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126.転売屋は行商の準備をする
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せっかく行くのなら儲けたい。
それが俺の基本にある。
隣町の規模も名産も一切知らないので、そのあたりから調べようと思ったのだが、俺よりも早くミラが動いていた。
わずか半日で収益が上がりそうな品をリストアップし、さらに在庫状況まで調べてくるあたり、昔からこういうことが好きだったんじゃないかと勘繰ってしまう。
いや、ありがたいからいいんだけどね。
「・・・以上がおすすめの商材です。」
「これだけ短時間でここまで調べるのは大変だっただろう。」
「実は前々から少しずつ調べていたのです。」
「そうなのか?」
「エリザ様やアネットさんはご自身の力で稼ぐことができますが、私にはそれができません。ですので何か力になることができればと考えていたのです。」
「だからあんなに張り切っていたのか。」
なるほどなぁ。
俺からしてみれば不在時に店をすべて回してくれているだけでも十分ありがたいんだが、自分で稼いでいないという点で不安だったんだろう。
今夜はその点も含めてしっかり可愛がってやらないとな。
「で、結局どれを持っていくの?」
「一番手ごろなのはグリーンスライムの核だが、これは冬まで寝かしておきたいんだよなぁ。」
「利益を考えられるのであれば今回持って行っても冬まで寝かしていても同じだけの収益を上げられます。もちろん冬場に向こうへもっていくという方法もありますが、下調べと取引先の開拓の為にもまずは手ごろなものがよろしいかと。」
「なるほどなぁ。持っていくだけじゃなく売る場所も探さないといけないのか。」
「普通の素材であればギルドでいいでしょうが、汎用性の高い素材ですので専門の業者を探してもいいでしょう。加えて今回はダマスカス鋼の仕入れもありますからそれ以外の業者に話を持っていくべきです。」
「となると卸業者か、職人か。」
一から開拓するのが面倒であればギルドで構わないが、それでは利益が少なくなる。
やるからには儲けたい。
「アネットさんは何かありますか?」
「隣町には薬師がおりますので今回はお役に立てそうにありません。」
「アネットは店に残って製薬を続けてくれ。客は無視してかまわないからな。」
「留守はお任せください。」
今回行くのは俺とミラ、そして護衛でエリザの三人だ。
「エリザは何かないのか?」
「ダンからいろいろと聞いたけど、ミラに全部持っていかれちゃった。」
「申し訳ありません。」
「いいの、それだけシロウの事を思ったからでしょ?その分護衛で頑張るわ。」
「いや、頑張らないでくれ。」
「なんでよ!」
「お前が出張るって事は何かに襲われるってことだ。お前が出ないに越したことはない。」
「あ、そっか。」
そっかじゃねぇよ。
本当に何か起きたらどうするんだ。
俺もミラも戦えないからな。
「でもさ、グリーンスライムの核だけじゃ少なくない?」
「そうなんだよなぁ。」
「ではアラクネの糸はどうでしょうか。」
「アラクネって蜘蛛だったか?」
「蜘蛛女よ、上半身が女で下半身が蜘蛛の魔物。」
アレンの図書館で見た記憶がある。
確か素材図鑑に描いてあったはずだ。
かなりボインなスタイルだが、下半身はなかなかにグロテスク。
その糸に絡められたが最後、巣に持ち帰られて生きたまま生気を吸われるらしい。
生きたままかぁ・・・。
想像したくないな。
「時々冒険者が持ってくるな。」
「あの糸、粘度は低いけどかなり硬質なのよ。普通の剣じゃ刃こぼれするぐらい。」
「それを何に使うんだ?」
「隣町は産業が盛んな街ですので加工や工業用に使用できるんです。なるほど、それらの素材を持っていくんですね。」
「他にもレッドタートルの甲羅とかロングスケルトンの骨とかもいいかも。」
「固定買取品じゃないのか?」
「ここではそうだけど向こうでは違うの。それで儲けることは出来ないけど、ついでに持って行く分には構わないでしょ?」
「そうだな、折角行くなら馬車は満杯にしておきたい。」
高利益の物ばかりである必要はない。
ちりも積もれば何とやらだ、馬車一杯の素材だったらそれなりの値段になるだろう。
それにだ、固定買取という事は利益の計算がしやすい。
それを生業としている人がいない事からそんなに儲かるわけではないんだろうけどな。
「素材だけじゃなくて食料でもいいわよね。」
「そうですね。この時期でしたらキノコでしょうか。」
「え、アレを持っていくのか?確かに美味いが労力と合わないだろ。」
「ちがうわよ、ブラウンマッシュルームよ。」
「ダンジョンに生えている食用のキノコです。ダンジョンのある街でしたら価格も安く一般的な食材ですが、そうでない街からすれば手に入らないものですから。」
「あって当たり前のものでも、別の地域にとっては無くてはならない物ってこともある。もっぱらそういう素材は専用の業者がついているが、そういう業者はそれ以外の品を扱わない。そこを狙うわけだな。」
まとめると、隣町は産業が盛んでダンジョンが無い。
つまりそれに適合した素材を持っていけば必然的に儲かるというわけだ。
これだけ考えたら儲かりそうなものだが、労力に見合わないのかはたまたそれ以外の何かが働いているのか。
俺達が何をしようとしているかニアは把握しているだろうし、もし何かがあるのなら忠告してくれるだろう。
それが無いって事はそこまで大きな問題ではないという事だ。
「魔物の素材はエリザが、キノコとその他ダンジョン産の食べ物はミラが手配してくれ。俺は馬車を用立ててくる。」
「え、この前の業者を使うんじゃないの?」
「今回は使わない。あぁいうのは自分が行かずに取引する時に使えばいい。」
「相乗りされないのですね?」
「相手に気を使って積み荷を減らすぐらいならとことん乗せた方が満足度が違うだろ?」
「仰る通りです。」
「帰りの馬車も必要なんだし自分で手配した方が気が楽だ。グリーンスライムの核も今回三分の一ほど持っていくから各自手配する量は注意してくれ。」
「は~い。」
「お任せください。」
積み荷はこれで良しっと。
後はこまごまとした部分の確認をしておく方がいいだろうな。
まずは馬車の手配からだ。
「アネット、客が来たら明日まで待ってもらうように言ってくれ。」
「かしこまりました。」
今から動くと戻るのは夕方を過ぎるだろう。
客には申し訳ないがこれも儲けるためだ。
緊急ならベルナの店もあるしな、そっちにいくだろう。
一緒に店を出るが三人共別々の方向に散っていく。
二人共昔はそうでもなかったが、今じゃ立派な転売屋になって来たな。
大通りを抜けて商業ギルドの前を通り過ぎ、城壁に一番近い建物へと向かう。
そこには大きな車輪の紋章が掲げられていた。
輸送ギルドだ。
大きな馬車がひっきりなしに出入りしている。
わざわざこんな離れたところにあるのは利便性を考えての事だろう。
馬車が街中を走り回ると危険だからな。
さぁ入ろうかと思ったが、前にいるかなりふくよかな商人風の男が中々動かない。
「おい、何してるんだ?」
「混んでるんだ、そう急かすなよ。」
「うそだろ、そこまで並んでるのか?」
「嘘だと思うなら見てみろよ。」
男が横にずれたので開いた隙間から前を見る。
すると、カウンターまでずらっと人が並んでいた。
「マジかよ。なんでこんなに混んでるんだ?」
「もうすぐオークションがあるからな。」
「あ~、もうそんな季節か。」
「そのせいで馬車が埋まって空きが中々でないんだ。こりゃ今日中には無理かもな。」
今回のオークションは見送るつもりだったので全く考えていなかった。
しまったなぁ、馬車を手配できないんじゃ話にならないぞ。
「仕方ない、他をあたるか。」
「この時期はどこもいっぱいだぞ、大人しく並んだ方がいいんじゃないか?」
「忠告感謝するよ。別の所で話を聞いてから必要ならまた来るさ。」
「いい商売しろよ。」
「そっちもな。」
中々気さくな商人だった。
大きいのは体だけじゃなかったようだ。
列から離れ大通りを北上する。
困った時は色々使える便利な人に話を聞くのが一番だ。
「で、私の所に来たと。」
「他にも理由はあるが一番手っ取り早いからな。」
「私も色々と忙しいんですけどねぇ。」
「別に暇つぶしに来たんじゃない、回りまわってこの街が儲かる話をしに来たんだ。」
「隣町に行商に行かれるとか?」
「話が早いな。」
「そりゃあ夫婦ですから。」
っていうか、ニアの所に話を持って行ったのは今日だろ?
