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456.転売屋は調査団に会う
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雪は止み、少しだけいつもの冬が戻ってきた。
とはいえ例年よりかは寒い。
雪が解けぬかるんだ道をルフとレイと共に散歩する。
うん、歩きにくい。
二匹は足が汚れるのも気にすることなくどんどん先を進んでいく。
俺も汚れるのは苦にならないんだが、やっぱり歩きにくいのは嫌なものだ。
そんな事を考えながら進んでいると、いつの間にかこの前に見つかった遺跡付近まで来てしまった。
遺跡といっても調査済みなので誰も入る人はいない。
入り口は閉じられてはいるものの門番すらいない状況だ。
まぁ、調べつくされた遺跡に魅力なんてないしな。
「ん?」
「まったく、もう少し保全をするという考えを持っておらんのか?」
「まぁまぁ閉じられているだけマシじゃないですか?前なんて魔物の巣窟になってましたからね。」
「まだ荒らさないだけ魔物の方がましじゃ。」
「でも壁を食い荒らすやつもいますよ?」
「それはそれじゃ・・・っと、よし入るか。」
凸凹コンビ。
随分と若い男と、かなり高齢の男。
その二人が遺跡の入り口をこじ開け中に入ろうとしていた。
どうする?
別に取られて困るのなんてないし放っておいてもかまわないんだが・・・。
見てしまったものは仕方がない。
ルフがどうするの?という顔で俺を見てくる。
レイは遊んでもらうつもりなのか今にも突撃しそうな感じだ。
「おい、そこの二人。その遺跡は調査済みだ中に入っても何もないぞ。」
「え、あ、すみません!」
「そんなのわかっとるわい、じゃが素人にはわからなくてもワシ等にはわかるものもある。邪魔するな。」
「邪魔はしないさ、だが発見者としては勝手に荒らされると気持ち悪いだけだ。せめて許可を取ってからにしたらどうだ?」
「ですよね~、僕もそう思ったんですけどこの人がいう事を聞かなくて、あははは。」
「忠告はした、じゃあな。」
とりあえず声はかけた。
後は本人たちの良心次第だろう。
なにやらベテランみたいな口ぶりだったし、何かあっても勝手に何とかするさ。
「まてぃ。」
「・・・なんだよ。」
「おぬしが発見者と言ったか?」
「そうだが?」
「入り口から推測するに住居の遺跡だと思うが、何かめぼしい物は出てきたのかの。」
「さぁ、壺やら何やらが出てきたぐらいだ。」
「そうか。」
「中はかなり広いぞ、気を付けてな。」
俺の回答に満足したのか、鋭い目が急に柔らかくなった。
どうやら怖いだけの爺ではないらしい。
若い方もペコペコと頭を下げた後、先を行く爺を追いかけて遺跡の中へと潜っていってしまった。
「なんだったんだ?」
「わふ?」
「まぁどうでもいいか。」
ルフが知らないという感じで返事をする。
さて、散歩も長くなったしさっさと町に戻ろうかね。
俺達は踵を返し元来た道を戻るのだった。
「え、まだこない?」
「そうなのよ。お昼前にはつくって話だったのに、もう夕方よ?」
「何かあったんじゃないの?」
「そうかもしれないけど連絡のつけようがないし・・・。あぁ、今日こそフカフカベッドで寝られると思ったのになぁ。」
店に戻り雪合戦の総評を聞きに冒険者ギルドへと行くと、何やらニアがへこんでいた。
それをエリザが慰めているようだ。
「なにかあったのか?」
「きいてよ、今日来るはずだった例の調査団がまだ来ないんだって。」
「ほぉ。」
「今日の朝一番で隣町を出たからお昼には到着してるはずなんだけど・・・。」
「何かあったのか?」
「それがわからないのよ。」
「なら探しに行けばいいじゃないか、手の空いてる冒険者に隣町まで走らせれば、何かあればわかるはずだ。特徴とかならわかるだろ?」
「えっと、若い男性研究員と年配の二人組なんだけど・・・。」
「ん?」
若いのと年寄り?
