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799.転売屋はクリームを塗る
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「あ、痛!」
「どうした?」
昼食後、自主的に食器を片づけていると後からやってきたミラが慌てて手を引っ込めた。
よく見ると手の至る所がガサガサになって赤くはれている。
前はそうでもなかったはずだが、寒さのせいだろうか。
「随分荒れているな、薬はどうした。」
「一応塗ってはいるんですけど、あまり効果がなくて。」
「洗い物は俺がするからそこ置いておけ、アネットはどこにいる?」
「呼びましたか?」
「ミラの手を見てやってくれ。薬は塗っているみたいだがあまり効果なさそうだ。」
「わかりました。ミラ様、こっちに。」
申し訳なさそうに食器を置いてミラがアネットの所へ向かう。
寒さでなったというよりも、頻繁に手を洗って荒れたっていう感じだな。
妊娠がわかってからかなりの頻度で手を洗ったり消毒したりしてるし、そのせいだろう。
気持ちはわかるが、やりすぎは禁物。
サクッと洗い物を済ませて二人の所へ戻ると、何やら軟膏的な物を塗ってもらっている。
「どんな感じだ?」
「手の水分がなくなってしまって荒れていたようです、手洗い消毒のしすぎですね。」
「何事も過ぎたるは及ばざるが如しててやつか。」
「どういうことですか?」
「やりすぎ注意って事だよ。」
痛々しいミラの手をそっと撫でてやると再び申し訳なさそうな顔をする。
いや、怒っているんじゃないんだからそんな顔しなくても。
「気を付けてはいるんですけど。」
「気持ちはわかるけどな。で、それ塗れば大丈夫なのか?」
「ディープシャークの脂から保湿力の高い成分だけを抽出したクリームなので、この上から手袋をしておけば一晩である程度はマシになります。後は定期的に塗り込むか、寝る前に塗り込んで同じく手袋で取れないようにするのがいいでしょう。」
「流石薬師、頼りになるな。」
「えへへ、ありがとうございます。」
しかし保湿力の高いクリームか、冬は手荒れの時期だし需要は多そうな感じだが気になるのは匂いだな。
アネットには申し訳ないが少々くさい。
なんだろう、アンモニア臭?
本当に微かではあるんだがあまりいい匂いではない。
手袋をすればマシだから何とかなっているって感じだ。
「ディープシャークってのはサメの魔物だよな。」
「はい、海の特に深い部分に生息しているんですが満月の日にだけ浅い部分まで上がってくるのでそれを狙って捕まえるのが一般的です。肉はすごい脂がある上に臭くて食べられないんですけど、脂がお肌にいいので港の方では一般的に使われています。ダンジョンにもいますよ、確か。」
「マジか。」
「一角がいるぐらいですから。」
そういえばあいつも肉は独特のにおいがしていたな。
あの時はカレーに入れたが今回はさすがに無理そうだ。
それよりも気になるのは保湿成分の方、せめてあの臭いをどうにかできれば売れると思うんだが。
うーむ。
「何が気になりますか?」
「ん、あぁ。売れそうなんだが、臭いが気になるな。ミラはどう思う?」
「確かに少し気になります。今は大丈夫ですが、悪阻の時期はだめかもしれません。」
「作るときも結構臭いんですよね、私は慣れちゃいましたけど、せめてもっと果物のような匂いだったらいいのに。ボンバーオレンジとかレレモンとか、サッパリした香りだとつけていても嫌にならないんだけどなぁ。」
どうしたもんかと悩んでいるとミラが心配そうな顔で俺を見てくる。
確かにあの臭いは敏感になっている時期にはきついよなぁ。
