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784.転売屋は採石場を見学する
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「おぉ、これは中々壮観だな。」
「この採石場は国内でも有数の規模ですから。あ、向こうで大きいのを切り出すみたいですね。」
「近くで見ても大丈夫なのか?」
「切り出しだけでしたら大丈夫ですよ。」
到着した採石場は山肌を大きく削った場所にあり思った以上に広かった。
元の世界と似たような作りなのだが、一番の違いは巨大な重機がいない事だろう。
労働者はたくさんいるが誰もスコップやピッケルなどの工具を持っていない。
強いて言えば軍手ぐらいだろうか。
ポーラさんの後ろに続いてむき出しになった山肌へと近づいていくと、細身の女性が仁王立ちをしてして石の壁を見上げていた。
「これはポーラ様、こんな場所まで良くお越しくださいました。」
「切り出しを見せてもらって構いませんか?」
「もちろんです。えぇとこちらの方は?」
「シロウだ、隣町で買取屋をやっている。しかしどうやって石材を切り出すんだ?工具も何も持っていないようだが。」
「えぇっと、風魔法と土魔法さえあれば切り出しは簡単に出来るんです。」
あ、そういう事。
この世界では重機の代わりに魔法で石を切り出すらしい。
後ろに下がるように言われたので距離を取りその様子を静かに見守る。
すると、その人は胸の前で手を合わせ何やらぶつぶつと呟き始めた。
小さな声なので聴きとれないがどうやら横に立つアニエスさんには聞こえるらしい。
耳がピコピコと動いている。
「何をしているんだ?」
「詠唱しているようです、でも随分と長いですね。」
「長いとよくないのか?」
「いえ、むしろ長い魔法ほど強力になります。」
つまりド派手な何かをしようとしている、そう感じた次の瞬間だった。
突然空中に半透明の巨大な刃の様な何かがが浮かび上がった。
そいつは陽炎のように反対側の景色をもやもやとゆがめているようにも見える。
「風よ、大地を切り裂け!」
そしてそう言い放つと同時にその巨大な何かはまっすぐに岩肌へと飛んでいき、ピシっという劈くような音と同時に上から下に大きな筋をつけた。
遅れてきた突風を重心を低くして何とかやり過ごす。
これまでに冒険者やキキが使う所を何度も見ているが、それとはけた違いの勢いを感じる。
これも魔法なのか。
それを繰り返す事合計4回。
最初は筋のように見えたそれが実は石の壁に突けた切れ目であることに後になって気付いた。
一仕事終えたように見える彼女だが、再びブツブツと詠唱を始める。
最初と同じような長い詠唱。
「大地よ、その岩を押し出せ!」
彼女の声がこちらに届くと同時にゴゴゴゴと地鳴りが響き、足元がグラグラと揺れるのがわかった。
地震。
そう思ったのもつかの間、目の前の壁が轟音と共にこちらに向かってせりだしてきた。
「うぉぉ!」
思わす変な声が出てしまった。
まるで心太のように押し出されたソレは彼女の前でぴたりと止まる。
先程切れ目を入れた部分が石の壁から勝手に出て来たような錯覚すら覚える。
たった一人でこんな巨大な石を切り出すなんて、そりゃ重機なんて要らないだろう。
少し遅れて彼女はこちらの方を向き、自慢げにVサインを向けてきた。
「ね、簡単だったでしょ。」
「何度見てもすごい迫力です。」
「こんなにデカい石を切り出すなんて、魔法ってのは便利なもんだなぁ。」
「後はこれを目的の大きさに切りだせば石材として使えるわけですね。なるほど勉強になります。」
後ろを振り返ると先程見かけた労働者たちが切り出した石材に集まり、彼らもまた魔法を使って器用に小さく切りだしていく。
切り出した物も土魔法か何かで地面を上げたり下げたりしながら器用に運搬していった。
「後は荷車にのせられて港へと運ばれるんです。一般的な石材はここで加工できますが、特殊なものは奥の坑道から切り出すんですよ。」
「特殊なもの?」
