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727.転売屋は箱を作る
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「シロウ様、ドレイク船長よりこのような意見書が届いております。」
「ん、ドレイク船長が俺に?」
「なんでも、輸送に関する事なのだとか。」
「ふむ、とりあえず読んでみよう。」
隣町に戻ってきたガレイを迎えに行くと、思いもしない手紙を受け取った。
意見書ねぇ、俺に何かできることがあるんだろうか。
とりあえずその場で手紙を開き、中身を確認する。
ふむふむなるほど、そういう事もあるのか。
「何か不手際でもしてしまったでしょうか。」
「いやいや、そういうのじゃないから安心してくれ。なんでも、輸送用の木箱が塩で傷むから何かいい物はないかという問い合わせだった。」
「なるほど、確かに河川と違い海上ではそういったトラブルもあるのですね。」
「それと木箱の大きさが一定じゃないので荷下ろしが大変なんだとか。そういうのは感じるか?」
「あー、確かにそれはあります。シロウ様は比較的大きめの木箱を使って下さいますが、王都からの荷物の中には小さい物も多く、微妙に隙間が出来てしまうんです。」
「隙間が出来れば荷崩れの原因になるか、なるほどなぁ。」
いつもは一番大きい木箱に素材を満載して出荷するのでその辺考えたことが無かったが、よく考えれば貴重品なんかは小さいのを使った気がする。
それに倉庫にも大小さまざまな木箱があるし、規格みたいなものは決まってなさそうだ。
「ぶっちゃけ規格は決まっている方がいいか?」
「荷運びを考えると助かりますが、中身がスカスカだと破損の可能性も上がるのでこればっかりはなんとも言えません。とはいえ、バラバラ過ぎるのも困ります。」
「大中小あればって感じか。」
「そうですね、小さいの四つで大一個分とかだと積み込むときに計算し易いので助かります。」
それならパズルの要領で荷を積むことが出来る。
積載効率が上がればそれだけ儲けが出る商売だけに誰かが発案してそうなものだが、そうなっていないのには何か理由があるんだろう。
「中だと三つで大二つとか、って感じか。」
「まさにその感じです。」
「でもそれが出来ていないのには理由があるんだろうな。そういや木箱ってどこで作ってるんだ?」
「色々な場所で作っているはずです。」
「あぁ、だから規格が決まっていないのか。」
「必要に応じて注文して作ってもらう、後はそれを再利用するという感じです。」
木箱の場合一度使って終わりにはならない。
壊れるまで何度も使って、壊れたら買い替えるという感じだ。
段ボールだって再利用していたぐらいだし、それなりの値段のする木箱になると当然だろう。
とはいえ、それによって弊害が出ているのも事実。
特に海上輸送は塩による腐食がしやすく消耗も激しい。
出来るだけ長持ちして、かつ規格が決まっていたら最高じゃないだろうか。
「なるほどなぁ。」
「確かこの街にも木箱を作る職人さんがいたはずですが。」
「そうなのか?」
「はい、何度か買ったことがあります。ご紹介しましょうか?」
「あー、いや、今はいい。」
「そうですか。」
「必要があったらまた紹介してもらうから、その時は宜しく。」
ちょっと考えたい事があるし、それからでもいいだろう。
「ってことがあったんだが。」
「腐食しにくい木箱ですか。」
「しかも規格が決まっている物、確かにそれがないのは変ですね。」
「いや普通考えるだろ、積載効率は儲けに直結するんだぞ?それをしない理由はない。が、アインさんに聞いても基本は依頼主の注文に合わせて木箱を作っているそうだ、そんな無駄な事している理由がわからない。作り手だって規格が決まっている方が材料の手配とかも容易だろう。」
オーダーメイドするのは良い事だ。
だが、それはあくまでも規格化されているからであってそれがないままというのは考えにくい。
どこかで別の力が働いていると考えるべきだろうか。
「そうかもしれないけど、そうなっていないのが事実なんでしょ?じゃあシロウが作ればいいじゃない。」
「俺が作るっていっても、そもそも木材がないぞ。いくらダンジョンから回収出来るとはいえ限界はある。それに、ただ組み立てればいいってもんじゃない。木材は伸縮したりするからそれもふまえた加工が必要、だから職人が作ってるんだろ?」
「そうだけど、それなら木材じゃなかったらいいんじゃない?」
「荷物を運べるだけの強度があって、更には腐食しづらくそれなりの大きさ。」
「あー、うん。ごめん、ないかも。」
「だよな。」
ここにキキがいれば知恵を借りられたかもしれないが、生憎と今は店番中だ。
とはいえそんな素材があれば早々に思いついてるわけで。
残念ながら思いつかないという事はそういう事なんだろう。
「やっぱり一から作るしかないか。ガレイさんには隣町の職人を紹介してもらえるって話になってるし、とりあえず俺の取引に使う木箱だけは規格を決めればいいだけだ。その木箱に腐食しづらい加工を施して、ドレイク船長に使用感を報告してもらう。もしそれが良好なら量産すればいい。で、何をする?」
「ようは木が傷まなければいいんでしょ?」
「そういうことになる。」
「ならお箸に使ったアシッドフロッグの体液を塗ればいいじゃない。水をかけても傷まないし船にも使われてるんだからピッタリじゃない。」
「とはいえ、アシッドフロッグの体液を集めるのは中々に大変です。劇薬ですから輸送にも気を使います。」
「箸を加工するだけでもそれなりの臭いだったし、巨大な木箱になるとさらに大変じゃないか。」
「えー、やってみないとわからないじゃない。」
いやまぁそうなんだけども。
箸を加工した時のあの白煙と臭いを知っているだけに、巨大な木箱で同じことをすると考えると勝手に不安になってしまう。
が、エリザのいう事ももっともだ。
やりもしないで勝手に危険と判断するのはよろしくない。
もしかしたら船大工が日常的に使っているかもしれないじゃないか。
「でしたら、ここで加工して向こうでくみ上げてもらうのはどうでしょうか。」
「ん?」
「規格を決めてしまえば木材を切断するのはここでもできます。アシッドフロッグの体液を長距離運ぶのは不安ですが、ここで切断した加工を施し向こうで職人さんに組み上げてもらえば危険は減らせます。木箱に使う木材であればある程度把握していますし、いっそのこと新しい素材でチャレンジしてもいいかもしれません。」
「新しい木材を使うのか。」
「お箸に使ったホラーオーク等は加工も容易ですしなにより加工実績がありますから。」
なるほどなぁ。
一般的に木箱に使われる素材は天然の木材だろう。
だがそれをあえて魔物産にすることで、特別感を出せる上に真似されるリスクを減らせる。
木材は切ってしまうと成長するまでに多くの時間を必要とするが、魔物はそうじゃないしな。
環境破壊が問題になっているかは知らないけれど、資源を減らさずに同じ品質の物を供給し続けられる。
それが魔物産の素材を使う最大のメリットだ。
「となると、まず決めるべきは規格か。」
「アインさんに聞かれてはいかがですか?船で運ぶのも大切ですが、馬車にのせられなければ意味がありません。幸い馬車の規格はほぼ決まっていますから、それに合わせれば問題は半分解決です。」
「戻って来たばかりだからまだこっちにいるな、急ぎ屋敷に来てもらってくれ。それとホラーオークの取引履歴を確認したい、値段と量の両方だ。」
「じゃあ取引所はミラに任せるわ、私はギルドに行って依頼が出せるか確認してくるから。」
「では私がアインさんの所に行きましょう、ちょうど散歩の時間だったので。」
「助かる。」
リーシャを抱いたままハーシェさんがにこりと微笑む。
俺?
俺はほら、書類の片づけがあるから。
何も言わずに壁の傍に立つセーラさんとラフィムさん。
皆を見送り、俺はお二人から怒涛の報告を受ける事になった。
これでも随分と省略してくれている方なんだろう。
大変だけど俺しかできる人がいないので仕方がない。
「以上です。では残りの書類にサインをして夕方までにお返しください。」
「ういっす、了解。」
「それと先程の話ですが。」
「ん?」
報告を終えたラフィムさんに変わり、セーラさんが一歩前に出る。
さっきの話ってのは木箱の話か?
