388 / 1,027
386.転売屋は海を目指す
しおりを挟む
「用意はできたか?」
「道中で売る素材なども積み込み完了です。後は・・・。」
「おまたせしました!」
「お、来た来た。」
店の前に止められた馬車の上から商店街を見ていると、ハーシェさんが走って来るのが見えた。
別に走ってこなくてもいいのに。
馬車の横で息を切らすハーシェさんに中から出てきたアネットがお水を差し出す。
「大丈夫ですか?」
「準備に手間取ってしまいまして、ごめんなさい。」
「大丈夫ですよハーシェ様、エリザ様はまだ戻っていません。」
「よかった。」
「随分と大荷物だな。」
「あれもこれもと考えると、いつも多くなってしまうんです。」
「わかります。」
横で話を聞いていたミラがうんうんと頷いている。
そういえばミラも荷物が多いんだよなぁ。
似た者同士って奴だろうか。
「今日のお洋服、とっても素敵です。」
「ありがとうございますアネットさん。せっかくのお誘いですから・・・。」
「ん?」
「なるほど。では私達も気合を入れなければなりませんね。」
「そうですね!」
「もぉ、若いお二人に本気を出されたら勝てないじゃないですか。」
「冗談です。荷物を積み込みますのでこちらへ。」
なにやら楽しそうに話をしている。
うん、俺は何も聞かなかった、聞かなかった。
時々こちらの方に視線を向けて来るが気のせいだ。
例えその視線が獲物を狙う肉食獣のものに似ていたとしても。
「ただいまー!」
「おぅご苦労さん。」
「貰って来たわよ、はい依頼書。」
「悪かったな、走らせて。」
「べつに、ギルドに寄るつもりだったし。」
エリザに頼んだのはギルド協会が発行した依頼書だ。
これがあるのとないのとでは買い付けのしやすさが格段に変わるとハーシェさんに教えてもらった。
それもそうか、個人で買い付けするのではなく、街からの依頼という事になる。
向こうも無碍に断りにくくなるんだろう。
「さて、目的の物も手に入ったし馬車の準備も出来た。しかしあれだな、この人数だと馬車が二台要るんだな。」
「一台だとあまり荷を積み込めません。せっかくの海ですから、色々と買い付けると思いまして。」
「まぁ、その通りなんだけども。」
今回は俺の行商初体験だ。
道中の街でも色々と買うつもりだし、荷物が載らないからという理由であきらめるのはもったいない。
「それじゃあ出発するわよ、比較的安全な道だけど何かあったら戸を閉めて中に隠れるように。」
「一台目にエリザとハーシェさん、二台目に俺とミラとアネットだったな。先導よろしく頼む。」
「お任せください。」
「出発!」
それぞれの馬車に乗り込んでいざ海へ!
と、言ったものの片道三日の旅だ。
海が見えるにはまだまだかかる。
幸いにも魔物や盗賊の襲撃はなかったので予定通り最初の宿場町に到着した。
「はぁ、やっとついたか。」
「ふふ、まだ一日目ですよ。」
「座りっぱなしっていうのもなかなかにきついな。」
「それもあるから早めに休むのよ。それに、この時間なら色々と出来るでしょ?」
「そうだな」
町に着いたその足で商業ギルドへと馬車を動かす。
すぐに宿をとることも考えたのだが、もしかするといい宿を手配できるかもしれない。
前回仕入れた大量のドラゴン素材を持ってきたのだが、予想よりも高い値段で半分が売れてしまった。
まさかの展開にエリザとアネットは口を開けたまま放心している。
それもそうだろう。
いきなり目の前で金貨30枚を超える取引が行われたんだから。
「じゃあ荷物は裏の馬車に積んであるから降ろしてくれ、薬やポーションなんかもあるが必要か?」
「いえ、薬師も錬金術師もおりますので。」
「そりゃ残念だ。もう少し荷が空いたらここで買い付けをしていこうと思ったんだが・・・。」
「お力になれず申し訳ありません。」
粘ってみたがさすがにこれ以上の取引は望めそうにない。
とはいえ馬車一台分の荷物が空いた。
空荷のまま動くのはちょっともったいないなぁ。
「いや、こっちの都合だ気にしないでくれ。」
「この後はどちらに?」
「海まで行くつもりだ。」
「それでしたらうちの織物等はいかがでしょう、どこに出しても恥ずかしくない品質だと自負しております。」
「織物が有名なのか?」
「よろしければご案内させていただきますよ。」
「そうだな・・・だが、まずは宿を手配したい。いいところを知らないか?」
俺がそう言うと向こうの担当者がにやりと笑った。
どうやら俺の意図を理解してくれたようだ。
姑息な手段かもしれないが、何もせずに予約をするよりも町の人間に紹介してもらった方がいい宿に泊まれるし、通常以上のサービスを受けることが出来る。
向こうも俺達を接待するだけで名産品を買ってくれるわけだから、どちらもwin-winというわけだな。
担当者の計らいで町一番の宿を格安で紹介してもらい、そのまま次の行商品を買い付けることが出来た。
費用は金貨10枚分。
これが次の町でいくらになるのか楽しみだなぁ。
「あ~食べた食べた。」
「お前は飲んだ飲んだだろ、接待とはいえ少しは遠慮しろよな。」
「いいじゃない、こっちは金貨10枚も買い物したのよ?」
「その通りです。いい品を安く仕入れられた上に自前の品も買ってもらえたんですから、多少の出費は問題ないでしょう。」
「安く買うだけでなくいい宿も紹介してもらうなんて、私がするよりもシロウ様が行商された方が儲かるんじゃないですか。」
「あ、ハーシェさんが拗ねてる。」
「拗ねてません!」
皆お酒を飲んでご機嫌なようだ。
もちろん俺も酒を楽しんだが、二人ほどは飲んでない。
部屋に戻り服を脱ぐのももどかしくベッドに倒れこむと、満腹のせいか一気に眠気が襲ってきた。
「シロウ様、皺になります。」
「ん、あぁ。」
「だらしないわねぇ。先にお風呂貰うわよ?」
「あ、私も行きます!」
「好きにしろ。」
それよりも俺は眠いんだ。
とはいえミラが言うように服がしわになるのは困る。
三日間の旅だが汚れ物を増やすわけにはいかないので、肌着以外は着まわす予定になっている。
皺皺の服では交渉するときに不利になりかねない。
その辺はちゃんとしておかないと。
眠たい目をこすりながら服を脱ぐと、ハーシェさんとミラが手伝ってくれた。
で、そのまま眠りにつく・・・わけがないよな。
二人が欲情しているのを無視して寝れるほど、俺は出来た男じゃないんでね。
担当者の計らいで案内されたのはキングサイズのベッドがある部屋。
二人をたっぷり堪能したのち、風呂から上がってきたエリザとアネットとも楽しんでいたらあっという間に夜更けになってしまった。
こういうのも旅の醍醐味とはいえ、さすがに明日は自重しなければ。
翌朝。
ツヤツヤの女達とは対照的にフラフラの俺を見て宿の主がおなじみのセリフを言ったのは、致し方ないだろう。
「昨夜はお楽しみでしたね。」
次の日も半日かけて移動し、夕方前に次の町に到着。
道中一度だけはぐれの魔物に遭遇したが、エリザがあっという間に退治してしまった。
もちろん素材を剥ぎ取るのは忘れない。
ワイルドリザードという体長3mはあろうかという巨大な蜥蜴で、見た目とは裏腹に動きが素早かった。
シャカシャカと動くさまはゼンマイで動く玩具のようだったが、巨大な顎が俺達をとらえることはなくその場で三枚におろされたのはちょっとかわいそうだった気もする。
ちなみに肉はなかなかに美味だった。
少し硬い感じはしたが、新鮮だからか臭みもなく、持ってきた塩と香草で味付けをして昼飯となったのは言うまでもない。
昨日同様到着したその足で商業ギルドに向かい、残った素材と買い付けた織物を売り払った。
織物は金貨12枚、ドラゴン素材は金貨5枚。
自慢するだけあって織物の反応は良く、ここでも宿を紹介してもらえる事になった。
流石に二日連続でキングサイズのベッドはなく部屋も四人部屋と個人の二部屋に分かれたので、その日は大人しく寝ることにした。
連日四人同時はさすがに無理だ。
「いよいよ明日海に着くのね。」
「そのはずだ。」
「夕食に出てきたお魚も海のものでしたね!」
「近いからかこの辺りでもよく食べられるとか、シロウ様的にはいかがでしたか?」
「焼き魚もいいが俺は刺身が食べたい。」
「ケイブフィッシュとはまた違う味なのかな。」
「新鮮なやつは臭みもないし美味いぞ。ちなみに醤油で食うとなお美味い。」
「なにそれ、気になるじゃない。」
女達も醤油の魅力には抗えないのだろう。
