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183.転売屋は仮面を手に入れる
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ハーシェさんの手配した行商部隊は二週間後に出発した。
今回用意した荷物は三つ。
まずは女豹用のホワイトベリー。
次に収益性の高いグリーンスライムの核。
最後にアラクネの糸である。
三つともギルド協会への納品なので特に問題はないだろう。
税金対策用に各鉱石のインゴットと針金を買うように指示もしてある。
これは事前に頼んでおいたので、工房に行かずともその場で手配できることだろう。
宅配業と言いながらこういった交渉もしてくれるあたり優秀なだよな、アインさん。
彼女が居たらハーシェさんが要らないように思えるが、最後の素材を選んだのは彼女だ。
固定買取になったものの需要は高く、かつダンジョンで巣が見つかったとの情報をいち早く仕入れてくれた。
そのおかげで格安で仕入れを行うことが出来たんだよな。
アインさんと波長が合ったのか、毎日いろいろと打ち合わせをしているようで近々別の街にも部隊を送るらしい。
俺としては利益さえ出してくれればなんでもいいのでその辺は任せている。
「そろそろ戻ってくると思うんですけど・・・。」
「そんなに急いても仕方ないだろう、ほっとけば帰ってくるさ。」
「シロウは何も分かってないわね、ハーシェさんにとっては初仕事なのよ?不安にもなるでしょう。」
「信頼できる相手に託したんだろ?ならそれを信じて待てばいいじゃないか。」
「そりゃまぁ、そうだけどさぁ。」
「俺が何か取ってきてくれって言ったらお前は絶対に持って帰ってくるだろ?」
「そりゃ、シロウのお願いだもん。」
「それと同じだ。相手を信じるのも仕事の一つだよ。」
エリザが感心したような顔で俺を見てくる。
まったく、俺を何だと思ってるんだ。
「そうですよね、アインさんなら必ず成功させてくれます。」
「そういう事だ。ダンも一緒だし、仮に魔物に襲われてもどうってことないだろう。」
「それもそうね。」
不安そうに門の向こうを見つめるハーシェさんがやっと肩の力を抜いたように見えた。
「お前は魚を待ってるだけだろ?」
「そんなことないわよ。」
「嘘言え、エリザとアネットの料理を作ったら一人だけ不貞腐れていたじゃないか。」
「だって私が一番最初に言ったのに、一番最後なんだもん。」
「最初が良ければダンジョンに潜ればよかっただろ?」
「やだ。」
「なら我慢しろ、ルフだって我慢できるんだぞ。なぁルフ。」
他の女が一緒なので尻尾は振らなかったが、目が何で私に聞くの?と言っていた。
気にするなと頭を撫でてやる。
「俺は畑の見回りをしてくる。ハーシェさんはどうするんだ?」
「私も一度家に戻ります。」
「そうしろ。どっちにしろ報告はそっちの家で行われるんだし、終わったら教えてくれ。」
「かしこまりました。」
「なら途中まで一緒に行きましょ。」
二人と別れて、ルフと共に畑を歩く。
冬野菜は順調に育っており、十二月の終わりには収穫できそうだとアグリが言っていた。
二回目をどうするかが目下の課題だな。
春野菜に合わせて植え付けをするのか、二回目の冬野菜を植えるのか。
どちらも需要があるからそれなりの利益は見込めるが・・・。
やはり保存性の高い奴がいいだろう。
「ルフはオニオニオンダメだもんなぁ。」
ブンブン。
イヌ科は玉ねぎがダメ、それはこの世界でも同じようだ。
「まぁ、まだ時間はあるし収穫してから考えるか。」
ぐるりと回り特に異常がないかを確認する。
塀が壊されている感じも無いし害獣被害も聞いていない。
ルフ様々だ。
「また狩りに行こうな。」
「ワフ!」
ポンポンと頭を撫でてから街に戻る。
と、珍しい人が馬車に乗ってやって来た。
「レイブさん、馬車でお出かけとは珍しいですね。」
「オークションも近いので買い付けに行こうかと。」
「来月ですもんね。」
「シロウ様は出品されるんですか?」
「その予定です。」
「そのお顔は何か仕入れられたんですね。」
そんな顔していただろうか。
別に表情を変えたつもりはないんだけどなぁ。
