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957.転売屋は砂を探す
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「悪いな、誘っておいてこんなに遠くて。」
「そんなことないですよ!向こうからこっちに来たこと考えれば前々楽です。ねぇアニキ。」
「おで、しんどくない。むしろ、楽しみ。」
俺たち三人を乗せた馬車は静かに街道を北へと進む。
途中一泊して今日で二日目、そろそろ目的地が見えてもいい頃なんだが。
いつもはバーンの背中に乗ってひとっ飛びの距離でも、馬車を使うとどうしても時間が掛かってしまう。
とはいえ、この二人を乗せて現地に飛ぶことは出来ないので、致し方なく馬車の旅を選択した。
それでも決して無駄な時間ではない。
なんせ今乗っている馬車は19月に予定している南方旅行に使う馬車、その試作品だ。
通常の馬車だとどうしても揺れがひどく長距離移動すると体がくたびれてしまうのだが、今回特注した馬車は各所に衝撃吸収用の素材をふんだんに使い、かなり乗り心地をよくしている。
それこそ、国王陛下の乗る馬車でもここまでの快適性はないだろうというぐらいに細部にまでこだわった作りにしてもらった。
目の前に大金を積み上げられた職人さんは目を丸くしていたが、それだけの金を出した甲斐があった仕上がりになっていると言えるだろう。
およそ二日の旅だがまったくお尻も痛くならない非常に快適な旅になった。
「っと、見えてきたな。」
その後も世間話をしながら走っていると、目的の山が見えてきた。
北部に連なる巨大な山々、その中腹にぽっかりと開いた穴が俺の廃鉱山だ。
入り口の前では一人の男が到着を待ちわびていた。
「お疲れ様です、ボス。」
「態々出迎えてもらって悪いな。」
「いえ、それが仕事ですので。こちらの方々が聞いておりました職人ですね?」
「あぁ、ガラス職人のシュウとその妹のキョウ。二人共彼はマウジー、この廃鉱山の警備をお願いしている鼠人族だ。」
「宜しくお願いします。」
「よろじく、お願いします。」
挨拶も程ほどにして早速目的を果たすべく行動を始める。
今日彼らを連れてきたのは廃鉱山で産出される砂の中に、ガラスで使える珪砂がないか確認してもらう為だ。
まずは廃鉱山の入り口付近から順に探してもらって、見つからない場合は中も見てもらう。
素性を知っているとはいえ他の鼠人族の存在を知らせるわけにも行かないので、案内する場所は限られているけどな。
「そういえばバーン様の姿が見えませんね。」
「もう少ししたら飛んでくると思うんだがなぁ。」
「到着しましたら速やかに氷室へと搬入する手はずは整えております。こちらはおまかせください。」
「あぁ、頼んだ。」
シュンは一心不乱に砂を触っては落とし、触っては落としを繰り返している。
鑑定スキルを見る限りではシュウが見ているあたりが珪砂を比較的多く含んでいる場所にあたる。
前にバーンときたときに色々と調べておいたのだが、お眼鏡にかなうかどうか分からなかったので直接確認してもらうことにしたわけだ。
色々と調べてはいるようだがどうも反応はよろしくない。
「どんな感じだ?」
「いい砂、でもこれじゃダメ。もっときめがごまかくて、つぶが小さいのがいい。」