その点柑橘系の香りは化粧水で受けれ入れられているだけに、万人受けするだろう。
そういえばサメ系の肉はクエン酸で臭いを消すんだったか。
いや思い出した、サメじゃなくてアンモニアだ。
トイレの臭い消しにクエン酸を使うのはアンモニアの臭いを中和するのに相性がいいからと製薬会社のCMか何かで見たことがある。
つまりこの臭いもクエン酸を加えれば中和できる。
そして、それにもってこいの物が俺達の手元にあるじゃないか。
「アネット、これは簡単に作れるのか?」
「成分を抽出して温めた蜜蝋と混ぜれば簡単にできますよ。」
「蜜蝋か、ってことはまたシロップさんにお願いすれば問題ないな。」
「え、作るんですか?」
「ただ作るだけじゃなくこいつにパックで使ってるレレモンの濃縮液を入れるのはどうだ?固まりにくくなるかもしれないが匂いは良くなるだろう。ってのが素人なりの考えなんだが、どう思う?」
「入れる量にもよりますが、固まりにくいのは蜜蝋を増やせば何とか。そっか、濃縮液がありましたね。」
「美容成分入りのハンドクリーム、冬の手荒れに一缶いかがってな。」
ニヤリと笑う俺を見て二人もまたニヤリと笑う。
美容製品は女性の関心が高い。
特にこの時期の手荒れは否応なしにも起きてしまうので、それに対処できるかもしれないとなればすぐに飛びついてくれるだろう。
もちろん作製できることが大前提だが、アネットの感じでは出来るような感じだ。
という事なので、早速材料をそろえようじゃないか。
まずはディープシャークの脂、それからシロップさんの蜜蝋。
満月でもないのにサメを確保できるかはいささか不安だが、まぁ依頼を出すだけ出して他で買う手もある。
なるようになるってやつだ。
試作品はアネットに任せてミラと一緒に外出する。
もちろん向かうのは冒険者ギルドだが、途中で二手に分かれてミラには婦人会に向かってもらった。
市場調査は商売の基本。
売れもしないものを作る意味はないからな、本当に困っているかしっかり確認しないと。
まぁ調べる必要もないかもしれないが。
幸いな事にダンジョン内海に出ていた冒険者が戻ってきていたようで、一角などと一緒にディープシャークも捕獲されていた。
『ディープシャークの脂。深海を泳ぐディープシャークの体には、水圧から身を守るべく多量の脂が含まれている。その脂は独特の臭いを発する為食用には向かないが、脂に含まれる成分が肌に優しい為漁師に愛用されている。最近の平均取引価格は銀貨15枚。最安値銀貨10枚、最高値銀貨20枚。最終取引日は昨日と記録されています。』
どうよこの俺の持ってる感。
素材が自分から集まってきたみたいじゃないか。
もちろんギルドが買い付けた分をその場で俺が買わせてもらい、巨大なサメと角を荷車で引きながら屋敷に戻った。
正直無茶苦茶重たかったがこれも金の為。てね
「さぁ、荒れた手にサッとひと塗りするだけでお肌がつるつるになるクリームだ。そこの奥さんちょっと試していかないか。」
「え、私?」
「この時期の水仕事はすぐに手が荒れるだろ?ほらやっぱり、これだけ荒れると痛いよなぁ。」
「そうなのよね、でも仕方ないわよ。」
「そう、仕方ない。だがこれを塗ればそんな気持ちが少しでもなくなる魔法のクリームだ。ちょっと手を借りるぞ。」
興味を示した奥様を生贄もとい実験台になって貰って、クリームを人差し指で軽く取り手の甲に塗り込んでいく。
当初はかなり硬めのクリームだったが、レレモンの濃縮液を入れることでやはり柔らかくなってしまった。
とはいえ、元の世界で見ていた市販のクリームと同じ程度なのでベタベタにもならず塗り込むとすぐに肌に吸収される。
なんだっけ、尿素だっけ?