「木箱の生産に関してですが、そこに一枚かんでいるのは例のビネル家です。商船輸出を生業としている為木箱の規格化には非常に前向きだったと王都で資料を見た記憶があります。」
「つまり俺がそれに手を出せば喧嘩を売っていると思われるわけか。」
「間違いなく。」
ふむ、なるほど・・・。
結婚を申し込んでいる相手が逆に自分の仕事にちょっかいを出してくるわけだ。
いい顔はしないだろう、間違いなく。
「ま、関係ないな。」
「そうですね。」
「俺がやろうとしているのは他所の木箱じゃなくて自前の木箱、それもドレイク船長に頼まれた奴だ。自分の仕事を効率化して何が悪い、むしろ文句を言われる筋合いなんてない。」
「仰る通りで。」
「ということで気にせず続けることにする、とはいえ情報助かった。」
「何かありましてもこちらは貴族、向こうは平民。シロウ様が気にすることではございません。」
「そういうのは好きじゃないんだが、でもまぁ使わない理由はないか。」
「向こうの既得権益を冒してるわけではございません、むしろ競争の中で淘汰されるのであればそこまでだったというだけです。」
中々辛辣な言い方だがその通りだ。
特許の無い世の中なのだから真似されても文句は言われない。
むしろそれが出来ないようにより特化した何かにしていくべきだ。
競争しないという事は進歩しないという事。
今回の木箱で輸送に変化が起きるのであればそれはそれでいい事じゃないだろうか。
もちろんこっちが失敗する可能性もあるが、さっきも言ったようにこれは自分たちの輸送を効率化させる為に過ぎない。
商売ベースにしなければ傷は浅いだろう。
「そんじゃま俺は書類仕事に戻る、皆が戻ってきたら教えてくれ。」
「宜しくお願いします。ではラフィム、行きましょう。」
二人が一人になり静かに部屋を出て行った。
さて、書類の山を片付けますかね。
まだまだ儲けが出るかはわからないが、個人的には良い感じじゃないかと思っている。
輸送の効率化は儲けに直結する案件だ。
今後王都との取引が増えるのであればなおの事手を加えるべき部分。
はてさて、どうなるか楽しみだ。
「ん、ドレイク船長が俺に?」
「なんでも、輸送に関する事なのだとか。」
「ふむ、とりあえず読んでみよう。」
隣町に戻ってきたガレイを迎えに行くと、思いもしない手紙を受け取った。
意見書ねぇ、俺に何かできることがあるんだろうか。
とりあえずその場で手紙を開き、中身を確認する。
ふむふむなるほど、そういう事もあるのか。
「何か不手際でもしてしまったでしょうか。」
「いやいや、そういうのじゃないから安心してくれ。なんでも、輸送用の木箱が塩で傷むから何かいい物はないかという問い合わせだった。」
「なるほど、確かに河川と違い海上ではそういったトラブルもあるのですね。」
「それと木箱の大きさが一定じゃないので荷下ろしが大変なんだとか。そういうのは感じるか?」
「あー、確かにそれはあります。シロウ様は比較的大きめの木箱を使って下さいますが、王都からの荷物の中には小さい物も多く、微妙に隙間が出来てしまうんです。」
「隙間が出来れば荷崩れの原因になるか、なるほどなぁ。」
いつもは一番大きい木箱に素材を満載して出荷するのでその辺考えたことが無かったが、よく考えれば貴重品なんかは小さいのを使った気がする。
それに倉庫にも大小さまざまな木箱があるし、規格みたいなものは決まってなさそうだ。
「ぶっちゃけ規格は決まっている方がいいか?」
「荷運びを考えると助かりますが、中身がスカスカだと破損の可能性も上がるのでこればっかりはなんとも言えません。とはいえ、バラバラ過ぎるのも困ります。」
「大中小あればって感じか。」
「そうですね、小さいの四つで大一個分とかだと積み込むときに計算し易いので助かります。」
それならパズルの要領で荷を積むことが出来る。
積載効率が上がればそれだけ儲けが出る商売だけに誰かが発案してそうなものだが、そうなっていないのには何か理由があるんだろう。
「中だと三つで大二つとか、って感じか。」
「まさにその感じです。」
「でもそれが出来ていないのには理由があるんだろうな。そういや木箱ってどこで作ってるんだ?」
「色々な場所で作っているはずです。」
「あぁ、だから規格が決まっていないのか。」
「必要に応じて注文して作ってもらう、後はそれを再利用するという感じです。」
木箱の場合一度使って終わりにはならない。
壊れるまで何度も使って、壊れたら買い替えるという感じだ。
段ボールだって再利用していたぐらいだし、それなりの値段のする木箱になると当然だろう。
とはいえ、それによって弊害が出ているのも事実。
特に海上輸送は塩による腐食がしやすく消耗も激しい。
出来るだけ長持ちして、かつ規格が決まっていたら最高じゃないだろうか。
「なるほどなぁ。」
「確かこの街にも木箱を作る職人さんがいたはずですが。」
「そうなのか?」
「はい、何度か買ったことがあります。ご紹介しましょうか?」
「あー、いや、今はいい。」
「そうですか。」
「必要があったらまた紹介してもらうから、その時は宜しく。」
ちょっと考えたい事があるし、それからでもいいだろう。
「ってことがあったんだが。」
「腐食しにくい木箱ですか。」
「しかも規格が決まっている物、確かにそれがないのは変ですね。」
「いや普通考えるだろ、積載効率は儲けに直結するんだぞ?それをしない理由はない。が、アインさんに聞いても基本は依頼主の注文に合わせて木箱を作っているそうだ、そんな無駄な事している理由がわからない。作り手だって規格が決まっている方が材料の手配とかも容易だろう。」
オーダーメイドするのは良い事だ。
だが、それはあくまでも規格化されているからであってそれがないままというのは考えにくい。
どこかで別の力が働いていると考えるべきだろうか。
「そうかもしれないけど、そうなっていないのが事実なんでしょ?じゃあシロウが作ればいいじゃない。」
「俺が作るっていっても、そもそも木材がないぞ。いくらダンジョンから回収出来るとはいえ限界はある。それに、ただ組み立てればいいってもんじゃない。木材は伸縮したりするからそれもふまえた加工が必要、だから職人が作ってるんだろ?」
「そうだけど、それなら木材じゃなかったらいいんじゃない?」
「荷物を運べるだけの強度があって、更には腐食しづらくそれなりの大きさ。」
「あー、うん。ごめん、ないかも。」
「だよな。」
ここにキキがいれば知恵を借りられたかもしれないが、生憎と今は店番中だ。
とはいえそんな素材があれば早々に思いついてるわけで。
残念ながら思いつかないという事はそういう事なんだろう。
「やっぱり一から作るしかないか。ガレイさんには隣町の職人を紹介してもらえるって話になってるし、とりあえず俺の取引に使う木箱だけは規格を決めればいいだけだ。その木箱に腐食しづらい加工を施して、ドレイク船長に使用感を報告してもらう。もしそれが良好なら量産すればいい。で、何をする?」
「ようは木が傷まなければいいんでしょ?」
「そういうことになる。」
「ならお箸に使ったアシッドフロッグの体液を塗ればいいじゃない。水をかけても傷まないし船にも使われてるんだからピッタリじゃない。」
「とはいえ、アシッドフロッグの体液を集めるのは中々に大変です。劇薬ですから輸送にも気を使います。」
「箸を加工するだけでもそれなりの臭いだったし、巨大な木箱になるとさらに大変じゃないか。」
「えー、やってみないとわからないじゃない。」
いやまぁそうなんだけども。
箸を加工した時のあの白煙と臭いを知っているだけに、巨大な木箱で同じことをすると考えると勝手に不安になってしまう。
が、エリザのいう事ももっともだ。
やりもしないで勝手に危険と判断するのはよろしくない。
もしかしたら船大工が日常的に使っているかもしれないじゃないか。
「でしたら、ここで加工して向こうでくみ上げてもらうのはどうでしょうか。」
「ん?」
「規格を決めてしまえば木材を切断するのはここでもできます。アシッドフロッグの体液を長距離運ぶのは不安ですが、ここで切断した加工を施し向こうで職人さんに組み上げてもらえば危険は減らせます。木箱に使う木材であればある程度把握していますし、いっそのこと新しい素材でチャレンジしてもいいかもしれません。」
「新しい木材を使うのか。」
「お箸に使ったホラーオーク等は加工も容易ですしなにより加工実績がありますから。」
なるほどなぁ。
一般的に木箱に使われる素材は天然の木材だろう。
だがそれをあえて魔物産にすることで、特別感を出せる上に真似されるリスクを減らせる。
木材は切ってしまうと成長するまでに多くの時間を必要とするが、魔物はそうじゃないしな。
環境破壊が問題になっているかは知らないけれど、資源を減らさずに同じ品質の物を供給し続けられる。
それが魔物産の素材を使う最大のメリットだ。
「となると、まず決めるべきは規格か。」
「アインさんに聞かれてはいかがですか?船で運ぶのも大切ですが、馬車にのせられなければ意味がありません。幸い馬車の規格はほぼ決まっていますから、それに合わせれば問題は半分解決です。」
「戻って来たばかりだからまだこっちにいるな、急ぎ屋敷に来てもらってくれ。それとホラーオークの取引履歴を確認したい、値段と量の両方だ。」
「じゃあ取引所はミラに任せるわ、私はギルドに行って依頼が出せるか確認してくるから。」
「では私がアインさんの所に行きましょう、ちょうど散歩の時間だったので。」
「助かる。」
リーシャを抱いたままハーシェさんがにこりと微笑む。
俺?
俺はほら、書類の片づけがあるから。
何も言わずに壁の傍に立つセーラさんとラフィムさん。
皆を見送り、俺はお二人から怒涛の報告を受ける事になった。
これでも随分と省略してくれている方なんだろう。
大変だけど俺しかできる人がいないので仕方がない。
「以上です。では残りの書類にサインをして夕方までにお返しください。」
「ういっす、了解。」
「それと先程の話ですが。」
「ん?」
報告を終えたラフィムさんに変わり、セーラさんが一歩前に出る。
さっきの話ってのは木箱の話か?
「木箱の生産に関してですが、そこに一枚かんでいるのは例のビネル家です。商船輸出を生業としている為木箱の規格化には非常に前向きだったと王都で資料を見た記憶があります。」
「つまり俺がそれに手を出せば喧嘩を売っていると思われるわけか。」
「間違いなく。」
ふむ、なるほど・・・。
結婚を申し込んでいる相手が逆に自分の仕事にちょっかいを出してくるわけだ。
いい顔はしないだろう、間違いなく。
「ま、関係ないな。」
「そうですね。」
「俺がやろうとしているのは他所の木箱じゃなくて自前の木箱、それもドレイク船長に頼まれた奴だ。自分の仕事を効率化して何が悪い、むしろ文句を言われる筋合いなんてない。」
「仰る通りで。」
「ということで気にせず続けることにする、とはいえ情報助かった。」
「何かありましてもこちらは貴族、向こうは平民。シロウ様が気にすることではございません。」
「そういうのは好きじゃないんだが、でもまぁ使わない理由はないか。」
「向こうの既得権益を冒してるわけではございません、むしろ競争の中で淘汰されるのであればそこまでだったというだけです。」
中々辛辣な言い方だがその通りだ。
特許の無い世の中なのだから真似されても文句は言われない。
むしろそれが出来ないようにより特化した何かにしていくべきだ。
競争しないという事は進歩しないという事。
今回の木箱で輸送に変化が起きるのであればそれはそれでいい事じゃないだろうか。
もちろんこっちが失敗する可能性もあるが、さっきも言ったようにこれは自分たちの輸送を効率化させる為に過ぎない。
商売ベースにしなければ傷は浅いだろう。
「そんじゃま俺は書類仕事に戻る、皆が戻ってきたら教えてくれ。」
「宜しくお願いします。ではラフィム、行きましょう。」
二人が一人になり静かに部屋を出て行った。
さて、書類の山を片付けますかね。
まだまだ儲けが出るかはわからないが、個人的には良い感じじゃないかと思っている。
輸送の効率化は儲けに直結する案件だ。
今後王都との取引が増えるのであればなおの事手を加えるべき部分。
はてさて、どうなるか楽しみだ。
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