「ふむ、難しいもんだな。」
「アニキは素材に厳しいから。」
「いやいや、それぐらいしっかりしているからこそアレだけ綺麗なガラスを生み出せるんだ。妥協して下手なもの作るぐらいならそれぐらいの方がいい。」
「いい砂、もっと見たい。中、みていいか?」
「あぁそれは構わないんだが・・・っとちょうどきたな。」
外がダメなら中、そう思っていたところで突然空が影に覆われる。
見上げると巨大な羽を広げた翼竜がゆっくりとホバリングをしながら降りてくるところだった。
「え、ドラゴン!?」
「ワイバーンだ、俺の息子だよ。」
「話には聞いていたけど、本当だったんですね。」
ホバリングするたびに土煙が舞い上がる。
先に木箱を地面に卸された後、突然ワイバーンの姿が消える。
そして上空から落ちてきたバーンが華麗に地面へと着地をした。
「トト、きたよ!」
「ごくろうさん。大変だっただろ。」
「ちょっと重かったけど頑張った。これ、どうする?」
「マウジーの指示を受けて氷室まで運んでくれ。」
「は~い。」
バーンは一瞬だけ二人のほうに目をやったが、特に気にする様子もなく木箱を軽々と抱えて廃鉱山の奥へと消えてしまった。
本当はキョウたちにも手伝って貰うつもりだったんだが、まさか担いでいけるとは思わなかった。
小型木箱なら一人でも運べるようだし、今後はなくなる前にバーンに運んでもらうとしよう。
「あの男の子が、ワイバーン?」
「それっぽくない、でもすごい。」
「人化できるから違和感があると思うが、さっき空で見たのがあの子だ。後で紹介するからちょっと待ってくれ。とりあえず俺達は目的の品を探すとしよう。」
珪砂を探す為にここまできたんだ、産出されるのは間違いないだけに後はシュウ次第というわけだ。
バーンの後を追いかけるように廃鉱山を左へと進む。
途中何度か通路を通り抜けながら進むこと数分。
搬入作業中の二人に追いつくことが出来た。
「どんな感じだ?」
「こんなにも巨大な氷がほとんど融けることなく手に入るだなんて、お蔭様でまだまだ使えそうです。」
「それはなによりだ。頑張ったな、バーン。」
「頑張ったよ!」
えっへんと胸を張るバーン。
ほんと、バーンの頑張りがあるからこそこうやって夏でも氷室が食材をキンキン居冷やしてくれているというわけだな。
冬まで持つかと期待したのだが、流石に夏も半ばに近づくと涼しい鉱山内とはいえある程度は溶け出してしまったようだ。
なので氷室として利用できるようにダンジョン産の氷をここまで運び込み、カキ氷の要領で砕いて冷気を補充する。
「近々大量に肉を運び込む予定だ、すこしバタバタするが宜しく頼むな。」
「お肉!」
「ちゃんとバーンの分は別に確保してるから安心しろ。って、あれ?キョウはどこいった?」
「おで、知らない。さっきまで一緒だった。」
「探してきましょう。」
「俺も行こう、奥に入っていないはずだからその手前にはいるはずだ。」
ふとキョウが居なくなっていることに気がついた。
さっきまで兄貴と一緒だったのに一体どこに行ってしまったんだろうか。
マウジーとともに来た路を戻りながら通路を探していたときだった。
「キャーーー!」
鉱山内に女性の甲高い声が響き渡る。
この声は間違いない、キョウの声だ。
でもどこから?