「防音石や耐火石なんかですね。」
「そんなものもあるのか。」
「耐火石は主に調理場で、防音石は石牢などで使用されます。見に行かれますか?」
「あー、いやそこまではいい。」
興味はあるが切り出すのは今と同じ感じだろう。
なら切り出された奴を見るだけで十分だ。
耐火石はうちでも使いそうなのであったら便利だとは思うけどな。
そんな話をしているうちに巨大な石材はあっという間に小さく加工され下へ下へと運ばれていった。
なんとまぁ仕事の早い事。
魔法があれば加工も運搬もお手の物って感じだ。
とはいえ、魔法を使って長距離を運ぶのは無理だろうから結局は船を使ってもしくは馬車を使って引いてくることになるんだろうなぁ。
確かにここなら技術もノウハウもあるだろうけど聊か遠すぎる。
それなら近場で切り出して運び出す方が時間も手間も少なくて済むんじゃないだろうか。
「ちなみに採石場ってここにしかないのか?」
「他にもいくつかありますが、我々の街から見ても一番大きくて近いのはここになるかと。」
「ふむ、やっぱりそうか。」
そう簡単には行かないようだ。
過去に何度も石材は手配しているが、やっぱりデカくて重いので距離が開けば開くほどコストがかかる。
ここが一番近いのなら致し方ないだろう。
「確かシロウ様街から見て北の方に採石場があったと聞いたことがありますが、今は閉山しているそうです。」
「ん、そうなのか?」
「働いていた方に聞いた話ですけど、でも大分昔の話だとおもいますよお爺さんとか言ってましたから。」
「閉山か。石材が取れなくなったと考えるのが普通だが、魔物でも出たか?」
「その可能性はあるかもしれませんが、魔物は追い払えば済む話です。その程度で山を放棄するとは思えません。」
「ならやっぱり掘りつくしたか。」
街の北側は街道がないので全くの未開発。
仮に採石場があったとしても運搬するには整備された道が必要なわけで、それを一から作るぐらいならここから手配するのが一番早い。
それか足元で揃えるかだな。
ダンジョン内の素材を流用できればそれに越したことはない。
ロックゴーレムの他にも使えそうな素材があるかもしれないし、それを混ぜながらの方がうちらしいじゃないか。
「よし、とりあえずここの石材と並行してダンジョンでどれだけの素材を回収できるかを確認してから考えよう。そもそもどれだけの拡張するかも決まっていないんだ、今すぐ決める必要も無いさ。」
「では戻りましょうか。」
「あぁ、ポーラさん大変勉強になったありがとう。」
「お力になれて嬉しいです。他に何かしてほしい事はありますか?遠慮なくおっしゃってくださいね!」
「あー、いや、大丈夫だ。とりあえず街に戻ろう。」
「シロウ様の為なら私何でもしますから!」
いや、何でもしますからって言われる方がむしろ怖い。
国王陛下の命令で行われている事もありいつもより大人しめのポーラさんだったが、ここにきて本性を出してきた。
目を輝かせて俺に近づいてくるポーラさんを素早くアニエスさんが間に入りブロックする。
何だよその不満そうな顔は。
「ポーラ様。」
「わ、わかってます冗談です。」
「ご理解頂けて何よりです。今回はあくまでも視察、個人的なやり取りはお控えください。」
「じゃあそれが終わってからならいいんですよね?」
「帰りは陸路での輸送について調べますのでそのお時間はないかもしれませんが。」
「ほ、ほらさっさと戻って続きをしようぜ。次は城壁の改築と畑の拡張についてだったよな。」
険悪なムードになりつつある二人を置いて来た道を戻る。
が、石材を運び出した影響だろうか地面がぬかるんでおり足を取られてしまった。
慌ててバランスを取ろうとするも抵抗むなしくその場に尻もちをついてしまう。
それがあまりにもおかしかったのか、後ろを振り向くと二人が必死に笑いをこらえていた。
ま、まぁ空気が普通に戻ったようで何よりだ。
アニエスさんに引っ張り起こしてもらい、その後は何事もなかったかのように残りを順番にこなしていく。
中身の濃い内容であっという間に時間が過ぎて気づけば夕方。
