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818.転売屋は賭けを提供する
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さて、こいつをどうするか。
店の倉庫に積み上げられた大量の売れ残りを前に俺は大きなため息をついた。
金額としてはたかが知れている。
なのでダンジョンに捨てに行っても別に構わない。
構わないんだが、俺の勿体ない精神がそれを許さない。
「どうしますか?」
「それを考えているんだが、流行は去ったからなぁ。」
「遊ぶ分には楽しいんですけど、この量ですから。」
「だなぁ。ガキ共に与えてはみたもののすぐに飽きて他の事し始めるし。」
「モニカちゃんの所は皆お仕事してますから、子供っていう感じとはちょっと違いますよね。」
畑仕事だけでなく配達業やデリバリー業など多岐にわたってアクティブに動き回っているだけに、確かに普通の子供とは違うよな。
特に金儲けの大事さを教えてやってからはそっちに目覚めてしまったやつらもいるし。
元が貧しかったからこそ、お金に対しての執着はすごい。
モニカは何も言わないがどこかで教え方を間違ってしまっただろうか。
「とりあえず何とかするからもう少し置いといてくれ。」
「倉庫に空きはあるので大丈夫なんですが、中身が・・・。」
「あー、酸化するんだよなぁ。」
そう、無機物と違って長期間保存するのには向いていない。
まだ大丈夫だが、あと一か月以内にはこれ全部が使えなくなってしまうだろう。
それまでに何とかしてやらないと・・・。
「ま、何とかなるさ。今日の食事会は参加するのか?」
「はい!一角亭ですよね。」
「還年祭を前に内輪だけで労をねぎらおうって話らしい。企画したのはエリザだが、出産前に少しだけ騒ぎたいみたいだから付き合ってやってくれ。」
「今日はお鍋かな。それともお肉かな。」
「両方出てくると思うぞ、いっぱい食べろよ。」
「はい!」
エリザもそろそろ臨月。
大きなおなかを抱えながらも食欲は依然暴走中。
とはいえ、生まれてしまうと中々自由に動けなくなるので今のうちに騒いでしまいたいんだとか。
還年祭でも騒ぎはするが、気の知れた面々の方が気楽という事なんだろう。
「それじゃあ後はよろしく。」
「え、今日はお店じゃないんですか?」
「アグリに呼ばれたんだよ。」
「そうだったんですね、こっちはお任せください。」
「おぅ、よろしく。」
メルディももう一人前の買取屋になったなぁ。
鑑定はできないが持ち前の記憶力でおおよその素材は把握出来るようになっている。
ミラに渡したような指輪が見つかればいいんだが、世の中そんなに上手くいかないようだ。
上手くいかないと言えばマリーさんの店もそうだろう。
かなりお腹が大きくなり、そろそろ無理が出来なくなってきている。
にもかかわらず化粧品関係の仕事は多く、中々休む暇がないそうだ。
とはいえ、高額な品を扱うだけに適当な人を雇うわけにもいかず更には専門知識もいっそう必要っていうね。
こっちも近々に何とかしないと。
人材不足は深刻だなぁ。
「シロウ様、お呼びだしして申し訳ありません。」
「急ぎの用なんだろ、どうした?」
「実は・・・。」
何とも言いにくそうな感じで話し始めたアグリだったが、話を聞く限り確かにそれは呼び出し案件だな。
「賭け事なぁ。」
「土地柄致し方ないのは分かっています。幸い痛い目を見る前ですし、私も若い頃は色々とやりましたから様子を見ているのですが妻が随分と心配していまして。」
「気持ちはわかる、俺も子供が嵌ったら同じことを思うだろう。とはいえ禁止すれば余計ムキになる年頃だし、様子を見つつある程度の制限をかけるしかないだろうなぁ。因みに何にはまっているんだ?」