慌てて来た道を戻ると、その途中で真っ青な顔をした彼女が通路から飛び出してきた。
この先にはケイブワームが居るはず、一体いつの間に迷い込んだんだろうか。
「けけけ、毛虫!おっきな毛虫が居る!」
「残念ながら毛虫じゃない、ここで飼育している芋虫だよ。」
「芋虫も毛虫も一緒!なにあれ!」
「ここで飼育して糸を吐き出させているんです、ご安心を襲ったりしません。」
「本当に?」
「あぁ、むしろ魔素をたっぷり含んだ糸を生産してくれている。」
廃鉱山を有効利用する為に飼育し始めた芋虫だったが、俺の予想を大幅に超えるぐらいに素晴らしい糸を生み出してくれるようになった。
魔素の含有量は通常の三倍を越え、伝導率が高いだけでなく遮断率も高いとギルドのお墨付きも貰っている。
生産量を増やすことも考えているのだが、とりあえずこの冬まではこのままで行くつもりだ。
「とりあえず見つかってよかった。」
「ごめんなさい、気づいたら迷子になっちゃって。」
「ここはわき道も多いですからどうぞお気をつけて。」
「アニキは?」
「さぁ、奥の方に行くのは見えたがまぁ大丈夫だろう。」
バーンも一緒だし奥は行き止まりになっているだけなので迷子になることも無いだろう。
妹が居なくなったときにもまったく慌てる様子がなかったな。
「材料の事になるとほかの事は気にならなくなっちゃうから。ほんと、困った人なんだ。」
「でもそれがあるからこそいい品を作り出すことが出来るんだろ?」
「その割りに私が作る作品にはいちいち口を出してくるんだから。」
「ん?キョウも何か作るのか?」
「アニキほどすごいものは作れないんだけど、まぁ服とか小物とか色々。」
「ってことは糸や反物があれば作れるわけだな?」
それはいい事を聞いた。
マウジーのほうをちらりと見るとそれだけで俺が何を言いたいのか理解してくれたようで、無言で頷いてどこかへと消えてしまった。
服飾関係で言えばローザさんがいるのだが、これ以上仕事を頼むと大変なことになるので新しい職人を探していたところなんだよな。
キョウもこっちに来て慣れてきた頃だろうし、腕をなまらせるのはもったいない。
「トト!」
「どうした、バーン。」
「さっきの人が、呼んでる。早く来て欲しいって。」
今度は向こうで何かあったようだ。
「アニキが何か見つけたのかもしれない。」
「そうだといいんだが。」
「絶対そうだよ、私には分かる。」
「さすが、アニキのことなら何でもお見通しだな。だからこそアニキもキョウの作品に口を出すんだろう。いい物を作るからこそ、口を出したい。職人ってのはめんどくさいもんだな。」
「あはは、そうかもね。」
兄が職人であるように妹もまた職人のようだ。
彼らが異国のこの地でどんな作品を作り出すかはまだ分からないが、そのお眼鏡にかなう材料は間違いなくここにある。
後はそれをどう形作るのか。
やっぱり彼らをここに連れてきて正解だった。
いつにもなくハイテンションのシュウを見て俺はそう確信したのだった。
「そんなことないですよ!向こうからこっちに来たこと考えれば前々楽です。ねぇアニキ。」
「おで、しんどくない。むしろ、楽しみ。」
俺たち三人を乗せた馬車は静かに街道を北へと進む。
途中一泊して今日で二日目、そろそろ目的地が見えてもいい頃なんだが。
いつもはバーンの背中に乗ってひとっ飛びの距離でも、馬車を使うとどうしても時間が掛かってしまう。
とはいえ、この二人を乗せて現地に飛ぶことは出来ないので、致し方なく馬車の旅を選択した。
それでも決して無駄な時間ではない。
なんせ今乗っている馬車は19月に予定している南方旅行に使う馬車、その試作品だ。
通常の馬車だとどうしても揺れがひどく長距離移動すると体がくたびれてしまうのだが、今回特注した馬車は各所に衝撃吸収用の素材をふんだんに使い、かなり乗り心地をよくしている。
それこそ、国王陛下の乗る馬車でもここまでの快適性はないだろうというぐらいに細部にまでこだわった作りにしてもらった。
目の前に大金を積み上げられた職人さんは目を丸くしていたが、それだけの金を出した甲斐があった仕上がりになっていると言えるだろう。
およそ二日の旅だがまったくお尻も痛くならない非常に快適な旅になった。
「っと、見えてきたな。」
その後も世間話をしながら走っていると、目的の山が見えてきた。
北部に連なる巨大な山々、その中腹にぽっかりと開いた穴が俺の廃鉱山だ。
入り口の前では一人の男が到着を待ちわびていた。
「お疲れ様です、ボス。」
「態々出迎えてもらって悪いな。」
「いえ、それが仕事ですので。こちらの方々が聞いておりました職人ですね?」
