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801.転売屋は耳栓を削り出す
しおりを挟む「シロウさん、助けてください!」
「生憎うちは金貸しじゃない、他所を当たれ。」
「いや、そういうんじゃなくて。」
「なんだ違うのか。」
「耳栓持ってませんか!?」
は?耳栓?
いや、そもそもなんでそういうのを求めてうちに来るんだよ。
ここは買取屋でなんでも屋じゃねぇんだぞ、そういうのは・・・どこで買うんだ?
雑貨屋?は違うだろうし、じゃあドラッグストアってこの世界にはないわけで。
薬局代わりのアネットはもちろん持ってないだろう。
そもそも耳栓ってなんのカテゴリーになるんだ?
日用品?雑貨?それとも衣料品?
うーん、わからん。
ともかくそんなものはうちにはない。
飛び込んできた冒険者には悪いが他を当たってもらうしかないな。
「悪いがうちにはない。」
「そうですか・・・。」
「そもそもなんでそんなものがいるんだ?仲間のイビキがうるさいのか?」
「違いますよ、スクリームバットが大量発生したんです。」
「あー、あのうるさい奴。」
「岩塩の採掘場で巣が見つかったらしくて、しかもそれにちょっかいを出した馬鹿がいたんですよ。おかげで討伐が終わるまで採掘は中止です。」
スクリームバットは羽を広げると2mを超える中々に大きな蝙蝠だ。
特徴は名前にもある叫び声。
耳を劈く高周波は魔法すらかき消すと言われており、それが群れを成すとそれはもう大変なことにあんるのは想像に容易い。
しかも発生場所は岩塩採掘場とくれば、そこら中に反響しまくって鼓膜なんて余裕で破れてしまうだろう。
でもなぁ、叫び声を増幅する喉袋は頑丈で色々と使い道があるんだよなぁ。
買取価格もそれなりにするし、狩れればそれなりの儲けになる。
この辺じゃあまり使わないが王都では需要が多いらしく輸出すればここの倍で以上で売れる。
定期的に荷をやり取りしていると輸送費が掛からないだけに右から左に転がすだけでウハウハなんだよなぁ。
それだけでなく採掘中止は日常生活に支障が出る話だ。
だからこそ、ギルドも本腰を入れて対応することだろう。
それに乗らない理由はないのだが、耳栓なぁ。
すぐに思いつくのはスポンジなんだが、生憎とそういった物が思いつかない。
ヘチマ的な物では穴が大きすぎるので、耳に詰めることはできても音は通り抜けてしまうだろう。
かといって粘土を流し込むわけにもいかないわけで。
何かいいものないもんか。
「ただいまー、シロウきいた?」
「スクリームバットが大量発生したって?」
「なんだ知ってたんだ。」
「生憎と耳栓はないぞ、他所を当たれ。」
「それは分かってるけど、何もしないの?」
冒険者と入れ違うようにしてエリザが店にやってきた。
急激にお腹が大きくなり、今ではお腹を抱えるようにして歩いている。
出産予定日は13月。
臨月にはまだ早いんだが、でかすぎないか?
