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919.転売屋は雨に備える
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「おはよう。」
「「「おはようございます!」」」
来月は早くも17月。
そんな現実を突きつけるように、季節はずれの暑さが街を襲っていた。
暑さといっても本格的な夏に比べればまだまだだが、それでもこの時期にただ歩くだけで汗ばむぐらいの暑さは珍しい。
心なしか労働者達の動きも鈍い気がする。
熱中症を防ぐ為にも水分補給をしっかり行ってもらうほうがいいだろう。
後でハッグさんに伝えておかないと。
「工事はどんな感じだ?」
「今日も順調です。でも、もうすぐ雨季が来ますからそれまでにもう少し進めたいところですけど。」
「あー、もうすぐそんな時期か。」
「夏前の風物詩ですよね。」
「ついこの間嵐が来たのにまた雨なんて嫌だなぁ。」
工事は順調。
だが、この前の嵐で受けた被害は思ったよりも大きく、復旧作業はまだまだ終わりを見通せない。
その状況で待ち受けるのは夏前の短い雨季。
毎回大雨にはならないものの、一週間ほど長雨が続くことになる。
それまでになんとしてでも屋根関係は終わらせておきたいんだが。
「復旧用の材料は足りてるのか?」
「正直足りてるとは言いにくいですね。余ってる素材もありますけど、屋根用の素材はあまり芳しくありません。特にブルービープルニールは足りない感じです。」
「少ないはまだいいが足りないはよろしくない。ちょっとギルドに行って余ってないか確認してくる。」
「あ!でしたらタイガーウィップもお願いします。」
「それと、帰りにウォーターボールの実をいくつか持って帰ってきてもらえますか?」
「他には?」
「あー、でしたら美味しいお菓子を三人分・・・。」
はい却下。
立ってるものは親でも使えとよく言うが、なんで俺が菓子を買ってこなきゃならないんだ。
それに三人分ってところが気に入らない。
俺の分はどうした俺の分は。
そんな事を思いながら冒険者ギルドへと向かったわけだが、いつもなら冒険者で溢れているはずの中はひっそりと静まり返っていた。
「どうなってるんだ?」
「あ、シロウさんいらっしゃいませ!ね、すごいですよね。」
「こんなに人のいないギルドなんて、感謝祭の時ぐらいしかないと思っていたが。なにかあったのか?」
「なんでも、港町のほうで遺跡が見つかったらしいんですよ。」
「ダンジョン中はともかく外だとこんなことにもなるか。前もそうだったしな。」
ふと前に街の近くで見つかった遺跡の発掘調査を思い出す。
あの時も冒険者が遺跡に殺到し、ダンジョン内がすっからかんになったんだっけ。
近くならともかく港町の方ともなると、当分は戻ってきそうにない。
どうしたもんかと思案していると、通路の奥からニアが鼻歌を歌いながらやってきた。
かなりご機嫌な感じだが、羊男となにかあったんだろうか。
「あらシロウさん、どうしたの?」
「依頼を出そうと思ったんだが、この状態だと難しそうだな。」
「そうねぇ、ちょっと難しいんじゃないかしら。何か急用?」
「いや、修繕用のブルービープルニールが足りないから補充しようと思ったんだ。ほら、もうすぐ雨が降るだろ?」
「あー、もうそんな時期なのね。」
ニアと二人で視線を窓の外へと向ける。
ジリジリと肌を焦がすような日差しが、がらんとした冒険者ギルドの窓を焼いている。
一応念のために在庫を確認してもらったが、やはりブルービープルニールだけが残っていなかった。
ま、そうだよなぁ。
仮にあったとしても羊男がそれを見逃すはずがない。
そういった在庫を全部回収して尚足りないということなんだろう。
「一応依頼はかけるけど、この様子だし期待しないでね。」
「それは仕方ない。こっちはこっちで何か考えてみる。」
だめもとで依頼を出しつつ、ひとまず冒険者ギルドを後にする。