そんなのが保湿力の向上に役立つらしくそれがサメの脂に含まれているらしい。
「どうだ、サッと塗るだけですぐに肌に吸い込まれるんだ。塗ってない方の手と比べてみてくれ。」
「本当だ、ガサガサじゃなくなってる!」
「本当は塗ってからしばらく置くとより馴染むんだが、生活しているとそういうわけにはいかないだろ?だから寝るときにこれをしっかり塗って風蜥蜴の被膜を巻いて寝るといい。使わない手袋でも効果的だ、ベッドが汚れるのは困るだろ?」
「そうね、それなら私にもできそうだわ。」
「今話題のパックに使われているのと同じレレモンの成分入りだから安心してもらっていい。今なら一つ銀貨5枚の所を銀貨3枚二つで銀貨5枚で販売してる。どうだ?」
「二本買うわ!」
「毎度あり!」
クリームの効果は絶大で、奥様は喜んで二本買って帰っていった。
銀貨20枚で買った一匹のサメから回収できた成分は100本分。
それにシロップさんの蜜蝋が100人分で銀貨10枚。
濃縮液は流用品だが、値段だけで言えば100人分で銀貨10枚ぐらいか。
入れ物代も含めて100人分で原価は銀貨50枚、仮に100本全部二本ずつ売れたとして50セットなので売上金は金貨2.5枚になる。
割引しても金貨2枚の儲け。
うーん、ぼろ儲けと言ってもいいんじゃないだろうか。
これができるのも濃縮液があってこそだが、気づかせてくれたミラとアネットのおかげだな。
ちなみにミラの手はわずか一晩で見違えるように回復した。
効果は身内で確認済み。
さて、他の客がどんな反応するかだが・・・。
「シロウさん!今の何!?」
「パックと同じ成分ってどういうこと!」
「私にも二つ頂戴!」
「ずるい、私が先よ!」
少し離れた所で様子を見ていた奥様方が我先にと露店に群がってきた。
よし、食いついた。
化粧水やパックという下地が出来上がっているおかげで、こういった品に拒否感なく食いついてくれるのは間違いなさそうだ。
わずか数分で用意した100本すべて完売。
買えなかった奥様方から文句を言われてしまったがもちろんアフターフォローも忘れない。
優先購入券を手渡し、予約という形で納得してもらうことになっている。
量産するにしてもサメが上がってこなければ作るに作れない。
脂から成分を抽出するのはさほど難しくないので、冒険者への報酬を増額して数を集めてもいいかもしれないな。
問題があるとすれば抽出時の臭いがかなりきついこと。
屋敷で作るとアネットの製薬室が大変なことになるので、畑に小屋でもつくってそこで作業する必要がありそうだ。
時期的なものだがこれは売れる。
入れ物や成分にこだわれば時期が過ぎても売れるだろう。
手荒れは水仕事をする人とは切っても切れない関係だ。
女性だけでなく男性にも売れる商材だけに既存のクリームももちろんあるが、うちは化粧品関係の素材で一歩抜きんでている。
この知名度をしっかり生かして稼がせてもらうとしよう。
人の不満は金儲けのチャンスとよく言ったものだが、まさにその通りになったなぁ。
そんなことを考えながら、温かくなった懐に満足するのだった。
「どうした?」
昼食後、自主的に食器を片づけていると後からやってきたミラが慌てて手を引っ込めた。
よく見ると手の至る所がガサガサになって赤くはれている。
前はそうでもなかったはずだが、寒さのせいだろうか。
「随分荒れているな、薬はどうした。」
「一応塗ってはいるんですけど、あまり効果がなくて。」
「洗い物は俺がするからそこ置いておけ、アネットはどこにいる?」
「呼びましたか?」
「ミラの手を見てやってくれ。薬は塗っているみたいだがあまり効果なさそうだ。」
「わかりました。ミラ様、こっちに。」
申し訳なさそうに食器を置いてミラがアネットの所へ向かう。
寒さでなったというよりも、頻繁に手を洗って荒れたっていう感じだな。
妊娠がわかってからかなりの頻度で手を洗ったり消毒したりしてるし、そのせいだろう。
気持ちはわかるが、やりすぎは禁物。
サクッと洗い物を済ませて二人の所へ戻ると、何やら軟膏的な物を塗ってもらっている。
「どんな感じだ?」
「手の水分がなくなってしまって荒れていたようです、手洗い消毒のしすぎですね。」
「何事も過ぎたるは及ばざるが如しててやつか。」
「どういうことですか?」
「やりすぎ注意って事だよ。」
痛々しいミラの手をそっと撫でてやると再び申し訳なさそうな顔をする。
いや、怒っているんじゃないんだからそんな顔しなくても。
「気を付けてはいるんですけど。」
「気持ちはわかるけどな。で、それ塗れば大丈夫なのか?」
「ディープシャークの脂から保湿力の高い成分だけを抽出したクリームなので、この上から手袋をしておけば一晩である程度はマシになります。後は定期的に塗り込むか、寝る前に塗り込んで同じく手袋で取れないようにするのがいいでしょう。」
「流石薬師、頼りになるな。」
「えへへ、ありがとうございます。」
しかし保湿力の高いクリームか、冬は手荒れの時期だし需要は多そうな感じだが気になるのは匂いだな。
アネットには申し訳ないが少々くさい。
なんだろう、アンモニア臭?
