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297.転売屋は占ってもらう
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「ねえ、そこの貴方。」
「ん?」
出店しに市場へと向かっていた時、道端で声をかけられた。
が、周りを見てもそれらしい人がいない。
おかしいな、聞き間違えか。
「ちょっと、無視しないでよ。」
「んん?」
もう一度聞こえてきた声に周りを見回し、そして下を向いた。
「そこにいたのか。」
「悪かったわね小さくて。」
「悪い、声が上から聞こえて来たからてっきり。」
「それは私がそうしたの。」
「そうした?」
「魔法の一種で声を直接相手に届けるの。」
だから最初分からなかったってのもあるが、そこは言わないでおこう。
「便利なもんだなぁ。で、俺に何か用か?」
「私が特別に占ってあげる。こう見えても他所じゃ有名なんだから光栄に思いなさいよね。」
「結構だ。」
「ちょっと!」
「これから仕事でね、それにそう言うのは興味ないんだよ。」
自称有名だという占い女を避けて再び市場へと向かう。
背中に何とも言えない視線を感じるが気のせいだろう。
「おはよう。」
「よぉ、おはよう。」
「おはようさん。なんだ、変な顔して。」
「変な顔なのはいつもの事だが・・・、二人は占いを信じるか?」
いつもの場所に向かい、おっちゃんとおばちゃんに声をかける。
顔が変なのはいつもの事、自分でいうのは何だがイケメンではない。
「俺は興味ないね。」
「私もだよ。若い頃は別だが、今更未来を占ったってねぇ。」
「だよなぁ。」
「ミラは興味あるんじゃないか?あの子あぁ見えてそう言うのは好きだからね。」
「そうなのか?」
「昔は一人で星を見てはぶつぶつ言ってたねぇ。」
「ふ~ん。」
意外だなぁ、普段の感じからするとそんな風には見えないんだが。
いや、女はみんな好きか。
「どうしたんだ?」
「さっきここに来る前に声をかけられたんだよ、占ってやるって。」
「そりゃ詐欺か何かだろ?」
「だよなぁ。自分で有名とか言う時点でアレだよな。」
「アンタお金持ってるんだから変なのに捕まるんじゃないよ。」
「そうするよ。」
年長者の助言は大切にしないとな。
あーよかった。
これで心置きなく仕事が出来る。
その日の夕方にはさっきのことなどすっかり忘れて、いつものように家に戻っていた。
「ねぇシロウ、占いって信じる?」
だがエリザのその一言で朝の記憶が一気に戻ってくる。
あぁ、女は占いが好きって言うのは本当だったか。
「いいや、信じてない。」
「えぇ!?」
「それはどうしてですか?」
「ん~言い切ってしまうのはアレだが、未来のこととかを勝手に決められるのは好きじゃないんだ。足元に気をつけろとか言われて一日下を向いてすごすのなんて真っ平ごめんだね。」
「なるほどそういう考え方もありますね。」
「ミラは信じているのか?」
「そうですね、つい信じてしまいます。」
「アネットは?」
「私も信じちゃいます、だってそれで幸せがつかめるのならお得じゃないですか。」
考え方は人それぞれだ。
俺のようにネガティブに考える人もいれば、アネットのようにポジティブに考える人もいる。
さっきの話じゃないが、下を向いて歩いているとお金を拾った。
それだけでもいいことのように感じてしまう。
占いは本当だった。
そんな風に一度でも思ってしまうと、そこから抜け出すのは難しいだろうなぁ。
ちなみに今までいいことなんてなかった。
だから信じていないのかもしれない。
「でもさ、自分の過去を言い当てられたらどう?信じる?」
「いや、信じないな。昨日の晩飯か何かか?」
「違うわよ!その人はシロウに助けられたこととか、そのときの借金とか全部言い当てたの!」
「で、信じたと。」
「そりゃ信じちゃうでしょ。バーバラさんって言ったら結構有名な占い師なんだよ。」
「そいつってこのぐらいの背だったか?」