「カードです。まだ遊び程度ですが、性格的にムキになってしまうので。」
それなら十分に抜け出す事が出来そうだ。
俺も若い頃は麻雀やらなんやらと嵌ったものだが、結局は勝てないようになってるんだよなぁ。
あれは程々にやるから面白いのであって嵌れば間違いなく身を亡ぼす。
とはいえ、やめろと言って簡単にやめられるものでもないし。
ふむ、賭け事か。
一番簡単なのは手痛く負けることだが、もう一つは飽きることなんだよな。
「なら一つ手を打ってみるか。」
「何か出来るんですか?」
「出来るというかなんというか。ようは別の遊びを広めればいいんだろ?それなら考えがある。」
「よろしくお願いします。」
さてさて、勝手にやってもいいんだが事が事だけに一応確認はしておいた方がいいだろう。
その辺の法律とか決まりに関しては詳しくないんだよなぁ。
今まで似たようなことをやって咎められていないって事は特に問題ないとは思うんだが。
「え、賭け事ですか?」
「まぁそれに近い物なんだが特に問題なかったよな?冒険者だって好きにやってるし。」
「まぁ揉め事にならないのであれば多少は目を瞑っていますけど、わざわざ聞きに来たのシロウさんが初めてですよ。」
「これでも気を使ってるんだよ。一応まだ街とは良好な関係でいたいんでね。」
「では、具体的にお聞きしても?」
お墨付きを得た方が後々便利なので受け入れてもらえるのはありがたい。
全てはアグリの息子の為、ではなく自分の為だけどな。
「面白いことを考えますね。これ、お酒だけではなく別のやり方でも構いませんか?」
「というと?」
「当てたら食料品や薬が貰えるとしたら皆さんに喜ばれるかと。」
あくまでも賭け事ではなく飲みながらの遊びって感じなんだがなぁ。
面白いかもしれないが公平をつかさどるギルド協会がそれをやるのはどうなんだ?
「参加費を取ると賭け事にならないか?」
「あくまでも還年祭限定という事にすれば盛り上がりそうだなと思ったんです。参加費は意思確認みたいなものですよ。」
「あくまでも賭け事ではなく当て物ってことか。」
「そうです。スリング大会だけでもいいんですがそれでは参加できない人もいますから。気軽に参加出来て当たれば大きい、お祭り感覚で楽しめそうです。」
「俺は別に構わないが、仮にそれが賭け事になってもいいんだな?」
「いいんじゃないですか?普段冒険者がやってるのに比べたら可愛いものですよ。もっとも、あくまでも少額ならですけど。」
「よし、言質は取った。ちなみに俺のお勧めは現物ではなく時間、そうだな王都観光とかどうだ?向こうまでの足は俺のツテで用意できるぞ。」
「それいいですね、めったに行かない場所だからこそ盛り上がると。流石シロウさん。」
「もちろん俺が参加してもいいんだろ?」
「喜んで。」
観光はどうでもいいが貰えるものは貰いたい貧乏性。
冒険者ギルドとかを巻き込んで武器とか薬とかを提供させれば冒険者の参加も見込めるんじゃないだろうか。
まぁこっちはおまけみたいなものだし羊男に丸投げでいいだろう。
それよりも許可を得たわけだし、早速使売り込みをかけるか。
「で、俺の所に来たと。」
「マスターの店じゃ賭け事禁止だったっけ?」
「別に禁止はしてないが、うるさい奴は追い出すだけだ。」
「そこまで盛り上がることはないと思うが、どうする?」
どうすると聞かれ腕を組みしばし考えるマスター。
賭け事と言えば酒場。
もっとも、今回は賭けというよりも遊びの方だけどな。
「小銭を巻き上げるのには興味はないが、それで酒が売れるのなら文句はない。」
「外れたら火酒を一気飲みってな感じなら売れるだろうさ。」
「そりゃいい、高い酒をふっかけてやるか。」
別に金を絡ませる必要はない、使い方や遊び方はいくらでもあるんだからその都度自分たちでアレンジしていけばいいだろう。
