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724.転売屋は秋を感じる
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9月になった。
どうやら今年は季節感に忠実なようで、秋になったとたんに一気に寒さがやってきた。
今年は残暑とかそういうのはないようだ。
昨日まで半そでだったのに、今朝は一気に冷え込み上に一枚羽織らないと活動できない。
うーさぶさぶ。
「おはよう。」
「おはようございますお館様。今香茶を淹れますね。」
「あぁ、頼む。それと朝食にはスープもつけてくれ。」
「冷えましたからね、オニオニオンのスープですがかまいませんか?」
「ペパペッパーを一振り頼む。」
食堂にはまだ誰も来ていなかった。
この寒さだ、ベッドから出たくない気持ちもわかる。
流石に暖炉に火はついていないか。
仕方なく火を使う厨房に一番近い場所に陣取った。
「まずはこちらをどうぞ。」
「助かる。」
すぐに香茶が運ばれて来た。
一口飲むだけで体が中から温められるのは気のせいじゃないんだろう。
「冷えましたねぇ。」
「だな、秋になった途端にこれだ。冬になったらどうする。」
「それは考えたくありませんねぇ。畑の野菜は大丈夫でしょうか。」
「夏野菜のほとんどは刈り取り済みだ、残ってるのは芋だけだし問題ないだろう。」
「そろそろ収穫でしたね。」
「あぁ、アグリ曰くいい感じの大きさらしい。またエリザが気合を入れるから厨房を貸してやってくれ。」
「お安い御用です。」
畑ではスイートトポテが収穫の時を待っている。
名前の通り甘い芋、サツマイモだ。
焼いてよし蒸かしてよしつぶしてよし。
甘すぎるのは好きじゃないが、アレは何にでも使えるからいいよなぁ。
「おはよ~。」
「お、エリザ早いな。」
「シロウこそどうしたのよ。」
「寒くて目が覚めたんだよ。体調は大丈夫か?」
「うん、ちゃんと暖かくしてるから大丈夫。今風邪ひいたら大変だもの。」
いつもは薄着のエリザも流石に今日はカーディガン的なのを羽織っていた。
それでも少し寒そうだ。
「本番まではダンジョンも禁止だからな。」
「わかってる。ハワード、私にも香茶をお願い。ご飯はお肉多めで。」
「かしこまりました。」
妊娠してから前以上に朝からしっかり食べるようになったエリザ、俺もそれに倣おうとしているのだが中々胃袋は大きくならないんだよな。
しばらくして続々と食堂に人が集まってきた。
タイミングを合わせて食べることはしないので、各自思い思いのタイミングで食事を進める。
「羽織り物があるといいよなぁ。」
「寒くなりましたので。ですが厚手の物はまだ早い感じですね。」
「肩もそうですけど足が寒いんです、でもひざ掛けを出すほどじゃないんですよね。」
「難しい所だな。」
分厚いと熱いし邪魔、でも薄いと肌寒い。
一枚でどっちにも対応できるといいんだが。
そうだ、いいのがあるじゃないか。
「魔毛でストールでも作るか。あれなら肩掛けでもひざ掛けにもなるだろ。」
「贅沢ねぇ。」
「だが寒くなってからでも使えるよな、問題は発熱量だが魔毛の量を減らせば暖かさも調整できる。それかいっその事魔力回路でも組み込んで魔石で管理するか。」
「どういうこと?」
「魔力を通して発熱して暖かく、切れば放熱するから冷たくなる。肌寒い時は発熱させなくても膝に乗せてるだけでもマシになるだろう。もっとも、そんな素材があればの話だが・・・。」
チラッとキキの方に目をやると脳内データベースにアクセスするように腕を組んで考え込んでいた。
はてさてあるのかなっと。
「すみません、すぐに思いつきませんでした。」
「そりゃ残念だ。なら当初の予定通り魔毛を使ったストールをローザさんに依頼してみよう。含有量を増やせば秋用と冬用で分けられる、つまり二度売れる。」
「相変わらずよくそんなせこい事を考えられるわね。」
「誉め言葉だ。」
「それなら色や柄にこだわるのはどうですか?有料で刺繡を入れられるとか自分だけの物にすれば売れると思います。」
「アネット、採用。」
「やった!」
アネットも完全にこっち側の人間になったな。
良い事だ。
刺繍、色、織り込む布等こだわる所は色々とあるということはつまり稼ぐところが沢山あるという事。
もちろん手広くやると在庫管理が大変になるのである程度絞る必要はあるだろうけど、高級品と一般品の二種類四種ぐらいなら何とかなるだろう。
聖糸をふんだんに使うとか、ホワイトモスの糸を使ってみるとか色々とやりようはあるだろう。
「では魔毛の手配をしておきますね、冬の分を注文する時期でしたのでそれに追加してもらえるはずです。」
「宜しく頼む、特注品用の素材は吟味してからになるから毛糸を冒険者に依頼しよう。」
「それは私の方でやっておくわ、シロウは畑を見に行くんじゃなかったの?」
「おっと、そうだった。」
「孵化はまだ先みたいですけど、楽しみですね。」
「しかしワイバーンですか、お館様の好奇心には負けますよ。」
「だから今回のは本当に偶然なんだって。」
「はいはいわかったわかった、そんな子供みたいな言い訳しなくていいから。」
「だから違うっての!」
ちくしょう、俺が欲しくて競り落としたってことになっている。
マリーさんとアニエスさんは状況を理解してくれているが、他の皆はそうじゃない。
いくら俺が好奇心旺盛だとしても生き物は流石に・・・。
まぁ、ルフとかを迎え入れている時点で周りの目はそうじゃないんだろう。
鳥のほかに花もいるしな。
そう考えればワイバーンぐらい・・・って、流石に無理があるだろ。
翼を広げれば全長5m越えだぞ。
食費にいくらかかるんだか。
とはいうものの、競り落としてしまったんだから仕方がない。
今はルフが母親代わりとして卵を温めてくれている。
大きさは1m程。
文献によると温める必要はないらしいのだが、ルフが温めたくて仕方がないようだ。
母性本能がそうさせるんだろうか。
屋敷を出てその足で畑へ。
夏野菜はすっかりと刈り取られ、今は冬に向けて土に栄養を補充しているところだ。
飽食の豆を撒いた場所もなんだかんだ作付け出来ている。
おかしいなぁ、聞いた話と随分違うんだが。
作付けしたらその後は数年そこで農業は出来ないレベルに土が弱くなるとかなんとか。
それがスカイビーンズを横に植えても問題ない上に、他の野菜もいつも通り収穫できているというね。
恐らくというか間違いなく、近くに植えたカニバフラワーが魔物を喰らっているせいだろうけど。
世の中文献通りにならないものだ。
「これはシロウ様、どうされました?」
「ルフの様子を見に来ただけだ。」
「今も倉庫の横で卵を抱いていますよ。」
「まるで親鳥だな。」
「鳥というかドラゴンですけども。」
「それもそうか。」
アグリの出迎えを受け倉庫の横をこっそりと伺う。
匂いで解るんだろう、耳をピコピコ動かしてはいるがこちらを見ることもなくルフは巨大な卵を抱いていた。
ゆっくりと近づきその頭を撫でてやる。
「いい子が生まれそうか?」
ブンブン。
「そうか、大変だろうがよろしくな。」
「ワフ。」
小さく返事をしてまた静かに身を伏せる。
まだまだ孵化する様子はない、大丈夫だろう。
「しばらくはこの感じだろうが、何か変化があったら教えてくれ。」
「かしこまりました。」
「他に何かあるか?冬野菜は芋を収穫してからって話だったが・・・。」
「それなんですけど。」
「まて、今から聞くのは良い話なんだよな?」
アグリがこんな感じで恭しく言い出すのは何かあるときだけだ。
出来ればポジティブな内容であってほしい、っていうかそうなれ。
「一応は。」
「なら聞かせてくれ。」
「実は、想定よりも芋の収穫量が多くなりそうでして。いや、本当にどうしようかと。」
「なぁ、この前芋が豊作だったよな?子鬼芋もかなりの量収穫できたよな?」
「はい。それはもう、一度は備蓄が少なくなると覚悟しましたがやはり魔物が育てる芋は違いますね。」
「それなのに豊作なのか?植えた時期は違えど同じ畑、ぶっちゃけ養分とか減るよな?」
「減りますね、普通は。」
「なのになんで豊作なんだ?スカイビーンズもそうだし飽食の豆も植えたんだぞ?この土地には魔法でも掛かってるのか?」
あまりにも都合がよすぎる。
いや、豊作であるのは有難い話だし普通の芋が病気にかかったことから何でもかんでも育つわけではないというのもわかっている。
でも出来すぎなぐらいに収穫が出来る。
それこそ農業の基礎とかを無視したような収穫量、どう考えてもおかしいだろ。
「それは私も考えました。ダンジョンの傍という環境がそうさせるのかもしれませんが、しかしながらどこにもそういう記述のある本は見つかりませんでした。この前の襲撃で埋めた魔物の養分とも考えましたが、なんとも言えません。」
「ダンジョンの傍だから豊作という可能性もあるが、そうなるとそもそもダンジョンとはという所から調べないといけないのか。」
「そういう事です。」
「めんどくさいな。」
「はい、とっても。」
なら考えなくてもいいか。
豊作なのはむしろありがたい事だ、麦が不作である以上芋がその代用品になるのは間違いない。
甘い芋とはいえ使い方次第では主食になりうる。
寝かせば寝かすほどうまくなるし、備蓄しておいて損はないだろう。
「とりあえずおおよその収穫量を教えてくれ、全部備蓄は出来ないからいくらかは売りに出すことになる。それと冬野菜もそれを踏まえて選定して、仮に常に豊作になるのなら・・・。」
「収穫量の少ない物、もしくは育てるのが難しい野菜がよろしいかと。」
「その辺は任せる。美味いやつで頼むな。」
「お任せを。」
「他にあるか?」
「候補はございますが、今は温めておきます。」
気になる言い回しだが追求するのはやめておこう。
アグリの事だから上手くやるだろうが、言わないという事はまだその時じゃないという事だ。
専門家の言うことは素直に聞いておくに限る。
「今度奥さんにストールを持ってくる、楽しみにしておいてくれ。」
「ありがとうございます。」
芋は豊作、冬野菜も順当にいけば豊作だろう。
秋は始まったばかり、色々とやらないといけないことは待ち構えているが今の所は問題無しという所か。
とりあえず次の予定はエリザの結婚式。
晴れるといいんだがなぁ。
どうやら今年は季節感に忠実なようで、秋になったとたんに一気に寒さがやってきた。
今年は残暑とかそういうのはないようだ。
昨日まで半そでだったのに、今朝は一気に冷え込み上に一枚羽織らないと活動できない。
うーさぶさぶ。
「おはよう。」
「おはようございますお館様。今香茶を淹れますね。」
「あぁ、頼む。それと朝食にはスープもつけてくれ。」
「冷えましたからね、オニオニオンのスープですがかまいませんか?」
「ペパペッパーを一振り頼む。」
食堂にはまだ誰も来ていなかった。
この寒さだ、ベッドから出たくない気持ちもわかる。
流石に暖炉に火はついていないか。
仕方なく火を使う厨房に一番近い場所に陣取った。
「まずはこちらをどうぞ。」
「助かる。」
すぐに香茶が運ばれて来た。
一口飲むだけで体が中から温められるのは気のせいじゃないんだろう。
「冷えましたねぇ。」
「だな、秋になった途端にこれだ。冬になったらどうする。」
「それは考えたくありませんねぇ。畑の野菜は大丈夫でしょうか。」
「夏野菜のほとんどは刈り取り済みだ、残ってるのは芋だけだし問題ないだろう。」
「そろそろ収穫でしたね。」
「あぁ、アグリ曰くいい感じの大きさらしい。またエリザが気合を入れるから厨房を貸してやってくれ。」
「お安い御用です。」
畑ではスイートトポテが収穫の時を待っている。
名前の通り甘い芋、サツマイモだ。
焼いてよし蒸かしてよしつぶしてよし。
甘すぎるのは好きじゃないが、アレは何にでも使えるからいいよなぁ。
「おはよ~。」
「お、エリザ早いな。」
「シロウこそどうしたのよ。」
「寒くて目が覚めたんだよ。体調は大丈夫か?」
「うん、ちゃんと暖かくしてるから大丈夫。今風邪ひいたら大変だもの。」
いつもは薄着のエリザも流石に今日はカーディガン的なのを羽織っていた。
それでも少し寒そうだ。
「本番まではダンジョンも禁止だからな。」
「わかってる。ハワード、私にも香茶をお願い。ご飯はお肉多めで。」
「かしこまりました。」
妊娠してから前以上に朝からしっかり食べるようになったエリザ、俺もそれに倣おうとしているのだが中々胃袋は大きくならないんだよな。
しばらくして続々と食堂に人が集まってきた。
タイミングを合わせて食べることはしないので、各自思い思いのタイミングで食事を進める。
「羽織り物があるといいよなぁ。」
「寒くなりましたので。ですが厚手の物はまだ早い感じですね。」
「肩もそうですけど足が寒いんです、でもひざ掛けを出すほどじゃないんですよね。」
「難しい所だな。」
分厚いと熱いし邪魔、でも薄いと肌寒い。
一枚でどっちにも対応できるといいんだが。
そうだ、いいのがあるじゃないか。
「魔毛でストールでも作るか。あれなら肩掛けでもひざ掛けにもなるだろ。」
「贅沢ねぇ。」
「だが寒くなってからでも使えるよな、問題は発熱量だが魔毛の量を減らせば暖かさも調整できる。それかいっその事魔力回路でも組み込んで魔石で管理するか。」
「どういうこと?」
「魔力を通して発熱して暖かく、切れば放熱するから冷たくなる。肌寒い時は発熱させなくても膝に乗せてるだけでもマシになるだろう。もっとも、そんな素材があればの話だが・・・。」
チラッとキキの方に目をやると脳内データベースにアクセスするように腕を組んで考え込んでいた。
はてさてあるのかなっと。
「すみません、すぐに思いつきませんでした。」
「そりゃ残念だ。なら当初の予定通り魔毛を使ったストールをローザさんに依頼してみよう。含有量を増やせば秋用と冬用で分けられる、つまり二度売れる。」
「相変わらずよくそんなせこい事を考えられるわね。」
「誉め言葉だ。」
「それなら色や柄にこだわるのはどうですか?有料で刺繡を入れられるとか自分だけの物にすれば売れると思います。」
「アネット、採用。」
「やった!」
アネットも完全にこっち側の人間になったな。
良い事だ。
刺繍、色、織り込む布等こだわる所は色々とあるということはつまり稼ぐところが沢山あるという事。
もちろん手広くやると在庫管理が大変になるのである程度絞る必要はあるだろうけど、高級品と一般品の二種類四種ぐらいなら何とかなるだろう。
聖糸をふんだんに使うとか、ホワイトモスの糸を使ってみるとか色々とやりようはあるだろう。
「では魔毛の手配をしておきますね、冬の分を注文する時期でしたのでそれに追加してもらえるはずです。」
「宜しく頼む、特注品用の素材は吟味してからになるから毛糸を冒険者に依頼しよう。」
「それは私の方でやっておくわ、シロウは畑を見に行くんじゃなかったの?」
「おっと、そうだった。」
「孵化はまだ先みたいですけど、楽しみですね。」
「しかしワイバーンですか、お館様の好奇心には負けますよ。」
「だから今回のは本当に偶然なんだって。」
「はいはいわかったわかった、そんな子供みたいな言い訳しなくていいから。」
「だから違うっての!」
ちくしょう、俺が欲しくて競り落としたってことになっている。
マリーさんとアニエスさんは状況を理解してくれているが、他の皆はそうじゃない。
いくら俺が好奇心旺盛だとしても生き物は流石に・・・。
まぁ、ルフとかを迎え入れている時点で周りの目はそうじゃないんだろう。
鳥のほかに花もいるしな。
そう考えればワイバーンぐらい・・・って、流石に無理があるだろ。
翼を広げれば全長5m越えだぞ。
食費にいくらかかるんだか。
とはいうものの、競り落としてしまったんだから仕方がない。
今はルフが母親代わりとして卵を温めてくれている。
大きさは1m程。
文献によると温める必要はないらしいのだが、ルフが温めたくて仕方がないようだ。
母性本能がそうさせるんだろうか。
屋敷を出てその足で畑へ。
夏野菜はすっかりと刈り取られ、今は冬に向けて土に栄養を補充しているところだ。
飽食の豆を撒いた場所もなんだかんだ作付け出来ている。
おかしいなぁ、聞いた話と随分違うんだが。
作付けしたらその後は数年そこで農業は出来ないレベルに土が弱くなるとかなんとか。
それがスカイビーンズを横に植えても問題ない上に、他の野菜もいつも通り収穫できているというね。
恐らくというか間違いなく、近くに植えたカニバフラワーが魔物を喰らっているせいだろうけど。
世の中文献通りにならないものだ。
「これはシロウ様、どうされました?」
「ルフの様子を見に来ただけだ。」
「今も倉庫の横で卵を抱いていますよ。」
「まるで親鳥だな。」
「鳥というかドラゴンですけども。」
「それもそうか。」
アグリの出迎えを受け倉庫の横をこっそりと伺う。
匂いで解るんだろう、耳をピコピコ動かしてはいるがこちらを見ることもなくルフは巨大な卵を抱いていた。
ゆっくりと近づきその頭を撫でてやる。
「いい子が生まれそうか?」
ブンブン。
「そうか、大変だろうがよろしくな。」
「ワフ。」
小さく返事をしてまた静かに身を伏せる。
まだまだ孵化する様子はない、大丈夫だろう。
「しばらくはこの感じだろうが、何か変化があったら教えてくれ。」
「かしこまりました。」
「他に何かあるか?冬野菜は芋を収穫してからって話だったが・・・。」
「それなんですけど。」
「まて、今から聞くのは良い話なんだよな?」
アグリがこんな感じで恭しく言い出すのは何かあるときだけだ。
出来ればポジティブな内容であってほしい、っていうかそうなれ。
「一応は。」
「なら聞かせてくれ。」
「実は、想定よりも芋の収穫量が多くなりそうでして。いや、本当にどうしようかと。」
「なぁ、この前芋が豊作だったよな?子鬼芋もかなりの量収穫できたよな?」
「はい。それはもう、一度は備蓄が少なくなると覚悟しましたがやはり魔物が育てる芋は違いますね。」
「それなのに豊作なのか?植えた時期は違えど同じ畑、ぶっちゃけ養分とか減るよな?」
「減りますね、普通は。」
「なのになんで豊作なんだ?スカイビーンズもそうだし飽食の豆も植えたんだぞ?この土地には魔法でも掛かってるのか?」
あまりにも都合がよすぎる。
いや、豊作であるのは有難い話だし普通の芋が病気にかかったことから何でもかんでも育つわけではないというのもわかっている。
でも出来すぎなぐらいに収穫が出来る。
それこそ農業の基礎とかを無視したような収穫量、どう考えてもおかしいだろ。
「それは私も考えました。ダンジョンの傍という環境がそうさせるのかもしれませんが、しかしながらどこにもそういう記述のある本は見つかりませんでした。この前の襲撃で埋めた魔物の養分とも考えましたが、なんとも言えません。」
「ダンジョンの傍だから豊作という可能性もあるが、そうなるとそもそもダンジョンとはという所から調べないといけないのか。」
「そういう事です。」
「めんどくさいな。」
「はい、とっても。」
なら考えなくてもいいか。
豊作なのはむしろありがたい事だ、麦が不作である以上芋がその代用品になるのは間違いない。
甘い芋とはいえ使い方次第では主食になりうる。
寝かせば寝かすほどうまくなるし、備蓄しておいて損はないだろう。
「とりあえずおおよその収穫量を教えてくれ、全部備蓄は出来ないからいくらかは売りに出すことになる。それと冬野菜もそれを踏まえて選定して、仮に常に豊作になるのなら・・・。」
「収穫量の少ない物、もしくは育てるのが難しい野菜がよろしいかと。」
「その辺は任せる。美味いやつで頼むな。」
「お任せを。」
「他にあるか?」
「候補はございますが、今は温めておきます。」
気になる言い回しだが追求するのはやめておこう。
アグリの事だから上手くやるだろうが、言わないという事はまだその時じゃないという事だ。
専門家の言うことは素直に聞いておくに限る。
「今度奥さんにストールを持ってくる、楽しみにしておいてくれ。」
「ありがとうございます。」
芋は豊作、冬野菜も順当にいけば豊作だろう。
秋は始まったばかり、色々とやらないといけないことは待ち構えているが今の所は問題無しという所か。
とりあえず次の予定はエリザの結婚式。
晴れるといいんだがなぁ。
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