「今回もなかなかの品が手に入りました、期待して下さい。」
「こちらも気に入ってくださる奴隷を探してきましょう。」
「さすがにもう一人は無理ですよ、アネットで随分とお金を使いましたから。」
「その分稼がれていると聞いていますが?」
「それでも微々たるものです。それに、これ以上奴隷が増えたら家を出なきゃなりません。」
今でもういっぱいいっぱいだ。
もう一人増えたら誰かが倉庫で寝る羽目になる。
いくら奴隷とはいえそれはまずいだろう。
「むしろシロウ様なら住居とお店を分けられるのがよろしいかと。」
「今の家も気に入ってるんですよねぇ。」
畑もあるしさ。
「旦那様、お時間が。」
「おっと、先方を待たせているので失礼します。」
「どうぞお気をつけて、行ってらっしゃい。」
奴隷の仕入れねぇ・・・。
レイブさんがいい人なのは知っているけれど、良い人だけではやっていけない商売だ。
裏の顔みたいなものもあるんだろうか。
わからんなぁ。
馬車を見送り、再び大通りを行く。
「よぉ、こんな所で会うなんて奇遇だな。」
そしてまた珍しい人物と出会った。
「マスター、外で会うのはむしろ初めてじゃないか?店はどうしたんだ?」
「聞いてくれよ、昨日客が大暴れしてな。その修理で半日休業中だ。」
「うへぇ、マスターの店潰すとか高くつきそうだな。」
「人聞きの悪いこと言うなよ、身ぐるみ剥いでダンジョンの中に放り込んだぐらいだって。」
「十分野蛮だよ。」
魔物の蔓延るダンジョンに丸裸って、死ねって言ってるのと同じだろ。
まぁ入り口付近に魔物が出ることは無いが、運悪く遭遇したら終わりだな。
「お前は何してるんだ?」
「畑の見回り。」
「相変わらず暇そうだな。」
「暇じゃないって、これでもちゃんと仕事はして来たんだぞ。」
「集金か?」
「いや、金貸しじゃないから。買取屋だから。」
なんていいつつ、今回初めて金を貸した気がする。
金貸しかぁ・・・。
癖にならないようにしないと。
「その買取屋に頼みたい仕事があるんだが、暇だろ店に来てくれ。」
「改装中じゃないのか?」
「用があるのは地下室だ。」
マスターが買い取り?
そんなこと言うのは初めてな気がする。
なんだろう、嬉しい様な不安なような。
一体何を見せられるんだろうか。
マスターについて三日月亭の表ではなく裏から中に入る。
思ったほど荒れていなかったが、テーブルが二つほど無くなっていた。
厨房へ回りそこから地下室へ。
ここに来たのは前に火酒で肉を仕込んだ時以来だろうか。
「相変わらず色々あるな。」
「ほとんど酒か仕込んでいる奴かだな。」
「そんな場所に一体何があるんだ?」
「俺もすっかり忘れてたんだが、大昔に買った逸品だよ。」
大きな甕を三つほど動かしたところでお目当ての品が顔を出した。
「これは・・・?」
「見ての通り仮面だ。」
「何でこんなもの買うんだよ。」
「店のディスプレイに良いかなと思ったんだが、予想以上にヤバそうな品でなぁ。」
マスターの言葉通り、松明の明かりに照らされたそれは何とも不気味な笑みを浮かべていた。
子供がお祭りで買ってもらうようなペラい奴じゃない。
能面とかそういう感じの木で出来た仮面は、口裂け女のように大きな笑みが描かれていた。
開いているのは目の部分だけ。
一体どういう意図で作られたんだろうか。
「何で触らないんだ?」
「触るとヤバそうだろ。」
「そんな品を俺に触らせる気かよ。」
「買った時は問題なかったんだし触るぐらいなら大丈夫だろ、よろしく頼む。」
「鑑定持ちだって理由だけで呼びやがったな。後で旨い酒奢ってくれよ。」
「店が再開したらな。」
マスターが場所を開けたので仕方なくヤバそうな仮面に手を伸ばす。
仮に呪われていても身に着けなければ大丈夫・・・のはずだ。
見るだけで鑑定出来たら楽なんだが、それだと生活に支障が出るか。
恐る恐る仮面に手を伸ばし、親指と人差し指でそれを掴む。
即座に鑑定スキルが発動し、仮面の正体が明かされた。
『微笑みの仮面。これを身に着けると途端に幸せな気分になり誰でも笑いだす替わりに体力を消耗していく。呪われている。最近の平均取引価格は銀貨5枚。最安値銀貨1枚、最高値銀貨8枚。最終取引日は299日前と記録されています。』
ですよね!
と、思わず言ってしまうような品だった。
なんだよ、笑う代わりに体力を消耗するって。
完全にアウトな品じゃないか。
しかも呪われてるって事は外せないって事だ。
身に着けたが最後、死ぬまで笑わされるとか。
そんな死に様最低過ぎる。
そして何より安すぎる。
取引も最近だし、いったい何に使うんだ?
「微笑みの仮面。ばっちり呪われてるってよ。」
「やっぱりな。」
「なんでこんなヤバいもの買うんだよ。」
「若い時は良さげに見えたんだよ。」
「そんなやつがこんな奥に眠ってる時点で、当時の自分もヤバい物だってわかってたんだろ?」
じゃないとこんな奥に閉まっとくことなんてありえない。
まったく、子供じゃないんだから変な言い訳しなくてもいいのに。
「まぁなぁ。魔物も笑うって言うから買ったんだが・・・。」
「魔物が笑う?」
この仮面をつけてか?
マジかよ。
「らしいんだが結局試さなかったんだよな。」
「笑うのか?」
「しらねぇよ。」
ふむ、魔物が笑うねぇ。
それよりも俺は別の部分で興味があるんだが。
「ちなみに買い取り金額は銀貨1枚だ。」
「安!」
「それ以上では買わないぞ。それと、鑑定料もよろしくな。」
「これが無くなると思えばそれでいいか・・・。」
渋々といったマスターから銀貨と酒を受け取り、禍々しい仮面と共に家に帰る。
さぁ、これをどう使うか。
「シロウ!アインさんが戻って来たわよ!」
っとその前に煮魚を作らなきゃならないようだ。
ついでにエリザに聞くとするか。
嬉しそうに手を振るエリザに同じく手を振り返し、家路を急いだ。
今回用意した荷物は三つ。
まずは女豹用のホワイトベリー。
次に収益性の高いグリーンスライムの核。
最後にアラクネの糸である。
三つともギルド協会への納品なので特に問題はないだろう。
税金対策用に各鉱石のインゴットと針金を買うように指示もしてある。
これは事前に頼んでおいたので、工房に行かずともその場で手配できることだろう。
宅配業と言いながらこういった交渉もしてくれるあたり優秀なだよな、アインさん。
彼女が居たらハーシェさんが要らないように思えるが、最後の素材を選んだのは彼女だ。
固定買取になったものの需要は高く、かつダンジョンで巣が見つかったとの情報をいち早く仕入れてくれた。
そのおかげで格安で仕入れを行うことが出来たんだよな。
アインさんと波長が合ったのか、毎日いろいろと打ち合わせをしているようで近々別の街にも部隊を送るらしい。
俺としては利益さえ出してくれればなんでもいいのでその辺は任せている。
「そろそろ戻ってくると思うんですけど・・・。」
「そんなに急いても仕方ないだろう、ほっとけば帰ってくるさ。」
「シロウは何も分かってないわね、ハーシェさんにとっては初仕事なのよ?不安にもなるでしょう。」
「信頼できる相手に託したんだろ?ならそれを信じて待てばいいじゃないか。」
「そりゃまぁ、そうだけどさぁ。」
「俺が何か取ってきてくれって言ったらお前は絶対に持って帰ってくるだろ?」
「そりゃ、シロウのお願いだもん。」
「それと同じだ。相手を信じるのも仕事の一つだよ。」
エリザが感心したような顔で俺を見てくる。
まったく、俺を何だと思ってるんだ。
「そうですよね、アインさんなら必ず成功させてくれます。」
「そういう事だ。ダンも一緒だし、仮に魔物に襲われてもどうってことないだろう。」
「それもそうね。」
不安そうに門の向こうを見つめるハーシェさんがやっと肩の力を抜いたように見えた。
「お前は魚を待ってるだけだろ?」
「そんなことないわよ。」
「嘘言え、エリザとアネットの料理を作ったら一人だけ不貞腐れていたじゃないか。」
「だって私が一番最初に言ったのに、一番最後なんだもん。」
「最初が良ければダンジョンに潜ればよかっただろ?」
