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729.転売屋は学校を見に行く
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「増築が終わりましたのでよろしければ一度見に来ていただけませんか?」
珍しく屋敷にやってきたモニカが一通の手紙を差し出す。
あまり上手とは言えない字で、『シロウ様』と書かれた手紙は間違いなくガキ共が書いた奴だろう。
そうか、出来たのか。
「読むのはあとでいいんだよな?」
「はい。一生懸命書きましたので読んであげてください。」
「昔は何もできなかったくせに、今じゃ大人以上に稼いでるやつもいるもんなぁ。」
「これもすべてシロウ様のおかげです。あの子達に働く喜びを教えてくださりありがとうございました。これからは学ぶ喜びも一緒に教えていければと思っています。」
「教師の目途は立ったのか?」
「おかげさまで冒険者ギルドから何人か紹介していただきました。皆さんいい人で、とても頼りになります。」
「冒険者の第二の人生が教師とは、世の中わからないものだ。」
戦うことがすべて。
そんな冒険者の中にも学のある人は結構いる。
騎士団で学んだ人、中流の家庭で生活しながらも食うに困って冒険者になった者、貴族の家を飛び出したようなやつもいるか。
ともかく冒険者ではなく別の生き方を与えられたというのは喜んでいいことなんだろう。
「シロウ様も教壇に立ってくださったらよかったのに。」
「生憎と人にものを教えるほど出来た大人じゃないんでね、そういうのは適した人材にお願いするさ。もちろん金儲けがしたいっていうなら話は別だ、えげつない稼ぎ方を教えてやろうじゃないか。」
「ふふ、もう半分は教えてもらったようなものですけど。」
「それは今の奴らだろう?今後もそこを頼る連中は増える、間違いない。」
「そうですね・・・悲しいことですが。」
冒険者と口で言うのは簡単だが、それは常に死と隣り合わせの仕事だ。
朝まで元気だった奴が、夜には物言わぬ屍になって地上に運ばれてくる。
運んでもらえればまだましな方、魔物に殺され、食われ、犯され、ともかく悲惨な状況になるなんてのは日常茶飯事だ。
これまでなら死んで終わりだったのだが、今や町は空前のベビーブーム。
冒険者が昔に比べると安全に稼げるようになった事で安定した生活が送れるようになり、子供を持つという選択肢が増えた。
何事もなく過ぎれば、子供は大きくなる。
が、それも親が生きていたらの話だ。
さっきも言ったように冒険者は常に死と隣り合わせ。
親が突然いなくなるなんて事が今後は増えていくだろう。
片親がいればまだいい、婦人会なんかの扶助組織がしっかりしてきたからそこを頼れば何とかなる。
だが両親が死んだらどうなる?
誰にも育てられず飢え死にするか、悲惨な生き方しかできないだろう。
そんなガキ共の最後の受け皿がモニカの仕事、孤児院の役割だ。
今まではそこで最小限の食事を与えられ、大きくなることはできた。
が、それだけだ。
手に職を持つわけでも知識を得るわけでもない、ただ大きくなっただけ。
そんなガキ共が出来る仕事といったら親と同じく冒険者になることぐらいだろう。
そして、同じことが繰り返される。
貧しさは何も生まない。
貧しさを跳ね除けることができるのは、それをするためのスキルを持つ奴だけだ。
だから、俺たちはそれを教える場所を作った。
飯を食うだけじゃない。
そこで学び、スキルを身に着け、冒険者以外の選択肢を与えてやることで結果としてこの街の未来が築かれていく。
出ていくやつもいるだろう。
だが生まれ故郷なんてのはなかなか捨てられないものだ。
もしかしたら大きくなって戻ってくるかもしれない。
もしかしたらここで大きな事業を起こすかもしれない。
それは結果として富をもたらす。
子は宝とよく言ったものだよ、本当に。
「だから、増築して学び舎を作ったんだ。新しく入ってきたガキ共に選択肢を与えるために。」
「その通りです。」
「頑張れよ学長。」
「その呼び方にはまだ慣れませんね。」
「ローランド様直々のご使命だ仕方ない。とはいえ、何かあったら遠慮なく言えよ。出来る範囲で手伝ってやる。」
「はい、その時はよろしくお願いします。」
満面の笑みを浮かべたのち、モニカは深々と頭を下げた。
要件はそれだけだったようで、モニカを見送り自室へ戻る。
さて、何が書いてあるのかなっと。
「へぇ、みんな字が上手になったわね。」
「人の手紙を読むのはマナー違反だぞ。」
「いいじゃない、むしろこれはみんなに読んでもらうべきものでしょ。」
「そうだとしてもだ。まったく、ありがとうございましただなんて思ってもないこと書きやがって。」
「本気で言ってるの?」
「それぐらい察しろ。」
「ふふ、知ってる。恥ずかしいのよね。」
「だから察しろ。」
まったくこの女は。
ついこの前までギャーギャー騒ぐだけだったガキだったのになぁ。
子供が大きくなるのは本当に早い。
それをリーシャに当てはめると、何とも言えない気持ちになってしまった。
昔の俺じゃ考えられない感情。
これが親になるという事なんだろう。
「でもうらやましいわ、冒険者の中には自分の名前を書けない人もいるんだから。」
「まじか、名前だぞ。」
「そうよ、田舎から出てきた子なんかは特にね。口で言えば済むことだし、記録とかは別の出来る人がつければいいだけだもの。そうやって何も教えられないまま大きくなって、将来が不安になって冒険者に夢を見る。」
「で、現実に直面する。」
「生きていくには知らないといけない事がたくさんあるけど、それを学びなおすには時間もお金もない。生きていくために必要な事なのにね。」
「計算ができずにカモにされ、文字が読めなくて変な契約書にサインさせられ。世の中悪い奴が多いよなぁ。」
人を食い物にするのが一番楽で儲かる仕事なのはどの世界も同じだ。
元の世界では命を取られる事はほぼなかったが、それでも生き辛くなったのは間違いない。
セーフティーネットがある国で本当に良かったと思っている。
幸いにもお世話になることはなかったが、その寸前までいった身としては生きた心地がしなかった。
しかし、この世界ではそのまま命に直結する。
奴隷として売られる奴がどれだけいることか。
でも、それがこの世界なんだ。
致し方ない。
「シロウはもちろんそんなことをしないけど、でもそれが事実よね。」
「つまり冒険者にも同じことをしろと言いたいのか?」
「そこまではいわないけど、同じことができれば救われる子がたくさんいるのは事実かな。」
「そういうのは直接ギルドに言えよ。」
「言ってるわよ。だから講義してるんじゃない。」
「お前が言ってるのはそれ以前の部分だろ?」
「ううん、その後かしら。」
「その後?」
エリザと俺で見ているビジョンにずれがあるようだ。
『生きるのに必要なことを学んでから冒険者としての知識を身に着ける。』
『冒険者として必要な知識を身に着けてから、生きていくことに必要なことを学ぶ。』
あぁ、なるほどな。
そういうことか。
「生きるには戦わなきゃダメなのか。」
「うん。だから私は生きていく為の知識をあの子達に与えるの。もしそれで生き残れたのなら、もっと生きやすくしてあげたい。まるで母親みたいよね。」
「事実だからな。」
「ほんと、昔の私じゃこんなこと考えもしなかったのに。母親になるってすごいわね。」
不倒のエリザ。
何があっても倒れず、前に進み続ける姿からついた二つ名。
戦って戦って戦って、戦うことで自分を奮い立たせて。
それしか出来なかった不器用なエリザが、自分以外の誰かの為に必要な知識を惜しむことなく与えている。
そもそも冒険者への教育なんて本来ギルドが最初に行わなければならないことなのだが、その余裕すらなかったのが現実なんだろう。
組織を維持するには金がかかる。
誰かを雇えばそれを支払うための金が要る。
同族意識の強い冒険者だけに、よそからそういう人材を入れることをあまりしてこなかったとニアは言っていた。
最近になってそれも変わってきたようだが昔はひどかったんだとさ。
ブラック体質なのはどこも同じだなぁ、まったく。
「で、その母親はどうしたいんだ。聞くだけなら聞いてやる。」
「別にシロウに何かしてとは言わないけど、でも一緒に授業を受けさせてもらえたら喜ぶ人がいるのは事実よ。」
「ガキ共に混じって学ぶのか?」
「学ぶことに年齢なんて関係ないわよ。それを恥ずかしがって嫌がるならその程度ってことでしょ。」
「結構辛辣だな。」
「だって事実だし。強くなる為に手段を択んだり言い訳する子はいつか大けがをするか死ぬわ。」
「その通りだ。」
いつまでも現状維持で行けるなんて不可能だ。
常に状況は変わるし、それを超えるためには知識が必要。
常にアンテナを巡らせ新しいものを吸収し続けることができる人だけが、前に進める。
でもそれができないんだよなぁ、余裕がないと。
その余裕を得るための知識なのに余裕がないという矛盾。
エリザなりにこの街の状況を変えたいという事なんだろう。
それが結果的に、孤児院を利用する子供の減少につながるわけだ。
「わかった、モニカにもその辺話してみる。」
「本当は私やニアがお願いするべきなんだろうけど・・・。」
「気にするな、ついでだ。」
手紙に書かれていたのはガキ共からのお礼、それと学校への招待だ。
『新しくできた学校を見に来てください。』だなんてなぁ。
こんなのもらったら仕事が忙しいからなんて言い訳使えないじゃないか。
そしてそのついでに今の話をモニカにしよう。
学び舎はガキ共だけのものじゃない。
この街に住む全ての住人が使う権利を有している。
もちろん全員が殺到したらどうにもならないが、少数でも利用できるなら利用すればいい。
必要なら教員を増やしたり別に学び舎を作るという手もある。
もっとも、そうなったとしても俺は費用を出したりしないぞ。
そういうのは町の仕事だ、ローランド様やギルド協会が負担するのが筋ってもの。
俺はそれに乗っかって、しっかり儲けさせてもらうさ。
次の日を待たず、俺はモニカを追いかけるように教会へと向かった。
新しい学び舎で俺を迎えてくれたガキ共は、それはそれは輝かしい目をしていたさ。
まぶしいぐらいに。
将来を担う若者よ。
しっかり成長して俺に金を落としてくれ。
なんて事は絶対に口に出せなかったけどな。
珍しく屋敷にやってきたモニカが一通の手紙を差し出す。
あまり上手とは言えない字で、『シロウ様』と書かれた手紙は間違いなくガキ共が書いた奴だろう。
そうか、出来たのか。
「読むのはあとでいいんだよな?」
「はい。一生懸命書きましたので読んであげてください。」
「昔は何もできなかったくせに、今じゃ大人以上に稼いでるやつもいるもんなぁ。」
「これもすべてシロウ様のおかげです。あの子達に働く喜びを教えてくださりありがとうございました。これからは学ぶ喜びも一緒に教えていければと思っています。」
「教師の目途は立ったのか?」
「おかげさまで冒険者ギルドから何人か紹介していただきました。皆さんいい人で、とても頼りになります。」
「冒険者の第二の人生が教師とは、世の中わからないものだ。」
戦うことがすべて。
そんな冒険者の中にも学のある人は結構いる。
騎士団で学んだ人、中流の家庭で生活しながらも食うに困って冒険者になった者、貴族の家を飛び出したようなやつもいるか。
ともかく冒険者ではなく別の生き方を与えられたというのは喜んでいいことなんだろう。
「シロウ様も教壇に立ってくださったらよかったのに。」
「生憎と人にものを教えるほど出来た大人じゃないんでね、そういうのは適した人材にお願いするさ。もちろん金儲けがしたいっていうなら話は別だ、えげつない稼ぎ方を教えてやろうじゃないか。」
「ふふ、もう半分は教えてもらったようなものですけど。」
「それは今の奴らだろう?今後もそこを頼る連中は増える、間違いない。」
「そうですね・・・悲しいことですが。」
冒険者と口で言うのは簡単だが、それは常に死と隣り合わせの仕事だ。
朝まで元気だった奴が、夜には物言わぬ屍になって地上に運ばれてくる。
運んでもらえればまだましな方、魔物に殺され、食われ、犯され、ともかく悲惨な状況になるなんてのは日常茶飯事だ。
これまでなら死んで終わりだったのだが、今や町は空前のベビーブーム。
冒険者が昔に比べると安全に稼げるようになった事で安定した生活が送れるようになり、子供を持つという選択肢が増えた。
何事もなく過ぎれば、子供は大きくなる。
が、それも親が生きていたらの話だ。
さっきも言ったように冒険者は常に死と隣り合わせ。
親が突然いなくなるなんて事が今後は増えていくだろう。
片親がいればまだいい、婦人会なんかの扶助組織がしっかりしてきたからそこを頼れば何とかなる。
だが両親が死んだらどうなる?
誰にも育てられず飢え死にするか、悲惨な生き方しかできないだろう。
そんなガキ共の最後の受け皿がモニカの仕事、孤児院の役割だ。
今まではそこで最小限の食事を与えられ、大きくなることはできた。
が、それだけだ。
手に職を持つわけでも知識を得るわけでもない、ただ大きくなっただけ。
そんなガキ共が出来る仕事といったら親と同じく冒険者になることぐらいだろう。
そして、同じことが繰り返される。
貧しさは何も生まない。
貧しさを跳ね除けることができるのは、それをするためのスキルを持つ奴だけだ。
だから、俺たちはそれを教える場所を作った。
飯を食うだけじゃない。
そこで学び、スキルを身に着け、冒険者以外の選択肢を与えてやることで結果としてこの街の未来が築かれていく。
出ていくやつもいるだろう。
だが生まれ故郷なんてのはなかなか捨てられないものだ。
もしかしたら大きくなって戻ってくるかもしれない。
もしかしたらここで大きな事業を起こすかもしれない。
それは結果として富をもたらす。
子は宝とよく言ったものだよ、本当に。
「だから、増築して学び舎を作ったんだ。新しく入ってきたガキ共に選択肢を与えるために。」
「その通りです。」
「頑張れよ学長。」
「その呼び方にはまだ慣れませんね。」
「ローランド様直々のご使命だ仕方ない。とはいえ、何かあったら遠慮なく言えよ。出来る範囲で手伝ってやる。」
「はい、その時はよろしくお願いします。」
満面の笑みを浮かべたのち、モニカは深々と頭を下げた。
要件はそれだけだったようで、モニカを見送り自室へ戻る。
さて、何が書いてあるのかなっと。
「へぇ、みんな字が上手になったわね。」
「人の手紙を読むのはマナー違反だぞ。」
「いいじゃない、むしろこれはみんなに読んでもらうべきものでしょ。」
「そうだとしてもだ。まったく、ありがとうございましただなんて思ってもないこと書きやがって。」
「本気で言ってるの?」
「それぐらい察しろ。」
「ふふ、知ってる。恥ずかしいのよね。」
「だから察しろ。」
まったくこの女は。
ついこの前までギャーギャー騒ぐだけだったガキだったのになぁ。
子供が大きくなるのは本当に早い。
それをリーシャに当てはめると、何とも言えない気持ちになってしまった。
昔の俺じゃ考えられない感情。
これが親になるという事なんだろう。
「でもうらやましいわ、冒険者の中には自分の名前を書けない人もいるんだから。」
「まじか、名前だぞ。」
「そうよ、田舎から出てきた子なんかは特にね。口で言えば済むことだし、記録とかは別の出来る人がつければいいだけだもの。そうやって何も教えられないまま大きくなって、将来が不安になって冒険者に夢を見る。」
「で、現実に直面する。」
「生きていくには知らないといけない事がたくさんあるけど、それを学びなおすには時間もお金もない。生きていくために必要な事なのにね。」
「計算ができずにカモにされ、文字が読めなくて変な契約書にサインさせられ。世の中悪い奴が多いよなぁ。」
人を食い物にするのが一番楽で儲かる仕事なのはどの世界も同じだ。
元の世界では命を取られる事はほぼなかったが、それでも生き辛くなったのは間違いない。
セーフティーネットがある国で本当に良かったと思っている。
幸いにもお世話になることはなかったが、その寸前までいった身としては生きた心地がしなかった。
しかし、この世界ではそのまま命に直結する。
奴隷として売られる奴がどれだけいることか。
でも、それがこの世界なんだ。
致し方ない。
「シロウはもちろんそんなことをしないけど、でもそれが事実よね。」
「つまり冒険者にも同じことをしろと言いたいのか?」
「そこまではいわないけど、同じことができれば救われる子がたくさんいるのは事実かな。」
「そういうのは直接ギルドに言えよ。」
