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301.転売屋はプールを作る
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「ただいま!」
「おぅ、おかえり。戦果は?」
「上々かな。はい、シャドウシャークの革。」
「ほぉ、真っ黒だな。」
「今はね。鞣しているうちに色が薄くなっていくの。水蜥蜴の革とおんなじ。でもあっちは透けちゃうから水着には向かないんだ。」
「確かにな。」
見た目は・・・スクール水着?
小学生が着てそうな色をしている。
黒というか濃紺というか。
これを鞣して色を抜き、そして染め直すのか。
結構手間がかかるんだなぁ。
「シロウの方は?」
「ビープルニールの革は集まって来た。予定通りだよ。」
「中に空気を入れてその上から水を入れるなんて、考えたわね。」
「即席のビニールプールになる、こうすれば水着が売れる・・・だろ?」
「水着もプールも両方売れるわ。欲を言えば大きいのが欲しいけど、一人分が限界ね。」
「つなげる事も考えたんだがやっぱり無理だな、どうしても空気が漏れる。溶かしてくっつけるわけにもいかないし・・・。まぁ一人一つでいいじゃないか。」
「それもそうね。」
「とりあえず風呂でさっぱりしてこい、その後革の納品を頼む。」
「エリザとアネットは?」
「エリザはギルド協会で交渉中、アネットは倉庫で冷感パットの指揮を執ってる。」
冷感パットの製造が始まったものの、今回は32人の大所帯。
どうしても指揮する人が必要になるので、アネットにお任せする事にした。
ミラは今回のプールを売り込みにギルド協会へ。
今頃また変な事始めようとしていると言われているんだろうなぁ。
俺が。
「じゃ、浴びて来るわ。」
「俺は一足先に職人の所に行くから、戸締りよろしくな。」
「は~い。」
プールの目途が立ち水着の素材が手に入った。
後はそれを加工するだけ。
店を出ていつものように職人通りへと向かう。
でも行くのはいつもの反対側。
ルティエ達がいるのは入って右側の金属関係の店が並ぶ通り。
しかし今回用があるのは左側の非金属関係の店が並ぶ通りだ。
ズンズン奥まで進むと、独特な薬品の匂いが漂ってきた。
「ブレラ、いるか?」
「いる~。けど、手が離せないの!」
「勝手に入るぞ。」
ドアを開ける前に持って来た簡易マスクでしっかりと鼻と口を覆う。
それから中へと入る。
「いらっしゃい。」
「どんな感じだ?」
「生地はもうすぐ出来上がるから後は加工だけかな。」
「後でエリザが追加の素材を持ってくる、それで足りないならまた声をかけてくれ。」
ちなみにブレラはこの前傘を売っていた商人だ。
エリザの紹介の時点でなんとなく察していたのだが、扱っている商材が同じだもんな。
ビニールなんてないので革を加工し、後の裁縫なんかはローザさんにお任せ。
ちなみに傘は自分で作っているんだからすごいよなぁ。
「本当にこれだけの革が全部売れるの?」
「あぁ、売れる。っていうか売る。」
「僕は別に作るだけでお金をもらえるからありがたいけど・・・。心配だなぁ。」
「まぁ失敗しても隣町に卸せば元は取れるだろう。ここの加工品は向こうでも有名らしいじゃないか。」
「有名って程じゃないよ。ぼちぼちさ。」
「おっまたせー。」
「お、エリザ来たな。」
さすがのエリザも俺と同じく口と鼻を覆っていた。
いくら脳筋とはいえこの匂いには耐えられないらしい。
「はい、追加のシャドウシャーク。」
「はぁ、これで今日も夜中まで作業だよ。」
「いいじゃない、お仕事欲しかったんでしょ?」
「確かに傘が売れにくくなる夏以降の仕事が欲しいと言ったのは僕だけど、まさかこんな凄い人を連れてくるとは思わないじゃないか。」
「別に凄くないぞ。」
「って本人は言ってるけど凄い人なのよ。主にお金の使い方が。」
「だね、革の加工でポンと金貨1枚出す人は初めてだよ。」
相場スキルから逆算するとそれぐらいだと思ったんだよ。
『シャドウシャークの革。ダンジョンに生息し、闇にまぎれて冒険者を襲う獰猛な魔物。どういう原理で音を立てずに浮遊しているかはわかっていない。革は加工品として使われ、優れた撥水性能を持つ。最近の平均取引価格は銀貨10枚、最安値銀貨5枚、最高値銀貨17枚。最終取引日は15日前と記録されています。』