一度味わうと逃れられない魅力があるからなぁ醤油には。
マジで手に入ってよかった。
欲を言えばわさびも欲しいがそれを求めるのは野暮ってものだろう。
あれは水のきれいな山間で栽培されていたはず。
海で手に入るとは思えない。
町からここまで一度も山を越えることはなく、ずっと平坦な道を走ってきた。
かなり大きな平野なんだろう。
どこを見ても地平線が続くだけ。
とはいえ、気候なんかは少しずつ違うし川が近いからか作物は豊富だった。
大きな街道だし交易も盛んなんだろう。
おかげで交易品のほかにも露店で色々と珍しい品を買い付けることもできたしな。
店に戻って売るのが楽しみだ。
「明日朝一番に出発して到着は昼過ぎ、その後はどうする?」
「せっかく海に行くんだし、ゆっくりするんじゃないの?」
「確か砂浜があったはずです、本にも書いてありました。」
「海水浴もできるそうですよ。」
「私、海に入るのって初めてなのよね。」
「え、そうなんですか?」
「依頼で行くことはあっても遊びじゃないから。依頼に水着なんて持って行かないでしょ?」
「でも今回は持ってきていると。」
「だってハーシェさんが。」
「エリザ様、それは!」
どうやら水着を持ってくるように言ったのはハーシェさんだったようだ。
まぁ買い付けという名の旅行だし、別に構わないんだけども。
海水浴かぁ。
何十年と行ってないなぁ。
正直に言って四人の水着姿は見たい。
部屋で見れるじゃないかと言われるかもしれないが見たい。
男とはそういうものだ。
その後一人で部屋に戻り、隣りから聞こえてくる女たちの声を子守歌にしてその日はぐっすりと眠りにつくのだった。
「道中で売る素材なども積み込み完了です。後は・・・。」
「おまたせしました!」
「お、来た来た。」
店の前に止められた馬車の上から商店街を見ていると、ハーシェさんが走って来るのが見えた。
別に走ってこなくてもいいのに。
馬車の横で息を切らすハーシェさんに中から出てきたアネットがお水を差し出す。
「大丈夫ですか?」
「準備に手間取ってしまいまして、ごめんなさい。」
「大丈夫ですよハーシェ様、エリザ様はまだ戻っていません。」
「よかった。」
「随分と大荷物だな。」
「あれもこれもと考えると、いつも多くなってしまうんです。」
「わかります。」
横で話を聞いていたミラがうんうんと頷いている。
そういえばミラも荷物が多いんだよなぁ。
似た者同士って奴だろうか。
「今日のお洋服、とっても素敵です。」
「ありがとうございますアネットさん。せっかくのお誘いですから・・・。」
「ん?」
「なるほど。では私達も気合を入れなければなりませんね。」
「そうですね!」
「もぉ、若いお二人に本気を出されたら勝てないじゃないですか。」
「冗談です。荷物を積み込みますのでこちらへ。」
なにやら楽しそうに話をしている。
うん、俺は何も聞かなかった、聞かなかった。
時々こちらの方に視線を向けて来るが気のせいだ。
例えその視線が獲物を狙う肉食獣のものに似ていたとしても。
「ただいまー!」
「おぅご苦労さん。」
「貰って来たわよ、はい依頼書。」
「悪かったな、走らせて。」
「べつに、ギルドに寄るつもりだったし。」
エリザに頼んだのはギルド協会が発行した依頼書だ。
これがあるのとないのとでは買い付けのしやすさが格段に変わるとハーシェさんに教えてもらった。
それもそうか、個人で買い付けするのではなく、街からの依頼という事になる。
向こうも無碍に断りにくくなるんだろう。
「さて、目的の物も手に入ったし馬車の準備も出来た。しかしあれだな、この人数だと馬車が二台要るんだな。」
「一台だとあまり荷を積み込めません。せっかくの海ですから、色々と買い付けると思いまして。」
「まぁ、その通りなんだけども。」
今回は俺の行商初体験だ。
道中の街でも色々と買うつもりだし、荷物が載らないからという理由であきらめるのはもったいない。
「それじゃあ出発するわよ、比較的安全な道だけど何かあったら戸を閉めて中に隠れるように。」
「一台目にエリザとハーシェさん、二台目に俺とミラとアネットだったな。先導よろしく頼む。」
「お任せください。」
「出発!」
それぞれの馬車に乗り込んでいざ海へ!
と、言ったものの片道三日の旅だ。
海が見えるにはまだまだかかる。
幸いにも魔物や盗賊の襲撃はなかったので予定通り最初の宿場町に到着した。
「はぁ、やっとついたか。」
「ふふ、まだ一日目ですよ。」
「座りっぱなしっていうのもなかなかにきついな。」
「それもあるから早めに休むのよ。それに、この時間なら色々と出来るでしょ?」
「そうだな」
町に着いたその足で商業ギルドへと馬車を動かす。
すぐに宿をとることも考えたのだが、もしかするといい宿を手配できるかもしれない。
前回仕入れた大量のドラゴン素材を持ってきたのだが、予想よりも高い値段で半分が売れてしまった。
まさかの展開にエリザとアネットは口を開けたまま放心している。
それもそうだろう。
いきなり目の前で金貨30枚を超える取引が行われたんだから。
「じゃあ荷物は裏の馬車に積んであるから降ろしてくれ、薬やポーションなんかもあるが必要か?」
「いえ、薬師も錬金術師もおりますので。」
「そりゃ残念だ。もう少し荷が空いたらここで買い付けをしていこうと思ったんだが・・・。」
「お力になれず申し訳ありません。」
粘ってみたがさすがにこれ以上の取引は望めそうにない。
とはいえ馬車一台分の荷物が空いた。
空荷のまま動くのはちょっともったいないなぁ。
「いや、こっちの都合だ気にしないでくれ。」
「この後はどちらに?」
「海まで行くつもりだ。」
「それでしたらうちの織物等はいかがでしょう、どこに出しても恥ずかしくない品質だと自負しております。」
「織物が有名なのか?」
「よろしければご案内させていただきますよ。」
「そうだな・・・だが、まずは宿を手配したい。いいところを知らないか?」
俺がそう言うと向こうの担当者がにやりと笑った。
どうやら俺の意図を理解してくれたようだ。
姑息な手段かもしれないが、何もせずに予約をするよりも町の人間に紹介してもらった方がいい宿に泊まれるし、通常以上のサービスを受けることが出来る。
向こうも俺達を接待するだけで名産品を買ってくれるわけだから、どちらもwin-winというわけだな。
担当者の計らいで町一番の宿を格安で紹介してもらい、そのまま次の行商品を買い付けることが出来た。
費用は金貨10枚分。
これが次の町でいくらになるのか楽しみだなぁ。
「あ~食べた食べた。」
「お前は飲んだ飲んだだろ、接待とはいえ少しは遠慮しろよな。」
「いいじゃない、こっちは金貨10枚も買い物したのよ?」
「その通りです。いい品を安く仕入れられた上に自前の品も買ってもらえたんですから、多少の出費は問題ないでしょう。」
「安く買うだけでなくいい宿も紹介してもらうなんて、私がするよりもシロウ様が行商された方が儲かるんじゃないですか。」
「あ、ハーシェさんが拗ねてる。」
「拗ねてません!」
皆お酒を飲んでご機嫌なようだ。
もちろん俺も酒を楽しんだが、二人ほどは飲んでない。
部屋に戻り服を脱ぐのももどかしくベッドに倒れこむと、満腹のせいか一気に眠気が襲ってきた。
「シロウ様、皺になります。」
「ん、あぁ。」
「だらしないわねぇ。先にお風呂貰うわよ?」
「あ、私も行きます!」
「好きにしろ。」
それよりも俺は眠いんだ。
とはいえミラが言うように服がしわになるのは困る。
三日間の旅だが汚れ物を増やすわけにはいかないので、肌着以外は着まわす予定になっている。
皺皺の服では交渉するときに不利になりかねない。
その辺はちゃんとしておかないと。
眠たい目をこすりながら服を脱ぐと、ハーシェさんとミラが手伝ってくれた。
で、そのまま眠りにつく・・・わけがないよな。
二人が欲情しているのを無視して寝れるほど、俺は出来た男じゃないんでね。
担当者の計らいで案内されたのはキングサイズのベッドがある部屋。
二人をたっぷり堪能したのち、風呂から上がってきたエリザとアネットとも楽しんでいたらあっという間に夜更けになってしまった。
こういうのも旅の醍醐味とはいえ、さすがに明日は自重しなければ。
翌朝。
ツヤツヤの女達とは対照的にフラフラの俺を見て宿の主がおなじみのセリフを言ったのは、致し方ないだろう。