ウーラさんやアニエスさんにお願いをしてとってきてもらうという手もなくはないが、それだと回収できる量に限界がある。
そもそも何でこんなことになっているのか。
原因はこの間の嵐で屋根材が飛んでしまい屋根に穴が開いているからだ。
大穴が開いているほどではないが、隙間は開いてしまっているのでそこから雨が進入してしまう。
ようはその穴をふさいでしまえば一時的に何とかなるかもしれない。
問題はどこに穴があいているかを調べる必要があるわけだが・・・。
「結局怪しい部分を全部覆ってしまうのが早いんだよなぁ。」
短い雨季を越えればいくらでも補修する時間はある。
その間だけ雨を防いでくれればそれでいいんだが、適した素材は在庫切れ。
それなら・・・。
「作るか。」
色々と知恵をめぐらせて、俺は一つの結論に達した。
素材がないのであればそれに変わるものを加工すればいいんじゃないか。
ないものねだりをしたって意味がない。
それならば既存の素材を組み合わせて代用品にしてしまえばいい。
今欲しているのは修理が終わるまでの時間稼ぎ、別に直せって言ってるわけじゃない。
「ニア。」
「あれ、どうしたの?」
「前の夏に使ったビープルニール、どうしてる?」
「どうしてるって、穴が開いたから倉庫に仕舞ってるはずよ。この夏も頑張ってもらわないといけないし、新しいの用意しなきゃ。」
思いついたのは普通のビープルニール。
それも前の夏に使ったまま仕舞われてしまったやつだ。
ニアの言うように耐久度はあまりないのでひと夏使えば穴が開いてしまい、使い物にならなくなってしまう。
でもそれは空気を入れるからであって、素材特性はブルービープルニールとあまり変わらないはず。
一番の素材特性は水に強いこと。
多少の穴から染みこんでくるのは目を瞑ってもらうしかないが、それでも何もしなきよりかは何倍もマシなはずだ。
「新しいのは別に用意してやるからそれを譲ってくれ。」
「別にかまわないけど・・・。え、もしかしてそれを代用するの?」
「もしかしなくてもその通りだよ。」
まずは穴が開いたやつを回収して一度膨らませて破損箇所を確認。そこにガムスライムの体液をたらして補修して、後は切り開いて広げれば防水シートの出来上がりだ。
素材強度はよくないが、一時的に防水できればそれでいい。
仮に穴が開いていたら捨てるだけだし、夏までに新しいのを準備するか優先的に提供することにすれば譲ってくれるかもしれない。
「旦那に言って、ビープルニールの点検を行うように各家庭に連絡してくれ。もし、破損が見つかった場合は廃棄せずに拡張工事の詰所まで持ってくるように伝えて欲しい。持ってきてくれたら優先的に販売する紙を渡すってことにすればある程度の数が集まるだろう。」
「あれ、今回はそれで稼がないの?」
「あくまでも街の修繕用だからな。」
「とか何とか言っちゃって、シロウさんのことだから別に何か考えてるんでしょ?」
さぁそれはどうだろうか。
なんていうつもりはない、もちろんそのつもりだ。
ビープルニールはあくまでも応急処置用の素材であって、それがないと大変なことになるから用意するだけ。
仮に俺が買い取って補修し、それを横流ししたところで労力の割に得られる儲けはごく僅かなのは目に見えている。
だからこそ、俺が買い取るんじゃなく詰所に運んでもらって街に買い取ってもらうことにしたわけだ。
じゃあ俺はどうするか。
冒険者ギルドを出たその足で向かったのは北側の倉庫。
その奥にお目当ての品は静かに置かれていた。
「ティーランド米ですか。」
「あぁ、元は糊に加工するために使われていたのを食用として買い付けたわけだが、ぶっちゃけ消費が追いついていないんだよな。だから、今回はビープルニールを張り合わせるのに使おうと思う。」
「そんなので強度が出るの?」
「縫い合わせることも考えたがそれだと穴から水がしみこむし他の接着剤は壁の補修なんかに使われている。今回はあくまでも仮補修だからな、下手に接着して下地にくっついても困る。どうせ上から石材の重石をするんだし飛んでいくことはないだろ。」