てっきり一枚あたりの値段だと思ったら、加工品の値段だったようだ。
相場を見る為に使ったのが加工品だったからなんだけど、ギルドで買い取り価格を聞いたらその半分も行かないんだから驚いた。
ま、仕入れが安くて加工品が高いのは仕方がない。
「良い仕事には良い報酬をって言うだろ?」
「こっちとしてはありがたいけどね。自分の仕事が評価されるのは純粋に嬉しいよ。」
「そう言ってくれて何よりだ。じゃあ加工が終わったらローザさんの所に持って行ってくれ。無理はするなよ。」
「これだけのお金を貰ったんだ、無理ぐらいさせてよ。」
「まぁその辺は任せる。」
とりあえずこれで水着のほうはオッケーっと。
そろそろミラが戻ってきた頃だろう。
さて、ギルド協会は何を言ってきたかな?
「『そんな面白そうなことをするなら一枚噛ませろ』だそうです。」
「え、そんな言い方してきたの?」
「いえ、もう少しオブラートでしたが直訳するとそんな感じでした。」
店に戻ると一足先にミラが戻っていた。
用意して貰った水出し緑茶を飲みながら話を聞く。
なかなか面白い返事が返ってきたようだ。
「具体的には何をするって?」
「各家庭に一つずつ配って、避暑に役立てて貰うそうです。幸いこの前の長雨で井戸の水位は回復しているから大量に使っても問題ないという話でした。」
「ほぉ、大きく出たな。」
「こちらの条件は材料の一括仕入れと一括卸し。ニアさんが悔しそうな顔をしていましたが、こちらの発案なので今回はのんで貰っています。ただ、残念なことにシャドウシャークの革はギルドとの共同購入になります。」
「いや、上々だ。良くやった。」
「ありがとうございます。」
「ギルドとの交渉までするなんて、ミラも凄いわね。」
「シロウ様のお役に立つために私はいます、これぐらい出来るようにならないと。」
向上心を持つことはいいことだが、別に上を目指さなくてもいいんだぞ?
と、言いたい気持ちをグッと抑える。
本人がやる気になっているのにそれを止める必要はないよな。
「なら、ビープルニールの買取額をもう少しだけ上げるか。各戸に配るのであれば数がいる、冒険者ギルドには悪いがシャドウシャークに人を取られるのは避けたいところだ。」
「各戸って事はうちにも来るのよね?」
「どうだろうな、うちだけ除外じゃないか?」
「なんでよ!」
「わざわざ金を払って配らなくても自分で用意できるからだよ。」
俺から仕入れて俺のために配るなんて事はさすがにしないだろう。
金の無駄だ。
「でも、これで水着を着られるわね。」
「あぁ、お前の望んだ通りになるぞ。」
「えへへ、新しい水着楽しみだなぁ。」
「明日には出来るとローザ様がおっしゃっていました。朝一番で取りに行きましょう。」
「卸す分があるから人数分ってわけには行かないが、裏庭に設置して交代で水浴びしてもいいかもな。ブレラに大きな傘を作って貰っておけばよかった。」
「え、傘?」
「2mぐらいの大型の傘をプールの横に置いておくんだ。そしたら良い日陰になるぞ。」
ビーチパラソルがあるのとないのとでは全然違う。
日に焼けると体力を奪われるからな、適度な日陰は必須だ。
「何なら自分で作る?」
「ん~、裏庭にロープを這わせて布を日よけにすればまぁ何とかなるか。」
「ちょうどシーツを洗濯したかったところです、ぜひそうしましょう。」
「日陰も出来て新しいシーツで寝れる、最高だな。」
「じゃあ早速やっちゃうね!」
自分のことになったら動きの早いやつだなぁ。
ま、いいけど。
プールの手配はできたし水着の材料も手配済み。
後は・・・。
そうか、日焼け止めだ。
うちみたいに日陰を作れるところならともかく、普通の家庭はそれが出来ない。
さっきも言ったように日に焼けると体力を消費するからな。
アネットに言って日焼け止めを作って貰わないと。
「ただいま戻りました。」
「アネットさんお帰りなさい、いかがでしたか?」
「皆さん仕事を覚えるのが早いですね、この分だと予定よりも早く終わりそうです。」
「それは何よりだ。早く終わると言うことは、アネットの手が空くということ、そうだよな?」
「えっと、ご主人様?次は何をするつもりですか?」
「いやな、水着を着てプールに入ると日焼けするだろ?そうならない為に日焼け止めが必要と思ったんだよ。」
俺の答えを聞いて目をまん丸にするアネット。
いやいや、そんなに驚くことか?