「昨夜はお楽しみでしたね。」
次の日も半日かけて移動し、夕方前に次の町に到着。
道中一度だけはぐれの魔物に遭遇したが、エリザがあっという間に退治してしまった。
もちろん素材を剥ぎ取るのは忘れない。
ワイルドリザードという体長3mはあろうかという巨大な蜥蜴で、見た目とは裏腹に動きが素早かった。
シャカシャカと動くさまはゼンマイで動く玩具のようだったが、巨大な顎が俺達をとらえることはなくその場で三枚におろされたのはちょっとかわいそうだった気もする。
ちなみに肉はなかなかに美味だった。
少し硬い感じはしたが、新鮮だからか臭みもなく、持ってきた塩と香草で味付けをして昼飯となったのは言うまでもない。
昨日同様到着したその足で商業ギルドに向かい、残った素材と買い付けた織物を売り払った。
織物は金貨12枚、ドラゴン素材は金貨5枚。
自慢するだけあって織物の反応は良く、ここでも宿を紹介してもらえる事になった。
流石に二日連続でキングサイズのベッドはなく部屋も四人部屋と個人の二部屋に分かれたので、その日は大人しく寝ることにした。
連日四人同時はさすがに無理だ。
「いよいよ明日海に着くのね。」
「そのはずだ。」
「夕食に出てきたお魚も海のものでしたね!」
「近いからかこの辺りでもよく食べられるとか、シロウ様的にはいかがでしたか?」
「焼き魚もいいが俺は刺身が食べたい。」
「ケイブフィッシュとはまた違う味なのかな。」
「新鮮なやつは臭みもないし美味いぞ。ちなみに醤油で食うとなお美味い。」
「なにそれ、気になるじゃない。」
女達も醤油の魅力には抗えないのだろう。
一度味わうと逃れられない魅力があるからなぁ醤油には。
マジで手に入ってよかった。
欲を言えばわさびも欲しいがそれを求めるのは野暮ってものだろう。
あれは水のきれいな山間で栽培されていたはず。
海で手に入るとは思えない。
町からここまで一度も山を越えることはなく、ずっと平坦な道を走ってきた。
かなり大きな平野なんだろう。
どこを見ても地平線が続くだけ。
とはいえ、気候なんかは少しずつ違うし川が近いからか作物は豊富だった。
大きな街道だし交易も盛んなんだろう。
おかげで交易品のほかにも露店で色々と珍しい品を買い付けることもできたしな。
店に戻って売るのが楽しみだ。
「明日朝一番に出発して到着は昼過ぎ、その後はどうする?」
「せっかく海に行くんだし、ゆっくりするんじゃないの?」
「確か砂浜があったはずです、本にも書いてありました。」
「海水浴もできるそうですよ。」
「私、海に入るのって初めてなのよね。」
「え、そうなんですか?」
「依頼で行くことはあっても遊びじゃないから。依頼に水着なんて持って行かないでしょ?」
「でも今回は持ってきていると。」
「だってハーシェさんが。」
「エリザ様、それは!」
どうやら水着を持ってくるように言ったのはハーシェさんだったようだ。
まぁ買い付けという名の旅行だし、別に構わないんだけども。
海水浴かぁ。
何十年と行ってないなぁ。
正直に言って四人の水着姿は見たい。
部屋で見れるじゃないかと言われるかもしれないが見たい。
男とはそういうものだ。
その後一人で部屋に戻り、隣りから聞こえてくる女たちの声を子守歌にしてその日はぐっすりと眠りにつくのだった。
14
お気に入りに追加
328
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい
こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。
社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。
頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。
オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。
※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる