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852.転売屋は様子を見に行く
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看板は思いのほか喜ばれ、その日のうちに店外に設置されることになった。
夜の視認性が上がるだけでなく光る看板の物珍しさもあり、いつも以上に集客があったとか。
とはいえ、気になる点もあるんだよな。
透明だからよく見えると思ったんだが、透明過ぎて裏の紋章が透けてしまいよくわからない見た目になってしまっていた。
なるほど、よく考えれば元の世界の看板もほとんどが乳白色だったがコレが理由だったのか。
今後はその点も含めて改良していくとしよう。
とりあえず今度内側を白く塗りに行かないとな。
ちなみに需要はそれなりにありそうで、看板を見た別の店主からいくらで作れるのかと問い合わせがあったらしい。
数は売れそうにないが儲けが出ることに変わりはない。
ゆっくりと対応していくとしよう。
「あれ、リラの姿が無いな。」
「リラちゃんはオリンピア様の手伝いをしに出ています。」
「あぁ、そういえばそんな話も聞いた気がする。」
「大変そうですが、楽しみだって言っていました。」
「そうか。何か気になることを言っていたら遠慮なく教えてくれ、雇い主よりも年の近い友人の方が色々話しやすいだろうから。」
屋敷を歩いていると掃き掃除をしているキルシュを見つけたのだが、その横にリラの姿は無かった。
いつも一緒に仕事をしているので気になったのだが、成程そういう理由だったんだな。
オリンピア様がここに来て三日。
昨日からオリンピア様への指導が始まったらしいのだが、予想以上に大変だったと食堂にいたマリーさんがボヤいているのを聞いた気がする。
まぁ接客素人の王族にいきなり仕事をしろというのがそもそも無理な話なんだが、マリーさんに残された時間が少ないために詰め込み型になるのも無理はない。
しかしながら、王族の支援を受けられ無い事になったオリンピア様には給料をもらう以上しっかりと仕事をしないといけないわけで。
当分はピリピリした感じになるだろうから、しっかりとフォローする必要がある。
その助っ人第一号に選ばれたのがリラというわけだ。
ちなみに、オリンピア様の月給は銀貨30枚。
日給銀貨1枚は、未経験としては破格の待遇だが街の奥様方がそれぐらいで働いているので高すぎるわけでもない。
屋敷の家賃は銀貨10枚。
少し高めの設定だが、食費光熱費込みなので部屋の広さと待遇を考えれば安いぐらいだ。
残った銀貨20枚をどうするかは本人次第って感じだな。
昔の金銭感覚で使うと一瞬でなくなってしまう金額だけに、最初は戸惑う事もあるだろうが長い時間を掛けて覚えてもらうしかない。
生きていくには金がかかるものだ。
今までのように欲しい物を欲しいだけというわけにはいかないからなぁ。
ってことで、自分の仕事を終わらせて様子を見に行くことに。
外から見る感じでは特に混み合っている感じもなさそうだ。
「いったい何をしてるんですか?」
「どのぐらい混み合っているか気になってな。」
「昨日から入られているオリンピアさん、とっても頑張っているみたいですよ。」
「そうかのか?」
「はい!元気もあるし、言葉遣いも丁寧だし、まんまマリアンナさんの妹さんって感じです。」
様子を見に行くといってもいきなり店に行くのもあれなので、モーリスさんの所から様子をうかがっていると中から出てきたアンナさんに注意されてしまった。
不審者丸出しだったんだから当然といえば当然だが、そうか、事情を知らない人から見てもそう見えるのか。
「それは何よりだ。特に問題はないみたいだな。」
「あー、でもそうでもないみたいです。」
「というと?」
「オリンピアさん、すっごい丁寧でお客様の反応もいいみたいなんですけど、あまりお金には強くないみたいで。」
「あー、なるほど。」
「何度もお釣りを間違えたのか、途中でマリアンナさんが外までお客様を見送ってました。あ、でも怒っているとかトラブルになっているとかは無いですよ?」
あわててアンナさんがフォローを入れるが、その場にいないのになんとなく状況がわかってしまった。
なるほど、だからリラが呼ばれたんだな。
彼女なら算術は問題ないし、店の手伝いをしていただけあって帳簿関係もしっかり管理できる。
ただ売るだけが商売じゃないからな。
何を売ってどれぐらい利益を出て、在庫はどのぐらいあるか。
どんな商売であってもこれだけはしっかり把握しておかないといけない。
どんぶり勘定でも出来ないことは無いが、いずれ痛い目を見るだろう。
特に信用が物を言う仕事だけに金銭面ではしっかりとしていないといけない。
「ま、最初なんてそんなもんだろう。」
「私も夫の手伝いをし始めたころはよく間違えていました。」
「ミスは誰でもするものだ。それを繰り返すから怒られるのであって、たまにしても相手に迷惑が掛からない範囲であればどうってことない。」
「でもした方はドキドキですよね。」
「だから周りがフォローするんだよ。それで成長しないならそこまでだが、流石にそこまでひどい人はまれだ。って事で行ってくる。」
「あ!でしたらこれを。」
「ん?」
店を出ようとした所でアンナさんに左手を引っ張られ素早くなんかを握らされる。
これは・・・飴玉?
「さっき買い物に行った時にもらったんです。レレモンの味なのですっきりすると思います。」
「わかった、渡しておく。」
飴玉の数は全部で三つ。
それを手に隣の店へと向かった。
「いらっしゃいませ。あ、お館様。」
「リラ、手伝いご苦労さん。」
「オリンピア様は、今、奥にいます。」
「なら待たせてもらおう。仕事は順調か?」
「ちょっと、大変です。でも、楽しいです。」
「それは何よりだ。」
なんとなく屋敷で見る顔よりも明るい感じがする。
ここに慣れてきたというのもあるかもしれないが、こういう仕事も性に合っているのかもな。
勝手知ったる店を見て回っていると、パタパタという音と共にオリンピア様が裏から姿を現した。
いつものドレスとは違い質素なワンピース姿。
あれには見覚えがある、そうだマリーさんが着ていたやつだ。
若干胸元のサイズは合っていないようだが、カーディガンを羽織ればそういう部分もわからない。
見た目は思ったよりも元気そうだ。
「いらっしゃいませ、シロウ様。」
「リラが世話になっていると聞いてな、挨拶に来た。」
「私が不甲斐ないばかりにリラさんのお力を借りることになってしまい申し訳なく思っています。」
「どうだ、働くって大変だろ?」
「想像の何十倍も気を使います。これに比べれば社交界なんてお遊びみたいなものですね。」
冗談を言えるぐらいには余裕があるみたいだ。
話し方が少し砕けた感じにしているのはマリーさんの教えだろう。
「俺からしてみれば癖のある貴族相手の方が何倍も気を遣うけどな。」
「ふふ、そうは見えませんけど。」
「いやいや、出来れば相手にしたくない。だが、金を持っているのもまた貴族だ。彼ら相手の商売は正直儲かるからな。」
「そのお金がどこから出ているかなんて、今まで考えたことありませんでした。」
「まぁそうだろうな。だが、いざ自分で稼ぐとなると出所がどこか気になるもんなんだよ。汗水たらして命を張って稼いだ金よりももっと多くの金を、当たり前のように使えるのが貴族っていう連中だ。もちろんその中に俺達も含まれているわけだが。」
何も気にせず使っていた金と必死になって稼いだ金。
どちらも同じもののはずなのに、明らかに重さが違うんだよなぁ。
「そのお金を頂くわけですし、もっとしっかり勉強して色々覚えないと。」
「いやいや、そんなことしなくていいぞ。」
「え?」
てっきり励まされるとでも思っていたんだろうか、随分とあどけない顔で驚いている。
うーん、やっぱりまだまだ幼い感じだなぁ。
「何事にも得手不得手ってものがある、いきなり出来ない事をがんばるぐらいなら今できる事を伸ばした方がいい。その為にリラがいるんだ、そうだよな?」
「はい。私はお話が苦手ですけど、計算は得意です。帳簿は任せてください。」
「な?全部一人で出来ないうちは誰かと一緒に頑張ればいい。別にマリーさんも今すぐにすべてできるようになるなんて思っていないさ。まだまだ時間はあるんだ、その時間を有効に使って一人前になればいい。」
「頑張りましょう、オリンピア様。」
「リラさん・・・。」
結成一日目のコンビだが、どうやら相性は悪くないようだ。
お互いに得意とする部分が被っていないから、フォローし合うことが出来るんだろう。
とかなんとか思っていたら、客がやって来た。
すぐにオリンピア様が気付いて声をかける。
俺は邪魔にならない所で様子を見させてもらうとしよう。
まずはにこやかな笑顔で話しかけ、相手の求めているものを確認。
それを後ろで待機するリラに伝え、リラが在庫を見に行く。
その間に表を見ながら相手に値段を伝え、戻ったリラが在庫の有無を伝えるというスムーズな流れ。
うーむ、一日でこれとか本当に相性がいいんだろうなぁ。
数多の貴族とやりあってきた社交界で鍛えられた話術を使うオリンピア様と、裏方に回って相手をサポートするのを得意とするリラ。
その後もひっきりなしに客はやって来たが、二人は息の合った連携でその全てを問題無くさばいて見せた。
「すごいですね。」
「あぁ、見事なもんだ。」
途中でお腹を抱えたマリーさんが様子を見に来たのだが、手助けをする必要も無く二人でその様子を静かに見守る。
これだけ仕事が出来ればマリーさんも安心して休める事だろう。
いよいよ臨月。
新たに産まれてくる命は楽しみなんだけども、その後を考えるとちょっとなぁ。
ほら、後ろにいる人が娘二人と孫の様子を見に王都から出てきかねない。
でもまぁこの感じなら自信を持ってお披露目できるだろう。
今後の二人の活躍に期待だな。
「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃい、ませ。」
その日は夕方まで客足が途絶える事は無く、夕焼けに染まりながらクタクタながら満足そうな顔で店を閉める二人の姿がみられたそうだ。
夜の視認性が上がるだけでなく光る看板の物珍しさもあり、いつも以上に集客があったとか。
とはいえ、気になる点もあるんだよな。
透明だからよく見えると思ったんだが、透明過ぎて裏の紋章が透けてしまいよくわからない見た目になってしまっていた。
なるほど、よく考えれば元の世界の看板もほとんどが乳白色だったがコレが理由だったのか。
今後はその点も含めて改良していくとしよう。
とりあえず今度内側を白く塗りに行かないとな。
ちなみに需要はそれなりにありそうで、看板を見た別の店主からいくらで作れるのかと問い合わせがあったらしい。
数は売れそうにないが儲けが出ることに変わりはない。
ゆっくりと対応していくとしよう。
「あれ、リラの姿が無いな。」
「リラちゃんはオリンピア様の手伝いをしに出ています。」
「あぁ、そういえばそんな話も聞いた気がする。」
「大変そうですが、楽しみだって言っていました。」
「そうか。何か気になることを言っていたら遠慮なく教えてくれ、雇い主よりも年の近い友人の方が色々話しやすいだろうから。」
屋敷を歩いていると掃き掃除をしているキルシュを見つけたのだが、その横にリラの姿は無かった。
いつも一緒に仕事をしているので気になったのだが、成程そういう理由だったんだな。
オリンピア様がここに来て三日。
昨日からオリンピア様への指導が始まったらしいのだが、予想以上に大変だったと食堂にいたマリーさんがボヤいているのを聞いた気がする。
まぁ接客素人の王族にいきなり仕事をしろというのがそもそも無理な話なんだが、マリーさんに残された時間が少ないために詰め込み型になるのも無理はない。
しかしながら、王族の支援を受けられ無い事になったオリンピア様には給料をもらう以上しっかりと仕事をしないといけないわけで。