「廃棄することを考えれば現金化できるだけでも大儲け、というわけですね。」
「そういうことだ。」
他の素材もそうだが、腐ったり痛んだりして廃棄するとその分が丸々損失になる。
買取業ってのは在庫を抱えるだけでなくそういったリスクを負う商売でもあるわけだ。
だからこそ相場よりも安く買う必要があるわけだな。
バカ正直に利益だけを乗っけて高値で買うと痛い目を見る。
相場を見極め、ロスを計算してこその商売なんだが・・・。
ま、俺の場合は相場スキルがあるのでその辺は楽させてもらっているけど。
今回はギルド協会に安く卸すという名目で損失を回避しようというわけだ。
損失を回避する事で得られる目に見えない儲け。
そもそもそういうのを出さないように買い取れよって話なわけだけどな。
翌朝。
ギルド協会からの連絡を受け、使い物にならなくなったビープルニールが多数詰所に運ばれてきた。
正直かなりの量が運ばれてきたのには驚きだが、その分新しいビープルニールが売れる証拠でもある。
破損箇所にはあらかじめ印をつけてもらっているので、そこを港町で買い付けてきたガムスライムの体液で補修、それを切り開いて隙間が出ないようティーランド米で作った糊で張り合わせた後、修繕を待つ各家庭へと運ばれていった。
かなりの量が集まったので、本来使用する予定だったブルービープルニールは予備としてまた同じようなことになったときに使用できるようギルド協会が保管することになったらしい。
俺は米を処理できて万々歳、ギルド協会は備蓄が出来て万々歳、そしてなにより修繕が行われて住民は大喜びってね。
これで安心して雨季を迎えられるというわけだ。
あー、よかったよかった。
「所でシロウさん。」
「ん?」
「各家庭に販売するビープルニールはどうやって集めるんですか?」
あ、そういえばそうだった。
冒険者が出払っている以上ダンジョンから素材を回収するのは非常に難しい。
もちろん全冒険者がいなくなったわけではないのだが、熟練者がいないとなるとどうしても素材の回収力が低下してしまう。
夏はすぐそこまで来ている。
さーて、どうするかなぁ。
全然考えてなかった。
「「「おはようございます!」」」
来月は早くも17月。
そんな現実を突きつけるように、季節はずれの暑さが街を襲っていた。
暑さといっても本格的な夏に比べればまだまだだが、それでもこの時期にただ歩くだけで汗ばむぐらいの暑さは珍しい。
心なしか労働者達の動きも鈍い気がする。
熱中症を防ぐ為にも水分補給をしっかり行ってもらうほうがいいだろう。
後でハッグさんに伝えておかないと。
「工事はどんな感じだ?」
「今日も順調です。でも、もうすぐ雨季が来ますからそれまでにもう少し進めたいところですけど。」
「あー、もうすぐそんな時期か。」
「夏前の風物詩ですよね。」
「ついこの間嵐が来たのにまた雨なんて嫌だなぁ。」
工事は順調。
だが、この前の嵐で受けた被害は思ったよりも大きく、復旧作業はまだまだ終わりを見通せない。
その状況で待ち受けるのは夏前の短い雨季。
毎回大雨にはならないものの、一週間ほど長雨が続くことになる。
それまでになんとしてでも屋根関係は終わらせておきたいんだが。
「復旧用の材料は足りてるのか?」
「正直足りてるとは言いにくいですね。余ってる素材もありますけど、屋根用の素材はあまり芳しくありません。特にブルービープルニールは足りない感じです。」
「少ないはまだいいが足りないはよろしくない。ちょっとギルドに行って余ってないか確認してくる。」
「あ!でしたらタイガーウィップもお願いします。」
「それと、帰りにウォーターボールの実をいくつか持って帰ってきてもらえますか?」
「他には?」
「あー、でしたら美味しいお菓子を三人分・・・。」
はい却下。
立ってるものは親でも使えとよく言うが、なんで俺が菓子を買ってこなきゃならないんだ。
それに三人分ってところが気に入らない。
俺の分はどうした俺の分は。
そんな事を思いながら冒険者ギルドへと向かったわけだが、いつもなら冒険者で溢れているはずの中はひっそりと静まり返っていた。