「何かしたくても使えそうな物がないんじゃ集めようがないだろ。」
「耳栓かぁ、マンドラゴラを捕まえるときにも使うけど、あれって他の音一切入ってこないから困るのよね。」
「何を使うんだ?」
「え、スライム。」
「マジかよ。」
「まぁ、ジェリースライムの断片だけどあれにピンを刺しておけば抜く時にも困らないのよね。でもスクリームバットだと音の振動で勝手に抜け出ちゃうからしっかり蓋出来るやつじゃないとダメなの。」
なるほど、高周波振動で中から出てきてしまう感じか。
なら、中で膨張するような感じでしっかり耳穴とフィットする奴がいいだろう。
とはいえ下手に膨らませて外耳道が傷んでも困るわけで。
程よい膨張感と滑りにくさとなると、ゴムっぽい感じになるのか。
「ねぇ、話は変わるんだけど採石の代用品にって回収したロックゴーレムってどこに置いてるの?」
「あれなら裏庭に置いてるぞ。」
「使えそう?」
「そうだな、クッション材をはがすのが面倒だがそれをすればしっかり使えそうだ。あれって固定召喚なんだっけ。」
「そうよ、遺跡に入ると連動するように発生するの。」
「その性質を利用して量産、問題は搬出だがレールを敷くって話が出てるんだったな。」
いちいち労働者を護衛しながらも大変なので、いっそのことレールを敷いて冒険者自身が搬出しようって話が出ているんだよなぁ確か。
まぁ、ダンジョンに砦を築くぐらいだし改造するのは問題ないんだろうけど。
金のない初心者からすればありがたい話だし、体力の有り余っている連中だから戦力としては申し分ないだろう。
問題があるとすればパーツをつないでいるクッション材。
スムーズに動くように作られているんだが、伸縮性もあり引っ張ってもなかなか取れない。
少しずつ切れ目を入れてはがす必要があるだけに量産するのであれば効率化が求められそうだ。
「鉱山で使っているのをそのまま流用する話になってるけど、どこの鉱山から持ってくるのかしらね。」
「さぁなぁ。」
「まぁ、そんなことよりも今は耳栓よ。何かいいものないかしら。」
そんなに大きなため息をついてもいい案なんて浮かばな・・・。
ん?
「エリザ、ちょっと手伝え。」
「え、お店は?」
「いいからこっち来い。」
強引に裏庭に呼び出して端っこに積みあがったロックゴーレムの足の前に立つ。
1.5m四方の綺麗な正方形が2つずれる事なく重なっている。
その間には黒いクッション材が挟まっており、そいつが緩衝材と潤滑財として動くことで滑らかな動きを実現しているそうだ。
「これがどうしたの?」
「隙間の奴を切り取るから持ち上げてくれ。」
「え、普通逆じゃない?身重なんですけど。」
「それでも俺よりも力があるだろ、腹に力を入れるな腕力で行け腕力で。」
「もぉ、産まれたらどうするのよ。」
どうするって言われても、気合で産むな。
まだ早い。
なんだかんだ言いながらクッション材の隙間に指を差し込み、気合と共に力を入れる。
すると、僅かにだが隙間ができた。
素早く短剣を差し込んで緩衝材を切り取る。
『ロックゴーレムのクッション剤。ロックゴーレムの関節を保持し動きを滑らかにする。体全体の重さを支えるため非常に丈夫だが、動きを阻害しないよう柔らかい素材で作られている。最近の平均取引価格は銅貨28枚、最安値銅貨10枚、最高値銅貨43枚。最終取引日は89日前と記録されています。』
「もういいぞ。」
「アーーー、重かった!」
「ご苦労さん。」
「で、私とこの子がこんなに苦労したんだからもちろん意味があるのよね。」
「ん-、っとこんな感じで。どうだ?」
切り出した緩衝材を小さく加工して見覚えのある形に加工する。
先は細く、お尻は太めにして取り出しやすいように切れ込みも入れておく。
それをエリザの耳に差し込んでやった。
「ん?」
「おーい、エリザ。」
「え、なに聞こえない!」
「やいばーかばーか、この脳筋。」
「あ、今悪口言ったでしょ!」
なんでバレたんだろうか。
あ、口の形で判別したのか。
口元を抑え再度同じことを言ってみるも反応はなし。
よしよし。
切れ込みに指を突っ込んでスポッと抜いてやる。
痛がる様子はなしっと。
「どうだった?」
「すごいわ、全然聞こえなかった。」
「痛みはなかったか?」
「入れるときくすぐったかったけど、中で膨らんで蓋された感じだった。」
「予想通り、これは使えそうだな。」
想像通りの仕上がりに思わず笑みがこぼれてしまう。
これを使えば耳栓問題も解決、安心して獲物と戦えるだろう。
ついでに岩塩問題も解決で皆ウハウハってな。
「じゃあ売りに出すの?」
「いや、これはギルドに提供する。」
「え、なんで?売った方が儲かるじゃない。」
「そりゃ今は俺しか持っていないから言い値で売れるだろうが所詮は耳栓、売れてもせいぜい銀貨3枚がいいところだ。それならギルドに恩を売って別の部分でもうけを出した方が美味い。」
「なるほどね。」
「ってことで交渉しに行くぞ。」
生活必需品の岩塩が絡んでいるとなるとギルドも早急に対処せざるを得ない。
そこに解決策を持ち込めば間違いなく俺の要求は通るだろう。
余程ひどいものでなければだが、俺にだって常識ぐらいはあるさ。
スクリームバットの喉袋を俺が全部買い占めるだけ、それで普通の生活は戻ってくるんだから安い物だろ?