当分はピリピリした感じになるだろうから、しっかりとフォローする必要がある。
その助っ人第一号に選ばれたのがリラというわけだ。
ちなみに、オリンピア様の月給は銀貨30枚。
日給銀貨1枚は、未経験としては破格の待遇だが街の奥様方がそれぐらいで働いているので高すぎるわけでもない。
屋敷の家賃は銀貨10枚。
少し高めの設定だが、食費光熱費込みなので部屋の広さと待遇を考えれば安いぐらいだ。
残った銀貨20枚をどうするかは本人次第って感じだな。
昔の金銭感覚で使うと一瞬でなくなってしまう金額だけに、最初は戸惑う事もあるだろうが長い時間を掛けて覚えてもらうしかない。
生きていくには金がかかるものだ。
今までのように欲しい物を欲しいだけというわけにはいかないからなぁ。
ってことで、自分の仕事を終わらせて様子を見に行くことに。
外から見る感じでは特に混み合っている感じもなさそうだ。
「いったい何をしてるんですか?」
「どのぐらい混み合っているか気になってな。」
「昨日から入られているオリンピアさん、とっても頑張っているみたいですよ。」
「そうかのか?」
「はい!元気もあるし、言葉遣いも丁寧だし、まんまマリアンナさんの妹さんって感じです。」
様子を見に行くといってもいきなり店に行くのもあれなので、モーリスさんの所から様子をうかがっていると中から出てきたアンナさんに注意されてしまった。
不審者丸出しだったんだから当然といえば当然だが、そうか、事情を知らない人から見てもそう見えるのか。
「それは何よりだ。特に問題はないみたいだな。」
「あー、でもそうでもないみたいです。」
「というと?」
「オリンピアさん、すっごい丁寧でお客様の反応もいいみたいなんですけど、あまりお金には強くないみたいで。」
「あー、なるほど。」
「何度もお釣りを間違えたのか、途中でマリアンナさんが外までお客様を見送ってました。あ、でも怒っているとかトラブルになっているとかは無いですよ?」
あわててアンナさんがフォローを入れるが、その場にいないのになんとなく状況がわかってしまった。
なるほど、だからリラが呼ばれたんだな。
彼女なら算術は問題ないし、店の手伝いをしていただけあって帳簿関係もしっかり管理できる。
ただ売るだけが商売じゃないからな。
何を売ってどれぐらい利益を出て、在庫はどのぐらいあるか。
どんな商売であってもこれだけはしっかり把握しておかないといけない。
どんぶり勘定でも出来ないことは無いが、いずれ痛い目を見るだろう。
特に信用が物を言う仕事だけに金銭面ではしっかりとしていないといけない。
「ま、最初なんてそんなもんだろう。」
「私も夫の手伝いをし始めたころはよく間違えていました。」
「ミスは誰でもするものだ。それを繰り返すから怒られるのであって、たまにしても相手に迷惑が掛からない範囲であればどうってことない。」
「でもした方はドキドキですよね。」
「だから周りがフォローするんだよ。それで成長しないならそこまでだが、流石にそこまでひどい人はまれだ。って事で行ってくる。」
「あ!でしたらこれを。」
「ん?」
店を出ようとした所でアンナさんに左手を引っ張られ素早くなんかを握らされる。
これは・・・飴玉?