「やだ。」
「なら我慢しろ、ルフだって我慢できるんだぞ。なぁルフ。」
他の女が一緒なので尻尾は振らなかったが、目が何で私に聞くの?と言っていた。
気にするなと頭を撫でてやる。
「俺は畑の見回りをしてくる。ハーシェさんはどうするんだ?」
「私も一度家に戻ります。」
「そうしろ。どっちにしろ報告はそっちの家で行われるんだし、終わったら教えてくれ。」
「かしこまりました。」
「なら途中まで一緒に行きましょ。」
二人と別れて、ルフと共に畑を歩く。
冬野菜は順調に育っており、十二月の終わりには収穫できそうだとアグリが言っていた。
二回目をどうするかが目下の課題だな。
春野菜に合わせて植え付けをするのか、二回目の冬野菜を植えるのか。
どちらも需要があるからそれなりの利益は見込めるが・・・。
やはり保存性の高い奴がいいだろう。
「ルフはオニオニオンダメだもんなぁ。」
ブンブン。
イヌ科は玉ねぎがダメ、それはこの世界でも同じようだ。
「まぁ、まだ時間はあるし収穫してから考えるか。」
ぐるりと回り特に異常がないかを確認する。
塀が壊されている感じも無いし害獣被害も聞いていない。
ルフ様々だ。
「また狩りに行こうな。」
「ワフ!」
ポンポンと頭を撫でてから街に戻る。
と、珍しい人が馬車に乗ってやって来た。
「レイブさん、馬車でお出かけとは珍しいですね。」
「オークションも近いので買い付けに行こうかと。」
「来月ですもんね。」
「シロウ様は出品されるんですか?」
「その予定です。」
「そのお顔は何か仕入れられたんですね。」
そんな顔していただろうか。
別に表情を変えたつもりはないんだけどなぁ。
「今回もなかなかの品が手に入りました、期待して下さい。」
「こちらも気に入ってくださる奴隷を探してきましょう。」
「さすがにもう一人は無理ですよ、アネットで随分とお金を使いましたから。」
「その分稼がれていると聞いていますが?」
「それでも微々たるものです。それに、これ以上奴隷が増えたら家を出なきゃなりません。」
今でもういっぱいいっぱいだ。
もう一人増えたら誰かが倉庫で寝る羽目になる。
いくら奴隷とはいえそれはまずいだろう。
「むしろシロウ様なら住居とお店を分けられるのがよろしいかと。」
「今の家も気に入ってるんですよねぇ。」
畑もあるしさ。
「旦那様、お時間が。」
「おっと、先方を待たせているので失礼します。」
「どうぞお気をつけて、行ってらっしゃい。」
奴隷の仕入れねぇ・・・。
レイブさんがいい人なのは知っているけれど、良い人だけではやっていけない商売だ。
裏の顔みたいなものもあるんだろうか。
わからんなぁ。
馬車を見送り、再び大通りを行く。
「よぉ、こんな所で会うなんて奇遇だな。」
そしてまた珍しい人物と出会った。
「マスター、外で会うのはむしろ初めてじゃないか?店はどうしたんだ?」
「聞いてくれよ、昨日客が大暴れしてな。その修理で半日休業中だ。」
「うへぇ、マスターの店潰すとか高くつきそうだな。」
「人聞きの悪いこと言うなよ、身ぐるみ剥いでダンジョンの中に放り込んだぐらいだって。」
「十分野蛮だよ。」
魔物の蔓延るダンジョンに丸裸って、死ねって言ってるのと同じだろ。
まぁ入り口付近に魔物が出ることは無いが、運悪く遭遇したら終わりだな。
「お前は何してるんだ?」
「畑の見回り。」
「相変わらず暇そうだな。」
「暇じゃないって、これでもちゃんと仕事はして来たんだぞ。」
「集金か?」
「いや、金貸しじゃないから。買取屋だから。」
なんていいつつ、今回初めて金を貸した気がする。
金貸しかぁ・・・。
癖にならないようにしないと。
「その買取屋に頼みたい仕事があるんだが、暇だろ店に来てくれ。」
「改装中じゃないのか?」
「用があるのは地下室だ。」
マスターが買い取り?
