145 / 1,027
145.転売屋は子供について考える
しおりを挟む
「じゃあ行ってくるわね。」
「くれぐれも気を付けてな。」
「大丈夫よ、いっぱい買って帰るから楽しみにしててよね。」
まぁ、買いつけるのはお前じゃないけどな。
「では出発します!」
「いってらっしゃ~い。」
アインさんが馬車を操りダンとエリザをのせた馬車は街を出て行った。
リンカと一緒に見送りに来たわけだが、思っている以上に顔色が明るい。
もっと心配すると思ったんだがな。
「もう慣れたのか?」
「慣れるわけないよ、いつも心配で心配でマスターのご飯を二回もおかわりしちゃうんだから。」
「そりゃ安心だ。」
「けど、今回はエリザさんも一緒だし一回だけで済むかな。」
「それでも食いすぎだっての。」
「食べ盛りなの!それに・・・、ね。」
いつもの子供らしい表情から急に女っぽい顔になるリンカ。
ん?
その反応はもしかして・・・。
「出来たのか?」
「やだ!なんでわかるの!?」
「そりゃわかるだろ。めでたい事じゃないか。ダンは知ってるのか?」
「この間調べたばかりだからまだ言ってないの。来月見てもらってから、かな。」
「マスター…は知ってそうだな。」
「多分ね。お酒飲むの控えるように言われたし。」
「あの人はほんと鋭いよなぁ。」
「体重がどれだけ増えたか見ただけでわかるんだよ?だから結婚できないんだって。」
「本人の前でそれ言うなよ。」
「言わないよ。」
言えば何が起こるか想像もできない。
本人は好んで結婚しないって言っていた気もするが、良い年だし浮いた話の一つや二つあっただろう。
それを経て結婚してないって事はそういう事だ。
言わぬが花ってね。
「今度なにか持ってきてやるよ。なにがいい?」
「え~、お金?」
「却下だ。」
「ケチ!あれだけ儲けてるのにいいじゃない。」
「金は稼ぐもんだ、やるもんじゃない。」
「まぁ、そうだよね。」
「妊娠初期は無理するなよ、安定期に入るまでは大人しくしとけ。」
「シロウさんってそういうのも詳しいんだね。」
「年の功ってやつだ。」
なにいってるの!とリンカに背中を叩かれてしまった。
見た目はあんまり変わらないもんな。
二人で馬車が見えなくなるまで見送り、念の為に三日月亭まで連れていく。
案の定マスターは知っており、俺が何か言う前に無理をするなとだけ言っていた。
で、そのタイミングでかなり客が下りてきたものだから致し方なく手伝いをして、戻ったのが昼前。
案の定こちらもなかなかの混み具合だった。
「お帰りなさいませ。」
「結構な客入りだな。」
「査定待ちが三件、うち二件はシロウ様の判断が必要な物です。」
「わかったすぐに入る。」
「お次の方どうぞ。」
店内には三人の冒険者がおり、それぞれが受付待ちの状況だった。
つまり合計6件の買取をしなければならない。
とはいえ、それが俺の仕事なので文句を言うのはおかしな話だ。
番号札の若い奴から順番に査定を済ませ、何とか昼過ぎに一息つく事が出来た。
「ふぅ、ご苦労さん。」
「今日は中々に盛況でしたね。」
「聞いた話じゃ未発見地域が最後まで踏破されたそうじゃないか。そのせいだろうな。」
「残念ながらさらに奥は無かったそうです。」
「巨大な宝箱があったが中身は空っぽ、隠し部屋も確認できなかったと嘆いていたな。それでも魔物がかなり多く素材で潤った感じはある。これで少しは大人しくなるだろう。」
査定をしながら情報を仕入れるのもまた仕事だ。
月頭から始まっていた忙しさもこれで一段落といった感じだろう。
素材での稼ぎは微々たるものだが、それでも全く無いわけじゃない。
何種類かは仕込みに使えそうなやつだったので、また冬まで眠らせておこう。