「やり方は簡単だ。ランニングバードの卵をグラスに入れてミミクリーワームの体液をかけて色を変え、それを当てるだけ。どこでもできるし、お湯があればリセットできるから何度だって出来る。別に卵じゃなくても石像とかでも面白いかもしれないぞ。」
「ミミクリーワームの体液か。前にお前が買い漁ってたやつだろ。」
「良く知ってるじゃないか。」
「それをこんな遊びに利用するとは、考えたな。」
「原価も安いしそれで酒が売れれば儲けもんだろ?」
「で、お前は在庫が掃けると。」
まぁそれが目的だからな。
まずはここから流行らせて、他の店でも使ってもらえばすぐに在庫はなくなるはず。
これが賭け事に発展する可能性は十分にあるが、色の変化が完全ランダムなだけに当てるのは非常に難しい。
誰も正解者がいなければ胴元の総取りになってしまうから、参加者はすぐに面白くなくなってやめてしまうだろう。
となると賭けではなく別の遊びを考えるはず。
回数が増えれば俺の在庫が売れていく。
店への卸値は銅貨15枚。
それを高いと感じるかはその店次第だが、銅貨15枚の投資で複数人が酒を頼めば十分に元は取れる計算になっている。
酒が進めばツマミも売れる。
盛り上がればさらに売れる。
で、俺の在庫が売れていく(二回目)。
「どうする?」
「とりあえず100回分後払いでなら考えてやらんこともない。」
「わかった。」
「よっぽど切羽詰まってるんだな。」
「使用期限があるからな、使ってくれるならなんでもいい。」
「次からはもう少し考えて仕入れろよ。」
言われなくてもそのつもりだ。
こうして俺考案の賭け事、もとい遊びはマスターの店から少しずつ広がり始めた。
さらにはギルド協会から感謝祭最終日の遊びも発表される。
『色を当てて王都に行こう!』と銘打たれたお遊びは、参加費の安さもあって街のほぼ全員が参加するお祭り騒ぎとなった。
ルールは若干複雑化されているが、そこそこの当選率で誰もが何かを持って帰れるような感じにしているらしい。
さすが公平をつかさどるギルド協会。
その辺は抜かりないようだ。
そして俺の在庫も少しずつ減っている。
このまま今月中に無くなってくれるとありがたいんだがなぁ。
マジで次からは気を付けないと、そう強く誓うのだった。
店の倉庫に積み上げられた大量の売れ残りを前に俺は大きなため息をついた。
金額としてはたかが知れている。
なのでダンジョンに捨てに行っても別に構わない。
構わないんだが、俺の勿体ない精神がそれを許さない。
「どうしますか?」
「それを考えているんだが、流行は去ったからなぁ。」
「遊ぶ分には楽しいんですけど、この量ですから。」
「だなぁ。ガキ共に与えてはみたもののすぐに飽きて他の事し始めるし。」
「モニカちゃんの所は皆お仕事してますから、子供っていう感じとはちょっと違いますよね。」
畑仕事だけでなく配達業やデリバリー業など多岐にわたってアクティブに動き回っているだけに、確かに普通の子供とは違うよな。
特に金儲けの大事さを教えてやってからはそっちに目覚めてしまったやつらもいるし。
元が貧しかったからこそ、お金に対しての執着はすごい。
モニカは何も言わないがどこかで教え方を間違ってしまっただろうか。
「とりあえず何とかするからもう少し置いといてくれ。」
「倉庫に空きはあるので大丈夫なんですが、中身が・・・。」
「あー、酸化するんだよなぁ。」
そう、無機物と違って長期間保存するのには向いていない。
まだ大丈夫だが、あと一か月以内にはこれ全部が使えなくなってしまうだろう。
それまでに何とかしてやらないと・・・。
「ま、何とかなるさ。今日の食事会は参加するのか?」
「はい!一角亭ですよね。」
「還年祭を前に内輪だけで労をねぎらおうって話らしい。企画したのはエリザだが、出産前に少しだけ騒ぎたいみたいだから付き合ってやってくれ。」