そんなこと言うのは初めてな気がする。
なんだろう、嬉しい様な不安なような。
一体何を見せられるんだろうか。
マスターについて三日月亭の表ではなく裏から中に入る。
思ったほど荒れていなかったが、テーブルが二つほど無くなっていた。
厨房へ回りそこから地下室へ。
ここに来たのは前に火酒で肉を仕込んだ時以来だろうか。
「相変わらず色々あるな。」
「ほとんど酒か仕込んでいる奴かだな。」
「そんな場所に一体何があるんだ?」
「俺もすっかり忘れてたんだが、大昔に買った逸品だよ。」
大きな甕を三つほど動かしたところでお目当ての品が顔を出した。
「これは・・・?」
「見ての通り仮面だ。」
「何でこんなもの買うんだよ。」
「店のディスプレイに良いかなと思ったんだが、予想以上にヤバそうな品でなぁ。」
マスターの言葉通り、松明の明かりに照らされたそれは何とも不気味な笑みを浮かべていた。
子供がお祭りで買ってもらうようなペラい奴じゃない。
能面とかそういう感じの木で出来た仮面は、口裂け女のように大きな笑みが描かれていた。
開いているのは目の部分だけ。
一体どういう意図で作られたんだろうか。
「何で触らないんだ?」
「触るとヤバそうだろ。」
「そんな品を俺に触らせる気かよ。」
「買った時は問題なかったんだし触るぐらいなら大丈夫だろ、よろしく頼む。」
「鑑定持ちだって理由だけで呼びやがったな。後で旨い酒奢ってくれよ。」
「店が再開したらな。」
マスターが場所を開けたので仕方なくヤバそうな仮面に手を伸ばす。
仮に呪われていても身に着けなければ大丈夫・・・のはずだ。
見るだけで鑑定出来たら楽なんだが、それだと生活に支障が出るか。
恐る恐る仮面に手を伸ばし、親指と人差し指でそれを掴む。
即座に鑑定スキルが発動し、仮面の正体が明かされた。
『微笑みの仮面。これを身に着けると途端に幸せな気分になり誰でも笑いだす替わりに体力を消耗していく。呪われている。最近の平均取引価格は銀貨5枚。最安値銀貨1枚、最高値銀貨8枚。最終取引日は299日前と記録されています。』
ですよね!
と、思わず言ってしまうような品だった。
なんだよ、笑う代わりに体力を消耗するって。
完全にアウトな品じゃないか。
しかも呪われてるって事は外せないって事だ。
身に着けたが最後、死ぬまで笑わされるとか。
そんな死に様最低過ぎる。
そして何より安すぎる。
取引も最近だし、いったい何に使うんだ?
「微笑みの仮面。ばっちり呪われてるってよ。」
「やっぱりな。」
「なんでこんなヤバいもの買うんだよ。」
「若い時は良さげに見えたんだよ。」
「そんなやつがこんな奥に眠ってる時点で、当時の自分もヤバい物だってわかってたんだろ?」
じゃないとこんな奥に閉まっとくことなんてありえない。
まったく、子供じゃないんだから変な言い訳しなくてもいいのに。
「まぁなぁ。魔物も笑うって言うから買ったんだが・・・。」
「魔物が笑う?」
この仮面をつけてか?
マジかよ。
「らしいんだが結局試さなかったんだよな。」
「笑うのか?」
「しらねぇよ。」
ふむ、魔物が笑うねぇ。
それよりも俺は別の部分で興味があるんだが。
「ちなみに買い取り金額は銀貨1枚だ。」
「安!」
「それ以上では買わないぞ。それと、鑑定料もよろしくな。」
「これが無くなると思えばそれでいいか・・・。」
渋々といったマスターから銀貨と酒を受け取り、禍々しい仮面と共に家に帰る。
さぁ、これをどう使うか。
「シロウ!アインさんが戻って来たわよ!」
っとその前に煮魚を作らなきゃならないようだ。
ついでにエリザに聞くとするか。
嬉しそうに手を振るエリザに同じく手を振り返し、家路を急いだ。
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