「あぁ、ガラス職人のシュウとその妹のキョウ。二人共彼はマウジー、この廃鉱山の警備をお願いしている鼠人族だ。」
「宜しくお願いします。」
「よろじく、お願いします。」
挨拶も程ほどにして早速目的を果たすべく行動を始める。
今日彼らを連れてきたのは廃鉱山で産出される砂の中に、ガラスで使える珪砂がないか確認してもらう為だ。
まずは廃鉱山の入り口付近から順に探してもらって、見つからない場合は中も見てもらう。
素性を知っているとはいえ他の鼠人族の存在を知らせるわけにも行かないので、案内する場所は限られているけどな。
「そういえばバーン様の姿が見えませんね。」
「もう少ししたら飛んでくると思うんだがなぁ。」
「到着しましたら速やかに氷室へと搬入する手はずは整えております。こちらはおまかせください。」
「あぁ、頼んだ。」
シュンは一心不乱に砂を触っては落とし、触っては落としを繰り返している。
鑑定スキルを見る限りではシュウが見ているあたりが珪砂を比較的多く含んでいる場所にあたる。
前にバーンときたときに色々と調べておいたのだが、お眼鏡にかなうかどうか分からなかったので直接確認してもらうことにしたわけだ。
色々と調べてはいるようだがどうも反応はよろしくない。
「どんな感じだ?」
「いい砂、でもこれじゃダメ。もっときめがごまかくて、つぶが小さいのがいい。」
「ふむ、難しいもんだな。」
「アニキは素材に厳しいから。」
「いやいや、それぐらいしっかりしているからこそアレだけ綺麗なガラスを生み出せるんだ。妥協して下手なもの作るぐらいならそれぐらいの方がいい。」
「いい砂、もっと見たい。中、みていいか?」
「あぁそれは構わないんだが・・・っとちょうどきたな。」
外がダメなら中、そう思っていたところで突然空が影に覆われる。
見上げると巨大な羽を広げた翼竜がゆっくりとホバリングをしながら降りてくるところだった。
「え、ドラゴン!?」
「ワイバーンだ、俺の息子だよ。」
「話には聞いていたけど、本当だったんですね。」
ホバリングするたびに土煙が舞い上がる。
先に木箱を地面に卸された後、突然ワイバーンの姿が消える。
そして上空から落ちてきたバーンが華麗に地面へと着地をした。
「トト、きたよ!」
「ごくろうさん。大変だっただろ。」
「ちょっと重かったけど頑張った。これ、どうする?」
「マウジーの指示を受けて氷室まで運んでくれ。」
「は~い。」
バーンは一瞬だけ二人のほうに目をやったが、特に気にする様子もなく木箱を軽々と抱えて廃鉱山の奥へと消えてしまった。
本当はキョウたちにも手伝って貰うつもりだったんだが、まさか担いでいけるとは思わなかった。
小型木箱なら一人でも運べるようだし、今後はなくなる前にバーンに運んでもらうとしよう。
「あの男の子が、ワイバーン?」
「それっぽくない、でもすごい。」
「人化できるから違和感があると思うが、さっき空で見たのがあの子だ。後で紹介するからちょっと待ってくれ。とりあえず俺達は目的の品を探すとしよう。」
珪砂を探す為にここまできたんだ、産出されるのは間違いないだけに後はシュウ次第というわけだ。
バーンの後を追いかけるように廃鉱山を左へと進む。
途中何度か通路を通り抜けながら進むこと数分。
搬入作業中の二人に追いつくことが出来た。
「どんな感じだ?」
「こんなにも巨大な氷がほとんど融けることなく手に入るだなんて、お蔭様でまだまだ使えそうです。」
「それはなによりだ。頑張ったな、バーン。」
「頑張ったよ!」
えっへんと胸を張るバーン。
ほんと、バーンの頑張りがあるからこそこうやって夏でも氷室が食材をキンキン居冷やしてくれているというわけだな。
冬まで持つかと期待したのだが、流石に夏も半ばに近づくと涼しい鉱山内とはいえある程度は溶け出してしまったようだ。
なので氷室として利用できるようにダンジョン産の氷をここまで運び込み、カキ氷の要領で砕いて冷気を補充する。
「近々大量に肉を運び込む予定だ、すこしバタバタするが宜しく頼むな。」
「お肉!」
「ちゃんとバーンの分は別に確保してるから安心しろ。って、あれ?キョウはどこいった?」
「おで、知らない。さっきまで一緒だった。」
「探してきましょう。」
「俺も行こう、奥に入っていないはずだからその手前にはいるはずだ。」
ふとキョウが居なくなっていることに気がついた。
さっきまで兄貴と一緒だったのに一体どこに行ってしまったんだろうか。
マウジーとともに来た路を戻りながら通路を探していたときだった。
「キャーーー!」
鉱山内に女性の甲高い声が響き渡る。
この声は間違いない、キョウの声だ。
でもどこから?
