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375.転売屋は姉妹を見守る
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オークションも終わり、オリンピア様たちも王都に戻る。
と、思いきや翌日になっても帰る気配はなかった。
聞けば二・三日ここに滞在してから戻るんだそうだ。
奴隷の様子を見るといいながら、実際はマリーさんとゆっくりしたいんだろうな。
その証拠に朝一番からマリーさんの店に行き、色々と計画しているようだ。
え、何でそんなに詳しいかって?
呼び出されたからだよ、エリザと一緒にな。
「何で俺まで。」
「まぁまぁいいじゃないの、二人が気楽に接することが出来るのはシロウぐらいしか居ないんだから。」
「ぐらいっておまえなぁ。」
「事実でしょ?」
「俺じゃなくてもミラやアネットでもいいじゃないか。」
「二人とも外せない用事があるんだから文句言わない。そもそも誰がその用事を作ったのよ。」
「俺だな。」
「じゃあ仕方ないんじゃない?」
正論過ぎてぐうの音も出ない。
だが俺が言いたいのは、アニエスさんとエリザ。
加えて王都から来ている警備の皆さんが居るんだから俺が居る必要は無いよねってことなんだが・・・。
警備のためについてこいというわけではないようだ。
そうそう、例の男は早々に街を出て行ってしまった。
それもまた拍子抜けだが、関っていた誰もがその人物について詳しくないって言うのが怪しいよなぁ。
それを怪しいと思ってない所もまた怪しい、いやおかしい。
人を操っていたのか、記憶を改竄したのか。
ともかく問題の人物は居ないんだ、気楽に過ごすことにしよう。
「決まりました!」
「で、まずは何をするんだ?」
「お姉さまのお店のお手伝いをしようかと。」
「はい却下。」
「なぜですか!?」
「王族のお姫様を不特定多数が来る店で接客させる?どう考えても問題になるだろ。」
「ですがシロウ様、ここに来るお客様にそういった人は居ませんよ?」
オリンピア様の提案が即行で却下されたのを見て、マリーさんが慌てて助け舟を出す。
なんか凄い目で睨まれてるんですが。
「でも絶対は無いだろ?」
「それはそうですけど・・・。」
「大丈夫です!」
「その根拠は?」
「アニエスと一緒にエリザ様が居ます、よくない人が来てもすぐに対処してくださいます!」
「と、言ってるが?」
「そりゃあ多少は何とかするけど、見破るのは苦手よ?」
「それでしたらお任せを。そのような輩は入ってきた時点でわかります。」
はい論破。
まぁ、されたのは俺だけども・・・。
「マジかよ。」
「マジです。私の鼻はごまかせません。」
「さすがというかなんと言うか・・・。」
「それにそういう連中が居たとしても、まさか店番するとは思わないでしょ。こんな機会めったに無いんだからやらせてあげたら?責任問題になってもシロウが何か言われることはないでしょ。」
「だがなぁ・・・。」
「お願いします、オリンピアももうすぐお年頃。こうやって羽を伸ばす事もできなくなりますから。」
そういう考えもあったのか。
王族の婚期がどうなのかは知らないが、この世界では比較的に若くして結婚する人が多い。
更に言えば一般人ならともかく、王族で店番を経験するとこなんてまずないだろう。
社会経験だと思えばいいのかもしれない。
エリザの言うようにそもそも俺が責任を負わされることは無いんだ。
好きにさせればいいか。
俺の女じゃないしな。
「そういうことなら好きにすればいいさ、俺が口を出すことじゃない。」
「ありがとうございます!」
「そもそもよく考えれば俺に決定権なんて無いんだよな。」
「あ、今それを言っちゃう?」
「だってそうだろ?」
「そうね。」
「ってことで好きにしてくれ。それが終わったらどうするんだ?」
「えっと、市場を回って露店を見てみたいです。」
市場も身分的に中々行けない場所だろう。
いいんじゃないか?