「言ってるわよ。だから講義してるんじゃない。」
「お前が言ってるのはそれ以前の部分だろ?」
「ううん、その後かしら。」
「その後?」
エリザと俺で見ているビジョンにずれがあるようだ。
『生きるのに必要なことを学んでから冒険者としての知識を身に着ける。』
『冒険者として必要な知識を身に着けてから、生きていくことに必要なことを学ぶ。』
あぁ、なるほどな。
そういうことか。
「生きるには戦わなきゃダメなのか。」
「うん。だから私は生きていく為の知識をあの子達に与えるの。もしそれで生き残れたのなら、もっと生きやすくしてあげたい。まるで母親みたいよね。」
「事実だからな。」
「ほんと、昔の私じゃこんなこと考えもしなかったのに。母親になるってすごいわね。」
不倒のエリザ。
何があっても倒れず、前に進み続ける姿からついた二つ名。
戦って戦って戦って、戦うことで自分を奮い立たせて。
それしか出来なかった不器用なエリザが、自分以外の誰かの為に必要な知識を惜しむことなく与えている。
そもそも冒険者への教育なんて本来ギルドが最初に行わなければならないことなのだが、その余裕すらなかったのが現実なんだろう。
組織を維持するには金がかかる。
誰かを雇えばそれを支払うための金が要る。
同族意識の強い冒険者だけに、よそからそういう人材を入れることをあまりしてこなかったとニアは言っていた。
最近になってそれも変わってきたようだが昔はひどかったんだとさ。
ブラック体質なのはどこも同じだなぁ、まったく。
「で、その母親はどうしたいんだ。聞くだけなら聞いてやる。」
「別にシロウに何かしてとは言わないけど、でも一緒に授業を受けさせてもらえたら喜ぶ人がいるのは事実よ。」
「ガキ共に混じって学ぶのか?」
「学ぶことに年齢なんて関係ないわよ。それを恥ずかしがって嫌がるならその程度ってことでしょ。」
「結構辛辣だな。」
「だって事実だし。強くなる為に手段を択んだり言い訳する子はいつか大けがをするか死ぬわ。」
「その通りだ。」
いつまでも現状維持で行けるなんて不可能だ。
常に状況は変わるし、それを超えるためには知識が必要。
常にアンテナを巡らせ新しいものを吸収し続けることができる人だけが、前に進める。
でもそれができないんだよなぁ、余裕がないと。
その余裕を得るための知識なのに余裕がないという矛盾。
エリザなりにこの街の状況を変えたいという事なんだろう。
それが結果的に、孤児院を利用する子供の減少につながるわけだ。
「わかった、モニカにもその辺話してみる。」
「本当は私やニアがお願いするべきなんだろうけど・・・。」
「気にするな、ついでだ。」
手紙に書かれていたのはガキ共からのお礼、それと学校への招待だ。
『新しくできた学校を見に来てください。』だなんてなぁ。
こんなのもらったら仕事が忙しいからなんて言い訳使えないじゃないか。
そしてそのついでに今の話をモニカにしよう。
学び舎はガキ共だけのものじゃない。
この街に住む全ての住人が使う権利を有している。
もちろん全員が殺到したらどうにもならないが、少数でも利用できるなら利用すればいい。
必要なら教員を増やしたり別に学び舎を作るという手もある。
もっとも、そうなったとしても俺は費用を出したりしないぞ。
そういうのは町の仕事だ、ローランド様やギルド協会が負担するのが筋ってもの。
俺はそれに乗っかって、しっかり儲けさせてもらうさ。
次の日を待たず、俺はモニカを追いかけるように教会へと向かった。
新しい学び舎で俺を迎えてくれたガキ共は、それはそれは輝かしい目をしていたさ。
まぶしいぐらいに。
将来を担う若者よ。
しっかり成長して俺に金を落としてくれ。
なんて事は絶対に口に出せなかったけどな。
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