普通に発想できるだろ?
「日焼け止め、確かに必要ですね。」
「え、ないの?」
「ありますが余り一般的ではありません。日傘を差せば済む話ですから。」
「でも水着になるなら必要ですよね。材料あったかな・・・。」
アネットが腕を組んでなにやら考え出した。
おっと、まさかここに着て新しい商売発見か?
てっきりあるものだとばかり思っていたんだが・・・。
「アネット、向こうの仕事もあるんだから無理しなくていいんだぞ?」
「指導は終わったので、明日から別の人に監督して貰います。それよりも今は日焼け止めですよ。確か、アレとコレとソレを混ぜて、それから・・・。」
「駄目ですね完全に向こう側に行ってしまいました。」
「こうなったら戻ってくるまで待つしかないもんなぁ。」
「ですが水着とプールには必要なものです。ふふふ、コレだけでいくら儲かるんでしょう。もしかすると占いに出てきたお屋敷も夢じゃないかもしれませんね。」
「いやいやさすがにソレは無理だって。」
プールと水着そして日焼け止め。
この三種の神器がこの夏一番の儲けになるとは、今の俺は知る由もなかった。
「おぅ、おかえり。戦果は?」
「上々かな。はい、シャドウシャークの革。」
「ほぉ、真っ黒だな。」
「今はね。鞣しているうちに色が薄くなっていくの。水蜥蜴の革とおんなじ。でもあっちは透けちゃうから水着には向かないんだ。」
「確かにな。」
見た目は・・・スクール水着?
小学生が着てそうな色をしている。
黒というか濃紺というか。
これを鞣して色を抜き、そして染め直すのか。
結構手間がかかるんだなぁ。
「シロウの方は?」
「ビープルニールの革は集まって来た。予定通りだよ。」
「中に空気を入れてその上から水を入れるなんて、考えたわね。」
「即席のビニールプールになる、こうすれば水着が売れる・・・だろ?」
「水着もプールも両方売れるわ。欲を言えば大きいのが欲しいけど、一人分が限界ね。」
「つなげる事も考えたんだがやっぱり無理だな、どうしても空気が漏れる。溶かしてくっつけるわけにもいかないし・・・。まぁ一人一つでいいじゃないか。」
「それもそうね。」
「とりあえず風呂でさっぱりしてこい、その後革の納品を頼む。」
「エリザとアネットは?」
「エリザはギルド協会で交渉中、アネットは倉庫で冷感パットの指揮を執ってる。」
冷感パットの製造が始まったものの、今回は32人の大所帯。
どうしても指揮する人が必要になるので、アネットにお任せする事にした。
ミラは今回のプールを売り込みにギルド協会へ。
今頃また変な事始めようとしていると言われているんだろうなぁ。
俺が。
「じゃ、浴びて来るわ。」
「俺は一足先に職人の所に行くから、戸締りよろしくな。」
「は~い。」
プールの目途が立ち水着の素材が手に入った。
後はそれを加工するだけ。
店を出ていつものように職人通りへと向かう。
でも行くのはいつもの反対側。
ルティエ達がいるのは入って右側の金属関係の店が並ぶ通り。
しかし今回用があるのは左側の非金属関係の店が並ぶ通りだ。
ズンズン奥まで進むと、独特な薬品の匂いが漂ってきた。
「ブレラ、いるか?」
「いる~。けど、手が離せないの!」
「勝手に入るぞ。」
ドアを開ける前に持って来た簡易マスクでしっかりと鼻と口を覆う。
それから中へと入る。
「いらっしゃい。」
「どんな感じだ?」
「生地はもうすぐ出来上がるから後は加工だけかな。」
「後でエリザが追加の素材を持ってくる、それで足りないならまた声をかけてくれ。」
ちなみにブレラはこの前傘を売っていた商人だ。
