572 / 1,063
570.転売屋は罠にかける
しおりを挟む
「ってなわけでおびき寄せる感じで行こうと思う」
「はぁ、シロウのお人よしもここまで来るとは思わなかったわ。」
「仕方ないだろ、あのまま警備に連れていくわけにもいかなかったんだから。」
「どうして?夜更けに忍び込んできたのよ?」
「忍び込んだとはいえ何も盗んでいない。施錠してなかったのは俺たちだし、酔っぱらって入り込んだという言い訳も成立する。」
「その言い訳を指南したのもシロウでしょ?」
「何のことだか。」
まぁつまりはそういうことだ。
昨夜忍び込んできたトトリャーナだが、情報提供の報酬として無罪放免とすることにした。
一応警備には報告したが、酔っぱらって入り込んでしまっただけで何も盗んでいないのでこちらとしては騒ぎ立てるつもりはないということにしている。
今頃本人は嘘情報を手に依頼主の所に戻っているだろう。
まぁ正確には情報提供っていうか餌だけども。
彼女の行いそのものは許されるものではないが、他人を使い捨てにして屋敷に忍び込もうとする本物の悪人はもっと許せない。
なのでとっ捕まえてやろうという話になった。
俺は別にどっちでもよかったんだが、一緒に話を聞いていたハワードとアネットが乗り気になってしまい、さらには騒ぎを聞きつけてやってきた女たちもそれに賛同したという感じだ。
まぁ、現実を知って震えていた彼女に同情したってのもあるかもしれないが。
「いいじゃありませんか、そこがシロウ様のいいところですから。」
「まぁ私はどっちでもいいんだけど。」
「じゃあいうなよ。」
「そういうわけにはいかないわよ。子供が生まれていたらその子に危害が加えられたかもしれなんだから。盗みが目的ではなく命が目的だったらどうするつもり?」
「そのための罠だろ?」
「そうなんだけど・・・。」
さっきまで知らなかったんだが、屋敷の窓自体にも罠が仕掛けられているらしい。
さすが元貴族の屋敷。
窓一つとっても普通には割れないような防弾ガラスのような仕様になっており衝撃を受けると強力な魔力を外に向けて発射するのだとか。
強い魔力ってのがどのぐらいかは知らないがかなり強力なんだそうだ。
よかったな、窓から無理やり侵入しようとしないで。
「とりあえず餌は撒いた、あとはお迎えしてやるだけだ。」
「食堂のカギを開けておきそこから侵入。廊下に出てきたらわざと目立つ音をさせ奥へ誘導し、倉庫にあるお宝を盗ませる。」
「盗んだのを確認次第外から鍵をかけて逃げられないようにする、でしたね。」
「複数人の場合は無理に捕まえようとせず逃がしてもいいぞ。」
「逃げても私たちが追いかけるしね。冒険者なめるんじゃないわよ。」
「逃げずに捕まる方が幸せかもな。外はエリザとアニエスさんに任せるからいいようにしていいぞ、中はキキとアネットを中心に防衛体制をとる。ハーシェさんは悪いが店に避難してくれ。」
「そうさせていただきます。」
身重のハーシェさんに何かあっては困る。
エリザも本当は心配だが、あの性格から考えてやらない方がストレスになりそうだから仕方なくやらせることにした。
『食堂の向かって左側の鍵が故障していてそこから侵入できる。お宝は一階倉庫にしまってあるそうだ。明日の夜は女主人が不在の為使用人も少ない。』という嘘の情報を流すよう彼女には頼んである。
もちろんそれを鵜呑みにするかどうかはわからないが、彼女が無事に戻ってきたことから油断してくれるかもしれない。
こちらから出来るのはこれぐらいだ。
「それじゃ夜までに気づかれないように準備するとしよう。一応本物のお宝も用意しといてやらないとな。」
「え、本物置くの?」
「呼び出しておいて本物がないんじゃかわいそうだろ。ただし、置いておくのはうちの呪いコレクションだ。身に着けて外れなくなったらお買い上げいただくとしよう。」
「うわ、最低な押し売り。」
「ただで帰れると思ったら大間違いだ。」
というわけで獲物をおびき出すための準備をしようじゃないか
エリザは冒険者ギルドに話をつけに行き、俺達は俺達で倉庫に荷物を搬入する。
地下室で使用した蔓の罠は持ち運びが可能だったので倉庫奥の窓付近に設置しておいた。
もちろん例の粉末も忘れてはいけない。
彼女同様笑いながら気を失う姿がいまにも目に浮かぶようだ。
そして迎えた夕方。
「では私は留守にしますがくれぐれも気は抜かないように。」
「いってらっしゃいませ。」
いつもは外で見送りなんてしないのに、わざと使用人全員で外出するハーシェさんを見送った。
どこでだれが見ているかわからない。
まぁ、見ていなかったとしても問題はないけどしないよりはいいだろう。
ハーシェさんとグレイスが屋敷を離れていく。
「あー、今日はゆっくり羽を伸ばせそうだ。お館様も奥方も今日は二階から降りてこないんだろ?」
「お姉ちゃん今日は早く寝てもいい?」
「大丈夫よ。」
「私も今日はゆっくり寝ます!」
ハワード達がわざと周りに聞こえるぐらいの大声で嘘を言う。
嘘、だよな?
ちなみに俺達はひとまず自室で待機だ。
「来ますかね。」
「ここまでして来なかったらめんどくさい。来てもらわないと困る。」
「明日もまた同じことをやるのは面倒ですからね。」
そうそう、そうなんだよ。
ここまでの茶番を来るまでやり続けるのはちょっとなぁ。
今日だけは自室で食事を済ませ、その時を待つ。
「シロウ様、どうやら来たようです。」
「ん、わかった。」
仮眠をとっているとミラが俺をゆすり起こした。
あぶね、がっつり寝るところだった。
「状況は?」
「キキ様が魔力の変化を感じ取り一足先に倉庫へ移動しております。アネット様も同様に隣の部屋で待機中です。」
「引っかかってくれたか。」
「予想通りまっすぐに食堂へ移動したようです。私たちも移動しましょう。」
「了解」
嘘情報に踊らされて食堂に向かってくれたようなので、手筈通りに行こうじゃないか。
食堂を出て変なところに行かないよう、奥の倉庫へ誘導する役。
それが俺達だ。
明かりを消し足音を立てないように食堂近くの廊下へと移動。
あとは出てくるのを待つだけだ。
中がどうなっているのか正直気にもなるが、下手にのぞき込んでバッティングしてもこまる。
二人で身を寄せ合いながら声を潜めて廊下で待つこと数分。
その時はやってきた。
無人のはずの食堂の扉がゆっくりと開けられる。
足音が聞こえないので何人いるかはわからないが、確かに誰かが出てくる気配を感じた。
よし、作戦開始だ。
「なぁミラ、いいじゃないか。」
「ダメですシロウ様、こんなところで。」
「今日はハーシェが外出しているのをいい事にハワード達も自室から出てこない、今日ぐらいしか出来る日がないんだよ。」
「でも、もし誰か来たら。」
「今日はエリザもいないしアネットも自室で休んでる、誰も来ないさ。」
食堂から出てこようとした気配が止まる。
それもそうだろう、廊下に出たらいきなりいちゃついている奴がいるんだから。
しかもこの屋敷の主人だ。
戸惑うのも無理はない。
とはいえ、出ていてもらわないと困るわけで。
強引にミラの唇をふさぎながら少しだけ距離をとる。
そこにいるのは分かるけれど様子は見えない、ぐらいの感覚で存在をアピールしておけばいいだろうか。
そのままハッスルしていたしてしまいたくなる気持ちを抑え、待つこと数分。
突然奥から男の悲鳴が聞こえてきた。
それと時を同じくして怒号が響く。
どうやらかかったようだ。
「思ったよりも多いな。」
「そうですね。」
「二人ならうまくやると思うけど・・・。」
聞き分けられた声は少なくとも四人、女性の声も混ざっていた。
と、今度は争うような音にがしゃんと何かが割れる音がする。
急いで音のする方へと向かうと、廊下の窓が内側から割られていた。
「大丈夫か!」
「すみません二人逃がしました。」
「アネットは!?」
「こっちも大丈夫です!あと、トトリさんを救出しました!」
「え、来てたの?」
「なんでも無理やり連れてこられたのだとか、けがはありません。」
おそらくは案内しろとか言われたんだろう。
報告だけでハイ終わりって感じにはならないよなぁやっぱり。
実際に案内しろと脅されて参加させられたんだろう。
だがそのおかげで実際にやつらを罠に仕掛けることができた。
それだけでも無罪放免に値する活躍だ。
「キキ、そっちは何人捕まえた?」
「二人です。見ますか?」
「いや、なんとなくわかるからやめとく。とりあえず逃げないように拘束しておいてくれ、外もすぐに片付・・・。」
「シロウ様逃走者を確保いたしました。」
「ほらな?」
涼しい顔でアニエスさんが割れた窓から報告してくれた。
さすが、仕事が早い。
「一応聞くけど生きてるよな?」
「ご安心を、逃げられない程度に噛みつかせましたが口は無事です。」
「あ、そ。」
今の言い方だとルフとレイが頑張ってくれたんだろう。
あとでご褒美を上げないとなぁ。
「とりあえず犯人は確保できた。冒険者には報酬を渡して帰ってもらってくれ。」
「かしこまりました、犯人はどうしますか?」
「今の騒ぎを聞きつけて警備が飛んでくるだろう、引き渡してくれればいい。」
「尋問しないので?」
「それは監査官のお仕事だ。」
「なるほど確かにその通りですね。では失礼します。」
犯人が誰かなんてのはどうでもいい話だ。
俺たちにケンカを売ったらどうなるかを周りに知らしめることができればそれで充分。
これを機に同じようなことを考えるような奴らは少なくなるだろう。
あとは・・・。
すべてが片付いたところで、アネットの手の中で震えているトトリャーナの方を見る。
無罪放免とはいえ何もしないというわけにはいかないよなぁ。
またエリザにお人よしと言われてしまいそうだ。
そんな俺を察してか後ろにいたミラがそっと俺の手を握ってきた。
ま、とりあえずは犯人を捕まえられたので良しとするか。
「はぁ、シロウのお人よしもここまで来るとは思わなかったわ。」
「仕方ないだろ、あのまま警備に連れていくわけにもいかなかったんだから。」
「どうして?夜更けに忍び込んできたのよ?」
「忍び込んだとはいえ何も盗んでいない。施錠してなかったのは俺たちだし、酔っぱらって入り込んだという言い訳も成立する。」
「その言い訳を指南したのもシロウでしょ?」
「何のことだか。」
まぁつまりはそういうことだ。
昨夜忍び込んできたトトリャーナだが、情報提供の報酬として無罪放免とすることにした。
一応警備には報告したが、酔っぱらって入り込んでしまっただけで何も盗んでいないのでこちらとしては騒ぎ立てるつもりはないということにしている。
今頃本人は嘘情報を手に依頼主の所に戻っているだろう。
まぁ正確には情報提供っていうか餌だけども。
彼女の行いそのものは許されるものではないが、他人を使い捨てにして屋敷に忍び込もうとする本物の悪人はもっと許せない。
なのでとっ捕まえてやろうという話になった。
俺は別にどっちでもよかったんだが、一緒に話を聞いていたハワードとアネットが乗り気になってしまい、さらには騒ぎを聞きつけてやってきた女たちもそれに賛同したという感じだ。
まぁ、現実を知って震えていた彼女に同情したってのもあるかもしれないが。
「いいじゃありませんか、そこがシロウ様のいいところですから。」
「まぁ私はどっちでもいいんだけど。」
「じゃあいうなよ。」
「そういうわけにはいかないわよ。子供が生まれていたらその子に危害が加えられたかもしれなんだから。盗みが目的ではなく命が目的だったらどうするつもり?」
「そのための罠だろ?」
「そうなんだけど・・・。」
さっきまで知らなかったんだが、屋敷の窓自体にも罠が仕掛けられているらしい。
さすが元貴族の屋敷。
窓一つとっても普通には割れないような防弾ガラスのような仕様になっており衝撃を受けると強力な魔力を外に向けて発射するのだとか。
強い魔力ってのがどのぐらいかは知らないがかなり強力なんだそうだ。
よかったな、窓から無理やり侵入しようとしないで。
「とりあえず餌は撒いた、あとはお迎えしてやるだけだ。」
「食堂のカギを開けておきそこから侵入。廊下に出てきたらわざと目立つ音をさせ奥へ誘導し、倉庫にあるお宝を盗ませる。」
「盗んだのを確認次第外から鍵をかけて逃げられないようにする、でしたね。」
「複数人の場合は無理に捕まえようとせず逃がしてもいいぞ。」
「逃げても私たちが追いかけるしね。冒険者なめるんじゃないわよ。」
「逃げずに捕まる方が幸せかもな。外はエリザとアニエスさんに任せるからいいようにしていいぞ、中はキキとアネットを中心に防衛体制をとる。ハーシェさんは悪いが店に避難してくれ。」
「そうさせていただきます。」
身重のハーシェさんに何かあっては困る。
エリザも本当は心配だが、あの性格から考えてやらない方がストレスになりそうだから仕方なくやらせることにした。
『食堂の向かって左側の鍵が故障していてそこから侵入できる。お宝は一階倉庫にしまってあるそうだ。明日の夜は女主人が不在の為使用人も少ない。』という嘘の情報を流すよう彼女には頼んである。
もちろんそれを鵜呑みにするかどうかはわからないが、彼女が無事に戻ってきたことから油断してくれるかもしれない。
こちらから出来るのはこれぐらいだ。
「それじゃ夜までに気づかれないように準備するとしよう。一応本物のお宝も用意しといてやらないとな。」
「え、本物置くの?」
「呼び出しておいて本物がないんじゃかわいそうだろ。ただし、置いておくのはうちの呪いコレクションだ。身に着けて外れなくなったらお買い上げいただくとしよう。」
「うわ、最低な押し売り。」
「ただで帰れると思ったら大間違いだ。」
というわけで獲物をおびき出すための準備をしようじゃないか
エリザは冒険者ギルドに話をつけに行き、俺達は俺達で倉庫に荷物を搬入する。
地下室で使用した蔓の罠は持ち運びが可能だったので倉庫奥の窓付近に設置しておいた。
もちろん例の粉末も忘れてはいけない。
彼女同様笑いながら気を失う姿がいまにも目に浮かぶようだ。
そして迎えた夕方。
「では私は留守にしますがくれぐれも気は抜かないように。」
「いってらっしゃいませ。」
いつもは外で見送りなんてしないのに、わざと使用人全員で外出するハーシェさんを見送った。
どこでだれが見ているかわからない。
まぁ、見ていなかったとしても問題はないけどしないよりはいいだろう。
ハーシェさんとグレイスが屋敷を離れていく。
「あー、今日はゆっくり羽を伸ばせそうだ。お館様も奥方も今日は二階から降りてこないんだろ?」
「お姉ちゃん今日は早く寝てもいい?」
「大丈夫よ。」
「私も今日はゆっくり寝ます!」
ハワード達がわざと周りに聞こえるぐらいの大声で嘘を言う。
嘘、だよな?
ちなみに俺達はひとまず自室で待機だ。
「来ますかね。」
「ここまでして来なかったらめんどくさい。来てもらわないと困る。」
「明日もまた同じことをやるのは面倒ですからね。」
そうそう、そうなんだよ。
ここまでの茶番を来るまでやり続けるのはちょっとなぁ。
今日だけは自室で食事を済ませ、その時を待つ。
「シロウ様、どうやら来たようです。」
「ん、わかった。」
仮眠をとっているとミラが俺をゆすり起こした。
あぶね、がっつり寝るところだった。
「状況は?」
「キキ様が魔力の変化を感じ取り一足先に倉庫へ移動しております。アネット様も同様に隣の部屋で待機中です。」
「引っかかってくれたか。」
「予想通りまっすぐに食堂へ移動したようです。私たちも移動しましょう。」
「了解」
嘘情報に踊らされて食堂に向かってくれたようなので、手筈通りに行こうじゃないか。
食堂を出て変なところに行かないよう、奥の倉庫へ誘導する役。
それが俺達だ。
明かりを消し足音を立てないように食堂近くの廊下へと移動。
あとは出てくるのを待つだけだ。
中がどうなっているのか正直気にもなるが、下手にのぞき込んでバッティングしてもこまる。
二人で身を寄せ合いながら声を潜めて廊下で待つこと数分。
その時はやってきた。
無人のはずの食堂の扉がゆっくりと開けられる。
足音が聞こえないので何人いるかはわからないが、確かに誰かが出てくる気配を感じた。
よし、作戦開始だ。
「なぁミラ、いいじゃないか。」
「ダメですシロウ様、こんなところで。」
「今日はハーシェが外出しているのをいい事にハワード達も自室から出てこない、今日ぐらいしか出来る日がないんだよ。」
「でも、もし誰か来たら。」
「今日はエリザもいないしアネットも自室で休んでる、誰も来ないさ。」
食堂から出てこようとした気配が止まる。
それもそうだろう、廊下に出たらいきなりいちゃついている奴がいるんだから。
しかもこの屋敷の主人だ。
戸惑うのも無理はない。
とはいえ、出ていてもらわないと困るわけで。
強引にミラの唇をふさぎながら少しだけ距離をとる。
そこにいるのは分かるけれど様子は見えない、ぐらいの感覚で存在をアピールしておけばいいだろうか。
そのままハッスルしていたしてしまいたくなる気持ちを抑え、待つこと数分。
突然奥から男の悲鳴が聞こえてきた。
それと時を同じくして怒号が響く。
どうやらかかったようだ。
「思ったよりも多いな。」
「そうですね。」
「二人ならうまくやると思うけど・・・。」
聞き分けられた声は少なくとも四人、女性の声も混ざっていた。
と、今度は争うような音にがしゃんと何かが割れる音がする。
急いで音のする方へと向かうと、廊下の窓が内側から割られていた。
「大丈夫か!」
「すみません二人逃がしました。」
「アネットは!?」
「こっちも大丈夫です!あと、トトリさんを救出しました!」
「え、来てたの?」
「なんでも無理やり連れてこられたのだとか、けがはありません。」
おそらくは案内しろとか言われたんだろう。
報告だけでハイ終わりって感じにはならないよなぁやっぱり。
実際に案内しろと脅されて参加させられたんだろう。
だがそのおかげで実際にやつらを罠に仕掛けることができた。
それだけでも無罪放免に値する活躍だ。
「キキ、そっちは何人捕まえた?」
「二人です。見ますか?」
「いや、なんとなくわかるからやめとく。とりあえず逃げないように拘束しておいてくれ、外もすぐに片付・・・。」
「シロウ様逃走者を確保いたしました。」
「ほらな?」
涼しい顔でアニエスさんが割れた窓から報告してくれた。
さすが、仕事が早い。
「一応聞くけど生きてるよな?」
「ご安心を、逃げられない程度に噛みつかせましたが口は無事です。」
「あ、そ。」
今の言い方だとルフとレイが頑張ってくれたんだろう。
あとでご褒美を上げないとなぁ。
「とりあえず犯人は確保できた。冒険者には報酬を渡して帰ってもらってくれ。」
「かしこまりました、犯人はどうしますか?」
「今の騒ぎを聞きつけて警備が飛んでくるだろう、引き渡してくれればいい。」
「尋問しないので?」
「それは監査官のお仕事だ。」
「なるほど確かにその通りですね。では失礼します。」
犯人が誰かなんてのはどうでもいい話だ。
俺たちにケンカを売ったらどうなるかを周りに知らしめることができればそれで充分。
これを機に同じようなことを考えるような奴らは少なくなるだろう。
あとは・・・。
すべてが片付いたところで、アネットの手の中で震えているトトリャーナの方を見る。
無罪放免とはいえ何もしないというわけにはいかないよなぁ。
またエリザにお人よしと言われてしまいそうだ。
そんな俺を察してか後ろにいたミラがそっと俺の手を握ってきた。
ま、とりあえずは犯人を捕まえられたので良しとするか。
9
お気に入りに追加
332
あなたにおすすめの小説
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる