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334.転売屋は隕鉄の塊を発見する
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「おいおい、嘘だろ。」
「でも方角から考えると間違いないわ。」
「ってことは昨日のあれは?」
「落下した衝撃波って感じじゃない?」
「だよなぁ。」
「あの時シロウが気付かなかったら今頃屋上から吹き飛ばされていたでしょうね。」
「まさに危機一髪か。今更ながら寒気がするぜ。」
昨夜襲った突然の衝撃は街を飲み込み、そして甚大な被害を及ぼした。
いたるところで窓ガラスが割れ、ひどい所は家が傾いた。
屋根が吹き飛んだなんてところもある。
皆日の出と共に後片付けに追われていたのだが、俺とエリザだけは違っていた。
あの時高い所にいた俺達だからこそどこから衝撃が来たかが分かった。
幸い店に被害はなかったので朝一番でルフを連れて探索に出たわけなのだが・・・。
街から南へ徒歩30分ほど。
さほど離れていない場所に巨大なクレーターが出来上がっていた。
大きさはゆうに20mを越え、深さはどのぐらいあるんだ?
2mいや3mはあるだろうか。
俺なんてすっぽり隠れられるぐらいだ。
そんな巨大クレーターの真ん中に、真っ黒い何かがある。
「あれがお目当てのやつか。」
「まさか本当に落ちて来るなんて。」
「噂をすれば何とやら。まぁ助かったからこそこうやって見つけられたわけだが。」
「気をつけなさいよ。」
「わかってるって。」
物が何であれ俺のスキルがあればわかるはず。
ゆっくりとクレーターの中へ滑り降り、黒い塊に近づいた。
大きさは1m程。
抱えて持ち上げられそうな大きさだ。
指を近づけても熱は感じられない。
流石に冷めているだろう。
ゆっくりと手を近づけ、軽く叩く。
うん熱くない。
今度はもうすこし強く叩き、そして掌を乗せてみた。
『隕鉄の塊。空から降ってきた隕鉄は非常に硬く、このままでは加工が出来ない。最近の平均取引価格は銀貨10枚、最安値銀貨5枚、最高値金貨90枚。最終取引日は477日前と記録されています。』
やはり隕鉄の塊だった。
だが思ったよりも安いな。
っていうか値段に幅がある。
これはあれか?
物の大きさで値段が違うのか?
拳位の小さい奴は安いがこいつみたいにデカイと高い。
一体いくらぐらいの値になるんだろうか。
見つけたら大儲けってミラが言っていたのはあながち間違いない様だな。
「どう?」
「隕鉄の塊で間違いない、大当たりだ。」
「やった!」
「どれだけの値がつくかはわからないが、とりあえず持って帰ろう。」
「そうね。」
「手を貸してくれ、とりあえず上に引き上げるぞ。」
「おっけー!」
エリザがクレーターを滑り降りて来る。
二人で抱えてみるも、塊はびくともしなかった。
「無理無理!」
「一体どうなってんだ?」
「空から落ちてくるぐらいだもん、詰まってるんじゃない?」
「あぁ、だから重いのか。」
密度が濃いから見た目以上に重たいそれが俺とエリザの見解だ。
とはいえこのままにするわけにもいかないしなぁ。
「どうする?」
「手伝ってもらうしかないわよ、置いとくと誰かに取られるわよ。」
「まぁそうか、留守番任せるぞ。」
「うん。」
「それじゃあルフ、道案内よろしく。」
ブンブン。
方向音痴ではないが、絶対にここって言える自信はない。
一先ず街に戻りまたここに来るためにはルフの力が必要だ。
俺が残っても良かったんだが、俺一人だと魔物に食い殺されないからなぁ。
小走りで街に戻り最初に向かったのはマートンさんの工房だ。
ギルド協会でもよかったのだが、餅は餅屋。
やっぱりこの人に話をするのが早いだろう。
「話は分かった、そうか昨日のアレは隕鉄が落ちたからだったのか。」
「そういう事だ。」