エリザの紹介の時点でなんとなく察していたのだが、扱っている商材が同じだもんな。
ビニールなんてないので革を加工し、後の裁縫なんかはローザさんにお任せ。
ちなみに傘は自分で作っているんだからすごいよなぁ。
「本当にこれだけの革が全部売れるの?」
「あぁ、売れる。っていうか売る。」
「僕は別に作るだけでお金をもらえるからありがたいけど・・・。心配だなぁ。」
「まぁ失敗しても隣町に卸せば元は取れるだろう。ここの加工品は向こうでも有名らしいじゃないか。」
「有名って程じゃないよ。ぼちぼちさ。」
「おっまたせー。」
「お、エリザ来たな。」
さすがのエリザも俺と同じく口と鼻を覆っていた。
いくら脳筋とはいえこの匂いには耐えられないらしい。
「はい、追加のシャドウシャーク。」
「はぁ、これで今日も夜中まで作業だよ。」
「いいじゃない、お仕事欲しかったんでしょ?」
「確かに傘が売れにくくなる夏以降の仕事が欲しいと言ったのは僕だけど、まさかこんな凄い人を連れてくるとは思わないじゃないか。」
「別に凄くないぞ。」
「って本人は言ってるけど凄い人なのよ。主にお金の使い方が。」
「だね、革の加工でポンと金貨1枚出す人は初めてだよ。」
相場スキルから逆算するとそれぐらいだと思ったんだよ。
『シャドウシャークの革。ダンジョンに生息し、闇にまぎれて冒険者を襲う獰猛な魔物。どういう原理で音を立てずに浮遊しているかはわかっていない。革は加工品として使われ、優れた撥水性能を持つ。最近の平均取引価格は銀貨10枚、最安値銀貨5枚、最高値銀貨17枚。最終取引日は15日前と記録されています。』
てっきり一枚あたりの値段だと思ったら、加工品の値段だったようだ。
相場を見る為に使ったのが加工品だったからなんだけど、ギルドで買い取り価格を聞いたらその半分も行かないんだから驚いた。
ま、仕入れが安くて加工品が高いのは仕方がない。
「良い仕事には良い報酬をって言うだろ?」
「こっちとしてはありがたいけどね。自分の仕事が評価されるのは純粋に嬉しいよ。」
「そう言ってくれて何よりだ。じゃあ加工が終わったらローザさんの所に持って行ってくれ。無理はするなよ。」
「これだけのお金を貰ったんだ、無理ぐらいさせてよ。」
「まぁその辺は任せる。」
とりあえずこれで水着のほうはオッケーっと。
そろそろミラが戻ってきた頃だろう。
さて、ギルド協会は何を言ってきたかな?
「『そんな面白そうなことをするなら一枚噛ませろ』だそうです。」
「え、そんな言い方してきたの?」
「いえ、もう少しオブラートでしたが直訳するとそんな感じでした。」
店に戻ると一足先にミラが戻っていた。
用意して貰った水出し緑茶を飲みながら話を聞く。
なかなか面白い返事が返ってきたようだ。
「具体的には何をするって?」
「各家庭に一つずつ配って、避暑に役立てて貰うそうです。幸いこの前の長雨で井戸の水位は回復しているから大量に使っても問題ないという話でした。」
「ほぉ、大きく出たな。」
「こちらの条件は材料の一括仕入れと一括卸し。ニアさんが悔しそうな顔をしていましたが、こちらの発案なので今回はのんで貰っています。ただ、残念なことにシャドウシャークの革はギルドとの共同購入になります。」
「いや、上々だ。良くやった。」
「ありがとうございます。」
「ギルドとの交渉までするなんて、ミラも凄いわね。」
「シロウ様のお役に立つために私はいます、これぐらい出来るようにならないと。」
向上心を持つことはいいことだが、別に上を目指さなくてもいいんだぞ?
と、言いたい気持ちをグッと抑える。
本人がやる気になっているのにそれを止める必要はないよな。
「なら、ビープルニールの買取額をもう少しだけ上げるか。各戸に配るのであれば数がいる、冒険者ギルドには悪いがシャドウシャークに人を取られるのは避けたいところだ。」
「各戸って事はうちにも来るのよね?」
「どうだろうな、うちだけ除外じゃないか?」
「なんでよ!」
「わざわざ金を払って配らなくても自分で用意できるからだよ。」
俺から仕入れて俺のために配るなんて事はさすがにしないだろう。
金の無駄だ。
「でも、これで水着を着られるわね。」
「あぁ、お前の望んだ通りになるぞ。」
「えへへ、新しい水着楽しみだなぁ。」
「明日には出来るとローザ様がおっしゃっていました。朝一番で取りに行きましょう。」
「卸す分があるから人数分ってわけには行かないが、裏庭に設置して交代で水浴びしてもいいかもな。ブレラに大きな傘を作って貰っておけばよかった。」
「え、傘?」
「2mぐらいの大型の傘をプールの横に置いておくんだ。そしたら良い日陰になるぞ。」
ビーチパラソルがあるのとないのとでは全然違う。
日に焼けると体力を奪われるからな、適度な日陰は必須だ。
「何なら自分で作る?」
「ん~、裏庭にロープを這わせて布を日よけにすればまぁ何とかなるか。」
「ちょうどシーツを洗濯したかったところです、ぜひそうしましょう。」
「日陰も出来て新しいシーツで寝れる、最高だな。」
「じゃあ早速やっちゃうね!」
自分のことになったら動きの早いやつだなぁ。
ま、いいけど。
プールの手配はできたし水着の材料も手配済み。
後は・・・。
そうか、日焼け止めだ。
うちみたいに日陰を作れるところならともかく、普通の家庭はそれが出来ない。
さっきも言ったように日に焼けると体力を消費するからな。
アネットに言って日焼け止めを作って貰わないと。
「ただいま戻りました。」
「アネットさんお帰りなさい、いかがでしたか?」
「皆さん仕事を覚えるのが早いですね、この分だと予定よりも早く終わりそうです。」
「それは何よりだ。早く終わると言うことは、アネットの手が空くということ、そうだよな?」
「えっと、ご主人様?次は何をするつもりですか?」
「いやな、水着を着てプールに入ると日焼けするだろ?そうならない為に日焼け止めが必要と思ったんだよ。」
俺の答えを聞いて目をまん丸にするアネット。
いやいや、そんなに驚くことか?
普通に発想できるだろ?
「日焼け止め、確かに必要ですね。」
「え、ないの?」
「ありますが余り一般的ではありません。日傘を差せば済む話ですから。」
「でも水着になるなら必要ですよね。材料あったかな・・・。」
アネットが腕を組んでなにやら考え出した。
おっと、まさかここに着て新しい商売発見か?
てっきりあるものだとばかり思っていたんだが・・・。
「アネット、向こうの仕事もあるんだから無理しなくていいんだぞ?」
「指導は終わったので、明日から別の人に監督して貰います。それよりも今は日焼け止めですよ。確か、アレとコレとソレを混ぜて、それから・・・。」
「駄目ですね完全に向こう側に行ってしまいました。」
「こうなったら戻ってくるまで待つしかないもんなぁ。」
「ですが水着とプールには必要なものです。ふふふ、コレだけでいくら儲かるんでしょう。もしかすると占いに出てきたお屋敷も夢じゃないかもしれませんね。」
「いやいやさすがにソレは無理だって。」
プールと水着そして日焼け止め。
この三種の神器がこの夏一番の儲けになるとは、今の俺は知る由もなかった。
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