さっきであったような・・・。
「どうしたの?」
「いや、さっき遺跡で会った二人組がそんなだったなと。」
「え?遺跡!?」
「あぁ、許可を取れって言ったんだが何も言わずに潜っていったんだ。」
「それよ!」
「だろうなぁ。」
「すぐに使いを出すわ、何としてでもフカフカのベッドで寝るんだから!」
家に帰りたい。
ニアの命令ですぐに使いが出され、一時間ほどで先程の二人が冒険者ギルドに戻ってきた。
「いや~、どうもすみません。この人一度言い出したら聞かなくて。」
「フン!そもそも遺跡調査がワシ等の仕事じゃ。それをほっぽいて鑑定などやってられるか。」
「まぁまぁなんでもすごい物らしいじゃないですか。」
「あんな遺跡から出てきたものじゃろ?軽く見た感じじゃが兵舎と詰所じゃろう。そんなたいそうなものは・・・。」
「それはこれを見ても言えるのか?」
二人を案内した応接室にニアが守り続けたブツが持ち込まれる。
もちろん運んできたのはエリザだ。
目の前に置かれた品を見て、二人の目の色が変わった。
「お二人を呼んだのはこれを鑑定して頂くため、そして然るべき場所に保管するべきと判断したからです。」
「これはあの遺跡から?」
「いえ、これはさる家の地下に隠されていたものでした。他にも発見されましたが、王家から逸失してたのはこの二つのみです。」
「確かに監査官からそのような話は聞いていましたけど、これは大変な発見ですよハワードさん。」
「そんなのわかっとる!いちいち大声を出すなジョン。」
どうやら若いのがジョン、爺の方がハワードというらしい。
自己紹介もないままに二人は・・・いや、爺が目の前に置かれた品に顔を近づける。
「間違いない、破滅の祭器と災厄の盃じゃ。」
「報告のあった通りですね。」
「こんなものがまさかこんな場所から出て来るとは・・・。良からぬ連中の手に渡らなかったのが救いじゃな。」
「その通りですね。特に災厄の盃は誰にでも使えてしまいますから、悪人の手に渡ればあっという間に国一つ滅んじゃいますよ。」
「一つで済めばいいがの。」
鑑定結果に間違いはなかったようだ。
爺は品物から身を離し、目頭を押さえながら深いため息をつく。
「間違いないんだな?」
「あぁ、失われた祭器で間違いない。良く見つけてくれた。」
「報告を聞いたときは冗談だと持ってたんですけど、この禍々しさ間違いありません。」
「それはなによりだ、宜しくない連中に盗まれる前にさっさと持って帰ってくれ。」
「そうしたいのは山々じゃがさすがにこれを持ったままワシ等も動くことは出来ん。すぐに聖騎士団を呼ぶからもうしばらくここに置いといてくれ。」
「えぇぇぇぇ!?」
「なんじゃ大声を出して。」
「ほっといてやってくれ、こいつらを守るために一週間家に帰ってないだけだから。」
「だけっていった!だけって!」
ニアが俺を指さしてわめきだしたので、エリザに言って部屋から追い出してもらった。
言い方が悪かったな、ご退場頂いた。
当分帰れないのは確定なんだ、現実を見つめる時間も必要だろう。
「この二つの為だけに聖騎士団が出てくるのか。」
「本来なら王家の宝物庫、その更に奥深くに封印されるはずの品じゃからのぉ。いやぁ良い物を見せてもらった。」
「これは大発見ですよ!王都に戻ったら仲間に自慢できますね!」
「そんな暇あればいいがのぉ。調査だなんだとひっくり返すかもしれん。」