慌てて来た道を戻ると、その途中で真っ青な顔をした彼女が通路から飛び出してきた。
この先にはケイブワームが居るはず、一体いつの間に迷い込んだんだろうか。
「けけけ、毛虫!おっきな毛虫が居る!」
「残念ながら毛虫じゃない、ここで飼育している芋虫だよ。」
「芋虫も毛虫も一緒!なにあれ!」
「ここで飼育して糸を吐き出させているんです、ご安心を襲ったりしません。」
「本当に?」
「あぁ、むしろ魔素をたっぷり含んだ糸を生産してくれている。」
廃鉱山を有効利用する為に飼育し始めた芋虫だったが、俺の予想を大幅に超えるぐらいに素晴らしい糸を生み出してくれるようになった。
魔素の含有量は通常の三倍を越え、伝導率が高いだけでなく遮断率も高いとギルドのお墨付きも貰っている。
生産量を増やすことも考えているのだが、とりあえずこの冬まではこのままで行くつもりだ。
「とりあえず見つかってよかった。」
「ごめんなさい、気づいたら迷子になっちゃって。」
「ここはわき道も多いですからどうぞお気をつけて。」
「アニキは?」
「さぁ、奥の方に行くのは見えたがまぁ大丈夫だろう。」
バーンも一緒だし奥は行き止まりになっているだけなので迷子になることも無いだろう。
妹が居なくなったときにもまったく慌てる様子がなかったな。
「材料の事になるとほかの事は気にならなくなっちゃうから。ほんと、困った人なんだ。」
「でもそれがあるからこそいい品を作り出すことが出来るんだろ?」
「その割りに私が作る作品にはいちいち口を出してくるんだから。」
「ん?キョウも何か作るのか?」
「アニキほどすごいものは作れないんだけど、まぁ服とか小物とか色々。」
「ってことは糸や反物があれば作れるわけだな?」
それはいい事を聞いた。
マウジーのほうをちらりと見るとそれだけで俺が何を言いたいのか理解してくれたようで、無言で頷いてどこかへと消えてしまった。
服飾関係で言えばローザさんがいるのだが、これ以上仕事を頼むと大変なことになるので新しい職人を探していたところなんだよな。
キョウもこっちに来て慣れてきた頃だろうし、腕をなまらせるのはもったいない。
「トト!」
「どうした、バーン。」
「さっきの人が、呼んでる。早く来て欲しいって。」
今度は向こうで何かあったようだ。
「アニキが何か見つけたのかもしれない。」
「そうだといいんだが。」
「絶対そうだよ、私には分かる。」
「さすが、アニキのことなら何でもお見通しだな。だからこそアニキもキョウの作品に口を出すんだろう。いい物を作るからこそ、口を出したい。職人ってのはめんどくさいもんだな。」
「あはは、そうかもね。」
兄が職人であるように妹もまた職人のようだ。
彼らが異国のこの地でどんな作品を作り出すかはまだ分からないが、そのお眼鏡にかなう材料は間違いなくここにある。
後はそれをどう形作るのか。
やっぱり彼らをここに連れてきて正解だった。
いつにもなくハイテンションのシュウを見て俺はそう確信したのだった。
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