「うわ、すごい量ですね。」
「そっちも落ち着いたか?」
「はい。急ぎの製薬は終わりましたので、後は材料の準備ぐらいです。」
「なら今のうちに飯にするか。」
「お疲れでしょうから今日は私が作りますね。」
少し遅い昼食を済ませ三人で香茶を楽しむ。
はぁ、美味い。
「そういえばリンカが妊娠したらしいんだが・・・。」
「「え!?」」
「まだダンには伝えていないらしい、今度医者に診てもらって確定だそうだ。」
「そうですか。」
「若いなぁ・・・。」
「本人の口から伝えると思うから口外しないように頼む。」
こういうのは自分の口で言うからこそ意味がある。
外野は大人しくしておかないとな。
「お祝いを考えなければいけませんね。」
「そうですね。産前産後に使用できるものが喜ばれるでしょう。しかし、もうお子さんが・・・。」
心無しか、いや明らかに二人のテンションが低い。
うーむ、俺はまだまだ予定していないんだが、女性はやはり敏感なようだ。
振る話題を間違えたかもしれない。
「二人も欲しいと思うのか?」
「シロウ様がおイヤでなければ産みたいと思っています。」
「私もです!でも、奴隷の身ですからご主人様のお役に立てなくなるのは困ります。」
「ちなみにエリザとこういう話は?」
「過去に何度か。エリザ様もいずれはとお考えのようです。」
「年齢的な問題もありますから、出来れば早い方がと母なら言うでしょう。」
何度かおばちゃんに孫はまだかって言われてるんだよなぁ。
大きな病気をしたこともあっていつ死ぬかわからない、そう考えてしまうんだろう。
そりゃ孫の顔は見たいよな。
だがそうすると仕事に差しさわりが出る。
先がわからない以上当分はこのままってのがなりそうだなぁ。
「気持ちは分かるが、まだ店が軌道に乗ったわけじゃない。落ち着くまでは待ってもらう事になるだろう。」
「致し方ありません。」
「私もその辺りは割り切っていますので。お薬は切らさず飲みますね。」
「仮に産むとなるとこの家じゃ手狭になる、そういった問題も出てくるな。」
「出来ればこの倍は欲しい所です。」
「畑を潰して庭に子供部屋を作るという手もありますよ。街の外に畑を移設すれば空き地になりますから。」
そうか、その手があったか。
デカい土地を貰ったんだし、そっちで栽培すれば問題ない。
そこそこ広い庭だし、倉庫との通路さえ確保すれば何とかなるか。
「子供が増えるたびにレイブさんから奴隷を勧められそうだ。」
「家事の手間を考えると、家政婦さんがいてもいいですね。」
「仕事中に、世話をしてもらえると助かります。」
「子供が成長するまでそれぞれに休んでもらうという手もあるんだが・・・。」
「奴隷は働くのが役目です。」
「そうです。働かずに子供を育てるだけとか申し訳なくて。」
二人はそういう認識なのか。
奴隷だから働くのが当たり前、そんな風に思っているんだろう。
個人的には休んでもらっても構わないんだが、二人とも替えのきかない仕事をしてくれているだけに抜けられるとなかなかしんどい。
結果、働いてもらう事になるんだろう。
いっそのこと乳母でも頼むか?
「まぁ、それも出来たらの話だ。三人同時に出来るわけでも無し、当分はこのままで行かせてもらう。」
「シロウ様が子供を望んでおられると知れてよかったです。」
「私もです、ご主人様との子供ならいつでも大歓迎ですよ。」
女は強い。
それはどの世界でも同じのようだ。
「ま、その為には稼ぐことが重要だ。何年先になるかはわからないが、食うに困らないぐらい稼げるようにならないとな。」
「はい!頑張ります!」
「お手伝いさせて頂きます。」
「リンカへの祝いは三人で考えてくれ、そういうのは苦手なんだ。」
「多少予算が掛かっても構いませんか?」
「よほどの値段じゃなければ構わないぞ。そうだな、上限は銀貨10枚って所か。」
「さすがに多すぎます。」
「銀貨3枚ぐらいで探しますね。」
そうか、多すぎるか。
扱っている金額が大きくなり過ぎて金銭感覚がおかしくなってきたようだ。
気を付けよう。
その後も夕方までそれなりの客に恵まれ、充実感のある一日になった。
「たっだいまー!」
日没後しばらくして、馬車が店の前に止まると同時にエリザの元気な声が聞こえてきた。
「おぅ、お帰り。」
「お帰りなさいませエリザ様、大丈夫でしたか?」
「うん!帰りにちょっかい掛けられたけど積み荷は無事よ。」
「やっぱりか。」
「ただ野盗だから関係ないと思うけど・・・あ、首はダンが詰め所にもっていったから後で折半しとくね。」
「首?」
「野盗とかは討伐すると報奨金が出るの。懸賞金とかかけられている場合もあるし、そうだったらそこそこ美味しいわ。」
首を持って帰ってくるのか・・・。
よかった、同乗してなくて。
「シロウ様、ご依頼の荷物お届けに参りました。」
「アインさんもご苦労だった、首尾はどうだ?」
「詳しい金額については改めて書面にてご報告させて頂きますが、予定通りの品を買い付けてあります。野盗の襲撃もありましたがエリザ様のご協力もあり無事に対処いたしました。商品の確認をお願いできますか?」
「わかった。ミラ、一緒に頼む。」
「お任せください。」
「これがお釣りね。」
エリザから売り上げと買付分のお釣りをもらう。
中身を確認すると5枚持って行った金貨が2枚に減っていた。
他にも銀貨がたくさん入っているようだ。
アインさんに連れられて馬車の裏側へと回る。
荷台に満載された木箱が中々に壮観だ。
「加工用インゴット、ならびに板金針金各種になります。素材は通常の鉄、鋼、ダマスカスを同量確保致しました。」
「念のため確認させてもらおう。エリザ、降ろしてくれ。」
「は~い。」
エリザが降ろした木箱を開封し、中身を鑑定していく。
流石に初回で嵩増ししたり偽物を掴ませたりはしないだろうが念の為だ。
特に問題なく、注文通りの品が詰め込まれていた。
「問題なさそうだな。」
「もちろんです、大切なお客様ですから精一杯頑張らせて頂きました。」
「予算よりも安く買ってもらい感謝している。」
「では受領書にサインを頂けますか?」
書類にサインをすると満足そうにうなずきアインさんは去って行った。
いい仕事にはいい報酬を。
報告書を確認してからになるが、追加の報酬を渡してもいいかもしれない。
「倉庫に運んだら飯を食いに行こう、酒を飲みながら今日の事を聞かせてくれ。」
「やった!ちゃちゃっと終わらせるね!」
流石にエリザ一人にやらせるわけにはいかないので俺も手伝ったが、一つ運ぶ間に三つ運ぶエリザにはかなわなかった。
「くれぐれも気を付けてな。」
「大丈夫よ、いっぱい買って帰るから楽しみにしててよね。」
まぁ、買いつけるのはお前じゃないけどな。
「では出発します!」
「いってらっしゃ~い。」
アインさんが馬車を操りダンとエリザをのせた馬車は街を出て行った。
リンカと一緒に見送りに来たわけだが、思っている以上に顔色が明るい。
もっと心配すると思ったんだがな。
「もう慣れたのか?」
「慣れるわけないよ、いつも心配で心配でマスターのご飯を二回もおかわりしちゃうんだから。」
「そりゃ安心だ。」
「けど、今回はエリザさんも一緒だし一回だけで済むかな。」
「それでも食いすぎだっての。」
「食べ盛りなの!それに・・・、ね。」
いつもの子供らしい表情から急に女っぽい顔になるリンカ。
ん?
その反応はもしかして・・・。
「出来たのか?」
「やだ!なんでわかるの!?」
「そりゃわかるだろ。めでたい事じゃないか。ダンは知ってるのか?」
「この間調べたばかりだからまだ言ってないの。来月見てもらってから、かな。」
「マスター…は知ってそうだな。」
「多分ね。お酒飲むの控えるように言われたし。」
「あの人はほんと鋭いよなぁ。」
「体重がどれだけ増えたか見ただけでわかるんだよ?だから結婚できないんだって。」
「本人の前でそれ言うなよ。」
「言わないよ。」
言えば何が起こるか想像もできない。
本人は好んで結婚しないって言っていた気もするが、良い年だし浮いた話の一つや二つあっただろう。
それを経て結婚してないって事はそういう事だ。
言わぬが花ってね。
「今度なにか持ってきてやるよ。なにがいい?」
「え~、お金?」
「却下だ。」
「ケチ!あれだけ儲けてるのにいいじゃない。」
「金は稼ぐもんだ、やるもんじゃない。」
「まぁ、そうだよね。」
「妊娠初期は無理するなよ、安定期に入るまでは大人しくしとけ。」
「シロウさんってそういうのも詳しいんだね。」
「年の功ってやつだ。」
なにいってるの!とリンカに背中を叩かれてしまった。
見た目はあんまり変わらないもんな。
二人で馬車が見えなくなるまで見送り、念の為に三日月亭まで連れていく。
案の定マスターは知っており、俺が何か言う前に無理をするなとだけ言っていた。
で、そのタイミングでかなり客が下りてきたものだから致し方なく手伝いをして、戻ったのが昼前。
案の定こちらもなかなかの混み具合だった。
「お帰りなさいませ。」
「結構な客入りだな。」
「査定待ちが三件、うち二件はシロウ様の判断が必要な物です。」
「わかったすぐに入る。」
「お次の方どうぞ。」
店内には三人の冒険者がおり、それぞれが受付待ちの状況だった。
つまり合計6件の買取をしなければならない。
とはいえ、それが俺の仕事なので文句を言うのはおかしな話だ。
番号札の若い奴から順番に査定を済ませ、何とか昼過ぎに一息つく事が出来た。
「ふぅ、ご苦労さん。」
「今日は中々に盛況でしたね。」
「聞いた話じゃ未発見地域が最後まで踏破されたそうじゃないか。そのせいだろうな。」
「残念ながらさらに奥は無かったそうです。」
「巨大な宝箱があったが中身は空っぽ、隠し部屋も確認できなかったと嘆いていたな。それでも魔物がかなり多く素材で潤った感じはある。これで少しは大人しくなるだろう。」
査定をしながら情報を仕入れるのもまた仕事だ。
月頭から始まっていた忙しさもこれで一段落といった感じだろう。
素材での稼ぎは微々たるものだが、それでも全く無いわけじゃない。
何種類かは仕込みに使えそうなやつだったので、また冬まで眠らせておこう。
「うわ、すごい量ですね。」
「そっちも落ち着いたか?」
「はい。急ぎの製薬は終わりましたので、後は材料の準備ぐらいです。」
「なら今のうちに飯にするか。」
「お疲れでしょうから今日は私が作りますね。」
少し遅い昼食を済ませ三人で香茶を楽しむ。
はぁ、美味い。
「そういえばリンカが妊娠したらしいんだが・・・。」
「「え!?」」
「まだダンには伝えていないらしい、今度医者に診てもらって確定だそうだ。」
「そうですか。」
「若いなぁ・・・。」
「本人の口から伝えると思うから口外しないように頼む。」
こういうのは自分の口で言うからこそ意味がある。
外野は大人しくしておかないとな。
「お祝いを考えなければいけませんね。」
「そうですね。産前産後に使用できるものが喜ばれるでしょう。しかし、もうお子さんが・・・。」
心無しか、いや明らかに二人のテンションが低い。
うーむ、俺はまだまだ予定していないんだが、女性はやはり敏感なようだ。
振る話題を間違えたかもしれない。
「二人も欲しいと思うのか?」
「シロウ様がおイヤでなければ産みたいと思っています。」
「私もです!でも、奴隷の身ですからご主人様のお役に立てなくなるのは困ります。」
「ちなみにエリザとこういう話は?」
「過去に何度か。エリザ様もいずれはとお考えのようです。」
「年齢的な問題もありますから、出来れば早い方がと母なら言うでしょう。」
何度かおばちゃんに孫はまだかって言われてるんだよなぁ。
大きな病気をしたこともあっていつ死ぬかわからない、そう考えてしまうんだろう。
そりゃ孫の顔は見たいよな。
だがそうすると仕事に差しさわりが出る。
先がわからない以上当分はこのままってのがなりそうだなぁ。
「気持ちは分かるが、まだ店が軌道に乗ったわけじゃない。落ち着くまでは待ってもらう事になるだろう。」
「致し方ありません。」
「私もその辺りは割り切っていますので。お薬は切らさず飲みますね。」
「仮に産むとなるとこの家じゃ手狭になる、そういった問題も出てくるな。」
「出来ればこの倍は欲しい所です。」
「畑を潰して庭に子供部屋を作るという手もありますよ。街の外に畑を移設すれば空き地になりますから。」
そうか、その手があったか。
デカい土地を貰ったんだし、そっちで栽培すれば問題ない。
そこそこ広い庭だし、倉庫との通路さえ確保すれば何とかなるか。
「子供が増えるたびにレイブさんから奴隷を勧められそうだ。」
「家事の手間を考えると、家政婦さんがいてもいいですね。」
「仕事中に、世話をしてもらえると助かります。」
「子供が成長するまでそれぞれに休んでもらうという手もあるんだが・・・。」
「奴隷は働くのが役目です。」
「そうです。働かずに子供を育てるだけとか申し訳なくて。」
二人はそういう認識なのか。
奴隷だから働くのが当たり前、そんな風に思っているんだろう。
個人的には休んでもらっても構わないんだが、二人とも替えのきかない仕事をしてくれているだけに抜けられるとなかなかしんどい。
結果、働いてもらう事になるんだろう。
いっそのこと乳母でも頼むか?
「まぁ、それも出来たらの話だ。三人同時に出来るわけでも無し、当分はこのままで行かせてもらう。」
「シロウ様が子供を望んでおられると知れてよかったです。」
「私もです、ご主人様との子供ならいつでも大歓迎ですよ。」
女は強い。
それはどの世界でも同じのようだ。
「ま、その為には稼ぐことが重要だ。何年先になるかはわからないが、食うに困らないぐらい稼げるようにならないとな。」
「はい!頑張ります!」
「お手伝いさせて頂きます。」
「リンカへの祝いは三人で考えてくれ、そういうのは苦手なんだ。」
「多少予算が掛かっても構いませんか?」
「よほどの値段じゃなければ構わないぞ。そうだな、上限は銀貨10枚って所か。」
「さすがに多すぎます。」
「銀貨3枚ぐらいで探しますね。」
そうか、多すぎるか。
扱っている金額が大きくなり過ぎて金銭感覚がおかしくなってきたようだ。
気を付けよう。
その後も夕方までそれなりの客に恵まれ、充実感のある一日になった。
「たっだいまー!」
日没後しばらくして、馬車が店の前に止まると同時にエリザの元気な声が聞こえてきた。
「おぅ、お帰り。」
「お帰りなさいませエリザ様、大丈夫でしたか?」
「うん!帰りにちょっかい掛けられたけど積み荷は無事よ。」
「やっぱりか。」
「ただ野盗だから関係ないと思うけど・・・あ、首はダンが詰め所にもっていったから後で折半しとくね。」
「首?」
「野盗とかは討伐すると報奨金が出るの。懸賞金とかかけられている場合もあるし、そうだったらそこそこ美味しいわ。」
首を持って帰ってくるのか・・・。
よかった、同乗してなくて。
「シロウ様、ご依頼の荷物お届けに参りました。」
「アインさんもご苦労だった、首尾はどうだ?」
「詳しい金額については改めて書面にてご報告させて頂きますが、予定通りの品を買い付けてあります。野盗の襲撃もありましたがエリザ様のご協力もあり無事に対処いたしました。商品の確認をお願いできますか?」
「わかった。ミラ、一緒に頼む。」
「お任せください。」
「これがお釣りね。」
エリザから売り上げと買付分のお釣りをもらう。
中身を確認すると5枚持って行った金貨が2枚に減っていた。
他にも銀貨がたくさん入っているようだ。
アインさんに連れられて馬車の裏側へと回る。
荷台に満載された木箱が中々に壮観だ。
「加工用インゴット、ならびに板金針金各種になります。素材は通常の鉄、鋼、ダマスカスを同量確保致しました。」
「念のため確認させてもらおう。エリザ、降ろしてくれ。」
「は~い。」
エリザが降ろした木箱を開封し、中身を鑑定していく。
流石に初回で嵩増ししたり偽物を掴ませたりはしないだろうが念の為だ。
特に問題なく、注文通りの品が詰め込まれていた。
「問題なさそうだな。」
「もちろんです、大切なお客様ですから精一杯頑張らせて頂きました。」
「予算よりも安く買ってもらい感謝している。」
「では受領書にサインを頂けますか?」
書類にサインをすると満足そうにうなずきアインさんは去って行った。
いい仕事にはいい報酬を。
報告書を確認してからになるが、追加の報酬を渡してもいいかもしれない。
「倉庫に運んだら飯を食いに行こう、酒を飲みながら今日の事を聞かせてくれ。」
「やった!ちゃちゃっと終わらせるね!」
流石にエリザ一人にやらせるわけにはいかないので俺も手伝ったが、一つ運ぶ間に三つ運ぶエリザにはかなわなかった。
4
お気に入りに追加
328
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる