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556.転売屋は虫を捕る
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「お館様。」
「・・・今度はなんだ?」
「畑で虫が大量発生しているとアグリ様より報告がありました。」
「鹿の次は虫かよ。」
「このままでは葉物が全滅する勢いだとか、急ぎ対処をお願いします。」
「対処をって、俺は何をすればいいんだ?」
「さぁ。ともかく来てほしいとの事でした。」
ディヒーア騒動も一段落し、いつもと変わらない日常が戻ってくる・・・はずもなく。
今度は畑で虫が出たらしい。
春になって忙しくなるなぁとは思っていたが、こんなにも問題があれこれ起きるとはちょっと想像していなかった。
グレイスは特に慌てた様子もなく淡々と報告してくるあたり、もう慣れてしまったんだろう。
汚れてもいい格好に着替えて急ぎ畑へと向かう。
到着して一番最初に目に飛び込んできたのは、火ばさみのような道具を手に畑中を動き回っているガキ共の姿だった。
「あ、シロウだ!」
「シロウ手伝って!」
「芋虫がいっぱいで追いつかない!」
「このままじゃ全部食べられちゃうよ!」
カチカチと火ばさみを鳴らしながら迫ってくるガキ共に思わず後ずさってしまう。
それも仕方ないだろう。
斜めがけのカバンの様に掛けられたかごの中には大量の芋虫が蠢いていたのだから。
「うげ、そんなにいるのか。」
「もう大変だよ!」
「とりあえず近づくな、ステイだステイ。」
「文句はいいからさっさと手伝ってよ!」
「じゃないと大切な薬草齧られちゃうよ。」
「そりゃまずい、アグリはどこだ?」
「今倉庫でお薬の準備をしてるよ。」
「やっつけるんだ!」
まぁ、虫をどうにかするといえば殺虫剤しかないだろう。
とはいえそんな便利なものがこの世界にもあるんだろうか。
再び畑へと散らばっていくガキ共を追いかけるようにして俺も倉庫へと急いだ。
「アグリ、来たぞ。」
「申し訳ありません御足労頂いて。」
「それはいい。なんで急に虫なんか湧いたんだ?今までそんな事なかったよな。」
「恐らくは新しい畑用に開発していた土壌から湧いてきたんだと思われます。今まで土深くに眠っていましたが、掘り起こしたことで卵が孵化してしまったんでしょう。」
「種類はわかっているのか?」
「グリーンキャタピラーの一種かと思われますので、駆除剤を手配中です。とはいえ間に合うかどうか。」
「時間がかかるのか。」
「材料が足らないんです。パープルエッグの実があれば量産できるのですが、生憎と春先には手に入りにくくて。」
うぅむ、駆除するにも材料がないんじゃ話にならない。
材料と思われる実を見つけたのでひとまず鑑定してみる事にした。
『パープルエッグの実。南方に自生する鮮やかな紫色が特徴的な果実。甘味が強く中の種は薬にも使用できる。ダンジョンに出没するレッドエッグとブルーエッグという植物系の魔物が似たような実をつけることで有名。最近の平均取引価格は銅貨52枚。最安値銅貨33枚最高値銅貨78枚。最終取引日は21日前と記録されています。』
お?
「アグリ、レッドエッグやブルーエッグっていう魔物は知っているか?」
「確か植物系の魔物でしたね。そう言えばパープルエッグと似たような実をつけるのだとか。」
「もしかするとそいつが流用できるかもしれないぞ。」
「それはすごい!ですが今から採取するとなると時間が・・・。」
「それなら人手を増やせばいい。とりあえず目につく芋虫を回収して回れば時間稼ぎは出来るだろ。」
「いたちごっこにはなりますが。」
「それでいいんだよ。すぐ依頼を出してくる、アグリは道具を用意しておいてくれ。無ければ適当なバケツでもなんでも芋虫を入れるやつがあればいい。」
「わかりました至急準備いたします。」
形にこだわっている時間はない。
とりあえず片っ端から芋虫を回収すれば食われる速度を落とすことが出来る。
野菜はともかく薬草関係はなんとしてでも守らないと。
大通りを全速力で駆け抜け、俺は冒険者ギルドへと駆け込んだ。
「シロウさんどうしたんですかそんなに慌てて。」
「至急人手を借りたい、依頼は芋虫退治と果物回収だ。」
「はい?」
「拘束時間は今日半日依頼料は一人銀貨1枚、果実の方は一個につき銀貨1枚出す。獲物はブルーエッグとレッドエッグの実。個数は問わん。」
「本当に大至急って感じですね、芋虫はどんなサイズです?大きさ次第では初心者には無理なんですけど・・・。」
「大きさは小指程、仕事先はうちの畑だ。」
「はい?」
「ともかく頼んだぞ!」
とりあえず今は時間がない。
冒険者の手配はギルドにやってもらうとして俺は俺でアグリの手伝いをしなければ。
「もどったぞ!」
「おかえりなさいませ、それで首尾は?」
「もう少ししたら冒険者がやってくるだろう、後は人海戦術で駆除しつつ薬が出来るのを待つそれだけだ。」
「あの、シロウ様。」
「なんだ?」
「いくらで依頼しました?」
「いつも通り一人銀貨1枚にしたけど、問題あったか?」
「・・・いえ、何でもありません。」
最初アグリが何を言っているかわからなかった。
だが、時間が経つにつれ自分の依頼がかなりバカげていることに気づく。
小指の先ぐらいの小さな芋虫を回収するだけで銀貨1枚もらえる。
何の危険もなく、ただ集めるだけで。
そんな依頼を出したらどうなるか。
想像するまでもないよな。
僅か30分ほどで40人を超える冒険者が畑に押し寄せてきた。
新米がほとんどと思いきやなぜか顔なじみの熟練者の姿もある。
手伝いをするだけで安宿なら数日分の宿泊費にバケるんだからそりゃくるよなぁ。
今更帰すわけもいかないし、仕方がない集まってもらった人には働いてもらうとしよう。
「あー、大勢来てもらって助かった。敵は小さいが数が多い、各自畑中をくまなく周り芋虫を回収、その場で駆除するならここに運んでくるなりしてくれると助かる。一匹でも残せば後が大変だ、徹底的に頼むぞ。」
「「「「「おう!」」」」」
冒険者の力強い返事がビリビリと辺りを震わす。
流石のガキ共もこれだけの冒険者を前にビビってしまったかなと思いきや、率先して冒険者たちに指示を出している。
うぅむ流石だ。
全員が火打ちばさみを手に、野菜の裏を一つずつ見て回り芋虫を回収。
ガキ共では手に負えなかったが、人数がいるとなんとかなるもんだ。
とはいえ回収した傍から新しいのが生まれてくるので鼬ごっこではあるのだが、被害の拡大は防げている。
後は材料が手に入れば・・・。
「シロウ、お待たせ!」
「話はニア様から聞きました。赤と青両方の実を使えばパープルエッグと同様の成分を抽出出来るはずです。調合はお任せください。」
「助かる!」
夕方を前にして両手に赤と青の実を抱えたエリザとキキが戻ってきた。
どうやら二人が取ってきてくれたようだ。
「数はこれだけか?」
「そんなわけないじゃない。かなりの数が届いているわよ。」
「だよなー・・・。」
「これで薬草と野菜が助かるんだから安いもんじゃない。それに、同様の被害が他の街でも出ていないとも限らないわ。」
「つまり、そこに売りつければ・・・。」
「お姉ちゃんそういうのはいいから早くそれを割ってつぶして。」
「あーはいはい、わかったから怒らないで。」
妹に命令される姉。
ま、仲がいいのはいい事だ。
その後、薬が投入されたことで膠着状態は一気に解消され我々の勝利が確定した。
いやー科学の力って素晴らしい!
せっかく地上に出てこられたところ申し訳ないが、これも戦いだ。
許してくれ。
時間が余ったので残りの時間は冒険者を総動員して隣の畑を耕すことにした。
流石に虫取りだけで銀貨1枚は申し訳ないと思ってくれたんだろう。
有難い話だ。
本来であれば月末ぐらいまでかかるはずだったのに、あっという間に予定していた範囲の土が柔らかくなった。
後は肥料をまいたりして土づくりをするので、夏までには何とか間に合うだろう。
せっかくなのでこの前貰って来たディヒーアの肉をふるまい、ちょっとした騒ぎになったのもまたいつもの事。
大騒ぎしている冒険者を見ながら物思いにふけっていると、
「シロウ様今日は本当にありがとうございました。」
「なに、これも野菜と薬草の為だ。それに頑張ったのは俺じゃなくて冒険者やガキ共だからな、礼なら向こうに言ってくれ。」
「かなりの出費になったのでは?」
「そうだなぁ、銀貨70枚って所か。だが薬は大量に作れたし、種はアネットが薬に使うそうだから決して無駄にはならない。あの虫はどこにでもいるんだろ?」
「はい。今回のように新たに開墾すると出てくるかもしれません。」
「ならそっちの情報を集めてくれ。で、困っているようなら売りつけよう。」
「もちろん高値で、ですよね?」
「当然だ。それで野菜が守れるなら安いもんだろ。」
金をかけたからにはその倍は回収したい。
幸い薬の材料として半値分ぐらいは回収できそうなので、せめてもう半分。
いや、そんなみみっちいことは言ってられないな。
売るならばやはり倍は稼ごう。
「ちなみに、今回の薬は虫なら何でも効くのか?」
「そうですね大きさにもよりますがおおよその虫には効果があるはずです。」
「魔物は?」
「今回の芋虫も元々が魔物ですから。」
「ふむ。」
ということはだ、濃縮すればダンジョンの魔物にも使えるんじゃないか?
別に殺すまで行かなくても動きを阻害するだけでも十分に効果がある。
虫系は動きが早いのが特徴だから、それさえ対処できれば敵ではない。
あれ、これ売れるんじゃね?
「そういやキキはどこだ?」
「あちらでエリザ様とお食事されていたかと。」
「後は任せた、今日はご苦労さん。」
後の処理はアグリに任せて俺は金儲けをするとしよう。
もちろんうまくいくかはわからないが、今回は行ける気がする。
これが成功した暁には・・・。
楽しくなってきたぞ。
「・・・今度はなんだ?」
「畑で虫が大量発生しているとアグリ様より報告がありました。」
「鹿の次は虫かよ。」
「このままでは葉物が全滅する勢いだとか、急ぎ対処をお願いします。」
「対処をって、俺は何をすればいいんだ?」
「さぁ。ともかく来てほしいとの事でした。」
ディヒーア騒動も一段落し、いつもと変わらない日常が戻ってくる・・・はずもなく。
今度は畑で虫が出たらしい。
春になって忙しくなるなぁとは思っていたが、こんなにも問題があれこれ起きるとはちょっと想像していなかった。
グレイスは特に慌てた様子もなく淡々と報告してくるあたり、もう慣れてしまったんだろう。
汚れてもいい格好に着替えて急ぎ畑へと向かう。
到着して一番最初に目に飛び込んできたのは、火ばさみのような道具を手に畑中を動き回っているガキ共の姿だった。
「あ、シロウだ!」
「シロウ手伝って!」
「芋虫がいっぱいで追いつかない!」
「このままじゃ全部食べられちゃうよ!」
カチカチと火ばさみを鳴らしながら迫ってくるガキ共に思わず後ずさってしまう。
それも仕方ないだろう。
斜めがけのカバンの様に掛けられたかごの中には大量の芋虫が蠢いていたのだから。
「うげ、そんなにいるのか。」
「もう大変だよ!」
「とりあえず近づくな、ステイだステイ。」
「文句はいいからさっさと手伝ってよ!」
「じゃないと大切な薬草齧られちゃうよ。」
「そりゃまずい、アグリはどこだ?」
「今倉庫でお薬の準備をしてるよ。」
「やっつけるんだ!」
まぁ、虫をどうにかするといえば殺虫剤しかないだろう。
とはいえそんな便利なものがこの世界にもあるんだろうか。
再び畑へと散らばっていくガキ共を追いかけるようにして俺も倉庫へと急いだ。
「アグリ、来たぞ。」
「申し訳ありません御足労頂いて。」
「それはいい。なんで急に虫なんか湧いたんだ?今までそんな事なかったよな。」
「恐らくは新しい畑用に開発していた土壌から湧いてきたんだと思われます。今まで土深くに眠っていましたが、掘り起こしたことで卵が孵化してしまったんでしょう。」
「種類はわかっているのか?」
「グリーンキャタピラーの一種かと思われますので、駆除剤を手配中です。とはいえ間に合うかどうか。」
「時間がかかるのか。」
「材料が足らないんです。パープルエッグの実があれば量産できるのですが、生憎と春先には手に入りにくくて。」
うぅむ、駆除するにも材料がないんじゃ話にならない。
材料と思われる実を見つけたのでひとまず鑑定してみる事にした。
『パープルエッグの実。南方に自生する鮮やかな紫色が特徴的な果実。甘味が強く中の種は薬にも使用できる。ダンジョンに出没するレッドエッグとブルーエッグという植物系の魔物が似たような実をつけることで有名。最近の平均取引価格は銅貨52枚。最安値銅貨33枚最高値銅貨78枚。最終取引日は21日前と記録されています。』
お?
「アグリ、レッドエッグやブルーエッグっていう魔物は知っているか?」
「確か植物系の魔物でしたね。そう言えばパープルエッグと似たような実をつけるのだとか。」
「もしかするとそいつが流用できるかもしれないぞ。」
「それはすごい!ですが今から採取するとなると時間が・・・。」
「それなら人手を増やせばいい。とりあえず目につく芋虫を回収して回れば時間稼ぎは出来るだろ。」
「いたちごっこにはなりますが。」
「それでいいんだよ。すぐ依頼を出してくる、アグリは道具を用意しておいてくれ。無ければ適当なバケツでもなんでも芋虫を入れるやつがあればいい。」
「わかりました至急準備いたします。」
形にこだわっている時間はない。
とりあえず片っ端から芋虫を回収すれば食われる速度を落とすことが出来る。
野菜はともかく薬草関係はなんとしてでも守らないと。
大通りを全速力で駆け抜け、俺は冒険者ギルドへと駆け込んだ。
「シロウさんどうしたんですかそんなに慌てて。」
「至急人手を借りたい、依頼は芋虫退治と果物回収だ。」
「はい?」
「拘束時間は今日半日依頼料は一人銀貨1枚、果実の方は一個につき銀貨1枚出す。獲物はブルーエッグとレッドエッグの実。個数は問わん。」
「本当に大至急って感じですね、芋虫はどんなサイズです?大きさ次第では初心者には無理なんですけど・・・。」
「大きさは小指程、仕事先はうちの畑だ。」
「はい?」
「ともかく頼んだぞ!」
とりあえず今は時間がない。
冒険者の手配はギルドにやってもらうとして俺は俺でアグリの手伝いをしなければ。
「もどったぞ!」
「おかえりなさいませ、それで首尾は?」
「もう少ししたら冒険者がやってくるだろう、後は人海戦術で駆除しつつ薬が出来るのを待つそれだけだ。」
「あの、シロウ様。」
「なんだ?」
「いくらで依頼しました?」
「いつも通り一人銀貨1枚にしたけど、問題あったか?」
「・・・いえ、何でもありません。」
最初アグリが何を言っているかわからなかった。
だが、時間が経つにつれ自分の依頼がかなりバカげていることに気づく。
小指の先ぐらいの小さな芋虫を回収するだけで銀貨1枚もらえる。
何の危険もなく、ただ集めるだけで。
そんな依頼を出したらどうなるか。
想像するまでもないよな。
僅か30分ほどで40人を超える冒険者が畑に押し寄せてきた。
新米がほとんどと思いきやなぜか顔なじみの熟練者の姿もある。
手伝いをするだけで安宿なら数日分の宿泊費にバケるんだからそりゃくるよなぁ。
今更帰すわけもいかないし、仕方がない集まってもらった人には働いてもらうとしよう。
「あー、大勢来てもらって助かった。敵は小さいが数が多い、各自畑中をくまなく周り芋虫を回収、その場で駆除するならここに運んでくるなりしてくれると助かる。一匹でも残せば後が大変だ、徹底的に頼むぞ。」
「「「「「おう!」」」」」
冒険者の力強い返事がビリビリと辺りを震わす。
流石のガキ共もこれだけの冒険者を前にビビってしまったかなと思いきや、率先して冒険者たちに指示を出している。
うぅむ流石だ。
全員が火打ちばさみを手に、野菜の裏を一つずつ見て回り芋虫を回収。
ガキ共では手に負えなかったが、人数がいるとなんとかなるもんだ。
とはいえ回収した傍から新しいのが生まれてくるので鼬ごっこではあるのだが、被害の拡大は防げている。
後は材料が手に入れば・・・。
「シロウ、お待たせ!」
「話はニア様から聞きました。赤と青両方の実を使えばパープルエッグと同様の成分を抽出出来るはずです。調合はお任せください。」
「助かる!」
夕方を前にして両手に赤と青の実を抱えたエリザとキキが戻ってきた。
どうやら二人が取ってきてくれたようだ。
「数はこれだけか?」
「そんなわけないじゃない。かなりの数が届いているわよ。」
「だよなー・・・。」
「これで薬草と野菜が助かるんだから安いもんじゃない。それに、同様の被害が他の街でも出ていないとも限らないわ。」
「つまり、そこに売りつければ・・・。」
「お姉ちゃんそういうのはいいから早くそれを割ってつぶして。」
「あーはいはい、わかったから怒らないで。」
妹に命令される姉。
ま、仲がいいのはいい事だ。
その後、薬が投入されたことで膠着状態は一気に解消され我々の勝利が確定した。
いやー科学の力って素晴らしい!
せっかく地上に出てこられたところ申し訳ないが、これも戦いだ。
許してくれ。
時間が余ったので残りの時間は冒険者を総動員して隣の畑を耕すことにした。
流石に虫取りだけで銀貨1枚は申し訳ないと思ってくれたんだろう。
有難い話だ。
本来であれば月末ぐらいまでかかるはずだったのに、あっという間に予定していた範囲の土が柔らかくなった。
後は肥料をまいたりして土づくりをするので、夏までには何とか間に合うだろう。
せっかくなのでこの前貰って来たディヒーアの肉をふるまい、ちょっとした騒ぎになったのもまたいつもの事。
大騒ぎしている冒険者を見ながら物思いにふけっていると、
「シロウ様今日は本当にありがとうございました。」
「なに、これも野菜と薬草の為だ。それに頑張ったのは俺じゃなくて冒険者やガキ共だからな、礼なら向こうに言ってくれ。」
「かなりの出費になったのでは?」
「そうだなぁ、銀貨70枚って所か。だが薬は大量に作れたし、種はアネットが薬に使うそうだから決して無駄にはならない。あの虫はどこにでもいるんだろ?」
「はい。今回のように新たに開墾すると出てくるかもしれません。」
「ならそっちの情報を集めてくれ。で、困っているようなら売りつけよう。」
「もちろん高値で、ですよね?」
「当然だ。それで野菜が守れるなら安いもんだろ。」
金をかけたからにはその倍は回収したい。
幸い薬の材料として半値分ぐらいは回収できそうなので、せめてもう半分。
いや、そんなみみっちいことは言ってられないな。
売るならばやはり倍は稼ごう。
「ちなみに、今回の薬は虫なら何でも効くのか?」
「そうですね大きさにもよりますがおおよその虫には効果があるはずです。」
「魔物は?」
「今回の芋虫も元々が魔物ですから。」
「ふむ。」
ということはだ、濃縮すればダンジョンの魔物にも使えるんじゃないか?
別に殺すまで行かなくても動きを阻害するだけでも十分に効果がある。
虫系は動きが早いのが特徴だから、それさえ対処できれば敵ではない。
あれ、これ売れるんじゃね?
「そういやキキはどこだ?」
「あちらでエリザ様とお食事されていたかと。」
「後は任せた、今日はご苦労さん。」
後の処理はアグリに任せて俺は金儲けをするとしよう。
もちろんうまくいくかはわからないが、今回は行ける気がする。
これが成功した暁には・・・。
楽しくなってきたぞ。
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