「さっき買い物に行った時にもらったんです。レレモンの味なのですっきりすると思います。」
「わかった、渡しておく。」
飴玉の数は全部で三つ。
それを手に隣の店へと向かった。
「いらっしゃいませ。あ、お館様。」
「リラ、手伝いご苦労さん。」
「オリンピア様は、今、奥にいます。」
「なら待たせてもらおう。仕事は順調か?」
「ちょっと、大変です。でも、楽しいです。」
「それは何よりだ。」
なんとなく屋敷で見る顔よりも明るい感じがする。
ここに慣れてきたというのもあるかもしれないが、こういう仕事も性に合っているのかもな。
勝手知ったる店を見て回っていると、パタパタという音と共にオリンピア様が裏から姿を現した。
いつものドレスとは違い質素なワンピース姿。
あれには見覚えがある、そうだマリーさんが着ていたやつだ。
若干胸元のサイズは合っていないようだが、カーディガンを羽織ればそういう部分もわからない。
見た目は思ったよりも元気そうだ。
「いらっしゃいませ、シロウ様。」
「リラが世話になっていると聞いてな、挨拶に来た。」
「私が不甲斐ないばかりにリラさんのお力を借りることになってしまい申し訳なく思っています。」
「どうだ、働くって大変だろ?」
「想像の何十倍も気を使います。これに比べれば社交界なんてお遊びみたいなものですね。」
冗談を言えるぐらいには余裕があるみたいだ。
話し方が少し砕けた感じにしているのはマリーさんの教えだろう。
「俺からしてみれば癖のある貴族相手の方が何倍も気を遣うけどな。」
「ふふ、そうは見えませんけど。」
「いやいや、出来れば相手にしたくない。だが、金を持っているのもまた貴族だ。彼ら相手の商売は正直儲かるからな。」
「そのお金がどこから出ているかなんて、今まで考えたことありませんでした。」
「まぁそうだろうな。だが、いざ自分で稼ぐとなると出所がどこか気になるもんなんだよ。汗水たらして命を張って稼いだ金よりももっと多くの金を、当たり前のように使えるのが貴族っていう連中だ。もちろんその中に俺達も含まれているわけだが。」
何も気にせず使っていた金と必死になって稼いだ金。
どちらも同じもののはずなのに、明らかに重さが違うんだよなぁ。
「そのお金を頂くわけですし、もっとしっかり勉強して色々覚えないと。」
「いやいや、そんなことしなくていいぞ。」
「え?」
てっきり励まされるとでも思っていたんだろうか、随分とあどけない顔で驚いている。
うーん、やっぱりまだまだ幼い感じだなぁ。
「何事にも得手不得手ってものがある、いきなり出来ない事をがんばるぐらいなら今できる事を伸ばした方がいい。その為にリラがいるんだ、そうだよな?」
「はい。私はお話が苦手ですけど、計算は得意です。帳簿は任せてください。」
「な?全部一人で出来ないうちは誰かと一緒に頑張ればいい。別にマリーさんも今すぐにすべてできるようになるなんて思っていないさ。まだまだ時間はあるんだ、その時間を有効に使って一人前になればいい。」
「頑張りましょう、オリンピア様。」
「リラさん・・・。」
結成一日目のコンビだが、どうやら相性は悪くないようだ。
お互いに得意とする部分が被っていないから、フォローし合うことが出来るんだろう。
とかなんとか思っていたら、客がやって来た。
すぐにオリンピア様が気付いて声をかける。
俺は邪魔にならない所で様子を見させてもらうとしよう。
まずはにこやかな笑顔で話しかけ、相手の求めているものを確認。
それを後ろで待機するリラに伝え、リラが在庫を見に行く。
その間に表を見ながら相手に値段を伝え、戻ったリラが在庫の有無を伝えるというスムーズな流れ。
うーむ、一日でこれとか本当に相性がいいんだろうなぁ。
数多の貴族とやりあってきた社交界で鍛えられた話術を使うオリンピア様と、裏方に回って相手をサポートするのを得意とするリラ。
その後もひっきりなしに客はやって来たが、二人は息の合った連携でその全てを問題無くさばいて見せた。
「すごいですね。」
「あぁ、見事なもんだ。」
途中でお腹を抱えたマリーさんが様子を見に来たのだが、手助けをする必要も無く二人でその様子を静かに見守る。
これだけ仕事が出来ればマリーさんも安心して休める事だろう。
いよいよ臨月。
新たに産まれてくる命は楽しみなんだけども、その後を考えるとちょっとなぁ。
ほら、後ろにいる人が娘二人と孫の様子を見に王都から出てきかねない。
でもまぁこの感じなら自信を持ってお披露目できるだろう。
今後の二人の活躍に期待だな。
「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃい、ませ。」
その日は夕方まで客足が途絶える事は無く、夕焼けに染まりながらクタクタながら満足そうな顔で店を閉める二人の姿がみられたそうだ。
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