「え、何で知ってるの?」
「朝一番にそいつに声をかけられたんだよ、占ってやるってな。」
「え!占ってもらった!?」
「もちろん断ったさ、そんな胡散臭い奴。」
「えぇぇぇぇぇもったいなぃぃぃぃぃ!」
そこまでオーバーリアクションするような内容だろうか。
よくわからん。
「シロウ様、興味ないかもしれませんが一度占ってもらってはいかがですか?私も占ってもらいましたが、なかなかの的中率でした。」
「私もです!せっかくですし!」
「二人もか。随分と入れ込んでるじゃないか、何が目的だ?」
「えぇ~と・・・。」
「好きな人の事が気になるのは当然だと思います。」
直球ど真ん中の返答に返す言葉が出なかった。
確かにその気持ちはわかる、わかるが・・・。
「気になるのか?」
「はい。シロウ様が何を考え何を求めているのか、とても気になります。」
「ろくなこと考えてないぞ。」
「それでもです。もちろん無理にとは言いませんが・・・。」
「その言い方はズルいだろ。」
「そうですか?」
「はぁ、話を聞くだけだぞ。っていうか明日もいるのか?」
「二日程おられるということでしたので大丈夫かと。」
「仕方ない、今回は話に乗ってやるか。」
「やった!」
「ただし望む答えが出なくても文句言うなよ。」
「わかってるって。あ~楽しみだな~!」
何が楽しみか知らないが、あんまり否定するとエリザの奴すぐすねるからなぁ。
アネットはその辺ドライだが、一番大変なのはミラだったりもする。
あそこまで言うのは珍しい、よほど俺の占い結果が気になるようだ。
まったく、何を言われたんだか。
その日はそれ以上言われることはなく、翌日みんなで例の占い師が店を開いているという路地を訪ねた。
「すごい人だな。」
「ね、すっごい有名でしょ?」
「並んでいるのは女ばかりだと思ったが、案外男もいるんだな。」
よく見ると冒険者の姿もある。
いったい何を占ってもらうんだろうか。
どこにレア物が落ちているか教えてくれるのか?
仕方なく最後尾に並び待つこと一時間。
いい加減帰りたくなってきたところでやっと順番が回ってきた
「あ、やっぱり来てくれたのね。」
「こいつらに連れられて無理やりな。」
「うふふ、そういうのはいいから。」
「よくわからないが何を占ってくれるんだ?」
「それは貴方次第よ、さぁ色々と見せてもらおうかしら。そこに手を置いて、そう、そのままゆっくり深呼吸をして・・・。」
怪しげな水晶玉の上に手を侵されるのかと思ったが、手を置いたのはただの木の台。
下に紙が置いてあり、そこにペンを持った手を添えている。
しばらくすると、なにかをぶつぶつと言いながら彼女は紙に何かを書き始めた。
「はい、終わり。」
「これだけなのか?」
「うん、ここに貴方の事が書いてあるは・・・ず?」
「なんだよその反応は。」
「未来の事は書いてあるのに過去が途中から切れてる。どうして、こんなこと今までなかったわ。」
「悪いことなのか?」
「わからない。貴方、何者なの?まるで去年突然現れたみたい。」
心臓が飛び出すかと思った。
台の上に手を置いただけでそんなことまでわかるのか。
占いなんておふざけだと勝手に思い込んでいたが、どうやらそうではないらしい。
そりゃそうだ、ここは魔法のある世界。
占いが本物でないはずがない。
「ははは、そんなことあるわけないだろ。」
「そう、よね。」
「過去なんてどうでもいい話だ。それよりも実のある話をしようじゃないか、未来はどうなっているんだ?」
「えっと・・・え、嘘、信じられない!」
「いや、驚くのはいいがこっちにもわかるように説明してくれよ。」
「今年中に大金持になるわ!金貨1000枚、いえそれ以上のお金を手に入れるみたいよ。」
話を聞いていた周りの人が、『おぉ!』と声を上げる。
だが、俺達は一切リアクションなしだ。
「え、驚かないの?」
「まぁ、それぐらい稼ぐしな。」
「そうね、シロウなら今年中にそれぐらい稼ぐわね。」
「余裕です。」
「ですね。」
「続きは?」
「あ、そうだった。えっと、新しい女性の姿が見えるわ。それも随分と親しいみたい。恋人・・・ではないみたいだけど。モテるのね。」
また女か。
横を見ると女たちが苦笑いしている。
なんだよそのわかってましたって顔は。
「シロウ様ですから。」
「ご主人様ですから当然ですね。」
「仕方ないわよ、シロウだもの。」
「もっとまともな話が聞きたいんだが?」
「最後は・・・え?」
「「「え?」」」
だから何だよその反応は。
早く教えろよ。
「二つの未来があるの。一つは大きなお屋敷に住んでたくさんの人に囲まれている。」
「もう一つは一人で寂しく小さな家にでもいるのか?そうだな、部屋には四角い箱と小さなテーブル、それとベッドがあるだけだ。」
「どうしてわかるの!?」
「さぁそう感じただけだよ。」
もう一つの未来。
それは元の世界の俺だ。
つまりこの世界に居れば大きな屋敷で暮らす余生が待っていて、元の世界に戻ればあのワンルームマンションに戻ることになる。
大当たりをするわけでもなく、寂しい余生だ。
「なんだか二つ目は寂しいわね。」
「シロウ様をそんな目には遭わせません。我々がいれば一つ目の未来しか見えないはずです。」
「その通りです!ご主人様を一人にするなんて、ありえないですよ。」
「だ、そうだ。でも面白い話を聞かせてもらったよ、お代はいくらだ?」
「こんな結果初めてだわ。まだまだ私の知らないことがあるのね。今回はサービスよ。」
「いいのか?」
「その代わりここに来たらまた占わせて、気になるから。」
「ま、気が向いたらな。」
俺の過去を言い当てるあたり腕は間違いないんだろう。
但しわかるのはこの世界にきてからの事だけ。
とりあえず今年中にあと金貨1000枚稼ぐことはわかった。
なんだ、たった1000枚か。
じゃあその倍は稼いで見せよう。
決まった未来なんて面白くないだろ?
そんな事を思いながら女たちと思に家に戻る。
「満足したか?」
「ん~それなりに?」
「シロウ様が大きなお屋敷を買うことはわかりました。そのための資金をしっかりと稼ぎましょう。」
「そうですね!大きなお屋敷、楽しみです。」
「何時になる事やら。でもまぁ、それも楽しみだ。」
「それと、新しい女性ね。はぁ、次はどんな人なのかしら。」
「知らねぇよ。」
そういえばそんな話もあったな。
そろそろ夏。
ひと夏の恋・・・なんて俺には似合わないんだけどなぁ。
「ん?」
出店しに市場へと向かっていた時、道端で声をかけられた。
が、周りを見てもそれらしい人がいない。
おかしいな、聞き間違えか。
「ちょっと、無視しないでよ。」
「んん?」
もう一度聞こえてきた声に周りを見回し、そして下を向いた。
「そこにいたのか。」
「悪かったわね小さくて。」
「悪い、声が上から聞こえて来たからてっきり。」
「それは私がそうしたの。」
「そうした?」
「魔法の一種で声を直接相手に届けるの。」
だから最初分からなかったってのもあるが、そこは言わないでおこう。
「便利なもんだなぁ。で、俺に何か用か?」
「私が特別に占ってあげる。こう見えても他所じゃ有名なんだから光栄に思いなさいよね。」
「結構だ。」
「ちょっと!」
「これから仕事でね、それにそう言うのは興味ないんだよ。」
自称有名だという占い女を避けて再び市場へと向かう。
背中に何とも言えない視線を感じるが気のせいだろう。
「おはよう。」
「よぉ、おはよう。」
「おはようさん。なんだ、変な顔して。」
「変な顔なのはいつもの事だが・・・、二人は占いを信じるか?」
いつもの場所に向かい、おっちゃんとおばちゃんに声をかける。
顔が変なのはいつもの事、自分でいうのは何だがイケメンではない。
「俺は興味ないね。」
「私もだよ。若い頃は別だが、今更未来を占ったってねぇ。」
「だよなぁ。」
「ミラは興味あるんじゃないか?あの子あぁ見えてそう言うのは好きだからね。」
「そうなのか?」
「昔は一人で星を見てはぶつぶつ言ってたねぇ。」
「ふ~ん。」
意外だなぁ、普段の感じからするとそんな風には見えないんだが。