本当に微かではあるんだがあまりいい匂いではない。
手袋をすればマシだから何とかなっているって感じだ。
「ディープシャークってのはサメの魔物だよな。」
「はい、海の特に深い部分に生息しているんですが満月の日にだけ浅い部分まで上がってくるのでそれを狙って捕まえるのが一般的です。肉はすごい脂がある上に臭くて食べられないんですけど、脂がお肌にいいので港の方では一般的に使われています。ダンジョンにもいますよ、確か。」
「マジか。」
「一角がいるぐらいですから。」
そういえばあいつも肉は独特のにおいがしていたな。
あの時はカレーに入れたが今回はさすがに無理そうだ。
それよりも気になるのは保湿成分の方、せめてあの臭いをどうにかできれば売れると思うんだが。
うーむ。
「何が気になりますか?」
「ん、あぁ。売れそうなんだが、臭いが気になるな。ミラはどう思う?」
「確かに少し気になります。今は大丈夫ですが、悪阻の時期はだめかもしれません。」
「作るときも結構臭いんですよね、私は慣れちゃいましたけど、せめてもっと果物のような匂いだったらいいのに。ボンバーオレンジとかレレモンとか、サッパリした香りだとつけていても嫌にならないんだけどなぁ。」
どうしたもんかと悩んでいるとミラが心配そうな顔で俺を見てくる。
確かにあの臭いは敏感になっている時期にはきついよなぁ。
その点柑橘系の香りは化粧水で受けれ入れられているだけに、万人受けするだろう。
そういえばサメ系の肉はクエン酸で臭いを消すんだったか。
いや思い出した、サメじゃなくてアンモニアだ。
トイレの臭い消しにクエン酸を使うのはアンモニアの臭いを中和するのに相性がいいからと製薬会社のCMか何かで見たことがある。
つまりこの臭いもクエン酸を加えれば中和できる。
そして、それにもってこいの物が俺達の手元にあるじゃないか。
「アネット、これは簡単に作れるのか?」
「成分を抽出して温めた蜜蝋と混ぜれば簡単にできますよ。」
「蜜蝋か、ってことはまたシロップさんにお願いすれば問題ないな。」
「え、作るんですか?」
「ただ作るだけじゃなくこいつにパックで使ってるレレモンの濃縮液を入れるのはどうだ?固まりにくくなるかもしれないが匂いは良くなるだろう。ってのが素人なりの考えなんだが、どう思う?」
「入れる量にもよりますが、固まりにくいのは蜜蝋を増やせば何とか。そっか、濃縮液がありましたね。」
「美容成分入りのハンドクリーム、冬の手荒れに一缶いかがってな。」
ニヤリと笑う俺を見て二人もまたニヤリと笑う。
美容製品は女性の関心が高い。
特にこの時期の手荒れは否応なしにも起きてしまうので、それに対処できるかもしれないとなればすぐに飛びついてくれるだろう。
もちろん作製できることが大前提だが、アネットの感じでは出来るような感じだ。
という事なので、早速材料をそろえようじゃないか。
まずはディープシャークの脂、それからシロップさんの蜜蝋。
満月でもないのにサメを確保できるかはいささか不安だが、まぁ依頼を出すだけ出して他で買う手もある。
なるようになるってやつだ。
試作品はアネットに任せてミラと一緒に外出する。
もちろん向かうのは冒険者ギルドだが、途中で二手に分かれてミラには婦人会に向かってもらった。
市場調査は商売の基本。
売れもしないものを作る意味はないからな、本当に困っているかしっかり確認しないと。
まぁ調べる必要もないかもしれないが。
幸いな事にダンジョン内海に出ていた冒険者が戻ってきていたようで、一角などと一緒にディープシャークも捕獲されていた。
『ディープシャークの脂。深海を泳ぐディープシャークの体には、水圧から身を守るべく多量の脂が含まれている。その脂は独特の臭いを発する為食用には向かないが、脂に含まれる成分が肌に優しい為漁師に愛用されている。最近の平均取引価格は銀貨15枚。最安値銀貨10枚、最高値銀貨20枚。最終取引日は昨日と記録されています。』
どうよこの俺の持ってる感。
素材が自分から集まってきたみたいじゃないか。
もちろんギルドが買い付けた分をその場で俺が買わせてもらい、巨大なサメと角を荷車で引きながら屋敷に戻った。
正直無茶苦茶重たかったがこれも金の為。てね
「さぁ、荒れた手にサッとひと塗りするだけでお肌がつるつるになるクリームだ。そこの奥さんちょっと試していかないか。」
「え、私?」
「この時期の水仕事はすぐに手が荒れるだろ?ほらやっぱり、これだけ荒れると痛いよなぁ。」
「そうなのよね、でも仕方ないわよ。」
「そう、仕方ない。だがこれを塗ればそんな気持ちが少しでもなくなる魔法のクリームだ。ちょっと手を借りるぞ。」
興味を示した奥様を生贄もとい実験台になって貰って、クリームを人差し指で軽く取り手の甲に塗り込んでいく。
当初はかなり硬めのクリームだったが、レレモンの濃縮液を入れることでやはり柔らかくなってしまった。
とはいえ、元の世界で見ていた市販のクリームと同じ程度なのでベタベタにもならず塗り込むとすぐに肌に吸収される。
なんだっけ、尿素だっけ?