やっと自由時間が出来たので、最後の最後に駆け込むようにしてあれやこれやと買い付けすることが出来た。
ガレイも色々と買い付けてくれたようだが、やはり遠慮があるからか数は少な目。
まぁそれは仕方はない。
「あっという間だったなぁ。」
「お疲れ様です。」
「石材は何個積めそうだ?」
「一番大きい物であれば最大で10個程度でしょうか。他に荷があるとその量は減ります。」
「そうなるよなぁ。」
最大で10個。
仮に1000個使うとして100往復。
一往復4日として400日。
ただし、これは何も荷物を運ばなかったらの話で半分は荷物を積み込むだろうからその倍はかかる計算になる。
今から毎日フル稼働してもそれが限界。
並行して陸路を使えばもう少し数は増えるが、おそらく石材のほとんどは城壁を作るのに使われることだろう。
となると下水道にはほかの素材を使う必要がある。
それが魔物の素材なのかそれとも別の物になるのかはわからないが、かなりの量を必要とするのは間違いない。
まぁまだ時間はあるしゆっくり考えるとするか。
「帰りは陸路だから荷物だけよろしく頼むな。」
「お任せください、責任をもってお送りします。」
「それと、俺よりも先に屋敷に戻れたら街の北にあったといわれている採石場について調べるようお願いしておいてくれ。」
「採石場ですか。」
「昔あったらしいんだが北側についてはまったく知らないんだ。」
「ではアインにも伝えておきます。」
「そうだな、アインさんなら色々と行き来しているから何か知っているかもしれない。」
閉山したと考えられるがその確認をしたわけじゃない。
選択肢は多い方がいいだろう。
「あ、シロウ様こんな所に!」
「やべ、面倒なのが来たから後は任せた。」
「どうぞお気をつけて。」
どこから俺の場所を嗅ぎつけたのか、ポーラさんがこちらに向かって走ってくる。
捕まると色々と面倒なのでさっさとトンズラするとしよう。
ひとまずゴードンさんの工房に逃げて、それから他の場所へと移動すればまけるはず。
こうして陛下とローランド様より命じられた視察は無事に終了したのだった。
「この採石場は国内でも有数の規模ですから。あ、向こうで大きいのを切り出すみたいですね。」
「近くで見ても大丈夫なのか?」
「切り出しだけでしたら大丈夫ですよ。」
到着した採石場は山肌を大きく削った場所にあり思った以上に広かった。
元の世界と似たような作りなのだが、一番の違いは巨大な重機がいない事だろう。
労働者はたくさんいるが誰もスコップやピッケルなどの工具を持っていない。
強いて言えば軍手ぐらいだろうか。
ポーラさんの後ろに続いてむき出しになった山肌へと近づいていくと、細身の女性が仁王立ちをしてして石の壁を見上げていた。
「これはポーラ様、こんな場所まで良くお越しくださいました。」
「切り出しを見せてもらって構いませんか?」
「もちろんです。えぇとこちらの方は?」
「シロウだ、隣町で買取屋をやっている。しかしどうやって石材を切り出すんだ?工具も何も持っていないようだが。」
「えぇっと、風魔法と土魔法さえあれば切り出しは簡単に出来るんです。」
あ、そういう事。
この世界では重機の代わりに魔法で石を切り出すらしい。
後ろに下がるように言われたので距離を取りその様子を静かに見守る。
すると、その人は胸の前で手を合わせ何やらぶつぶつと呟き始めた。
小さな声なので聴きとれないがどうやら横に立つアニエスさんには聞こえるらしい。
耳がピコピコと動いている。
「何をしているんだ?」
「詠唱しているようです、でも随分と長いですね。」
「長いとよくないのか?」
「いえ、むしろ長い魔法ほど強力になります。」
つまりド派手な何かをしようとしている、そう感じた次の瞬間だった。
突然空中に半透明の巨大な刃の様な何かがが浮かび上がった。
そいつは陽炎のように反対側の景色をもやもやとゆがめているようにも見える。
「風よ、大地を切り裂け!」
そしてそう言い放つと同時にその巨大な何かはまっすぐに岩肌へと飛んでいき、ピシっという劈くような音と同時に上から下に大きな筋をつけた。