「どうなってるんだ?」
「あ、シロウさんいらっしゃいませ!ね、すごいですよね。」
「こんなに人のいないギルドなんて、感謝祭の時ぐらいしかないと思っていたが。なにかあったのか?」
「なんでも、港町のほうで遺跡が見つかったらしいんですよ。」
「ダンジョン中はともかく外だとこんなことにもなるか。前もそうだったしな。」
ふと前に街の近くで見つかった遺跡の発掘調査を思い出す。
あの時も冒険者が遺跡に殺到し、ダンジョン内がすっからかんになったんだっけ。
近くならともかく港町の方ともなると、当分は戻ってきそうにない。
どうしたもんかと思案していると、通路の奥からニアが鼻歌を歌いながらやってきた。
かなりご機嫌な感じだが、羊男となにかあったんだろうか。
「あらシロウさん、どうしたの?」
「依頼を出そうと思ったんだが、この状態だと難しそうだな。」
「そうねぇ、ちょっと難しいんじゃないかしら。何か急用?」
「いや、修繕用のブルービープルニールが足りないから補充しようと思ったんだ。ほら、もうすぐ雨が降るだろ?」
「あー、もうそんな時期なのね。」
ニアと二人で視線を窓の外へと向ける。
ジリジリと肌を焦がすような日差しが、がらんとした冒険者ギルドの窓を焼いている。
一応念のために在庫を確認してもらったが、やはりブルービープルニールだけが残っていなかった。
ま、そうだよなぁ。
仮にあったとしても羊男がそれを見逃すはずがない。
そういった在庫を全部回収して尚足りないということなんだろう。
「一応依頼はかけるけど、この様子だし期待しないでね。」
「それは仕方ない。こっちはこっちで何か考えてみる。」
だめもとで依頼を出しつつ、ひとまず冒険者ギルドを後にする。
ウーラさんやアニエスさんにお願いをしてとってきてもらうという手もなくはないが、それだと回収できる量に限界がある。
そもそも何でこんなことになっているのか。
原因はこの間の嵐で屋根材が飛んでしまい屋根に穴が開いているからだ。
大穴が開いているほどではないが、隙間は開いてしまっているのでそこから雨が進入してしまう。
ようはその穴をふさいでしまえば一時的に何とかなるかもしれない。
問題はどこに穴があいているかを調べる必要があるわけだが・・・。
「結局怪しい部分を全部覆ってしまうのが早いんだよなぁ。」
短い雨季を越えればいくらでも補修する時間はある。
その間だけ雨を防いでくれればそれでいいんだが、適した素材は在庫切れ。
それなら・・・。
「作るか。」
色々と知恵をめぐらせて、俺は一つの結論に達した。
素材がないのであればそれに変わるものを加工すればいいんじゃないか。
ないものねだりをしたって意味がない。
それならば既存の素材を組み合わせて代用品にしてしまえばいい。
今欲しているのは修理が終わるまでの時間稼ぎ、別に直せって言ってるわけじゃない。
「ニア。」
「あれ、どうしたの?」
「前の夏に使ったビープルニール、どうしてる?」
「どうしてるって、穴が開いたから倉庫に仕舞ってるはずよ。この夏も頑張ってもらわないといけないし、新しいの用意しなきゃ。」
思いついたのは普通のビープルニール。
それも前の夏に使ったまま仕舞われてしまったやつだ。
ニアの言うように耐久度はあまりないのでひと夏使えば穴が開いてしまい、使い物にならなくなってしまう。
でもそれは空気を入れるからであって、素材特性はブルービープルニールとあまり変わらないはず。
一番の素材特性は水に強いこと。
多少の穴から染みこんでくるのは目を瞑ってもらうしかないが、それでも何もしなきよりかは何倍もマシなはずだ。
「新しいのは別に用意してやるからそれを譲ってくれ。」
「別にかまわないけど・・・。え、もしかしてそれを代用するの?」
「もしかしなくてもその通りだよ。」
まずは穴が開いたやつを回収して一度膨らませて破損箇所を確認。そこにガムスライムの体液をたらして補修して、後は切り開いて広げれば防水シートの出来上がりだ。
素材強度はよくないが、一時的に防水できればそれでいい。
仮に穴が開いていたら捨てるだけだし、夏までに新しいのを準備するか優先的に提供することにすれば譲ってくれるかもしれない。
「旦那に言って、ビープルニールの点検を行うように各家庭に連絡してくれ。もし、破損が見つかった場合は廃棄せずに拡張工事の詰所まで持ってくるように伝えて欲しい。持ってきてくれたら優先的に販売する紙を渡すってことにすればある程度の数が集まるだろう。」
「あれ、今回はそれで稼がないの?」
「あくまでも街の修繕用だからな。」
「とか何とか言っちゃって、シロウさんのことだから別に何か考えてるんでしょ?」
さぁそれはどうだろうか。
なんていうつもりはない、もちろんそのつもりだ。
ビープルニールはあくまでも応急処置用の素材であって、それがないと大変なことになるから用意するだけ。
仮に俺が買い取って補修し、それを横流ししたところで労力の割に得られる儲けはごく僅かなのは目に見えている。
だからこそ、俺が買い取るんじゃなく詰所に運んでもらって街に買い取ってもらうことにしたわけだ。
じゃあ俺はどうするか。
冒険者ギルドを出たその足で向かったのは北側の倉庫。
その奥にお目当ての品は静かに置かれていた。
「ティーランド米ですか。」
「あぁ、元は糊に加工するために使われていたのを食用として買い付けたわけだが、ぶっちゃけ消費が追いついていないんだよな。だから、今回はビープルニールを張り合わせるのに使おうと思う。」
「そんなので強度が出るの?」
「縫い合わせることも考えたがそれだと穴から水がしみこむし他の接着剤は壁の補修なんかに使われている。今回はあくまでも仮補修だからな、下手に接着して下地にくっついても困る。どうせ上から石材の重石をするんだし飛んでいくことはないだろ。」
「廃棄することを考えれば現金化できるだけでも大儲け、というわけですね。」
「そういうことだ。」
他の素材もそうだが、腐ったり痛んだりして廃棄するとその分が丸々損失になる。
買取業ってのは在庫を抱えるだけでなくそういったリスクを負う商売でもあるわけだ。
だからこそ相場よりも安く買う必要があるわけだな。
バカ正直に利益だけを乗っけて高値で買うと痛い目を見る。
相場を見極め、ロスを計算してこその商売なんだが・・・。
ま、俺の場合は相場スキルがあるのでその辺は楽させてもらっているけど。
今回はギルド協会に安く卸すという名目で損失を回避しようというわけだ。
損失を回避する事で得られる目に見えない儲け。
そもそもそういうのを出さないように買い取れよって話なわけだけどな。
翌朝。
ギルド協会からの連絡を受け、使い物にならなくなったビープルニールが多数詰所に運ばれてきた。
正直かなりの量が運ばれてきたのには驚きだが、その分新しいビープルニールが売れる証拠でもある。
破損箇所にはあらかじめ印をつけてもらっているので、そこを港町で買い付けてきたガムスライムの体液で補修、それを切り開いて隙間が出ないようティーランド米で作った糊で張り合わせた後、修繕を待つ各家庭へと運ばれていった。
かなりの量が集まったので、本来使用する予定だったブルービープルニールは予備としてまた同じようなことになったときに使用できるようギルド協会が保管することになったらしい。
俺は米を処理できて万々歳、ギルド協会は備蓄が出来て万々歳、そしてなにより修繕が行われて住民は大喜びってね。
これで安心して雨季を迎えられるというわけだ。
あー、よかったよかった。
「所でシロウさん。」
「ん?」
「各家庭に販売するビープルニールはどうやって集めるんですか?」
あ、そういえばそうだった。
冒険者が出払っている以上ダンジョンから素材を回収するのは非常に難しい。
もちろん全冒険者がいなくなったわけではないのだが、熟練者がいないとなるとどうしても素材の回収力が低下してしまう。
夏はすぐそこまで来ている。
さーて、どうするかなぁ。
全然考えてなかった。
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