悔しいですね。」
「わかります。これでキスの回数が減ると思うとちょっと。」
「いやいや、それはそれ、これはこれだから。」
「本当ですか?」
「なんだかんだ言ってそっちも好きよね、シロウは。」
「うるせぇ、そんなこと言うならもうしねぇぞ。」
「わー、嘘嘘冗談だってば。」
別にキス魔ってわけじゃないが、ふとそういう気分になった時に女達の唇を奪うのは支配欲も性欲も両方満たせるので個人的に気に入っている。
しかしながら、それを茶化してくるやつにしてやる義理はないので当分お預け決定だな。
「これ、味付け次第で売れますかね。」
「売れる。」
「言い切りますか。」
「口さみしいタイミングって人それぞれ絶対にあるはずなんだよ。そういう時に、サッと食べられて甘味や酸味を感じられてスッキリできるとなれば売れない理由が無い。塩分を多めにして労働者に食べてもらう手もあるし、酸味を多くして寝起きにすっきりしてもらうとか、夜に活動するときもいいかもな。」
元の世界ではグミだけでも山ほど種類があった、つまりはそれだけ需要があるという事だろう。
「口さみしい時かぁ、確かにあるかもしません。」
「アネットはそういう時どうしてるんだ?」
「薬草を噛んでます。」
「え、薬草!?」
「目覚めをよくするサップルという薬草があるんですけど、棒状なので噛み応えもあってちょうどいいんです。」
うーむ、世の中にはまだまだ知らないものがあるんだなぁ。
翌日、物は試しと3つの味で60袋程作製して売り出してみたのだが俺の予想と反してバカ売れすることは無かった。
売れるには売れたがこの勢いでこの単価では商売として成り立たない。
あくまでもオマケ程度という事なのだろう。
それよりも眠気覚ましの薬草の方が人気が高く、今度はそっちをメインに新しい菓子を考案中だ。
思い出すのはタブレット状のあのお菓子。
あれなら作っても売れる。
はずなんだけどなぁ。
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