遅れてきた突風を重心を低くして何とかやり過ごす。
これまでに冒険者やキキが使う所を何度も見ているが、それとはけた違いの勢いを感じる。
これも魔法なのか。
それを繰り返す事合計4回。
最初は筋のように見えたそれが実は石の壁に突けた切れ目であることに後になって気付いた。
一仕事終えたように見える彼女だが、再びブツブツと詠唱を始める。
最初と同じような長い詠唱。
「大地よ、その岩を押し出せ!」
彼女の声がこちらに届くと同時にゴゴゴゴと地鳴りが響き、足元がグラグラと揺れるのがわかった。
地震。
そう思ったのもつかの間、目の前の壁が轟音と共にこちらに向かってせりだしてきた。
「うぉぉ!」
思わす変な声が出てしまった。
まるで心太のように押し出されたソレは彼女の前でぴたりと止まる。
先程切れ目を入れた部分が石の壁から勝手に出て来たような錯覚すら覚える。
たった一人でこんな巨大な石を切り出すなんて、そりゃ重機なんて要らないだろう。
少し遅れて彼女はこちらの方を向き、自慢げにVサインを向けてきた。
「ね、簡単だったでしょ。」
「何度見てもすごい迫力です。」
「こんなにデカい石を切り出すなんて、魔法ってのは便利なもんだなぁ。」
「後はこれを目的の大きさに切りだせば石材として使えるわけですね。なるほど勉強になります。」
後ろを振り返ると先程見かけた労働者たちが切り出した石材に集まり、彼らもまた魔法を使って器用に小さく切りだしていく。
切り出した物も土魔法か何かで地面を上げたり下げたりしながら器用に運搬していった。
「後は荷車にのせられて港へと運ばれるんです。一般的な石材はここで加工できますが、特殊なものは奥の坑道から切り出すんですよ。」
「特殊なもの?」
「防音石や耐火石なんかですね。」
「そんなものもあるのか。」
「耐火石は主に調理場で、防音石は石牢などで使用されます。見に行かれますか?」
「あー、いやそこまではいい。」
興味はあるが切り出すのは今と同じ感じだろう。
なら切り出された奴を見るだけで十分だ。
耐火石はうちでも使いそうなのであったら便利だとは思うけどな。
そんな話をしているうちに巨大な石材はあっという間に小さく加工され下へ下へと運ばれていった。
なんとまぁ仕事の早い事。
魔法があれば加工も運搬もお手の物って感じだ。
とはいえ、魔法を使って長距離を運ぶのは無理だろうから結局は船を使ってもしくは馬車を使って引いてくることになるんだろうなぁ。
確かにここなら技術もノウハウもあるだろうけど聊か遠すぎる。
それなら近場で切り出して運び出す方が時間も手間も少なくて済むんじゃないだろうか。
「ちなみに採石場ってここにしかないのか?」
「他にもいくつかありますが、我々の街から見ても一番大きくて近いのはここになるかと。」
「ふむ、やっぱりそうか。」
そう簡単には行かないようだ。
過去に何度も石材は手配しているが、やっぱりデカくて重いので距離が開けば開くほどコストがかかる。
ここが一番近いのなら致し方ないだろう。
「確かシロウ様街から見て北の方に採石場があったと聞いたことがありますが、今は閉山しているそうです。」
「ん、そうなのか?」
「働いていた方に聞いた話ですけど、でも大分昔の話だとおもいますよお爺さんとか言ってましたから。」
「閉山か。石材が取れなくなったと考えるのが普通だが、魔物でも出たか?」
「その可能性はあるかもしれませんが、魔物は追い払えば済む話です。その程度で山を放棄するとは思えません。」
「ならやっぱり掘りつくしたか。」
街の北側は街道がないので全くの未開発。
仮に採石場があったとしても運搬するには整備された道が必要なわけで、それを一から作るぐらいならここから手配するのが一番早い。
それか足元で揃えるかだな。
ダンジョン内の素材を流用できればそれに越したことはない。
ロックゴーレムの他にも使えそうな素材があるかもしれないし、それを混ぜながらの方がうちらしいじゃないか。
「よし、とりあえずここの石材と並行してダンジョンでどれだけの素材を回収できるかを確認してから考えよう。そもそもどれだけの拡張するかも決まっていないんだ、今すぐ決める必要も無いさ。」
「では戻りましょうか。」
「あぁ、ポーラさん大変勉強になったありがとう。」
「お力になれて嬉しいです。他に何かしてほしい事はありますか?遠慮なくおっしゃってくださいね!」
「あー、いや、大丈夫だ。とりあえず街に戻ろう。」
「シロウ様の為なら私何でもしますから!」
いや、何でもしますからって言われる方がむしろ怖い。
国王陛下の命令で行われている事もありいつもより大人しめのポーラさんだったが、ここにきて本性を出してきた。
目を輝かせて俺に近づいてくるポーラさんを素早くアニエスさんが間に入りブロックする。
何だよその不満そうな顔は。
「ポーラ様。」
「わ、わかってます冗談です。」
「ご理解頂けて何よりです。今回はあくまでも視察、個人的なやり取りはお控えください。」
「じゃあそれが終わってからならいいんですよね?」
「帰りは陸路での輸送について調べますのでそのお時間はないかもしれませんが。」
「ほ、ほらさっさと戻って続きをしようぜ。次は城壁の改築と畑の拡張についてだったよな。」
険悪なムードになりつつある二人を置いて来た道を戻る。
が、石材を運び出した影響だろうか地面がぬかるんでおり足を取られてしまった。
慌ててバランスを取ろうとするも抵抗むなしくその場に尻もちをついてしまう。
それがあまりにもおかしかったのか、後ろを振り向くと二人が必死に笑いをこらえていた。
ま、まぁ空気が普通に戻ったようで何よりだ。
アニエスさんに引っ張り起こしてもらい、その後は何事もなかったかのように残りを順番にこなしていく。
中身の濃い内容であっという間に時間が過ぎて気づけば夕方。
やっと自由時間が出来たので、最後の最後に駆け込むようにしてあれやこれやと買い付けすることが出来た。
ガレイも色々と買い付けてくれたようだが、やはり遠慮があるからか数は少な目。
まぁそれは仕方はない。
「あっという間だったなぁ。」
「お疲れ様です。」
「石材は何個積めそうだ?」
「一番大きい物であれば最大で10個程度でしょうか。他に荷があるとその量は減ります。」
「そうなるよなぁ。」
最大で10個。
仮に1000個使うとして100往復。
一往復4日として400日。
ただし、これは何も荷物を運ばなかったらの話で半分は荷物を積み込むだろうからその倍はかかる計算になる。
今から毎日フル稼働してもそれが限界。
並行して陸路を使えばもう少し数は増えるが、おそらく石材のほとんどは城壁を作るのに使われることだろう。
となると下水道にはほかの素材を使う必要がある。
それが魔物の素材なのかそれとも別の物になるのかはわからないが、かなりの量を必要とするのは間違いない。
まぁまだ時間はあるしゆっくり考えるとするか。
「帰りは陸路だから荷物だけよろしく頼むな。」
「お任せください、責任をもってお送りします。」
「それと、俺よりも先に屋敷に戻れたら街の北にあったといわれている採石場について調べるようお願いしておいてくれ。」
「採石場ですか。」
「昔あったらしいんだが北側についてはまったく知らないんだ。」
「ではアインにも伝えておきます。」
「そうだな、アインさんなら色々と行き来しているから何か知っているかもしれない。」
閉山したと考えられるがその確認をしたわけじゃない。
選択肢は多い方がいいだろう。
「あ、シロウ様こんな所に!」
「やべ、面倒なのが来たから後は任せた。」
「どうぞお気をつけて。」
どこから俺の場所を嗅ぎつけたのか、ポーラさんがこちらに向かって走ってくる。
捕まると色々と面倒なのでさっさとトンズラするとしよう。
ひとまずゴードンさんの工房に逃げて、それから他の場所へと移動すればまけるはず。
こうして陛下とローランド様より命じられた視察は無事に終了したのだった。
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