もちろんギルドが先に買い付けて、俺がギルドから買い付けるから向こうにも少額ながら利益は入る。
もっとも、俺はその数倍の利益を出すからその程度安いものだ。
そもそも耳栓の原価なんてゼロみたいなものだしな。
「え、私も行くの?」
「当たり前だろ。出産まではギルド職員なんだから、お前が来ないと意味ないだろ。」
「別にニアがいればいいじゃない。」
「相手がニアだったら問題ないが、他の職員だった場合はいた方が助かる。」
ギルド職員は元冒険者がほとんどだ。
さらにはエリザのファンっていう冒険者も多い。
ニアが相手なら話は早いし問題ないんだが、そうでない場合はどうしても決済に時間がかかるし、なにより買取価格に勢いがない。
やはり俺が買取屋だからだろう。
同業者ならまだしも、その辺は一線を引いてしまう。
その点エリザがいると同じ冒険者っていう安心感があるし、なにより自分が崇拝している人物の発言ってことで甘さが出る。
金になるのなら身内だって遠慮なく使わせてもらうさ。
「私がいるからって何も変わらないわよ。」
「まぁそういうなって、散歩だと思って付き合え。」
「お店はどうするのよ。」
「それよりもスクリームバットを何とかする方が先だろ。」
「そうだけどさぁ。」
まだ納得しないエリザを引きずるようにして向かうは冒険者ギルド・・・って、大事な物忘れそうになった。
耳栓耳栓。
これがないと始まらない。
さぁ、儲け話を始めようじゃないか。
「生憎うちは金貸しじゃない、他所を当たれ。」
「いや、そういうんじゃなくて。」
「なんだ違うのか。」
「耳栓持ってませんか!?」
は?耳栓?
いや、そもそもなんでそういうのを求めてうちに来るんだよ。
ここは買取屋でなんでも屋じゃねぇんだぞ、そういうのは・・・どこで買うんだ?
雑貨屋?は違うだろうし、じゃあドラッグストアってこの世界にはないわけで。
薬局代わりのアネットはもちろん持ってないだろう。
そもそも耳栓ってなんのカテゴリーになるんだ?
日用品?雑貨?それとも衣料品?
うーん、わからん。
ともかくそんなものはうちにはない。
飛び込んできた冒険者には悪いが他を当たってもらうしかないな。
「悪いがうちにはない。」
「そうですか・・・。」
「そもそもなんでそんなものがいるんだ?仲間のイビキがうるさいのか?」
「違いますよ、スクリームバットが大量発生したんです。」
「あー、あのうるさい奴。」
「岩塩の採掘場で巣が見つかったらしくて、しかもそれにちょっかいを出した馬鹿がいたんですよ。おかげで討伐が終わるまで採掘は中止です。」
スクリームバットは羽を広げると2mを超える中々に大きな蝙蝠だ。
特徴は名前にもある叫び声。
耳を劈く高周波は魔法すらかき消すと言われており、それが群れを成すとそれはもう大変なことにあんるのは想像に容易い。
しかも発生場所は岩塩採掘場とくれば、そこら中に反響しまくって鼓膜なんて余裕で破れてしまうだろう。
でもなぁ、叫び声を増幅する喉袋は頑丈で色々と使い道があるんだよなぁ。
買取価格もそれなりにするし、狩れればそれなりの儲けになる。
この辺じゃあまり使わないが王都では需要が多いらしく輸出すればここの倍で以上で売れる。
定期的に荷をやり取りしていると輸送費が掛からないだけに右から左に転がすだけでウハウハなんだよなぁ。
それだけでなく採掘中止は日常生活に支障が出る話だ。
だからこそ、ギルドも本腰を入れて対応することだろう。
それに乗らない理由はないのだが、耳栓なぁ。
すぐに思いつくのはスポンジなんだが、生憎とそういった物が思いつかない。
ヘチマ的な物では穴が大きすぎるので、耳に詰めることはできても音は通り抜けてしまうだろう。
かといって粘土を流し込むわけにもいかないわけで。
何かいいものないもんか。
「ただいまー、シロウきいた?」
「スクリームバットが大量発生したって?」
「なんだ知ってたんだ。」
「生憎と耳栓はないぞ、他所を当たれ。」
「それは分かってるけど、何もしないの?」
冒険者と入れ違うようにしてエリザが店にやってきた。
急激にお腹が大きくなり、今ではお腹を抱えるようにして歩いている。
出産予定日は13月。
臨月にはまだ早いんだが、でかすぎないか?
「何かしたくても使えそうな物がないんじゃ集めようがないだろ。」
「耳栓かぁ、マンドラゴラを捕まえるときにも使うけど、あれって他の音一切入ってこないから困るのよね。」
「何を使うんだ?」
「え、スライム。」
「マジかよ。」
「まぁ、ジェリースライムの断片だけどあれにピンを刺しておけば抜く時にも困らないのよね。でもスクリームバットだと音の振動で勝手に抜け出ちゃうからしっかり蓋出来るやつじゃないとダメなの。」
なるほど、高周波振動で中から出てきてしまう感じか。
なら、中で膨張するような感じでしっかり耳穴とフィットする奴がいいだろう。
とはいえ下手に膨らませて外耳道が傷んでも困るわけで。
程よい膨張感と滑りにくさとなると、ゴムっぽい感じになるのか。
「ねぇ、話は変わるんだけど採石の代用品にって回収したロックゴーレムってどこに置いてるの?」
「あれなら裏庭に置いてるぞ。」
「使えそう?」
「そうだな、クッション材をはがすのが面倒だがそれをすればしっかり使えそうだ。あれって固定召喚なんだっけ。」
「そうよ、遺跡に入ると連動するように発生するの。」
「その性質を利用して量産、問題は搬出だがレールを敷くって話が出てるんだったな。」
いちいち労働者を護衛しながらも大変なので、いっそのことレールを敷いて冒険者自身が搬出しようって話が出ているんだよなぁ確か。
まぁ、ダンジョンに砦を築くぐらいだし改造するのは問題ないんだろうけど。
金のない初心者からすればありがたい話だし、体力の有り余っている連中だから戦力としては申し分ないだろう。
問題があるとすればパーツをつないでいるクッション材。
スムーズに動くように作られているんだが、伸縮性もあり引っ張ってもなかなか取れない。
少しずつ切れ目を入れてはがす必要があるだけに量産するのであれば効率化が求められそうだ。
「鉱山で使っているのをそのまま流用する話になってるけど、どこの鉱山から持ってくるのかしらね。」
「さぁなぁ。」
「まぁ、そんなことよりも今は耳栓よ。何かいいものないかしら。」
そんなに大きなため息をついてもいい案なんて浮かばな・・・。
ん?