「それにしても隕鉄の塊か、相変らず持ってるなぁ。」
「偶然だって。」
「偶然で方角まで覚えてるかよ。」
「ん~、まぁ確かに。」
「まぁいいさ、ちょうど隕鉄が不足してたんだ。とはいえ高純度の隕鉄となると色々と必要になるだろう。特に持てないぐらいに重い奴はな。」
「普通に鍛えられないのか?」
「あぁ、硬すぎて加工できないんだ。だからそれ用に特別な燃料もいる。とにかく物を見てからだな、俺も一緒に行こう。」
「助かるよ。」
「お前ら!とっておきのブツを持ち帰るぞ、準備しろ!」
「「「「へい!」」」」
マートンさんが声をかけると、工房の奥から皆さんの返事が返って来る。
屈強な男が総勢7人。
荷台を引いて現場まで戻ると、エリザが暇そうに転寝をしていた。
「もどったぞ~。」
「おそいわよ!」
「悪かったって。」
「まぁまぁ許してやれ。で、それが昨日の彗星か。」
「そう!重くてびくともしないの。」
「どれどれ。」
マートンさんはクレーターを滑り降り、持って来たハンマーで隕鉄を叩く。
見た目とは裏腹に鈴のような綺麗な高い音が響き渡った。
「良い音だ、こりゃ上物だぞ。」
「高い?」
「高いってもんじゃねぇ、この大きさにこの純度。出すところに出せばそれなりの値段になるだろうよ。」
「だって、聞いた!?」
「聞いたよ。でも出すところに出したらマートンさんが叩けないだろ?」
「まぁなぁ。」
「じゃあそれはナシだ。」
「えぇぇぇ!」
「ともかく持ち帰らないと話にならないんだ、もう一頑張りするぞ。」
不満そうなエリザの尻をひっぱたいて9人の力を振り絞る。
余裕ではなかったが、なんとか上まで運びあげ荷台に乗せる事が出来た。
「後は持って帰るだけだな。」
「で、燃料がいるんだっけ?」
「あぁ、こいつを叩くには普通の火力じゃ無理だ。アルトマイトをぶち込んで極限まで炉を熱くする必要がある。」
「げ、あれがいるの?」
「特殊なのか?」
「火山の奥深くで採れる鉱石でね、近くにいるアルトタートルが食べてお腹で凝縮したやつがいるのよ。持ち帰ろうにも熱いし重いしで大変なんだから。」
「それに普通の炉じゃ使いもんにならねぇ、うちみたいな特別な奴でしか叩けないぞ。」
「なら余計に出すところに出すのは無駄だな。」
「ってことは任せてくれるのか?」
「親方が作った武器を俺が買って売る、材料費はこっち持ちで加工費だけ払うって感じでどうだ?」
「こいつらにも叩かせたいが構わないよな。」
「形になれば問題ないが、不良品はそっちで引き取ってくれよ?」
「んなもん俺が作らせるかよ。お前ら、気合入れて叩けよ!こんな上物滅多にお目にかかれねぇぞ!」
「「「「へぃ!」」」
汗だくで荷台を引いている7人の男たちが素晴らしい笑顔を見せてくれる。
あ~、うん。
皆さんそう言う人たちばかりなのね。
まぁよろしく頼むわ。
「じゃあアルトマイトは任せた。」
「え、私が行くの!?」
「当たり前だろ他に誰がいるんだよ。」
「依頼を出せばいいじゃない!」
「折角こんな上物があるのに何時になるかわからない依頼を出すのか?今なら親方が好きな武器を打ってくれるんだぞ?」
「おい、そんな話だったか?」
「でもすぐに叩きたいだろ?」
「そりゃまぁなぁ。」
「って事だ、エリザやるよな?」
「やらないなんて言えるわけないじゃない。はぁ、あそこ暑いのよね。」
怖いとか難しいとか危険とかじゃなく、ただ単に熱いという理由で渋る時点でどうかと思うがな。
言い換えればそれさえなかったら出来るって事だ。
脳筋だ駄犬だと言っているけど、エリザも凄腕冒険者なんだよな。
褒めてやらないけど。
だってすぐ図に乗るからなぁ。
それで過去に痛い目に合ってるっていうのに、懲りないやつだ。
「とりあえず街に戻ってからでいいだろう、いい加減干物になっちまう。」
「だな。おい、気合い入れて引けよ、落とすんじゃねぇぞ!」
「「「「へい!」」」」
整備された街道ならともかく、ここは何もない荒れ地。
特にクレーター周辺は吹き飛ばされた石や砂利が邪魔でなかなか進まない。
それでも全員で力を振り絞り何とか町まで運び込むことができた。
あとは工房に運び込めば終了だ。
「皆様お疲れ様です。」
「わざわざ水を持ってきてくれたのか?」
「この暑さですから、マートン様もどうぞ。」
「おぅ悪いな。」
町の入り口でミラが水を持って待っていてくれた。
助かるなぁ。
「そしてこちらがエリザ様用の道具です、お納めください。」
「え!?」
「潜られるんですよね?」
「え、あ、うん。」
「火山地帯とのことでしたので水分が多めで少し重たいですが、アネット様の冷感パットとビアンカ様の耐熱ポーションが入っております。どうぞよろしくお願いします。」
「準備万端だな。」
「必要かと思いまして。」
「うぅ、ミラが容赦ないよぅ。」
「戻ったらいい感じの武器を打ってやるから頑張ってこい。」
「よかったな、親方直々のやつだぞ。」
「あーもう、行けばいいんでしょ!山ほど持って帰ってやるから覚悟してよね!」
ミラから荷物をふんだくり、背中に担ぐ。
どうせ店に戻って装備を取りに行かなきゃいけないけどな。
「それとアルトタートルの甲羅は素材としても使えますので持ち帰ってください。」
「えぇ、あの重たいの!?」
「よろしくお願いします。」
容赦ない注文に拒否できないエリザ。
さすがミラ、倒したんなら素材も持ち帰るのが冒険者だもんな。
よく理解している。
「がんばれよ。」
「うぅ、戻ってきたらしこたまお酒飲んでやるんだから!」
「それぐらい奢ってやるさ。」
「言ったわね!破産させてやる!」
「望むところだ。」
俺を破産させようとしても街中の酒を飲んでも足りないだろう。
今回の素材で十分元は取れそうだ。
空が落とした贈り物。
有効に使わせてもらうとしよう。
「でも方角から考えると間違いないわ。」
「ってことは昨日のあれは?」
「落下した衝撃波って感じじゃない?」
「だよなぁ。」
「あの時シロウが気付かなかったら今頃屋上から吹き飛ばされていたでしょうね。」
「まさに危機一髪か。今更ながら寒気がするぜ。」
昨夜襲った突然の衝撃は街を飲み込み、そして甚大な被害を及ぼした。
いたるところで窓ガラスが割れ、ひどい所は家が傾いた。
屋根が吹き飛んだなんてところもある。
皆日の出と共に後片付けに追われていたのだが、俺とエリザだけは違っていた。
あの時高い所にいた俺達だからこそどこから衝撃が来たかが分かった。
幸い店に被害はなかったので朝一番でルフを連れて探索に出たわけなのだが・・・。
街から南へ徒歩30分ほど。
さほど離れていない場所に巨大なクレーターが出来上がっていた。
大きさはゆうに20mを越え、深さはどのぐらいあるんだ?
2mいや3mはあるだろうか。
俺なんてすっぽり隠れられるぐらいだ。
そんな巨大クレーターの真ん中に、真っ黒い何かがある。
「あれがお目当てのやつか。」
「まさか本当に落ちて来るなんて。」
「噂をすれば何とやら。まぁ助かったからこそこうやって見つけられたわけだが。」
「気をつけなさいよ。」
「わかってるって。」
物が何であれ俺のスキルがあればわかるはず。
ゆっくりとクレーターの中へ滑り降り、黒い塊に近づいた。
大きさは1m程。
抱えて持ち上げられそうな大きさだ。
指を近づけても熱は感じられない。
流石に冷めているだろう。
ゆっくりと手を近づけ、軽く叩く。
うん熱くない。
今度はもうすこし強く叩き、そして掌を乗せてみた。
『隕鉄の塊。空から降ってきた隕鉄は非常に硬く、このままでは加工が出来ない。最近の平均取引価格は銀貨10枚、最安値銀貨5枚、最高値金貨90枚。最終取引日は477日前と記録されています。』
やはり隕鉄の塊だった。
だが思ったよりも安いな。
っていうか値段に幅がある。
これはあれか?
物の大きさで値段が違うのか?
拳位の小さい奴は安いがこいつみたいにデカイと高い。
一体いくらぐらいの値になるんだろうか。
見つけたら大儲けってミラが言っていたのはあながち間違いない様だな。
「どう?」
「隕鉄の塊で間違いない、大当たりだ。」
「やった!」
「どれだけの値がつくかはわからないが、とりあえず持って帰ろう。」
「そうね。」
「手を貸してくれ、とりあえず上に引き上げるぞ。」
「おっけー!」
エリザがクレーターを滑り降りて来る。
二人で抱えてみるも、塊はびくともしなかった。
「無理無理!」
「一体どうなってんだ?」
「空から落ちてくるぐらいだもん、詰まってるんじゃない?」
「あぁ、だから重いのか。」
密度が濃いから見た目以上に重たいそれが俺とエリザの見解だ。
とはいえこのままにするわけにもいかないしなぁ。
「どうする?」
「手伝ってもらうしかないわよ、置いとくと誰かに取られるわよ。」
「まぁそうか、留守番任せるぞ。」
「うん。」
「それじゃあルフ、道案内よろしく。」
ブンブン。
方向音痴ではないが、絶対にここって言える自信はない。
一先ず街に戻りまたここに来るためにはルフの力が必要だ。
俺が残っても良かったんだが、俺一人だと魔物に食い殺されないからなぁ。
小走りで街に戻り最初に向かったのはマートンさんの工房だ。
ギルド協会でもよかったのだが、餅は餅屋。
やっぱりこの人に話をするのが早いだろう。
「話は分かった、そうか昨日のアレは隕鉄が落ちたからだったのか。」
「そういう事だ。」
「それにしても隕鉄の塊か、相変らず持ってるなぁ。」
「偶然だって。」
「偶然で方角まで覚えてるかよ。」
「ん~、まぁ確かに。」
「まぁいいさ、ちょうど隕鉄が不足してたんだ。とはいえ高純度の隕鉄となると色々と必要になるだろう。特に持てないぐらいに重い奴はな。」
「普通に鍛えられないのか?」
「あぁ、硬すぎて加工できないんだ。だからそれ用に特別な燃料もいる。とにかく物を見てからだな、俺も一緒に行こう。」
「助かるよ。」
「お前ら!とっておきのブツを持ち帰るぞ、準備しろ!」
「「「「へい!」」」」
マートンさんが声をかけると、工房の奥から皆さんの返事が返って来る。
屈強な男が総勢7人。
荷台を引いて現場まで戻ると、エリザが暇そうに転寝をしていた。
「もどったぞ~。」
「おそいわよ!」
「悪かったって。」
「まぁまぁ許してやれ。で、それが昨日の彗星か。」
「そう!重くてびくともしないの。」
「どれどれ。」
マートンさんはクレーターを滑り降り、持って来たハンマーで隕鉄を叩く。
見た目とは裏腹に鈴のような綺麗な高い音が響き渡った。
「良い音だ、こりゃ上物だぞ。」
「高い?」
「高いってもんじゃねぇ、この大きさにこの純度。出すところに出せばそれなりの値段になるだろうよ。」
「だって、聞いた!?」
「聞いたよ。でも出すところに出したらマートンさんが叩けないだろ?」
「まぁなぁ。」
「じゃあそれはナシだ。」
「えぇぇぇ!」
「ともかく持ち帰らないと話にならないんだ、もう一頑張りするぞ。」
不満そうなエリザの尻をひっぱたいて9人の力を振り絞る。
余裕ではなかったが、なんとか上まで運びあげ荷台に乗せる事が出来た。
「後は持って帰るだけだな。」
「で、燃料がいるんだっけ?」
「あぁ、こいつを叩くには普通の火力じゃ無理だ。アルトマイトをぶち込んで極限まで炉を熱くする必要がある。」
「げ、あれがいるの?」
「特殊なのか?」
「火山の奥深くで採れる鉱石でね、近くにいるアルトタートルが食べてお腹で凝縮したやつがいるのよ。持ち帰ろうにも熱いし重いしで大変なんだから。」
「それに普通の炉じゃ使いもんにならねぇ、うちみたいな特別な奴でしか叩けないぞ。」
「なら余計に出すところに出すのは無駄だな。」
「ってことは任せてくれるのか?」
「親方が作った武器を俺が買って売る、材料費はこっち持ちで加工費だけ払うって感じでどうだ?」
「こいつらにも叩かせたいが構わないよな。」
「形になれば問題ないが、不良品はそっちで引き取ってくれよ?」
「んなもん俺が作らせるかよ。お前ら、気合入れて叩けよ!こんな上物滅多にお目にかかれねぇぞ!」
「「「「へぃ!」」」
汗だくで荷台を引いている7人の男たちが素晴らしい笑顔を見せてくれる。
あ~、うん。
皆さんそう言う人たちばかりなのね。
まぁよろしく頼むわ。
「じゃあアルトマイトは任せた。」
「え、私が行くの!?」
「当たり前だろ他に誰がいるんだよ。」
「依頼を出せばいいじゃない!」
「折角こんな上物があるのに何時になるかわからない依頼を出すのか?今なら親方が好きな武器を打ってくれるんだぞ?」
「おい、そんな話だったか?」
「でもすぐに叩きたいだろ?」
「そりゃまぁなぁ。」
「って事だ、エリザやるよな?」
「やらないなんて言えるわけないじゃない。はぁ、あそこ暑いのよね。」
怖いとか難しいとか危険とかじゃなく、ただ単に熱いという理由で渋る時点でどうかと思うがな。
言い換えればそれさえなかったら出来るって事だ。
脳筋だ駄犬だと言っているけど、エリザも凄腕冒険者なんだよな。
褒めてやらないけど。
だってすぐ図に乗るからなぁ。
それで過去に痛い目に合ってるっていうのに、懲りないやつだ。
「とりあえず街に戻ってからでいいだろう、いい加減干物になっちまう。」
「だな。おい、気合い入れて引けよ、落とすんじゃねぇぞ!」
「「「「へい!」」」」
整備された街道ならともかく、ここは何もない荒れ地。
特にクレーター周辺は吹き飛ばされた石や砂利が邪魔でなかなか進まない。
それでも全員で力を振り絞り何とか町まで運び込むことができた。
あとは工房に運び込めば終了だ。
「皆様お疲れ様です。」
「わざわざ水を持ってきてくれたのか?」
「この暑さですから、マートン様もどうぞ。」
「おぅ悪いな。」
町の入り口でミラが水を持って待っていてくれた。
助かるなぁ。
「そしてこちらがエリザ様用の道具です、お納めください。」
「え!?」
「潜られるんですよね?」
「え、あ、うん。」
「火山地帯とのことでしたので水分が多めで少し重たいですが、アネット様の冷感パットとビアンカ様の耐熱ポーションが入っております。どうぞよろしくお願いします。」
「準備万端だな。」
「必要かと思いまして。」
「うぅ、ミラが容赦ないよぅ。」
「戻ったらいい感じの武器を打ってやるから頑張ってこい。」
「よかったな、親方直々のやつだぞ。」
「あーもう、行けばいいんでしょ!山ほど持って帰ってやるから覚悟してよね!」
ミラから荷物をふんだくり、背中に担ぐ。
どうせ店に戻って装備を取りに行かなきゃいけないけどな。
「それとアルトタートルの甲羅は素材としても使えますので持ち帰ってください。」
「えぇ、あの重たいの!?」
「よろしくお願いします。」
容赦ない注文に拒否できないエリザ。
さすがミラ、倒したんなら素材も持ち帰るのが冒険者だもんな。
よく理解している。
「がんばれよ。」
「うぅ、戻ってきたらしこたまお酒飲んでやるんだから!」
「それぐらい奢ってやるさ。」
「言ったわね!破産させてやる!」
「望むところだ。」
俺を破産させようとしても街中の酒を飲んでも足りないだろう。
今回の素材で十分元は取れそうだ。
空が落とした贈り物。
有効に使わせてもらうとしよう。
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