「今日はお鍋かな。それともお肉かな。」
「両方出てくると思うぞ、いっぱい食べろよ。」
「はい!」
エリザもそろそろ臨月。
大きなおなかを抱えながらも食欲は依然暴走中。
とはいえ、生まれてしまうと中々自由に動けなくなるので今のうちに騒いでしまいたいんだとか。
還年祭でも騒ぎはするが、気の知れた面々の方が気楽という事なんだろう。
「それじゃあ後はよろしく。」
「え、今日はお店じゃないんですか?」
「アグリに呼ばれたんだよ。」
「そうだったんですね、こっちはお任せください。」
「おぅ、よろしく。」
メルディももう一人前の買取屋になったなぁ。
鑑定はできないが持ち前の記憶力でおおよその素材は把握出来るようになっている。
ミラに渡したような指輪が見つかればいいんだが、世の中そんなに上手くいかないようだ。
上手くいかないと言えばマリーさんの店もそうだろう。
かなりお腹が大きくなり、そろそろ無理が出来なくなってきている。
にもかかわらず化粧品関係の仕事は多く、中々休む暇がないそうだ。
とはいえ、高額な品を扱うだけに適当な人を雇うわけにもいかず更には専門知識もいっそう必要っていうね。
こっちも近々に何とかしないと。
人材不足は深刻だなぁ。
「シロウ様、お呼びだしして申し訳ありません。」
「急ぎの用なんだろ、どうした?」
「実は・・・。」
何とも言いにくそうな感じで話し始めたアグリだったが、話を聞く限り確かにそれは呼び出し案件だな。
「賭け事なぁ。」
「土地柄致し方ないのは分かっています。幸い痛い目を見る前ですし、私も若い頃は色々とやりましたから様子を見ているのですが妻が随分と心配していまして。」
「気持ちはわかる、俺も子供が嵌ったら同じことを思うだろう。とはいえ禁止すれば余計ムキになる年頃だし、様子を見つつある程度の制限をかけるしかないだろうなぁ。因みに何にはまっているんだ?」
「カードです。まだ遊び程度ですが、性格的にムキになってしまうので。」
それなら十分に抜け出す事が出来そうだ。
俺も若い頃は麻雀やらなんやらと嵌ったものだが、結局は勝てないようになってるんだよなぁ。
あれは程々にやるから面白いのであって嵌れば間違いなく身を亡ぼす。
とはいえ、やめろと言って簡単にやめられるものでもないし。
ふむ、賭け事か。
一番簡単なのは手痛く負けることだが、もう一つは飽きることなんだよな。
「なら一つ手を打ってみるか。」
「何か出来るんですか?」
「出来るというかなんというか。ようは別の遊びを広めればいいんだろ?それなら考えがある。」
「よろしくお願いします。」
さてさて、勝手にやってもいいんだが事が事だけに一応確認はしておいた方がいいだろう。
その辺の法律とか決まりに関しては詳しくないんだよなぁ。
今まで似たようなことをやって咎められていないって事は特に問題ないとは思うんだが。
「え、賭け事ですか?」
「まぁそれに近い物なんだが特に問題なかったよな?冒険者だって好きにやってるし。」
「まぁ揉め事にならないのであれば多少は目を瞑っていますけど、わざわざ聞きに来たのシロウさんが初めてですよ。」
「これでも気を使ってるんだよ。一応まだ街とは良好な関係でいたいんでね。」
「では、具体的にお聞きしても?」
お墨付きを得た方が後々便利なので受け入れてもらえるのはありがたい。
全てはアグリの息子の為、ではなく自分の為だけどな。
「面白いことを考えますね。これ、お酒だけではなく別のやり方でも構いませんか?」
「というと?」
「当てたら食料品や薬が貰えるとしたら皆さんに喜ばれるかと。」
あくまでも賭け事ではなく飲みながらの遊びって感じなんだがなぁ。
面白いかもしれないが公平をつかさどるギルド協会がそれをやるのはどうなんだ?
「参加費を取ると賭け事にならないか?」
「あくまでも還年祭限定という事にすれば盛り上がりそうだなと思ったんです。参加費は意思確認みたいなものですよ。」
「あくまでも賭け事ではなく当て物ってことか。」
「そうです。スリング大会だけでもいいんですがそれでは参加できない人もいますから。気軽に参加出来て当たれば大きい、お祭り感覚で楽しめそうです。」
「俺は別に構わないが、仮にそれが賭け事になってもいいんだな?」
「いいんじゃないですか?普段冒険者がやってるのに比べたら可愛いものですよ。もっとも、あくまでも少額ならですけど。」
「よし、言質は取った。ちなみに俺のお勧めは現物ではなく時間、そうだな王都観光とかどうだ?向こうまでの足は俺のツテで用意できるぞ。」
「それいいですね、めったに行かない場所だからこそ盛り上がると。流石シロウさん。」
「もちろん俺が参加してもいいんだろ?」
「喜んで。」
観光はどうでもいいが貰えるものは貰いたい貧乏性。
冒険者ギルドとかを巻き込んで武器とか薬とかを提供させれば冒険者の参加も見込めるんじゃないだろうか。
まぁこっちはおまけみたいなものだし羊男に丸投げでいいだろう。
それよりも許可を得たわけだし、早速使売り込みをかけるか。
「で、俺の所に来たと。」
「マスターの店じゃ賭け事禁止だったっけ?」
「別に禁止はしてないが、うるさい奴は追い出すだけだ。」
「そこまで盛り上がることはないと思うが、どうする?」
どうすると聞かれ腕を組みしばし考えるマスター。
賭け事と言えば酒場。
もっとも、今回は賭けというよりも遊びの方だけどな。
「小銭を巻き上げるのには興味はないが、それで酒が売れるのなら文句はない。」
「外れたら火酒を一気飲みってな感じなら売れるだろうさ。」
「そりゃいい、高い酒をふっかけてやるか。」
別に金を絡ませる必要はない、使い方や遊び方はいくらでもあるんだからその都度自分たちでアレンジしていけばいいだろう。
「やり方は簡単だ。ランニングバードの卵をグラスに入れてミミクリーワームの体液をかけて色を変え、それを当てるだけ。どこでもできるし、お湯があればリセットできるから何度だって出来る。別に卵じゃなくても石像とかでも面白いかもしれないぞ。」
「ミミクリーワームの体液か。前にお前が買い漁ってたやつだろ。」
「良く知ってるじゃないか。」
「それをこんな遊びに利用するとは、考えたな。」
「原価も安いしそれで酒が売れれば儲けもんだろ?」
「で、お前は在庫が掃けると。」
まぁそれが目的だからな。
まずはここから流行らせて、他の店でも使ってもらえばすぐに在庫はなくなるはず。
これが賭け事に発展する可能性は十分にあるが、色の変化が完全ランダムなだけに当てるのは非常に難しい。
誰も正解者がいなければ胴元の総取りになってしまうから、参加者はすぐに面白くなくなってやめてしまうだろう。
となると賭けではなく別の遊びを考えるはず。
回数が増えれば俺の在庫が売れていく。
店への卸値は銅貨15枚。
それを高いと感じるかはその店次第だが、銅貨15枚の投資で複数人が酒を頼めば十分に元は取れる計算になっている。
酒が進めばツマミも売れる。
盛り上がればさらに売れる。
で、俺の在庫が売れていく(二回目)。
「どうする?」
「とりあえず100回分後払いでなら考えてやらんこともない。」
「わかった。」
「よっぽど切羽詰まってるんだな。」
「使用期限があるからな、使ってくれるならなんでもいい。」
「次からはもう少し考えて仕入れろよ。」
言われなくてもそのつもりだ。
こうして俺考案の賭け事、もとい遊びはマスターの店から少しずつ広がり始めた。
さらにはギルド協会から感謝祭最終日の遊びも発表される。
『色を当てて王都に行こう!』と銘打たれたお遊びは、参加費の安さもあって街のほぼ全員が参加するお祭り騒ぎとなった。
ルールは若干複雑化されているが、そこそこの当選率で誰もが何かを持って帰れるような感じにしているらしい。
さすが公平をつかさどるギルド協会。
その辺は抜かりないようだ。
そして俺の在庫も少しずつ減っている。
このまま今月中に無くなってくれるとありがたいんだがなぁ。
マジで次からは気を付けないと、そう強く誓うのだった。
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※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。
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