「エリザ、ちょっと手伝え。」
「え、お店は?」
「いいからこっち来い。」
強引に裏庭に呼び出して端っこに積みあがったロックゴーレムの足の前に立つ。
1.5m四方の綺麗な正方形が2つずれる事なく重なっている。
その間には黒いクッション材が挟まっており、そいつが緩衝材と潤滑財として動くことで滑らかな動きを実現しているそうだ。
「これがどうしたの?」
「隙間の奴を切り取るから持ち上げてくれ。」
「え、普通逆じゃない?身重なんですけど。」
「それでも俺よりも力があるだろ、腹に力を入れるな腕力で行け腕力で。」
「もぉ、産まれたらどうするのよ。」
どうするって言われても、気合で産むな。
まだ早い。
なんだかんだ言いながらクッション材の隙間に指を差し込み、気合と共に力を入れる。
すると、僅かにだが隙間ができた。
素早く短剣を差し込んで緩衝材を切り取る。
『ロックゴーレムのクッション剤。ロックゴーレムの関節を保持し動きを滑らかにする。体全体の重さを支えるため非常に丈夫だが、動きを阻害しないよう柔らかい素材で作られている。最近の平均取引価格は銅貨28枚、最安値銅貨10枚、最高値銅貨43枚。最終取引日は89日前と記録されています。』
「もういいぞ。」
「アーーー、重かった!」
「ご苦労さん。」
「で、私とこの子がこんなに苦労したんだからもちろん意味があるのよね。」
「ん-、っとこんな感じで。どうだ?」
切り出した緩衝材を小さく加工して見覚えのある形に加工する。
先は細く、お尻は太めにして取り出しやすいように切れ込みも入れておく。
それをエリザの耳に差し込んでやった。
「ん?」
「おーい、エリザ。」
「え、なに聞こえない!」
「やいばーかばーか、この脳筋。」
「あ、今悪口言ったでしょ!」
なんでバレたんだろうか。
あ、口の形で判別したのか。
口元を抑え再度同じことを言ってみるも反応はなし。
よしよし。
切れ込みに指を突っ込んでスポッと抜いてやる。
痛がる様子はなしっと。
「どうだった?」
「すごいわ、全然聞こえなかった。」
「痛みはなかったか?」
「入れるときくすぐったかったけど、中で膨らんで蓋された感じだった。」
「予想通り、これは使えそうだな。」
想像通りの仕上がりに思わず笑みがこぼれてしまう。
これを使えば耳栓問題も解決、安心して獲物と戦えるだろう。
ついでに岩塩問題も解決で皆ウハウハってな。
「じゃあ売りに出すの?」
「いや、これはギルドに提供する。」
「え、なんで?売った方が儲かるじゃない。」
「そりゃ今は俺しか持っていないから言い値で売れるだろうが所詮は耳栓、売れてもせいぜい銀貨3枚がいいところだ。それならギルドに恩を売って別の部分でもうけを出した方が美味い。」
「なるほどね。」
「ってことで交渉しに行くぞ。」
生活必需品の岩塩が絡んでいるとなるとギルドも早急に対処せざるを得ない。
そこに解決策を持ち込めば間違いなく俺の要求は通るだろう。
余程ひどいものでなければだが、俺にだって常識ぐらいはあるさ。
スクリームバットの喉袋を俺が全部買い占めるだけ、それで普通の生活は戻ってくるんだから安い物だろ?
もちろんギルドが先に買い付けて、俺がギルドから買い付けるから向こうにも少額ながら利益は入る。
もっとも、俺はその数倍の利益を出すからその程度安いものだ。
そもそも耳栓の原価なんてゼロみたいなものだしな。
「え、私も行くの?」
「当たり前だろ。出産まではギルド職員なんだから、お前が来ないと意味ないだろ。」
「別にニアがいればいいじゃない。」
「相手がニアだったら問題ないが、他の職員だった場合はいた方が助かる。」
ギルド職員は元冒険者がほとんどだ。
さらにはエリザのファンっていう冒険者も多い。
ニアが相手なら話は早いし問題ないんだが、そうでない場合はどうしても決済に時間がかかるし、なにより買取価格に勢いがない。
やはり俺が買取屋だからだろう。
同業者ならまだしも、その辺は一線を引いてしまう。
その点エリザがいると同じ冒険者っていう安心感があるし、なにより自分が崇拝している人物の発言ってことで甘さが出る。
金になるのなら身内だって遠慮なく使わせてもらうさ。
「私がいるからって何も変わらないわよ。」
「まぁそういうなって、散歩だと思って付き合え。」
「お店はどうするのよ。」
「それよりもスクリームバットを何とかする方が先だろ。」
「そうだけどさぁ。」
まだ納得しないエリザを引きずるようにして向かうは冒険者ギルド・・・って、大事な物忘れそうになった。
耳栓耳栓。
これがないと始まらない。
さぁ、儲け話を始めようじゃないか。
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