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559.転売屋はサプリメントを考案する
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「と、いう感じで殺虫剤は既存の魔物にも効果がありました。わざわざパープルエッグを探さなくても代用できますので、今後はコレを使用した狩りが主流になるかもしれません。この結果を受けて冒険者ギルドより製作依頼と販売に関する問い合わせがきています。」
「だよなぁ、既存の魔物にも効果があるとなればギルドがだまっちゃいないか。」
「ご主人様としては悪い話になるんですよね。」
「おそらくは独占契約もしくは精製方法の開示か販売、もしかすると徴収という可能性もある。どちらにせよ金は転がり込んでくるがアネットの言うようにいい話ではないんだよな。」
ブルーエッグとレッドエッグを使った代用殺虫剤は思った以上の効果があった。
既存の虫はもちろんの事、濃縮することで魔物にも効果があることが判明。
流石に殺すことは出来なかったが動きを鈍らせる効果が確認された。
これによりすばやさが売りだった虫系の魔物を倒しやすくなり、これまでめんどくさがって冒険者が手を出さなかった素材が手に入りやすくなった。
これにより値崩れが起きてしまったが、おおよそプラスの部分が多いのが現状だ。
問題があるのはこの先。
「どうされますか?」
「どうするも何もこの街だけじゃなくギルド全体で共有するような内容なんだろ?特許のないこの世界じゃ秘匿にするしか守る方法はないわけだが、それをしてしまうと注文が殺到して必然的に値上がりが起きてしまう。俺達は大もうけだがそれをねたむ人もたくさん出てくるわけで。そういった輩から自分を守るためにもいずれ製造方法は公開するしかないだろうなぁ。」
「さほど難しくありませんし、いずれは誰かが同じものを作り出すと思います。」
「そうなってから公開しても時すでに遅しってわけだ。価値のあるうちに売りさばくのが得策かもしれん。」
「後は値段ですね。」
「かなりの金額を請求しても通るとは思うが、それだと継続性がないんだよな。今後50年製品売り上げの1%を支払って貰うとか他の部分で値下げをして貰うとかで折り合いをつけるべきだろう。」
「ですがそれは向こうもわかっているはず。買い切りという形で終わらせたいのではないでしょうか。」
もちろんそう来るだろう。
仮に国全体で年間金貨1000枚の売り上げがあったとして、1%で金貨10枚。
これを50年やると金貨500枚にもなる。
そうなるぐらいなら金貨300枚ぐらいで手を売ったほうがトータル的には安く済む。
更に言えば金貨1万枚とかになったらもっと金額が膨れ上がるわけで。
それだけの価値を有しているのが今回の殺虫剤というわけだ。
希少性の高い素材が汎用性の高い素材で代用できたことで、他の用途にも使える可能性が出てきた。
それにも使用料を払えとか言い出す可能性を考えると、わざと高額な買取金額を提示してくる可能性は高い。
別にギルドと喧嘩したいわけじゃないんだし、それでもいいんだけどさぁ。
金、ほしいだろ?
「ちなみに実じゃなくて種のはどうなんだ?確か薬の素材に使えるんだろ?」
「使用は出来ますが効果としては他の素材の方がいいので正直困っています。使い道がない以上廃棄するしかないかと。」
「もったいないなぁ。」
「効能は滋養強壮なんですけど、お肉を食べたほうが効果が高いんですよね。」
「そりゃ残念。」
「他の薬と混ぜることで効能自体は強く出来ますが、皮をむいたりアク抜きしたりすることを考えると面倒さが勝ります。」
いくら効果があっても処理に時間がかかるのであれば、その時間を使って別の物を売ったほうが金になる。
加えてそのほうが効果も高いとなると、そりゃ使われないよな。
「コレだけあるともったいない気もしますが、いたし方ありませんね。」
「薬を一つ作るだけで二個消費、更に濃縮するともっと使うことになるわけで。そりゃ種だらけにもなるか。」
屋敷の庭には大量の種が積み上げられている。
製薬室が屋敷の地下にあるので致し方ないのだが、これでもまだ全体の3割にも満たない。
のこりは畑の一角でうずたかい山を築き上げていた。
幸いカニバフラワーが美味しくいただいてくれるようなので、彼らの前に積み上げて消費して貰っている。
心なしか種が出来る頻度が上がっているので効率的ではあるのだろう。
とはいえ、あまりの量に消費が追いついていないのが現状だ。
「何かいい使い方があれば無駄がないんですけどねぇ。」
「カーラ様にも相談してみましたが、今の所使い道はないそうです。」
「滋養強壮なぁ・・・。この前手に入れた鹿茸も滋養強壮にいいんだろ?」
「はい、単体ではあまり効果はありませんが混ぜることで効果が上がります。」
「両方混ぜたらどうなるんだ?」
「試してはいませんが・・・。」
「いや、素人の考えだから気にしないでくれ。それに滋養強壮ならもう別の薬があるしな。」
「仮に需要があるとすれば娼館ぐらいでしょうか。」
体の調子を底上げしてくれるって言う意味ではどのような場面でも使えるだろうけど、やはり求められているのは即効性のある効果。
傷が治る、毒が消える、疲れが取れる、ナニが立つ。
飲んでみて効果が実感できないものには中々金を出したがらないのが消費者だ。
とはいえ、元の世界にはサプリメントっていう薬もあったわけで。
あれも飲んですぐ効果が出るわけではないが、複数種類を自分の体調に合わせて摂取するというやり方で売れていた。
即効性はなくとも持続性はある、そんな感じで売り出したり出来ないだろうか。
「ちなみに今ある素材で、他にも体にいいものって何がある?」
「レレモンはお肌にいですし、ブルブルベリーは眼精疲労に効果がありましたね。他にもミルクシェルの身は疲労回復にいいですし、ハニービーの幼虫は体全体の調子を整えるとされています。」
「まぁ肉を食えば元気になるのと同じだな。」
「そういう事ですね。お薬よりも食材の方が即効性がありますのでわざわざ薬で摂取する必要がありません。」
「だが、食材を摂取できない環境ならどうだ?」
「といいますと?」
「ダンジョンの中や長距離の移動など荷物に制約のある状況下ではそう言った食材をすぐに摂取出来ないこともあるだろう。長距離の移動は誰でも疲れるし、運転手は目に負担がかかる。水分摂取不足からくるお通じの低下も結構問題だ。便秘はきつい。」
港町まで三日。
たったそれだけの時間にもかかわらず、今あげたような心身的な負担を感じていた。
それが長距離になればもっとだろう。
そんな状況で、必要に応じて各個人が必要だと思う薬を飲む。
もちろん即効性はないが予防にはなるだろう。
効果が無ければそもそも売れていないわけで、効果があるからこそあれだけドラッグストアに並べられているのだと俺は考えている。
「それはわかります。」
「ダンジョン内でもそうだろう。それぞれで疲れている部分は違ってくるはず、筋肉なのか魔力なのかメンタルなのか、それに応じて薬を飲めば多少なりとも楽になるのではと俺は考えている。少なくとも、俺の世界ではそうだった。」
「即効性が無くても薬を飲むのですか?」
「あぁ、ちょっと疲れたなとか感じたら前もって飲むんだ。そうする事で予防することが出来る。今の薬は即効性を重視しているからなかなか売れにくいかもしれないが、疲れた時に飲むよりも疲れにくくしている方が全体で見ればプラスの方が多いはずだ。」
「考え方はわかりますが・・・。」
「それに、効果が弱いっていうのは即効性があるかどうかの話だろ?もしかすると持続的には効果がある素材っていう可能性もある。もちろんすぐに結果は出ないだろうが、幸いこの街に被験者は山ほどいるからな。色々試してみてもいいだろう。」
もし効果がわかれば、新しい商機が見えてくる。
それこそ今回の比じゃないぐらいの金が転がり込んでくるかもしれない。
とはいえ、それを研究するのは俺じゃなくてアネットやカーラだからな。
特に研究に強いカーラにもう一度話をしてみてもいいかもしれない。
「結果が出るまでに随分とお金と時間がかかりますね。」
「研究ってのはそんなもんだ。それに金を回せるだけの収入はあるし、当たればそんなの一瞬で回収できる。時間があるときでいい、まずはあの大量の種からやってみないか?」
「わかりました。今はちょっと忙しいですが、殺虫剤がギルドに移れば多少手が空きます。それまでお待ちいただけますか?」
「放っておいても材料は増える、いつでもいいぞ。」
「捨てるものがお金になるなんて、まるで夢のような話ですね。」
ミラとアネットが感慨深げな顔をしている。
世の中ってのはそんなもんだ。
今まで無価値だと思っていた品が、急に価値あるものに変わる。
逆もまた然り。
価値があると思っていてもいつの間にか価値が薄れ、別の物にとってかわられる。
どのタイミングで品を仕入れて売るのか、それを見極めるのも重要だ。
とはいえ、何でもかんでも見ていることはできないので結局は自分の得意分野だけという事になる。
「とりあえずその研究費を稼ぐ意味でも冒険者ギルドとの喧嘩に勝たないとな。」
「え、いつ喧嘩になったんですか?」
「そりゃ最初からだよ。せっかく儲けていたのにそれを横からかっさらおうっていうんだぞ?喧嘩を売られている以外の何物でもない。」
「まぁ確かに。」
「向こうがどう出るか次第では俺にも考えがある。」
「出て行きますか?」
「いや、屋敷を構えた手前それはなぁ。」
「シロウ様らしくありませんよ。ここは別宅という事にしてナミル様の所で居を構えるという方法もあります。もしくは輸出を見据えて港町まで移動しましょうか。」
なぜかミラがやる気満々だ。
せっかく手に入れた屋敷だが、セカンドハウスにするのも悪くはない。
手入れはグレイスたちに任せればいいし、なんなら開放して好きに使わせるという手もある。
別にここにこだわる理由はどこにもない。
まぁ、そんな事をすればローランド様が何をしてくるかわかったもんじゃないけどな。
「そうならないように祈ってる。」
「では参りましょうか。」
「そうだな、アネットは引き続き殺虫剤の方を頼む、売れるときにガンガン売ってしまおう。」
「かしこまりました。」
戦いに行くと言いながら何とも気楽なもんだ。
とりあえず現在の在庫表と仕入れにかかった費用、それと必要素材などを書いた紙を持っていく。
果たしてこの紙切れがいくらに化けるのか。
楽しみだ。
「だよなぁ、既存の魔物にも効果があるとなればギルドがだまっちゃいないか。」
「ご主人様としては悪い話になるんですよね。」
「おそらくは独占契約もしくは精製方法の開示か販売、もしかすると徴収という可能性もある。どちらにせよ金は転がり込んでくるがアネットの言うようにいい話ではないんだよな。」
ブルーエッグとレッドエッグを使った代用殺虫剤は思った以上の効果があった。
既存の虫はもちろんの事、濃縮することで魔物にも効果があることが判明。
流石に殺すことは出来なかったが動きを鈍らせる効果が確認された。
これによりすばやさが売りだった虫系の魔物を倒しやすくなり、これまでめんどくさがって冒険者が手を出さなかった素材が手に入りやすくなった。
これにより値崩れが起きてしまったが、おおよそプラスの部分が多いのが現状だ。
問題があるのはこの先。
「どうされますか?」
「どうするも何もこの街だけじゃなくギルド全体で共有するような内容なんだろ?特許のないこの世界じゃ秘匿にするしか守る方法はないわけだが、それをしてしまうと注文が殺到して必然的に値上がりが起きてしまう。俺達は大もうけだがそれをねたむ人もたくさん出てくるわけで。そういった輩から自分を守るためにもいずれ製造方法は公開するしかないだろうなぁ。」
「さほど難しくありませんし、いずれは誰かが同じものを作り出すと思います。」
「そうなってから公開しても時すでに遅しってわけだ。価値のあるうちに売りさばくのが得策かもしれん。」
「後は値段ですね。」
「かなりの金額を請求しても通るとは思うが、それだと継続性がないんだよな。今後50年製品売り上げの1%を支払って貰うとか他の部分で値下げをして貰うとかで折り合いをつけるべきだろう。」
「ですがそれは向こうもわかっているはず。買い切りという形で終わらせたいのではないでしょうか。」
もちろんそう来るだろう。
仮に国全体で年間金貨1000枚の売り上げがあったとして、1%で金貨10枚。
これを50年やると金貨500枚にもなる。
そうなるぐらいなら金貨300枚ぐらいで手を売ったほうがトータル的には安く済む。
更に言えば金貨1万枚とかになったらもっと金額が膨れ上がるわけで。
それだけの価値を有しているのが今回の殺虫剤というわけだ。
希少性の高い素材が汎用性の高い素材で代用できたことで、他の用途にも使える可能性が出てきた。
それにも使用料を払えとか言い出す可能性を考えると、わざと高額な買取金額を提示してくる可能性は高い。
別にギルドと喧嘩したいわけじゃないんだし、それでもいいんだけどさぁ。
金、ほしいだろ?
「ちなみに実じゃなくて種のはどうなんだ?確か薬の素材に使えるんだろ?」
「使用は出来ますが効果としては他の素材の方がいいので正直困っています。使い道がない以上廃棄するしかないかと。」
「もったいないなぁ。」
「効能は滋養強壮なんですけど、お肉を食べたほうが効果が高いんですよね。」
「そりゃ残念。」
「他の薬と混ぜることで効能自体は強く出来ますが、皮をむいたりアク抜きしたりすることを考えると面倒さが勝ります。」
いくら効果があっても処理に時間がかかるのであれば、その時間を使って別の物を売ったほうが金になる。
加えてそのほうが効果も高いとなると、そりゃ使われないよな。
「コレだけあるともったいない気もしますが、いたし方ありませんね。」
「薬を一つ作るだけで二個消費、更に濃縮するともっと使うことになるわけで。そりゃ種だらけにもなるか。」
屋敷の庭には大量の種が積み上げられている。
製薬室が屋敷の地下にあるので致し方ないのだが、これでもまだ全体の3割にも満たない。
のこりは畑の一角でうずたかい山を築き上げていた。
幸いカニバフラワーが美味しくいただいてくれるようなので、彼らの前に積み上げて消費して貰っている。
心なしか種が出来る頻度が上がっているので効率的ではあるのだろう。
とはいえ、あまりの量に消費が追いついていないのが現状だ。
「何かいい使い方があれば無駄がないんですけどねぇ。」
「カーラ様にも相談してみましたが、今の所使い道はないそうです。」
「滋養強壮なぁ・・・。この前手に入れた鹿茸も滋養強壮にいいんだろ?」
「はい、単体ではあまり効果はありませんが混ぜることで効果が上がります。」
「両方混ぜたらどうなるんだ?」
「試してはいませんが・・・。」
「いや、素人の考えだから気にしないでくれ。それに滋養強壮ならもう別の薬があるしな。」
「仮に需要があるとすれば娼館ぐらいでしょうか。」
体の調子を底上げしてくれるって言う意味ではどのような場面でも使えるだろうけど、やはり求められているのは即効性のある効果。
傷が治る、毒が消える、疲れが取れる、ナニが立つ。
飲んでみて効果が実感できないものには中々金を出したがらないのが消費者だ。
とはいえ、元の世界にはサプリメントっていう薬もあったわけで。
あれも飲んですぐ効果が出るわけではないが、複数種類を自分の体調に合わせて摂取するというやり方で売れていた。
即効性はなくとも持続性はある、そんな感じで売り出したり出来ないだろうか。
「ちなみに今ある素材で、他にも体にいいものって何がある?」
「レレモンはお肌にいですし、ブルブルベリーは眼精疲労に効果がありましたね。他にもミルクシェルの身は疲労回復にいいですし、ハニービーの幼虫は体全体の調子を整えるとされています。」
「まぁ肉を食えば元気になるのと同じだな。」
「そういう事ですね。お薬よりも食材の方が即効性がありますのでわざわざ薬で摂取する必要がありません。」
「だが、食材を摂取できない環境ならどうだ?」
「といいますと?」
「ダンジョンの中や長距離の移動など荷物に制約のある状況下ではそう言った食材をすぐに摂取出来ないこともあるだろう。長距離の移動は誰でも疲れるし、運転手は目に負担がかかる。水分摂取不足からくるお通じの低下も結構問題だ。便秘はきつい。」
港町まで三日。
たったそれだけの時間にもかかわらず、今あげたような心身的な負担を感じていた。
それが長距離になればもっとだろう。
そんな状況で、必要に応じて各個人が必要だと思う薬を飲む。
もちろん即効性はないが予防にはなるだろう。
効果が無ければそもそも売れていないわけで、効果があるからこそあれだけドラッグストアに並べられているのだと俺は考えている。
「それはわかります。」
「ダンジョン内でもそうだろう。それぞれで疲れている部分は違ってくるはず、筋肉なのか魔力なのかメンタルなのか、それに応じて薬を飲めば多少なりとも楽になるのではと俺は考えている。少なくとも、俺の世界ではそうだった。」
「即効性が無くても薬を飲むのですか?」
「あぁ、ちょっと疲れたなとか感じたら前もって飲むんだ。そうする事で予防することが出来る。今の薬は即効性を重視しているからなかなか売れにくいかもしれないが、疲れた時に飲むよりも疲れにくくしている方が全体で見ればプラスの方が多いはずだ。」
「考え方はわかりますが・・・。」
「それに、効果が弱いっていうのは即効性があるかどうかの話だろ?もしかすると持続的には効果がある素材っていう可能性もある。もちろんすぐに結果は出ないだろうが、幸いこの街に被験者は山ほどいるからな。色々試してみてもいいだろう。」
もし効果がわかれば、新しい商機が見えてくる。
それこそ今回の比じゃないぐらいの金が転がり込んでくるかもしれない。
とはいえ、それを研究するのは俺じゃなくてアネットやカーラだからな。
特に研究に強いカーラにもう一度話をしてみてもいいかもしれない。
「結果が出るまでに随分とお金と時間がかかりますね。」
「研究ってのはそんなもんだ。それに金を回せるだけの収入はあるし、当たればそんなの一瞬で回収できる。時間があるときでいい、まずはあの大量の種からやってみないか?」
「わかりました。今はちょっと忙しいですが、殺虫剤がギルドに移れば多少手が空きます。それまでお待ちいただけますか?」
「放っておいても材料は増える、いつでもいいぞ。」
「捨てるものがお金になるなんて、まるで夢のような話ですね。」
ミラとアネットが感慨深げな顔をしている。
世の中ってのはそんなもんだ。
今まで無価値だと思っていた品が、急に価値あるものに変わる。
逆もまた然り。
価値があると思っていてもいつの間にか価値が薄れ、別の物にとってかわられる。
どのタイミングで品を仕入れて売るのか、それを見極めるのも重要だ。
とはいえ、何でもかんでも見ていることはできないので結局は自分の得意分野だけという事になる。
「とりあえずその研究費を稼ぐ意味でも冒険者ギルドとの喧嘩に勝たないとな。」
「え、いつ喧嘩になったんですか?」
「そりゃ最初からだよ。せっかく儲けていたのにそれを横からかっさらおうっていうんだぞ?喧嘩を売られている以外の何物でもない。」
「まぁ確かに。」
「向こうがどう出るか次第では俺にも考えがある。」
「出て行きますか?」
「いや、屋敷を構えた手前それはなぁ。」
「シロウ様らしくありませんよ。ここは別宅という事にしてナミル様の所で居を構えるという方法もあります。もしくは輸出を見据えて港町まで移動しましょうか。」
なぜかミラがやる気満々だ。
せっかく手に入れた屋敷だが、セカンドハウスにするのも悪くはない。
手入れはグレイスたちに任せればいいし、なんなら開放して好きに使わせるという手もある。
別にここにこだわる理由はどこにもない。
まぁ、そんな事をすればローランド様が何をしてくるかわかったもんじゃないけどな。
「そうならないように祈ってる。」
「では参りましょうか。」
「そうだな、アネットは引き続き殺虫剤の方を頼む、売れるときにガンガン売ってしまおう。」
「かしこまりました。」
戦いに行くと言いながら何とも気楽なもんだ。
とりあえず現在の在庫表と仕入れにかかった費用、それと必要素材などを書いた紙を持っていく。
果たしてこの紙切れがいくらに化けるのか。
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