そんなのが保湿力の向上に役立つらしくそれがサメの脂に含まれているらしい。
「どうだ、サッと塗るだけですぐに肌に吸い込まれるんだ。塗ってない方の手と比べてみてくれ。」
「本当だ、ガサガサじゃなくなってる!」
「本当は塗ってからしばらく置くとより馴染むんだが、生活しているとそういうわけにはいかないだろ?だから寝るときにこれをしっかり塗って風蜥蜴の被膜を巻いて寝るといい。使わない手袋でも効果的だ、ベッドが汚れるのは困るだろ?」
「そうね、それなら私にもできそうだわ。」
「今話題のパックに使われているのと同じレレモンの成分入りだから安心してもらっていい。今なら一つ銀貨5枚の所を銀貨3枚二つで銀貨5枚で販売してる。どうだ?」
「二本買うわ!」
「毎度あり!」
クリームの効果は絶大で、奥様は喜んで二本買って帰っていった。
銀貨20枚で買った一匹のサメから回収できた成分は100本分。
それにシロップさんの蜜蝋が100人分で銀貨10枚。
濃縮液は流用品だが、値段だけで言えば100人分で銀貨10枚ぐらいか。
入れ物代も含めて100人分で原価は銀貨50枚、仮に100本全部二本ずつ売れたとして50セットなので売上金は金貨2.5枚になる。
割引しても金貨2枚の儲け。
うーん、ぼろ儲けと言ってもいいんじゃないだろうか。
これができるのも濃縮液があってこそだが、気づかせてくれたミラとアネットのおかげだな。
ちなみにミラの手はわずか一晩で見違えるように回復した。
効果は身内で確認済み。
さて、他の客がどんな反応するかだが・・・。
「シロウさん!今の何!?」
「パックと同じ成分ってどういうこと!」
「私にも二つ頂戴!」
「ずるい、私が先よ!」
少し離れた所で様子を見ていた奥様方が我先にと露店に群がってきた。
よし、食いついた。
化粧水やパックという下地が出来上がっているおかげで、こういった品に拒否感なく食いついてくれるのは間違いなさそうだ。
わずか数分で用意した100本すべて完売。
買えなかった奥様方から文句を言われてしまったがもちろんアフターフォローも忘れない。
優先購入券を手渡し、予約という形で納得してもらうことになっている。
量産するにしてもサメが上がってこなければ作るに作れない。
脂から成分を抽出するのはさほど難しくないので、冒険者への報酬を増額して数を集めてもいいかもしれないな。
問題があるとすれば抽出時の臭いがかなりきついこと。
屋敷で作るとアネットの製薬室が大変なことになるので、畑に小屋でもつくってそこで作業する必要がありそうだ。
時期的なものだがこれは売れる。
入れ物や成分にこだわれば時期が過ぎても売れるだろう。
手荒れは水仕事をする人とは切っても切れない関係だ。
女性だけでなく男性にも売れる商材だけに既存のクリームももちろんあるが、うちは化粧品関係の素材で一歩抜きんでている。
この知名度をしっかり生かして稼がせてもらうとしよう。
人の不満は金儲けのチャンスとよく言ったものだが、まさにその通りになったなぁ。
そんなことを考えながら、温かくなった懐に満足するのだった。
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【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
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