いや、女はみんな好きか。
「どうしたんだ?」
「さっきここに来る前に声をかけられたんだよ、占ってやるって。」
「そりゃ詐欺か何かだろ?」
「だよなぁ。自分で有名とか言う時点でアレだよな。」
「アンタお金持ってるんだから変なのに捕まるんじゃないよ。」
「そうするよ。」
年長者の助言は大切にしないとな。
あーよかった。
これで心置きなく仕事が出来る。
その日の夕方にはさっきのことなどすっかり忘れて、いつものように家に戻っていた。
「ねぇシロウ、占いって信じる?」
だがエリザのその一言で朝の記憶が一気に戻ってくる。
あぁ、女は占いが好きって言うのは本当だったか。
「いいや、信じてない。」
「えぇ!?」
「それはどうしてですか?」
「ん~言い切ってしまうのはアレだが、未来のこととかを勝手に決められるのは好きじゃないんだ。足元に気をつけろとか言われて一日下を向いてすごすのなんて真っ平ごめんだね。」
「なるほどそういう考え方もありますね。」
「ミラは信じているのか?」
「そうですね、つい信じてしまいます。」
「アネットは?」
「私も信じちゃいます、だってそれで幸せがつかめるのならお得じゃないですか。」
考え方は人それぞれだ。
俺のようにネガティブに考える人もいれば、アネットのようにポジティブに考える人もいる。
さっきの話じゃないが、下を向いて歩いているとお金を拾った。
それだけでもいいことのように感じてしまう。
占いは本当だった。
そんな風に一度でも思ってしまうと、そこから抜け出すのは難しいだろうなぁ。
ちなみに今までいいことなんてなかった。
だから信じていないのかもしれない。
「でもさ、自分の過去を言い当てられたらどう?信じる?」
「いや、信じないな。昨日の晩飯か何かか?」
「違うわよ!その人はシロウに助けられたこととか、そのときの借金とか全部言い当てたの!」
「で、信じたと。」
「そりゃ信じちゃうでしょ。バーバラさんって言ったら結構有名な占い師なんだよ。」
「そいつってこのぐらいの背だったか?」
「え、何で知ってるの?」
「朝一番にそいつに声をかけられたんだよ、占ってやるってな。」
「え!占ってもらった!?」
「もちろん断ったさ、そんな胡散臭い奴。」
「えぇぇぇぇぇもったいなぃぃぃぃぃ!」
そこまでオーバーリアクションするような内容だろうか。
よくわからん。
「シロウ様、興味ないかもしれませんが一度占ってもらってはいかがですか?私も占ってもらいましたが、なかなかの的中率でした。」
「私もです!せっかくですし!」
「二人もか。随分と入れ込んでるじゃないか、何が目的だ?」
「えぇ~と・・・。」
「好きな人の事が気になるのは当然だと思います。」
直球ど真ん中の返答に返す言葉が出なかった。
確かにその気持ちはわかる、わかるが・・・。
「気になるのか?」
「はい。シロウ様が何を考え何を求めているのか、とても気になります。」
「ろくなこと考えてないぞ。」
「それでもです。もちろん無理にとは言いませんが・・・。」
「その言い方はズルいだろ。」
「そうですか?」
「はぁ、話を聞くだけだぞ。っていうか明日もいるのか?」
「二日程おられるということでしたので大丈夫かと。」
「仕方ない、今回は話に乗ってやるか。」
「やった!」
「ただし望む答えが出なくても文句言うなよ。」
「わかってるって。あ~楽しみだな~!」
何が楽しみか知らないが、あんまり否定するとエリザの奴すぐすねるからなぁ。
アネットはその辺ドライだが、一番大変なのはミラだったりもする。
あそこまで言うのは珍しい、よほど俺の占い結果が気になるようだ。
まったく、何を言われたんだか。
その日はそれ以上言われることはなく、翌日みんなで例の占い師が店を開いているという路地を訪ねた。
「すごい人だな。」
「ね、すっごい有名でしょ?」
「並んでいるのは女ばかりだと思ったが、案外男もいるんだな。」
よく見ると冒険者の姿もある。
いったい何を占ってもらうんだろうか。
どこにレア物が落ちているか教えてくれるのか?
仕方なく最後尾に並び待つこと一時間。
いい加減帰りたくなってきたところでやっと順番が回ってきた
「あ、やっぱり来てくれたのね。」
「こいつらに連れられて無理やりな。」
「うふふ、そういうのはいいから。」
「よくわからないが何を占ってくれるんだ?」
「それは貴方次第よ、さぁ色々と見せてもらおうかしら。そこに手を置いて、そう、そのままゆっくり深呼吸をして・・・。」
怪しげな水晶玉の上に手を侵されるのかと思ったが、手を置いたのはただの木の台。
下に紙が置いてあり、そこにペンを持った手を添えている。
しばらくすると、なにかをぶつぶつと言いながら彼女は紙に何かを書き始めた。
「はい、終わり。」
「これだけなのか?」
「うん、ここに貴方の事が書いてあるは・・・ず?」
「なんだよその反応は。」
「未来の事は書いてあるのに過去が途中から切れてる。どうして、こんなこと今までなかったわ。」
「悪いことなのか?」
「わからない。貴方、何者なの?まるで去年突然現れたみたい。」
心臓が飛び出すかと思った。
台の上に手を置いただけでそんなことまでわかるのか。
占いなんておふざけだと勝手に思い込んでいたが、どうやらそうではないらしい。
そりゃそうだ、ここは魔法のある世界。
占いが本物でないはずがない。
「ははは、そんなことあるわけないだろ。」
「そう、よね。」
「過去なんてどうでもいい話だ。それよりも実のある話をしようじゃないか、未来はどうなっているんだ?」
「えっと・・・え、嘘、信じられない!」
「いや、驚くのはいいがこっちにもわかるように説明してくれよ。」
「今年中に大金持になるわ!金貨1000枚、いえそれ以上のお金を手に入れるみたいよ。」
話を聞いていた周りの人が、『おぉ!』と声を上げる。
だが、俺達は一切リアクションなしだ。
「え、驚かないの?」
「まぁ、それぐらい稼ぐしな。」
「そうね、シロウなら今年中にそれぐらい稼ぐわね。」
「余裕です。」
「ですね。」
「続きは?」
「あ、そうだった。えっと、新しい女性の姿が見えるわ。それも随分と親しいみたい。恋人・・・ではないみたいだけど。モテるのね。」
また女か。
横を見ると女たちが苦笑いしている。
なんだよそのわかってましたって顔は。
「シロウ様ですから。」
「ご主人様ですから当然ですね。」
「仕方ないわよ、シロウだもの。」
「もっとまともな話が聞きたいんだが?」
「最後は・・・え?」
「「「え?」」」
だから何だよその反応は。
早く教えろよ。
「二つの未来があるの。一つは大きなお屋敷に住んでたくさんの人に囲まれている。」
「もう一つは一人で寂しく小さな家にでもいるのか?そうだな、部屋には四角い箱と小さなテーブル、それとベッドがあるだけだ。」
「どうしてわかるの!?」
「さぁそう感じただけだよ。」
もう一つの未来。
それは元の世界の俺だ。
つまりこの世界に居れば大きな屋敷で暮らす余生が待っていて、元の世界に戻ればあのワンルームマンションに戻ることになる。
大当たりをするわけでもなく、寂しい余生だ。
「なんだか二つ目は寂しいわね。」
「シロウ様をそんな目には遭わせません。我々がいれば一つ目の未来しか見えないはずです。」
「その通りです!ご主人様を一人にするなんて、ありえないですよ。」
「だ、そうだ。でも面白い話を聞かせてもらったよ、お代はいくらだ?」
「こんな結果初めてだわ。まだまだ私の知らないことがあるのね。今回はサービスよ。」
「いいのか?」
「その代わりここに来たらまた占わせて、気になるから。」
「ま、気が向いたらな。」
俺の過去を言い当てるあたり腕は間違いないんだろう。
但しわかるのはこの世界にきてからの事だけ。
とりあえず今年中にあと金貨1000枚稼ぐことはわかった。
なんだ、たった1000枚か。
じゃあその倍は稼いで見せよう。
決まった未来なんて面白くないだろ?
そんな事を思いながら女たちと思に家に戻る。
「満足したか?」
「ん~それなりに?」
「シロウ様が大きなお屋敷を買うことはわかりました。そのための資金をしっかりと稼ぎましょう。」
「そうですね!大きなお屋敷、楽しみです。」
「何時になる事やら。でもまぁ、それも楽しみだ。」
「それと、新しい女性ね。はぁ、次はどんな人なのかしら。」
「知らねぇよ。」
そういえばそんな話もあったな。
そろそろ夏。
ひと夏の恋・・・なんて俺には似合わないんだけどなぁ。
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