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700.転売屋はウィンドブレーカーを開発する
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フライングフロッグ。
通称:飛行蛙。
いや、そのまんまだよなっていうツッコミをしてはいけない。
そういうもんだ。
ともかく、その飛行蛙は水中からものすごい勢いで飛び上がり、近くにいる獲物を水中に引きずり込む。
岸辺だけでなく低い橋ぐらいならば軽々と飛び越えるぐらいにジャンプし、腕につけた被膜を広げ滑空。
獲物を空中で補足して勢いのまま引きずり落とす名前とは裏腹にかなりヤバイ魔物だ。
ちなみに弱点は酒。
酔っぱらうと力が出なくなるらしい。
なんとも間抜けな奴だ。
まぁ、そのおかげでこの前は早く街に戻ってこられたんだけども。
ともかく、そいつは非常に厄介かつ神出鬼没で中々素材が出回らない。
だがその性質は非常に素晴らしくかねてより考えていた品を作るのにうってつけだった。
「ウインドブレーカー?」
「要は風除けだ、しかも防水で雨にも強い。コレ一つで輸送関係者や冒険者の状況を一気に変えることが出来るだろう。」
「そこまで言っちゃうんだ。」
「そりゃな。俺自身が身をもって経験した上で言ってるんだ。馬車の旅で一番不快なのはなんだと思う?」
「振動。」
「それもある、だが走っている以上それはどうにもならないだろう。上等な馬車に乗るならともかく、そこらの馬車じゃどうにもならない。」
王都で用意して貰った馬車は非常に快適だった。
同じ乗り物とは思えないぐらいに振動が少なく、長時間乗っていても尻が痛くならない。
が、全ての馬車がそうではない。
この前の旅で使った馬車もそれなりに上等な奴だったが、それでも尻は痛いしガタガタと揺れは大きい。
が、一番不快なのはそれじゃない。
「じゃあ雨?」
「それもまぁあるが、一番は寒さだ。荷物がある時はともかく、少ない時に受ける風の冷たさは体温を一気に奪っていく。そりゃ毛布を被っておけばそれなりに何とかなるが、荷物になるしぶっちゃけ邪魔だと思わないか?」
「確かに寒いとは思うけど、でも仕方ないわよね?」
「あぁ仕方ない。だが、それをどうにかできるものがあればどうする?それを身につければ風に震えあがることもないし雨に濡れることもない。それを着たまま移動が出来て、やろうと思えば戦うこともできる。そうだな、革鎧の上からなら着れるぐらいにしておいた方がいいかもしれないな。そのほうが売れそうだ。」
「それがあの蛙なの?」
「その通り、よくわかってるじゃないか。」
俺はニヤリと笑いエリザの頭を撫でてやった。
子供扱いされたのが不満だったんだろうが、嫌な顔をする割に手を払うことはしなかった。
「あいつの被膜は水も風も通さない。だからそれを加工してカッパのようなものを作ればあの不快感を感じなくて済むはずだ。」
「確かにそんなものがあれば便利だけど、似たようなものあるわよね?」
「ある。」
外套はごくありふれた装備だ。
様々な魔物の素材で作られており、水系の魔物の素材を使ったものは防水性に優れ重宝されている。
が、どれも防水性能にだけ長けていて保温性が低かったり、重たかったりと不満点が多いのが現状だ。
外套は優秀だ。
だが、それはあくまでも羽織る物であって着るものじゃない。
冒険者の道具を考えている中で常に頭に浮かんでいたのはアウトドアスポーツ。
キャンプであれ登山であれ、屋外での作業で一番重要視されていたのが快適性だ。
快適性が上がれば上がるほど効率は上がる。
逆もまた然り。
その中で特に重要とされているのが、如何に風を寄せ付けないかという事。
体温の低下は体の動きに直結する。
最悪死に至ることだってある。
だからこそ、ウインドブレーカーはどの内容でも必需品のように扱われていた。
それをこの世界で作ろうというわけだ。
「でも、それじゃダメなのよね?」
「ダメじゃないが使い勝手が悪い。だから使いやすいやつを作りたいんだ。」
「最近のシロウって、元あるものを売るよりも新しく作る方が多いんじゃない?」
「ぶっちゃけそのほうが儲かるからな。」
「まぁ、私は便利になるほうが嬉しいしどっちでもいいんだけど。それなら誰に頼むの?服を作るならローザさん?」
「うーん、それなんだが魔物の素材は専門外だろ?かといってブレラに頼む内容でもないし。」
「つまりこの前のミラみたいに誰か紹介してほしいのね。」
「よくわかってるじゃないか。」
最近は新しく作るほうが多い。
エリザの言う通りだが今に始まった事じゃない。
あれこれ新しく作り上げ冒険者や住民の質を向上させ、結果的に俺が儲かる。
俺の根本にあるのは金儲けだ。
住民の生活を豊かにしたいとかそんな偉そうなことは考えていない。
もちろんこの前のワインのように右から左に転がすだけで儲かるなら喜んでやる。
さっきも言ったように新しく作るほうが儲かるからやっている、それだけだ。
「うーん、紹介したいのは山々なんだけど誰に相談すればいいか。」
「だよなぁ。素材的に皮とも繊維とも言い難い。一枚で一人分ってわけにもいかないから縫い合わせる必要はあるし隙間が空いたら意味がない。それなりの腕があってかつこれらを完璧にこなせる逸材。加えて量産できれば最高だ。」
「え、たくさん作るの?」
「素材がある限りは作るぞ。確かダンジョンにも居たよな、あの蛙。」
「いるにはいるけど・・・。」
「まぁめんどくさいのはわかる、だから金額を上げて募集する。もちろん商売できないぐらいには困るがそれなりの値段はだせるはずだ。もっとも、作れたらの話だけどな。」
前提はまず作れること。
この前のティタムもそうだが、こうやって話をしている状態ではただの絵に描いた餅だ。
ミラに紹介してもらった職人のように、とりあえず出来ると言ってもらわない事には始まらない。
随分と渋い顔はされたが向こうもやる気になってくれたようでほっとしている。
なのでこちらも職人を探さなければならない。
エリザが知らないとなると、やはりブレラに頼るしかないか。
「ねぇ、この前サウナ作ったでしょ?あの被膜を加工した人って誰だっけ。」
「あれは確か・・・。そうか!確かにあの仕上がりなら申し分ない。」
「でしょ?同じ被膜だしいけるんじゃないかしら。」
自慢げに胸を張るエリザの胸を鷲掴みにして黙らせながら、俺はある職人の顔を思い出していた。
背の低いもう老人と言っていい見た目の男。
見た目は非常に頼りないのに、いざ作業となればあっという間にあの不安定な被膜を縫い合わせてしまった。
確かにあの人なら大丈夫だ。
しかし、随分でかくなったなぁエリザの乳。
思わず揉んだ感触を思い出して手を動かしてしまう。
「ちょっと、やめてよ。」
「悪い悪い。」
「さっそくアグリに言って手配してもらおう。いや、直接行くべきか。」
「隣町だったわね。」
「あぁ、それならドルグさんの所にも顔を出すぞ。」
「え、なんで?」
「小型の魔道具を作ってもらっているんだ、お前が言い出したんだろうが。」
小さい湯沸かしポットと魔道具のセットがあったら買う。
そう言ったのはこいつだ。
本来であれば風の魔道具を作ってもらっている王都のロブに声をかけて、前に作っていた火の魔道具を買い付けるべきなんだが、あっちには風の魔道具を量産してもらっているのでその余力はない。
それならばと、元々隣街で魔道具を作っているドルグさんに声をかけたわけだ。
最初に街に帰る用の魔道具を買ってからの付き合いだが、色々と融通を聞かせてもらって助かっている。
ちなみにロブさんとは兄弟らしい。
世の中せまいもんだなぁ。
もっとも、弟のロブさんが小型の魔道具を作っていることは知らなかったようで風の魔道具を見せると目の色を変えてそれにかぶりつき、強引に持ち込んだ魔道具をバラされてしまった。
まぁちゃんと弁償してもらったけど。
本人曰く最初に魔道具作りを教えたのは自分で向こうがそれをマネしたから怒られないそうなのだが、流石に無断で真似をするのはよくないのでナミル女史を通じて向こうに連絡をしてもらって了承は取り付けてある。
随分と疎遠だったようだが、これを機に兄弟の仲が繋がったようで何よりだ。
と、部外者の俺は勝手に思っているわけだが本当かどうかまではわからない。
ともかく火の魔道具の小型化をお願いしているのでそれを確認しに行く必要があるというわけだ。
「そういえばそうだったわ。」
「まったくお前なぁ。」
「いいじゃない、行く用事が出来たんだし。」
「それもそうか。善は急げ明日の朝一番にでるから準備してくれ。」
「え、私も行くの?」
「用事でもあるのか?」
「そういうわけじゃないけど、ヌードさんってちょっと苦手なのよね。」
「寡黙な人だからなぁ。」
THE職人という感じで、話しかけてもあまり返事をしてくれない。
でも仕事はしっかりしてくれるし、意外に冗談とかも言うんだけどなぁ。
俺の元年齢で言うと干支一回り上って感じなのであんまり違和感がないせいもある。
向こうもそれを感じるのか、会話をしているとアグリが驚いていたっけか。
そうだ、土産に酒のつまみでも持って行ってやるか。
量産している干し肉があったはずだ、多少拝借しても怒られないだろう。
あ、金は払うぞ。
「とりあえず明日の朝一番で行くように準備するわね。」
「ミラも一緒に連れて行くからそう伝えておいてくれ、俺は持っていく荷物を手配してくる。」
「オッケー、せっかく行くんだから色々と売り込まないとね。」
「そういう事だ。」
わざわざ馬車を動かすんだからそれなりの物は積んでいかないとなぁ。
サプリメントの材料に工業用品、それと大量の干し肉。
化粧品に使ってもらうパパパインやララライムのエキスも入れておかないと。
あれらは他の果物と違って日持ちしたのでアネットのおかげでエキスを抽出することが出来た。
あとはこれをカーラがいいように使ってくれるだろう。
冬に向けて色々と準備しているはずだ、新作が出来ればその分俺も儲けが増える。
今は準備期間と考えておこう。
あれこれ忙しいが、これも大きな儲けを出すためだ。
何をするにも助走は必要。
助走が長ければ長い程大きく飛躍できるらしい。
もっとも、助走しすぎて疲れてしまっては意味がない。
コツコツ細かく稼ぐのが一番だ。
この冬の目標は冒険者の道具、そしてウインドブレーカーを軌道に乗せる事。
何事も目標があったほうが達成感を感じるってもんだ。
もっとも、それに合わせて忙しくもなるだろうがその辺はご愛敬ってね。
ま、何とかなるさ。
通称:飛行蛙。
いや、そのまんまだよなっていうツッコミをしてはいけない。
そういうもんだ。
ともかく、その飛行蛙は水中からものすごい勢いで飛び上がり、近くにいる獲物を水中に引きずり込む。
岸辺だけでなく低い橋ぐらいならば軽々と飛び越えるぐらいにジャンプし、腕につけた被膜を広げ滑空。
獲物を空中で補足して勢いのまま引きずり落とす名前とは裏腹にかなりヤバイ魔物だ。
ちなみに弱点は酒。
酔っぱらうと力が出なくなるらしい。
なんとも間抜けな奴だ。
まぁ、そのおかげでこの前は早く街に戻ってこられたんだけども。
ともかく、そいつは非常に厄介かつ神出鬼没で中々素材が出回らない。
だがその性質は非常に素晴らしくかねてより考えていた品を作るのにうってつけだった。
「ウインドブレーカー?」
「要は風除けだ、しかも防水で雨にも強い。コレ一つで輸送関係者や冒険者の状況を一気に変えることが出来るだろう。」
「そこまで言っちゃうんだ。」
「そりゃな。俺自身が身をもって経験した上で言ってるんだ。馬車の旅で一番不快なのはなんだと思う?」
「振動。」
「それもある、だが走っている以上それはどうにもならないだろう。上等な馬車に乗るならともかく、そこらの馬車じゃどうにもならない。」
王都で用意して貰った馬車は非常に快適だった。
同じ乗り物とは思えないぐらいに振動が少なく、長時間乗っていても尻が痛くならない。
が、全ての馬車がそうではない。
この前の旅で使った馬車もそれなりに上等な奴だったが、それでも尻は痛いしガタガタと揺れは大きい。
が、一番不快なのはそれじゃない。
「じゃあ雨?」
「それもまぁあるが、一番は寒さだ。荷物がある時はともかく、少ない時に受ける風の冷たさは体温を一気に奪っていく。そりゃ毛布を被っておけばそれなりに何とかなるが、荷物になるしぶっちゃけ邪魔だと思わないか?」
「確かに寒いとは思うけど、でも仕方ないわよね?」
「あぁ仕方ない。だが、それをどうにかできるものがあればどうする?それを身につければ風に震えあがることもないし雨に濡れることもない。それを着たまま移動が出来て、やろうと思えば戦うこともできる。そうだな、革鎧の上からなら着れるぐらいにしておいた方がいいかもしれないな。そのほうが売れそうだ。」
「それがあの蛙なの?」
「その通り、よくわかってるじゃないか。」
俺はニヤリと笑いエリザの頭を撫でてやった。
子供扱いされたのが不満だったんだろうが、嫌な顔をする割に手を払うことはしなかった。
「あいつの被膜は水も風も通さない。だからそれを加工してカッパのようなものを作ればあの不快感を感じなくて済むはずだ。」
「確かにそんなものがあれば便利だけど、似たようなものあるわよね?」
「ある。」
外套はごくありふれた装備だ。
様々な魔物の素材で作られており、水系の魔物の素材を使ったものは防水性に優れ重宝されている。
が、どれも防水性能にだけ長けていて保温性が低かったり、重たかったりと不満点が多いのが現状だ。
外套は優秀だ。
だが、それはあくまでも羽織る物であって着るものじゃない。
冒険者の道具を考えている中で常に頭に浮かんでいたのはアウトドアスポーツ。
キャンプであれ登山であれ、屋外での作業で一番重要視されていたのが快適性だ。
快適性が上がれば上がるほど効率は上がる。
逆もまた然り。
その中で特に重要とされているのが、如何に風を寄せ付けないかという事。
体温の低下は体の動きに直結する。
最悪死に至ることだってある。
だからこそ、ウインドブレーカーはどの内容でも必需品のように扱われていた。
それをこの世界で作ろうというわけだ。
「でも、それじゃダメなのよね?」
「ダメじゃないが使い勝手が悪い。だから使いやすいやつを作りたいんだ。」
「最近のシロウって、元あるものを売るよりも新しく作る方が多いんじゃない?」
「ぶっちゃけそのほうが儲かるからな。」
「まぁ、私は便利になるほうが嬉しいしどっちでもいいんだけど。それなら誰に頼むの?服を作るならローザさん?」
「うーん、それなんだが魔物の素材は専門外だろ?かといってブレラに頼む内容でもないし。」
「つまりこの前のミラみたいに誰か紹介してほしいのね。」
「よくわかってるじゃないか。」
最近は新しく作るほうが多い。
エリザの言う通りだが今に始まった事じゃない。
あれこれ新しく作り上げ冒険者や住民の質を向上させ、結果的に俺が儲かる。
俺の根本にあるのは金儲けだ。
住民の生活を豊かにしたいとかそんな偉そうなことは考えていない。
もちろんこの前のワインのように右から左に転がすだけで儲かるなら喜んでやる。
さっきも言ったように新しく作るほうが儲かるからやっている、それだけだ。
「うーん、紹介したいのは山々なんだけど誰に相談すればいいか。」
「だよなぁ。素材的に皮とも繊維とも言い難い。一枚で一人分ってわけにもいかないから縫い合わせる必要はあるし隙間が空いたら意味がない。それなりの腕があってかつこれらを完璧にこなせる逸材。加えて量産できれば最高だ。」
「え、たくさん作るの?」
「素材がある限りは作るぞ。確かダンジョンにも居たよな、あの蛙。」
「いるにはいるけど・・・。」
「まぁめんどくさいのはわかる、だから金額を上げて募集する。もちろん商売できないぐらいには困るがそれなりの値段はだせるはずだ。もっとも、作れたらの話だけどな。」
前提はまず作れること。
この前のティタムもそうだが、こうやって話をしている状態ではただの絵に描いた餅だ。
ミラに紹介してもらった職人のように、とりあえず出来ると言ってもらわない事には始まらない。
随分と渋い顔はされたが向こうもやる気になってくれたようでほっとしている。
なのでこちらも職人を探さなければならない。
エリザが知らないとなると、やはりブレラに頼るしかないか。
「ねぇ、この前サウナ作ったでしょ?あの被膜を加工した人って誰だっけ。」
「あれは確か・・・。そうか!確かにあの仕上がりなら申し分ない。」
「でしょ?同じ被膜だしいけるんじゃないかしら。」
自慢げに胸を張るエリザの胸を鷲掴みにして黙らせながら、俺はある職人の顔を思い出していた。
背の低いもう老人と言っていい見た目の男。
見た目は非常に頼りないのに、いざ作業となればあっという間にあの不安定な被膜を縫い合わせてしまった。
確かにあの人なら大丈夫だ。
しかし、随分でかくなったなぁエリザの乳。
思わず揉んだ感触を思い出して手を動かしてしまう。
「ちょっと、やめてよ。」
「悪い悪い。」
「さっそくアグリに言って手配してもらおう。いや、直接行くべきか。」
「隣町だったわね。」
「あぁ、それならドルグさんの所にも顔を出すぞ。」
「え、なんで?」
「小型の魔道具を作ってもらっているんだ、お前が言い出したんだろうが。」
小さい湯沸かしポットと魔道具のセットがあったら買う。
そう言ったのはこいつだ。
本来であれば風の魔道具を作ってもらっている王都のロブに声をかけて、前に作っていた火の魔道具を買い付けるべきなんだが、あっちには風の魔道具を量産してもらっているのでその余力はない。
それならばと、元々隣街で魔道具を作っているドルグさんに声をかけたわけだ。
最初に街に帰る用の魔道具を買ってからの付き合いだが、色々と融通を聞かせてもらって助かっている。
ちなみにロブさんとは兄弟らしい。
世の中せまいもんだなぁ。
もっとも、弟のロブさんが小型の魔道具を作っていることは知らなかったようで風の魔道具を見せると目の色を変えてそれにかぶりつき、強引に持ち込んだ魔道具をバラされてしまった。
まぁちゃんと弁償してもらったけど。
本人曰く最初に魔道具作りを教えたのは自分で向こうがそれをマネしたから怒られないそうなのだが、流石に無断で真似をするのはよくないのでナミル女史を通じて向こうに連絡をしてもらって了承は取り付けてある。
随分と疎遠だったようだが、これを機に兄弟の仲が繋がったようで何よりだ。
と、部外者の俺は勝手に思っているわけだが本当かどうかまではわからない。
ともかく火の魔道具の小型化をお願いしているのでそれを確認しに行く必要があるというわけだ。
「そういえばそうだったわ。」
「まったくお前なぁ。」
「いいじゃない、行く用事が出来たんだし。」
「それもそうか。善は急げ明日の朝一番にでるから準備してくれ。」
「え、私も行くの?」
「用事でもあるのか?」
「そういうわけじゃないけど、ヌードさんってちょっと苦手なのよね。」
「寡黙な人だからなぁ。」
THE職人という感じで、話しかけてもあまり返事をしてくれない。
でも仕事はしっかりしてくれるし、意外に冗談とかも言うんだけどなぁ。
俺の元年齢で言うと干支一回り上って感じなのであんまり違和感がないせいもある。
向こうもそれを感じるのか、会話をしているとアグリが驚いていたっけか。
そうだ、土産に酒のつまみでも持って行ってやるか。
量産している干し肉があったはずだ、多少拝借しても怒られないだろう。
あ、金は払うぞ。
「とりあえず明日の朝一番で行くように準備するわね。」
「ミラも一緒に連れて行くからそう伝えておいてくれ、俺は持っていく荷物を手配してくる。」
「オッケー、せっかく行くんだから色々と売り込まないとね。」
「そういう事だ。」
わざわざ馬車を動かすんだからそれなりの物は積んでいかないとなぁ。
サプリメントの材料に工業用品、それと大量の干し肉。
化粧品に使ってもらうパパパインやララライムのエキスも入れておかないと。
あれらは他の果物と違って日持ちしたのでアネットのおかげでエキスを抽出することが出来た。
あとはこれをカーラがいいように使ってくれるだろう。
冬に向けて色々と準備しているはずだ、新作が出来ればその分俺も儲けが増える。
今は準備期間と考えておこう。
あれこれ忙しいが、これも大きな儲けを出すためだ。
何をするにも助走は必要。
助走が長ければ長い程大きく飛躍できるらしい。
もっとも、助走しすぎて疲れてしまっては意味がない。
コツコツ細かく稼ぐのが一番だ。
この冬の目標は冒険者の道具、そしてウインドブレーカーを軌道に乗せる事。
何事も目標があったほうが達成感を感じるってもんだ。
もっとも、それに合わせて忙しくもなるだろうがその辺はご愛敬ってね。
ま、何とかなるさ。
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