「調査って、これが何かわかってるんだろ?わざわざ調べなくてもいいんじゃないか?」
「一度宝物庫から出た以上、傷も含めて記録しなきゃならん。もしかしたら使用されているかもしれんだろ?」
「まぁ、確かに。」
「もっとも、使用されていたら大変なことになってますけどね。」
「違いない。」
世界が滅びるような品だ、使用できるのは盃だけだろうがそれでも宜しくないのは間違いない。
「王家ってのは面倒なものを集めてるんだなぁ。」
「本来であれば逸失する方がおかしいんじゃが・・・。」
「色々あったんです、色々。あの、他にも珍しい物とかありませんか?貴方、確か有名な買取屋さんでしたよね。えぇっと名前は確か・・・。」
「シロウだ。」
「そうそうシロウさん!雑誌で読みましたよ。」
「買取屋?骨董品屋の間違いじゃないのか?」
「骨董品には興味はねぇ。俺が買うのは金になるものだけだが・・・、そういや見てほしい物がある。」
今思い出した。
遺跡を発見する前に見つけた祭器。
ホード曰く珍しい物ではあるが別に害はないってことで金庫に押し込んだままだった。
せっかくだし一緒に調べてもらって、然るべき場所に戻すべきだろう。
「ほぉ、余程の品か?」
「なんでも旧王朝時代に作られた召喚用の祭器だそうだ。」
「召喚用?でもアレは使ったら無くなるはずじゃ。」
「失敗したんじゃろ。それもあの遺跡にあったのか?」
「いや、その近くに落ちてた。いや、一応埋まっていたか。」
「ふむ・・・。」
「もしかすると大発見かもしれませんよ!旧王朝時代の祭器なんて滅多に出回りませんし、もし本物なら来るべき時の為に王家がしっかりと管理するべきです。」
来るべき時、ねぇ。
確か一週間か十日祈り続けて最後は命を捧げるんだろ?
そんな物騒なものを使う時が来たら世界はもう終わりかけじゃないか。
そんなもの来ない方がいいと思うけどな。
「みせてくれ、話はそれからじゃ。」
「わかった、持ってくるから待っててくれ。」
ずっと忘れていたものだが、俺の所に置いておくよりも正しい所に収まったほうがいいとミラも言っていた。
とはいえタダで渡す気はない。
それなりの価値はあるみたいだし、回収した分も含めてたんまりせしめるとしよう。
どうやってこの二人から金を引っ張り出すか考えながら、俺は部屋をゆっくりと出るのだった。
とはいえ例年よりかは寒い。
雪が解けぬかるんだ道をルフとレイと共に散歩する。
うん、歩きにくい。
二匹は足が汚れるのも気にすることなくどんどん先を進んでいく。
俺も汚れるのは苦にならないんだが、やっぱり歩きにくいのは嫌なものだ。
そんな事を考えながら進んでいると、いつの間にかこの前に見つかった遺跡付近まで来てしまった。
遺跡といっても調査済みなので誰も入る人はいない。
入り口は閉じられてはいるものの門番すらいない状況だ。
まぁ、調べつくされた遺跡に魅力なんてないしな。
「ん?」
「まったく、もう少し保全をするという考えを持っておらんのか?」
「まぁまぁ閉じられているだけマシじゃないですか?前なんて魔物の巣窟になってましたからね。」
「まだ荒らさないだけ魔物の方がましじゃ。」
「でも壁を食い荒らすやつもいますよ?」
「それはそれじゃ・・・っと、よし入るか。」
凸凹コンビ。
随分と若い男と、かなり高齢の男。
その二人が遺跡の入り口をこじ開け中に入ろうとしていた。
どうする?
別に取られて困るのなんてないし放っておいてもかまわないんだが・・・。
見てしまったものは仕方がない。
ルフがどうするの?という顔で俺を見てくる。
レイは遊んでもらうつもりなのか今にも突撃しそうな感じだ。
「おい、そこの二人。その遺跡は調査済みだ中に入っても何もないぞ。」
「え、あ、すみません!」
「そんなのわかっとるわい、じゃが素人にはわからなくてもワシ等にはわかるものもある。邪魔するな。」
「邪魔はしないさ、だが発見者としては勝手に荒らされると気持ち悪いだけだ。せめて許可を取ってからにしたらどうだ?」
「ですよね~、僕もそう思ったんですけどこの人がいう事を聞かなくて、あははは。」
「忠告はした、じゃあな。」
とりあえず声はかけた。
後は本人たちの良心次第だろう。
なにやらベテランみたいな口ぶりだったし、何かあっても勝手に何とかするさ。
「まてぃ。」
「・・・なんだよ。」
「おぬしが発見者と言ったか?」
「そうだが?」
「入り口から推測するに住居の遺跡だと思うが、何かめぼしい物は出てきたのかの。」
「さぁ、壺やら何やらが出てきたぐらいだ。」
「そうか。」
「中はかなり広いぞ、気を付けてな。」
俺の回答に満足したのか、鋭い目が急に柔らかくなった。
どうやら怖いだけの爺ではないらしい。
若い方もペコペコと頭を下げた後、先を行く爺を追いかけて遺跡の中へと潜っていってしまった。
「なんだったんだ?」
「わふ?」
「まぁどうでもいいか。」
ルフが知らないという感じで返事をする。
さて、散歩も長くなったしさっさと町に戻ろうかね。
俺達は踵を返し元来た道を戻るのだった。
「え、まだこない?」
「そうなのよ。お昼前にはつくって話だったのに、もう夕方よ?」
「何かあったんじゃないの?」
「そうかもしれないけど連絡のつけようがないし・・・。あぁ、今日こそフカフカベッドで寝られると思ったのになぁ。」
店に戻り雪合戦の総評を聞きに冒険者ギルドへと行くと、何やらニアがへこんでいた。
それをエリザが慰めているようだ。
「なにかあったのか?」
「きいてよ、今日来るはずだった例の調査団がまだ来ないんだって。」
「ほぉ。」
「今日の朝一番で隣町を出たからお昼には到着してるはずなんだけど・・・。」
「何かあったのか?」
「それがわからないのよ。」
「なら探しに行けばいいじゃないか、手の空いてる冒険者に隣町まで走らせれば、何かあればわかるはずだ。特徴とかならわかるだろ?」
「えっと、若い男性研究員と年配の二人組なんだけど・・・。」
「ん?」
若いのと年寄り?
さっきであったような・・・。
「どうしたの?」
「いや、さっき遺跡で会った二人組がそんなだったなと。」
「え?遺跡!?」
「あぁ、許可を取れって言ったんだが何も言わずに潜っていったんだ。」
「それよ!」
「だろうなぁ。」
「すぐに使いを出すわ、何としてでもフカフカのベッドで寝るんだから!」
家に帰りたい。
ニアの命令ですぐに使いが出され、一時間ほどで先程の二人が冒険者ギルドに戻ってきた。
「いや~、どうもすみません。この人一度言い出したら聞かなくて。」
「フン!そもそも遺跡調査がワシ等の仕事じゃ。それをほっぽいて鑑定などやってられるか。」
「まぁまぁなんでもすごい物らしいじゃないですか。」
「あんな遺跡から出てきたものじゃろ?軽く見た感じじゃが兵舎と詰所じゃろう。そんなたいそうなものは・・・。」
「それはこれを見ても言えるのか?」
二人を案内した応接室にニアが守り続けたブツが持ち込まれる。
もちろん運んできたのはエリザだ。
目の前に置かれた品を見て、二人の目の色が変わった。
「お二人を呼んだのはこれを鑑定して頂くため、そして然るべき場所に保管するべきと判断したからです。」
「これはあの遺跡から?」
「いえ、これはさる家の地下に隠されていたものでした。他にも発見されましたが、王家から逸失してたのはこの二つのみです。」
「確かに監査官からそのような話は聞いていましたけど、これは大変な発見ですよハワードさん。」
「そんなのわかっとる!いちいち大声を出すなジョン。」
どうやら若いのがジョン、爺の方がハワードというらしい。
自己紹介もないままに二人は・・・いや、爺が目の前に置かれた品に顔を近づける。
「間違いない、破滅の祭器と災厄の盃じゃ。」
「報告のあった通りですね。」
「こんなものがまさかこんな場所から出て来るとは・・・。良からぬ連中の手に渡らなかったのが救いじゃな。」
「その通りですね。特に災厄の盃は誰にでも使えてしまいますから、悪人の手に渡ればあっという間に国一つ滅んじゃいますよ。」
「一つで済めばいいがの。」
鑑定結果に間違いはなかったようだ。
爺は品物から身を離し、目頭を押さえながら深いため息をつく。
「間違いないんだな?」
「あぁ、失われた祭器で間違いない。良く見つけてくれた。」
「報告を聞いたときは冗談だと持ってたんですけど、この禍々しさ間違いありません。」
「それはなによりだ、宜しくない連中に盗まれる前にさっさと持って帰ってくれ。」
「そうしたいのは山々じゃがさすがにこれを持ったままワシ等も動くことは出来ん。すぐに聖騎士団を呼ぶからもうしばらくここに置いといてくれ。」
「えぇぇぇぇ!?」
「なんじゃ大声を出して。」
「ほっといてやってくれ、こいつらを守るために一週間家に帰ってないだけだから。」
「だけっていった!だけって!」
ニアが俺を指さしてわめきだしたので、エリザに言って部屋から追い出してもらった。
言い方が悪かったな、ご退場頂いた。
当分帰れないのは確定なんだ、現実を見つめる時間も必要だろう。
「この二つの為だけに聖騎士団が出てくるのか。」
「本来なら王家の宝物庫、その更に奥深くに封印されるはずの品じゃからのぉ。いやぁ良い物を見せてもらった。」
「これは大発見ですよ!王都に戻ったら仲間に自慢できますね!」
「そんな暇あればいいがのぉ。調査だなんだとひっくり返すかもしれん。」
「調査って、これが何かわかってるんだろ?わざわざ調べなくてもいいんじゃないか?」
「一度宝物庫から出た以上、傷も含めて記録しなきゃならん。もしかしたら使用されているかもしれんだろ?」
「まぁ、確かに。」
「もっとも、使用されていたら大変なことになってますけどね。」
「違いない。」
世界が滅びるような品だ、使用できるのは盃だけだろうがそれでも宜しくないのは間違いない。
「王家ってのは面倒なものを集めてるんだなぁ。」
「本来であれば逸失する方がおかしいんじゃが・・・。」
「色々あったんです、色々。あの、他にも珍しい物とかありませんか?貴方、確か有名な買取屋さんでしたよね。えぇっと名前は確か・・・。」
「シロウだ。」
「そうそうシロウさん!雑誌で読みましたよ。」
「買取屋?骨董品屋の間違いじゃないのか?」
「骨董品には興味はねぇ。俺が買うのは金になるものだけだが・・・、そういや見てほしい物がある。」
今思い出した。
遺跡を発見する前に見つけた祭器。
ホード曰く珍しい物ではあるが別に害はないってことで金庫に押し込んだままだった。
せっかくだし一緒に調べてもらって、然るべき場所に戻すべきだろう。
「ほぉ、余程の品か?」
「なんでも旧王朝時代に作られた召喚用の祭器だそうだ。」
「召喚用?でもアレは使ったら無くなるはずじゃ。」
「失敗したんじゃろ。それもあの遺跡にあったのか?」
「いや、その近くに落ちてた。いや、一応埋まっていたか。」
「ふむ・・・。」
「もしかすると大発見かもしれませんよ!旧王朝時代の祭器なんて滅多に出回りませんし、もし本物なら来るべき時の為に王家がしっかりと管理するべきです。」
来るべき時、ねぇ。
確か一週間か十日祈り続けて最後は命を捧げるんだろ?
そんな物騒なものを使う時が来たら世界はもう終わりかけじゃないか。
そんなもの来ない方がいいと思うけどな。
「みせてくれ、話はそれからじゃ。」
「わかった、持ってくるから待っててくれ。」
ずっと忘れていたものだが、俺の所に置いておくよりも正しい所に収まったほうがいいとミラも言っていた。
とはいえタダで渡す気はない。
それなりの価値はあるみたいだし、回収した分も含めてたんまりせしめるとしよう。
どうやってこの二人から金を引っ張り出すか考えながら、俺は部屋をゆっくりと出るのだった。
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