「あと、ルフちゃんを見せたいのですが構いませんか?」
「それはルフが決めることだ、アニエスさんに聞いてくれ。」
「粗相をしないよう言いつけておきます。」
「あ、そ。」
「最後はイライザさんのお店で食事をして今日は終わりです。」
「で、明日が始まると。」
「それはまた夜でいいじゃない。それじゃあ準備しちゃいましょ!」
ってことでオリンピア様のお忍び生活が始まったわけだ。
昼過ぎまではマリーさんの店で身分を隠して一般客と会話。
これはさすが王族という感じで、物腰の柔らかな言葉遣いはかなり好評だった。
俺には出来ない芸当だ。
マリーさんも妹と働けるのが嬉しいのか、いつも以上に笑顔が多かった気がする。
入り口はアニエスさん、中ではエリザが待機して警戒を続けていたが、特に変わったことは何も起きなかった。
強いて言えば、暇すぎて俺が寝たぐらいか。
いや、裏口の風通しがよくてついつい。
昨日も後夜祭で遅かったし、色々と疲れてたんだよ。
なので開店から昼過ぎまでの話は全てエリザから聞いた内容だ。
うん、平和で何より。
店が終わったら市場の散歩だ。
姉妹仲良く手をつないであちらこちらの露店を冷やかしていく。
その前をアニエスさん後ろをエリザが警戒しているが、二人とも特にいつもと変わらない感じで違和感が無いのはさすがだろう。
いや、マジで気を抜いているのかもしれない。
だって勝手に買い物していたぐらいだし。
そして気づけば夕刻前。
もう警備とかどうでもよくなった面々は、最終的に一塊になって女子会よろしく大盛り上がりしながら市場を後にした。
もちろん手には大量の戦利品を持っている。
所持金を気にしない買い物はさぞ楽しいだろう。
よく見れば四人とも金持ちだもんなぁ。
そりゃ楽しいだろうさ。
で、最後に向かっているのは街の外。
もちろんお土産を買うのを忘れてはいない。
「ルフ、朝ぶりだな。」
ブンブン。
一番最初に俺に気付いたルフが倉庫から出てきた。
母親を追って子供達も遅れて外に出てくる。
「かわいい!」
「そうでしょ、とっても可愛いの。」
「お姉様に話は聞いていましたが、こんなに可愛いのは反則じゃないですか?」
遅れて出てきた子供たちは俺を素通りして後ろの女達に突撃していった。
手に持っているお土産欲しさだと思うが流石に主人を無視ってどうなんだ?
「可愛いが元は魔獣です、気を付けてください。」
「え、あ、はい。」
「前に嚙まれたけど、血が出るからね。」
「え、お姉様噛まれたのですか?」
「あの程度気にするほどじゃないんですけど、アニエスが物凄い叱っていました。」
「誰が主人かをしっかりわからせないと困るのは彼らです。もう二度と失態は犯さないでしょう。」
ルフだけでなくアニエスさんにも叱られるなんて、子供達もなかなかに大変そうだ。
「なら安心だな。」
「私としてはもう少しじゃれてくれる方が楽しいんだけど。」
「お前のは遊びじゃなくて訓練だろ。」
「そんなことないわよ。でも私を捕まえられないようじゃ、まだまだね。」
「エリザ様のおかげで子供達がよく寝るとルフが喜んでいます。」
「ほらみなさい。」
勝ち誇った顔で俺を見てくるエリザ。
無性に腹が立ったので思いっきり尻を揉んでやろうと思ったら、華麗な身のこなしで避けられてしまった。
畜生。
「あぁ、モフモフです。」
「魔獣にこうやって触れるなんて、昔では考えられません。」
「隷属の首輪がなければまずありえないわね。」
「この子たちにもいずれつけるんですか?」
「どうだろうな。必要が出てくればつけることもあるだろう。ぶっちゃけ、今後どうするかを考える必要はある。」
「そうですね。この畑だけでは狭すぎるでしょう。」
子供たちの処遇をどうするか。
それが今後の課題だ。
ルフには申し訳ないが引き取れても一頭だけ。
どちらか一方は譲ったりする必要が出てくるだろう。
それはアニエスさんを通じてルフには話してある。
本人曰く、狭いから仕方がないのだそうだ。
試練を乗り越えた子供達だからどこでもやっていける、だからどちらでもかまわないんだと。
強いねぇ、母親って生き物は。
「え、じゃあ私がもらいます!」
「はい?」
「流石に王城で隷属の首輪無しは難しいと思いますが、広い庭もありますし生活には不便させません。」
「オリンピア様、誠に申し訳ありませんが王城の庭では狭すぎるでしょう。」
「え!?」
「本来彼らの縄張りは王都一つ分ぐらいの広さがあります。ルフも普段はここにおりますが、夜はかなりの範囲を見回っています。彼女がシロウ様の下にいられるのも、広い縄張りがあるからこそ。彼らを狭い土地に縛るのは自由を奪うのと同じことです。」
そう、いつもは寝てばかりいると思われているルフだが夜中に街を中心としたかなり広範囲を巡回している。
だからこそ、最近は魔物の襲撃が少ないんだよな。
警備の連中が暇だって嘆いていた理由はここにあったわけだ。
それが何か?とすました顔をするルフの頭をくしゃくしゃと撫でてやる。
「いつもありがとな。」
ブンブン。
嬉しそうに尻尾が二回振られる。
その役目も、子供がデカくなると引き継がれたりするんだろうか。
「本気で引き取る気があるのでしたらそこもしっかりお考えになってください。」
「わかりました。」
目の前で腹を見せてじゃれる子供たちを見て真剣な顔をするオリンピア様。
俺も真剣に今後の事を考えないとなぁ。
「シロウ、どうしたの?」
「いや何でもない。」
「そろそろイライザさんのお店に行きましょ、今日はたっぷり食べるわよ!」
「今日もだろ、今日も。」
「うるさいわね、どっちだっていいじゃない!」
エリザが俺の尻を叩こうとするので避けようとしたが、避けた先で軽くたたかれてしまった。
これだから脳筋は・・・。
いつもならそんな言葉もでてくるのだが、今日はなぜかそんな気にならなかった。
と、思いきや翌日になっても帰る気配はなかった。
聞けば二・三日ここに滞在してから戻るんだそうだ。
奴隷の様子を見るといいながら、実際はマリーさんとゆっくりしたいんだろうな。
その証拠に朝一番からマリーさんの店に行き、色々と計画しているようだ。
え、何でそんなに詳しいかって?
呼び出されたからだよ、エリザと一緒にな。
「何で俺まで。」
「まぁまぁいいじゃないの、二人が気楽に接することが出来るのはシロウぐらいしか居ないんだから。」
「ぐらいっておまえなぁ。」
「事実でしょ?」
「俺じゃなくてもミラやアネットでもいいじゃないか。」
「二人とも外せない用事があるんだから文句言わない。そもそも誰がその用事を作ったのよ。」
「俺だな。」
「じゃあ仕方ないんじゃない?」
正論過ぎてぐうの音も出ない。
だが俺が言いたいのは、アニエスさんとエリザ。
加えて王都から来ている警備の皆さんが居るんだから俺が居る必要は無いよねってことなんだが・・・。
警備のためについてこいというわけではないようだ。
そうそう、例の男は早々に街を出て行ってしまった。
それもまた拍子抜けだが、関っていた誰もがその人物について詳しくないって言うのが怪しいよなぁ。
それを怪しいと思ってない所もまた怪しい、いやおかしい。
人を操っていたのか、記憶を改竄したのか。
ともかく問題の人物は居ないんだ、気楽に過ごすことにしよう。
「決まりました!」
「で、まずは何をするんだ?」
「お姉さまのお店のお手伝いをしようかと。」
「はい却下。」
「なぜですか!?」
「王族のお姫様を不特定多数が来る店で接客させる?どう考えても問題になるだろ。」
「ですがシロウ様、ここに来るお客様にそういった人は居ませんよ?」
オリンピア様の提案が即行で却下されたのを見て、マリーさんが慌てて助け舟を出す。
なんか凄い目で睨まれてるんですが。
「でも絶対は無いだろ?」
「それはそうですけど・・・。」
「大丈夫です!」
「その根拠は?」
「アニエスと一緒にエリザ様が居ます、よくない人が来てもすぐに対処してくださいます!」
「と、言ってるが?」
「そりゃあ多少は何とかするけど、見破るのは苦手よ?」
「それでしたらお任せを。そのような輩は入ってきた時点でわかります。」
はい論破。
まぁ、されたのは俺だけども・・・。
「マジかよ。」
「マジです。私の鼻はごまかせません。」
「さすがというかなんと言うか・・・。」
「それにそういう連中が居たとしても、まさか店番するとは思わないでしょ。こんな機会めったに無いんだからやらせてあげたら?責任問題になってもシロウが何か言われることはないでしょ。」
「だがなぁ・・・。」
「お願いします、オリンピアももうすぐお年頃。こうやって羽を伸ばす事もできなくなりますから。」
そういう考えもあったのか。
王族の婚期がどうなのかは知らないが、この世界では比較的に若くして結婚する人が多い。
更に言えば一般人ならともかく、王族で店番を経験するとこなんてまずないだろう。
社会経験だと思えばいいのかもしれない。
エリザの言うようにそもそも俺が責任を負わされることは無いんだ。
好きにさせればいいか。
俺の女じゃないしな。
「そういうことなら好きにすればいいさ、俺が口を出すことじゃない。」
「ありがとうございます!」
「そもそもよく考えれば俺に決定権なんて無いんだよな。」
「あ、今それを言っちゃう?」
「だってそうだろ?」
「そうね。」
「ってことで好きにしてくれ。それが終わったらどうするんだ?」
「えっと、市場を回って露店を見てみたいです。」
市場も身分的に中々行けない場所だろう。
いいんじゃないか?
「あと、ルフちゃんを見せたいのですが構いませんか?」
「それはルフが決めることだ、アニエスさんに聞いてくれ。」
「粗相をしないよう言いつけておきます。」
「あ、そ。」
「最後はイライザさんのお店で食事をして今日は終わりです。」
「で、明日が始まると。」
「それはまた夜でいいじゃない。それじゃあ準備しちゃいましょ!」
ってことでオリンピア様のお忍び生活が始まったわけだ。
昼過ぎまではマリーさんの店で身分を隠して一般客と会話。
これはさすが王族という感じで、物腰の柔らかな言葉遣いはかなり好評だった。
俺には出来ない芸当だ。
マリーさんも妹と働けるのが嬉しいのか、いつも以上に笑顔が多かった気がする。
入り口はアニエスさん、中ではエリザが待機して警戒を続けていたが、特に変わったことは何も起きなかった。
強いて言えば、暇すぎて俺が寝たぐらいか。
いや、裏口の風通しがよくてついつい。
昨日も後夜祭で遅かったし、色々と疲れてたんだよ。
なので開店から昼過ぎまでの話は全てエリザから聞いた内容だ。
うん、平和で何より。
店が終わったら市場の散歩だ。
姉妹仲良く手をつないであちらこちらの露店を冷やかしていく。
その前をアニエスさん後ろをエリザが警戒しているが、二人とも特にいつもと変わらない感じで違和感が無いのはさすがだろう。
いや、マジで気を抜いているのかもしれない。
だって勝手に買い物していたぐらいだし。
そして気づけば夕刻前。
もう警備とかどうでもよくなった面々は、最終的に一塊になって女子会よろしく大盛り上がりしながら市場を後にした。
もちろん手には大量の戦利品を持っている。
所持金を気にしない買い物はさぞ楽しいだろう。
よく見れば四人とも金持ちだもんなぁ。
そりゃ楽しいだろうさ。
で、最後に向かっているのは街の外。
もちろんお土産を買うのを忘れてはいない。
「ルフ、朝ぶりだな。」
ブンブン。
一番最初に俺に気付いたルフが倉庫から出てきた。
母親を追って子供達も遅れて外に出てくる。
「かわいい!」
「そうでしょ、とっても可愛いの。」
「お姉様に話は聞いていましたが、こんなに可愛いのは反則じゃないですか?」
遅れて出てきた子供たちは俺を素通りして後ろの女達に突撃していった。
手に持っているお土産欲しさだと思うが流石に主人を無視ってどうなんだ?
「可愛いが元は魔獣です、気を付けてください。」
「え、あ、はい。」
「前に嚙まれたけど、血が出るからね。」
「え、お姉様噛まれたのですか?」
「あの程度気にするほどじゃないんですけど、アニエスが物凄い叱っていました。」
「誰が主人かをしっかりわからせないと困るのは彼らです。もう二度と失態は犯さないでしょう。」
ルフだけでなくアニエスさんにも叱られるなんて、子供達もなかなかに大変そうだ。
「なら安心だな。」
「私としてはもう少しじゃれてくれる方が楽しいんだけど。」
「お前のは遊びじゃなくて訓練だろ。」
「そんなことないわよ。でも私を捕まえられないようじゃ、まだまだね。」
「エリザ様のおかげで子供達がよく寝るとルフが喜んでいます。」
「ほらみなさい。」
勝ち誇った顔で俺を見てくるエリザ。
無性に腹が立ったので思いっきり尻を揉んでやろうと思ったら、華麗な身のこなしで避けられてしまった。
畜生。
「あぁ、モフモフです。」
「魔獣にこうやって触れるなんて、昔では考えられません。」
「隷属の首輪がなければまずありえないわね。」
「この子たちにもいずれつけるんですか?」
「どうだろうな。必要が出てくればつけることもあるだろう。ぶっちゃけ、今後どうするかを考える必要はある。」
「そうですね。この畑だけでは狭すぎるでしょう。」
子供たちの処遇をどうするか。
それが今後の課題だ。
ルフには申し訳ないが引き取れても一頭だけ。
どちらか一方は譲ったりする必要が出てくるだろう。
それはアニエスさんを通じてルフには話してある。
本人曰く、狭いから仕方がないのだそうだ。
試練を乗り越えた子供達だからどこでもやっていける、だからどちらでもかまわないんだと。
強いねぇ、母親って生き物は。
「え、じゃあ私がもらいます!」
「はい?」
「流石に王城で隷属の首輪無しは難しいと思いますが、広い庭もありますし生活には不便させません。」
「オリンピア様、誠に申し訳ありませんが王城の庭では狭すぎるでしょう。」
「え!?」
「本来彼らの縄張りは王都一つ分ぐらいの広さがあります。ルフも普段はここにおりますが、夜はかなりの範囲を見回っています。彼女がシロウ様の下にいられるのも、広い縄張りがあるからこそ。彼らを狭い土地に縛るのは自由を奪うのと同じことです。」
そう、いつもは寝てばかりいると思われているルフだが夜中に街を中心としたかなり広範囲を巡回している。
だからこそ、最近は魔物の襲撃が少ないんだよな。
警備の連中が暇だって嘆いていた理由はここにあったわけだ。
それが何か?とすました顔をするルフの頭をくしゃくしゃと撫でてやる。
「いつもありがとな。」
ブンブン。
嬉しそうに尻尾が二回振られる。
その役目も、子供がデカくなると引き継がれたりするんだろうか。
「本気で引き取る気があるのでしたらそこもしっかりお考えになってください。」
「わかりました。」
目の前で腹を見せてじゃれる子供たちを見て真剣な顔をするオリンピア様。
俺も真剣に今後の事を考えないとなぁ。
「シロウ、どうしたの?」
「いや何でもない。」
「そろそろイライザさんのお店に行きましょ、今日はたっぷり食べるわよ!」
「今日もだろ、今日も。」
「うるさいわね、どっちだっていいじゃない!」
エリザが俺の尻を叩こうとするので避けようとしたが、避けた先で軽くたたかれてしまった。
これだから脳筋は・・・。
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