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905.転売屋は加熱装置箱を考案する
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「うーん、まだちょっと違うな。」
寒さも過ぎ去り、また暖かな日射しが戻ってきた。
そんな日射しを背に浴びながら、黙々と実験を繰り返す。
感覚でやると失敗するのでしっかりと重量などを計算しながら、コツコツとやっていくのは嫌いじゃないんだよな。
前進しているのは間違いないし、それが分かるからこそ失敗も悔しくない。
『失敗は成功の母』だとよく言ったものだ。
「いかがですか?」
「ハーシェさん、それにリーシャも。まぁボチボチだ。」
手をぬぐってからリーシャを抱き上げると、興味深そうに実験器具を覗き込む。
実験後の反応は落ち着いているので特に問題はないが、実験の最中だったら大変なことになる。
だからこうやって二次被害の出ない場所で実験しているというわけだ。
しかし、リーシャのモチモチ頬っぺたがさらにツルツルになっている。
昨日の保湿入浴剤のおかげだろうか。
「ふふ、リーシャが興味深そうに覗いていますよ。」
「見てもなにもないぞ?」
「あぶ。」
「上から見ていたときも真剣な感じでした、よかったら見せてあげてくれませんか?」
「それはかまわないが・・・。」
「これがアナタの世界にあったものなんですよね。」
リーシャの横からハーシェさんも顔を覗かせ実験器具をじっと見つめる。
机の上には計量用の秤の他に金属製の四角い箱と風蜥蜴の皮膜、それと水差しと白い粉が置かれている。
二人には少し離れてもらい、まずは新しい箱に白い粉を100g入れてその上に風蜥蜴の皮膜を少し弛ませて張り、そのたるみの上に水を30ccほど注ぐ。
この分量を導き出すまでにかなり時間が掛かったが、まぁこんなもんだろう。
弛んだ皮膜の上にぷかぷかと浮かぶ水。
その上から小さい針をつけた木の皮のような蓋を上からかぶせると、針で皮膜が破れ水が白い粉の上に降りかかる。
その次の瞬間。
『シューー!』という音と共にものすごい蒸気が蓋を貫通して空へと上っていく。
その反応にハーシェさんは目を丸くし、リーシャは歓声を上げた。
「すごいですね!」
「後はこいつの上に温めたい物を置けば、火を使わずに加熱できるってわけなんだが。物次第では分量を変えないといけないだろうなぁ。あとは熱伝導の関係もあるし、まだまだ改善の余地ありだ。」
「あの乾燥剤にこんな使い道があるなんて知りませんでした。」
「火は出ないがかなりの熱が出るだけに、結局水気のないものを乾燥させ続けるぐらいにしか使えなかったけどな。」
「それでもアネットさんは希少な乾燥薬草が傷まなくてすむと喜んでいましたし、モーリス様も乾物の傷みが減るとおっしゃっていました。すごいことですよ。」
まぁすごいのは俺じゃなくて元の世界の知識だけども、それを応用できただけでもよしとしよう。
例の乾燥剤は予定通り小さなシリカゲル的な扱いで、主に食料や素材などを乾燥させ続けるために使われることになった。
空間を乾燥させるにはかなりの分量が必要な上に、今の実験のように少量の水で一気に加熱されてしまうので危険と判断した。
火は出なくても熱で本がやられても困るしな。
その流れでふと思いついたのが、昔夜行電車で食べた加熱式の駅弁だ。
あれも確かこの実験のように乾燥剤、ようは酸化カルシウムに少量の水をかけて発熱させる原理だったはず。
それを思いついたのでこうやって何度も実験を繰り返していたというわけだ。
「使えそうな素材を色々と助言してもらったおかげだ。」
「これは何かを温める為の道具なんですよね?」
「あぁ、俺の世界じゃ弁当を温めていた。冷めた飯よりもホカホカの飯の方が美味いだろ?」
「ふふ、そうですね。」
「だから冒険者の弁当に使えないかって考えたんだ。とはいえ、途中で水と混ざったら大変なことになるし携帯して持ち歩くって訳には行かないだろうなぁ。」
今の所針で皮膜を破って水を粉にかけるやり方なんだが、これだと持ち歩いている間に水がこぼれる上に下手に蓋を押し当てると途中で加熱されてしまう。
もちろん工夫すればどうにでもなりそうなんだが、俺の少ない脳みそじゃ中々思いつかないって言うね。
なので当分は持ち歩きではなく料理の提供時に使えないかと考えている。
別にコレで火を通すわけじゃない。
一度反応すればそれなりの温度が持続することも分かっているので、料理が冷めないように下から保温する感じで使えるかもしれない。
もちろん、ぬるくなった弁当ぐらいなら暖かく出来るだろう。
じゃあその弁当をどこで出すんだよって話になってしまうわけで。
「お、やってますね。」
「ハワードか、どうしたんだ?」
「いえ、お館様が面白そうなことして遊んでるなと思いまして。」
「遊んでないっての。ん、なんだそれは。」
てっきりからかいに来たのかと思ったが、ハワードの手にはなにやら白い食べ物らしきものが。
「それは加熱した蒸気を吹き上げてるって感じなんですよね?」
「まぁ、そうなるな。」
「ならこれを上に乗せるのはどうでしょう。あ、もう火は通してあるんでそのままでも食べれますがやっぱりアツアツがいいじゃないですか。」
ハワードが持ってきたのは肉饅頭。
コンビニでよく売られているような肉まんではなく、分厚い餃子の皮みたいな奴で肉を挟んだ感じだ。
肉饅頭と呼んでいるのは中に入っている肉の量があまりにもおかしいから。
いや、でかすぎるんだよ一個が。
なんでエリザサイズなんだよ。
「それは昼飯の時にエリザが残した奴か。」
「はい、なので授乳が終わったら持っていって差し上げようかと。でも火を入れると焦げてしまうので、それなら蒸したらどうかと考えまして。」
「ふむ面白い。火は通っているとはいえしっかり加熱することを考えると蒸気を循環させて、それなら同じ箱をかぶせるほうが楽か・・・。よし、やってみよう。」
なんとなく形が見えた。
三人に見守られながら再び装置を設置。
分量を粉と水共に少し増やし、針の蓋の上に小さい金属の板を載せその上に肉饅頭を設置。
さらに下の箱と同じ金属製の箱を蓋の上にかぶせて出来上がりだ。
下から吹き上がった蒸気は上の箱でせき止められ、箱の中を満たしながら肉饅頭を加熱。
密封しているわけじゃないので、ある程度の圧力が掛かったら中蓋の隙間から蒸気が漏れるという寸法だ。
とはいえ蓋が圧力で吹っ飛んだら大変なのでハーシェさんとリーシャには離れていてもらう。
「よし、やるぞ。」
「どうぞやっちゃってください。」
上箱ごと針のついた中蓋をゆっくりと降ろし、ぴたっと重なるところで一気にかぶせる。
プチっという感触のあと手を離し、後ろを振り返らず一気に逃げだした。
背中越しになにやらすごい音がしているが気にしない。
10m程逃げたところで振り返ると、箱の隙間からものすごい勢いで蒸気が噴出していた。
まるで蒸気機関車だ。
「すごいですね!」
「あぁ、爆発しなくてよかった。」
「あ、だんだん収まっていきます。」
「まぁ、水分量が少ないし蒸発しきったらそこで終わりだ。あとは反応後の余熱であっためるって感じなんだが・・・。どのぐらい待つ?」
「とりあえず三分ぐらいでいいんじゃないですかね。」
まるでカップラーメンだな。
そんなことを考えながら蒸気の出なくなった箱を静かに見つめ、そろそろというタイミングで鍋つかみを使って蓋を外す。
「「おぉ~~。」」
蒸気は残っていなかったが、上蓋を開けると蒸気でツヤッツヤになった肉饅頭が姿を現した。
恐る恐る触れてみると結構熱い。
別の皿に移しナイフで割ってみると、中まで熱がしっかりと通ったおかげで肉汁が中からあふれ出てきた。
ここまでうまくいくとは思っていなかったが、これは大成功といっていいんじゃないだろうか。
「いかがですか?」
「中までしっかり火が通ってる、これは大成功だろう。」
「ですね、すぐエリザ様の所にもって行きます。」
「いや、それは俺が食べる。他に残ったやつがあったよな?」
「あと10個ほど。」
「全部持ってきてくれ、量が増えたときの加熱具合も確認したい。」
「わかりました!」
飛ぶようにハワードが厨房へと戻っていく。
残った肉饅頭はアツアツのうちにハーシェさんと二人で美味しく頂いた。
リーシャが自分も欲しいと手を伸ばしてきたが、残念ながらまだ早いんだよなぁ。
もう少し大きくなったらな。
その後も実験を繰り返し、今回の大きさと分量なら5個までならしっかり加熱できることが分かった。
さすがに一個に比べると加熱量は減ってしまうが、それでも中までしっかり熱が通る。
火を使わず蓋をかぶせるだけで加熱できるというのは非常に便利だ。
材料になる粉も乾燥剤を作る流れで大量に生産できるので原価はそれほど高くない。
問題があるとすればやはり携帯性だろうけど、水は別の容器に入れて使うときに上に乗せてもらうという手もあるか。
粉の入った箱と水の入れ物を大量生産しておけば、後はその上に温めたい物をのせるだけでいいしな。
分量を半分にしても弁当一個ぐらいなら加熱できるんじゃないだろうか。
まだまだ改良の余地はあるが、これは面白い装置が出来たかもしれない。
コレさえあれば冷えたご飯も簡単にホカホカになることだろう。
多分。
「コレで本当に温かいお弁当が食べれるならみんな多少高くても買うんじゃないかしら。火も使わないわけだし、濡れた場所でも簡単に使えるんでしょ?」
「そういうことだな。」
「冷めたものを焦げることなく温められるなら、先に大量に作っておいてそれを店先で温めて出すということも出来ますね。もちろん量に制限はありますが、粉と水の分量を増やせば十分対応できるのではないでしょうか。」
「確かに可能ではあるんだが、継続して過熱するには向いてないんだよな。その都度粉を使うとなるとコスパは悪くなる。」
「そうですか。もし可能なら、露店でも色々出来ると思ったのですが。」
「それは俺も考えた。まぁまだまだ試作段階だし、混ぜる材料を変えればもっと効率的に加熱できるかもしれない。まぁ、地道にやるさ。」
現段階でもまだまだ実験段階。
だが現時点でいえるのは、これが新しい金儲けのヒントになるということ。
さぁてどうやって金儲けをしてやろうか。
寒さも過ぎ去り、また暖かな日射しが戻ってきた。
そんな日射しを背に浴びながら、黙々と実験を繰り返す。
感覚でやると失敗するのでしっかりと重量などを計算しながら、コツコツとやっていくのは嫌いじゃないんだよな。
前進しているのは間違いないし、それが分かるからこそ失敗も悔しくない。
『失敗は成功の母』だとよく言ったものだ。
「いかがですか?」
「ハーシェさん、それにリーシャも。まぁボチボチだ。」
手をぬぐってからリーシャを抱き上げると、興味深そうに実験器具を覗き込む。
実験後の反応は落ち着いているので特に問題はないが、実験の最中だったら大変なことになる。
だからこうやって二次被害の出ない場所で実験しているというわけだ。
しかし、リーシャのモチモチ頬っぺたがさらにツルツルになっている。
昨日の保湿入浴剤のおかげだろうか。
「ふふ、リーシャが興味深そうに覗いていますよ。」
「見てもなにもないぞ?」
「あぶ。」
「上から見ていたときも真剣な感じでした、よかったら見せてあげてくれませんか?」
「それはかまわないが・・・。」
「これがアナタの世界にあったものなんですよね。」
リーシャの横からハーシェさんも顔を覗かせ実験器具をじっと見つめる。
机の上には計量用の秤の他に金属製の四角い箱と風蜥蜴の皮膜、それと水差しと白い粉が置かれている。
二人には少し離れてもらい、まずは新しい箱に白い粉を100g入れてその上に風蜥蜴の皮膜を少し弛ませて張り、そのたるみの上に水を30ccほど注ぐ。
この分量を導き出すまでにかなり時間が掛かったが、まぁこんなもんだろう。
弛んだ皮膜の上にぷかぷかと浮かぶ水。
その上から小さい針をつけた木の皮のような蓋を上からかぶせると、針で皮膜が破れ水が白い粉の上に降りかかる。
その次の瞬間。
『シューー!』という音と共にものすごい蒸気が蓋を貫通して空へと上っていく。
その反応にハーシェさんは目を丸くし、リーシャは歓声を上げた。
「すごいですね!」
「後はこいつの上に温めたい物を置けば、火を使わずに加熱できるってわけなんだが。物次第では分量を変えないといけないだろうなぁ。あとは熱伝導の関係もあるし、まだまだ改善の余地ありだ。」
「あの乾燥剤にこんな使い道があるなんて知りませんでした。」
「火は出ないがかなりの熱が出るだけに、結局水気のないものを乾燥させ続けるぐらいにしか使えなかったけどな。」
「それでもアネットさんは希少な乾燥薬草が傷まなくてすむと喜んでいましたし、モーリス様も乾物の傷みが減るとおっしゃっていました。すごいことですよ。」
まぁすごいのは俺じゃなくて元の世界の知識だけども、それを応用できただけでもよしとしよう。
例の乾燥剤は予定通り小さなシリカゲル的な扱いで、主に食料や素材などを乾燥させ続けるために使われることになった。
空間を乾燥させるにはかなりの分量が必要な上に、今の実験のように少量の水で一気に加熱されてしまうので危険と判断した。
火は出なくても熱で本がやられても困るしな。
その流れでふと思いついたのが、昔夜行電車で食べた加熱式の駅弁だ。
あれも確かこの実験のように乾燥剤、ようは酸化カルシウムに少量の水をかけて発熱させる原理だったはず。
それを思いついたのでこうやって何度も実験を繰り返していたというわけだ。
「使えそうな素材を色々と助言してもらったおかげだ。」
「これは何かを温める為の道具なんですよね?」
「あぁ、俺の世界じゃ弁当を温めていた。冷めた飯よりもホカホカの飯の方が美味いだろ?」
「ふふ、そうですね。」
「だから冒険者の弁当に使えないかって考えたんだ。とはいえ、途中で水と混ざったら大変なことになるし携帯して持ち歩くって訳には行かないだろうなぁ。」
今の所針で皮膜を破って水を粉にかけるやり方なんだが、これだと持ち歩いている間に水がこぼれる上に下手に蓋を押し当てると途中で加熱されてしまう。
もちろん工夫すればどうにでもなりそうなんだが、俺の少ない脳みそじゃ中々思いつかないって言うね。
なので当分は持ち歩きではなく料理の提供時に使えないかと考えている。
別にコレで火を通すわけじゃない。
一度反応すればそれなりの温度が持続することも分かっているので、料理が冷めないように下から保温する感じで使えるかもしれない。
もちろん、ぬるくなった弁当ぐらいなら暖かく出来るだろう。
じゃあその弁当をどこで出すんだよって話になってしまうわけで。
「お、やってますね。」
「ハワードか、どうしたんだ?」
「いえ、お館様が面白そうなことして遊んでるなと思いまして。」
「遊んでないっての。ん、なんだそれは。」
てっきりからかいに来たのかと思ったが、ハワードの手にはなにやら白い食べ物らしきものが。
「それは加熱した蒸気を吹き上げてるって感じなんですよね?」
「まぁ、そうなるな。」
「ならこれを上に乗せるのはどうでしょう。あ、もう火は通してあるんでそのままでも食べれますがやっぱりアツアツがいいじゃないですか。」
ハワードが持ってきたのは肉饅頭。
コンビニでよく売られているような肉まんではなく、分厚い餃子の皮みたいな奴で肉を挟んだ感じだ。
肉饅頭と呼んでいるのは中に入っている肉の量があまりにもおかしいから。
いや、でかすぎるんだよ一個が。
なんでエリザサイズなんだよ。
「それは昼飯の時にエリザが残した奴か。」
「はい、なので授乳が終わったら持っていって差し上げようかと。でも火を入れると焦げてしまうので、それなら蒸したらどうかと考えまして。」
「ふむ面白い。火は通っているとはいえしっかり加熱することを考えると蒸気を循環させて、それなら同じ箱をかぶせるほうが楽か・・・。よし、やってみよう。」
なんとなく形が見えた。
三人に見守られながら再び装置を設置。
分量を粉と水共に少し増やし、針の蓋の上に小さい金属の板を載せその上に肉饅頭を設置。
さらに下の箱と同じ金属製の箱を蓋の上にかぶせて出来上がりだ。
下から吹き上がった蒸気は上の箱でせき止められ、箱の中を満たしながら肉饅頭を加熱。
密封しているわけじゃないので、ある程度の圧力が掛かったら中蓋の隙間から蒸気が漏れるという寸法だ。
とはいえ蓋が圧力で吹っ飛んだら大変なのでハーシェさんとリーシャには離れていてもらう。
「よし、やるぞ。」
「どうぞやっちゃってください。」
上箱ごと針のついた中蓋をゆっくりと降ろし、ぴたっと重なるところで一気にかぶせる。
プチっという感触のあと手を離し、後ろを振り返らず一気に逃げだした。
背中越しになにやらすごい音がしているが気にしない。
10m程逃げたところで振り返ると、箱の隙間からものすごい勢いで蒸気が噴出していた。
まるで蒸気機関車だ。
「すごいですね!」
「あぁ、爆発しなくてよかった。」
「あ、だんだん収まっていきます。」
「まぁ、水分量が少ないし蒸発しきったらそこで終わりだ。あとは反応後の余熱であっためるって感じなんだが・・・。どのぐらい待つ?」
「とりあえず三分ぐらいでいいんじゃないですかね。」
まるでカップラーメンだな。
そんなことを考えながら蒸気の出なくなった箱を静かに見つめ、そろそろというタイミングで鍋つかみを使って蓋を外す。
「「おぉ~~。」」
蒸気は残っていなかったが、上蓋を開けると蒸気でツヤッツヤになった肉饅頭が姿を現した。
恐る恐る触れてみると結構熱い。
別の皿に移しナイフで割ってみると、中まで熱がしっかりと通ったおかげで肉汁が中からあふれ出てきた。
ここまでうまくいくとは思っていなかったが、これは大成功といっていいんじゃないだろうか。
「いかがですか?」
「中までしっかり火が通ってる、これは大成功だろう。」
「ですね、すぐエリザ様の所にもって行きます。」
「いや、それは俺が食べる。他に残ったやつがあったよな?」
「あと10個ほど。」
「全部持ってきてくれ、量が増えたときの加熱具合も確認したい。」
「わかりました!」
飛ぶようにハワードが厨房へと戻っていく。
残った肉饅頭はアツアツのうちにハーシェさんと二人で美味しく頂いた。
リーシャが自分も欲しいと手を伸ばしてきたが、残念ながらまだ早いんだよなぁ。
もう少し大きくなったらな。
その後も実験を繰り返し、今回の大きさと分量なら5個までならしっかり加熱できることが分かった。
さすがに一個に比べると加熱量は減ってしまうが、それでも中までしっかり熱が通る。
火を使わず蓋をかぶせるだけで加熱できるというのは非常に便利だ。
材料になる粉も乾燥剤を作る流れで大量に生産できるので原価はそれほど高くない。
問題があるとすればやはり携帯性だろうけど、水は別の容器に入れて使うときに上に乗せてもらうという手もあるか。
粉の入った箱と水の入れ物を大量生産しておけば、後はその上に温めたい物をのせるだけでいいしな。
分量を半分にしても弁当一個ぐらいなら加熱できるんじゃないだろうか。
まだまだ改良の余地はあるが、これは面白い装置が出来たかもしれない。
コレさえあれば冷えたご飯も簡単にホカホカになることだろう。
多分。
「コレで本当に温かいお弁当が食べれるならみんな多少高くても買うんじゃないかしら。火も使わないわけだし、濡れた場所でも簡単に使えるんでしょ?」
「そういうことだな。」
「冷めたものを焦げることなく温められるなら、先に大量に作っておいてそれを店先で温めて出すということも出来ますね。もちろん量に制限はありますが、粉と水の分量を増やせば十分対応できるのではないでしょうか。」
「確かに可能ではあるんだが、継続して過熱するには向いてないんだよな。その都度粉を使うとなるとコスパは悪くなる。」
「そうですか。もし可能なら、露店でも色々出来ると思ったのですが。」
「それは俺も考えた。まぁまだまだ試作段階だし、混ぜる材料を変えればもっと効率的に加熱できるかもしれない。まぁ、地道にやるさ。」
現段階でもまだまだ実験段階。
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