家に帰って話をしたならともかく何でそれを知ってるんだよ。
謎だ。
「まぁ、その通りなんだがそれをする為の足が無いんだ。オークションもあって輸送ギルドは満員御礼、話では他の業者もいっぱいいっぱいって話なんだが・・・。」
「その通りです。今はどこに行っても空き馬車はないですよ。」
「ここを経由してもダメか?」
「ダメですね。貴族の方が個人で所有している物ならまだしも、それ以外の馬車は全て埋まってます。うちだって手配するのが大変なんですから。」
「マジか・・・。」
「アナスタシア様に言えば何とかなるかもしれませんけど。」
「あの人はパスだ。謝礼に何を要求されるか分かったもんじゃない。」
「確かに。」
羊男もそういう認識で安心した。
でもなぁどうすればいいだろうか。
まぁいい、馬車の件は置いといて次の質問に移ろう。
「それとは別に、行商するにあたり色々聞いておきたいんだがいいか?」
「もちろんです、何なりとお聞きください。」
それから行商する上での注意点や税金関係、隣町との関係などの情報を仕入れてから店に戻った。
戻りはしたが馬車が手配できないんじゃ話にならない。
はてさてどうしたものか。
それが俺の基本にある。
隣町の規模も名産も一切知らないので、そのあたりから調べようと思ったのだが、俺よりも早くミラが動いていた。
わずか半日で収益が上がりそうな品をリストアップし、さらに在庫状況まで調べてくるあたり、昔からこういうことが好きだったんじゃないかと勘繰ってしまう。
いや、ありがたいからいいんだけどね。
「・・・以上がおすすめの商材です。」
「これだけ短時間でここまで調べるのは大変だっただろう。」
「実は前々から少しずつ調べていたのです。」
「そうなのか?」
「エリザ様やアネットさんはご自身の力で稼ぐことができますが、私にはそれができません。ですので何か力になることができればと考えていたのです。」
「だからあんなに張り切っていたのか。」
なるほどなぁ。
俺からしてみれば不在時に店をすべて回してくれているだけでも十分ありがたいんだが、自分で稼いでいないという点で不安だったんだろう。
今夜はその点も含めてしっかり可愛がってやらないとな。
「で、結局どれを持っていくの?」
「一番手ごろなのはグリーンスライムの核だが、これは冬まで寝かしておきたいんだよなぁ。」
「利益を考えられるのであれば今回持って行っても冬まで寝かしていても同じだけの収益を上げられます。もちろん冬場に向こうへもっていくという方法もありますが、下調べと取引先の開拓の為にもまずは手ごろなものがよろしいかと。」
「なるほどなぁ。持っていくだけじゃなく売る場所も探さないといけないのか。」
「普通の素材であればギルドでいいでしょうが、汎用性の高い素材ですので専門の業者を探してもいいでしょう。加えて今回はダマスカス鋼の仕入れもありますからそれ以外の業者に話を持っていくべきです。」
「となると卸業者か、職人か。」
一から開拓するのが面倒であればギルドで構わないが、それでは利益が少なくなる。
やるからには儲けたい。
「アネットさんは何かありますか?」
「隣町には薬師がおりますので今回はお役に立てそうにありません。」
「アネットは店に残って製薬を続けてくれ。客は無視してかまわないからな。」
「留守はお任せください。」
今回行くのは俺とミラ、そして護衛でエリザの三人だ。
「エリザは何かないのか?」
「ダンからいろいろと聞いたけど、ミラに全部持っていかれちゃった。」
「申し訳ありません。」
「いいの、それだけシロウの事を思ったからでしょ?その分護衛で頑張るわ。」
「いや、頑張らないでくれ。」
「なんでよ!」
「お前が出張るって事は何かに襲われるってことだ。お前が出ないに越したことはない。」
「あ、そっか。」
そっかじゃねぇよ。
本当に何か起きたらどうするんだ。
俺もミラも戦えないからな。
「でもさ、グリーンスライムの核だけじゃ少なくない?」
「そうなんだよなぁ。」
「ではアラクネの糸はどうでしょうか。」
「アラクネって蜘蛛だったか?」
「蜘蛛女よ、上半身が女で下半身が蜘蛛の魔物。」
アレンの図書館で見た記憶がある。
確か素材図鑑に描いてあったはずだ。
かなりボインなスタイルだが、下半身はなかなかにグロテスク。
その糸に絡められたが最後、巣に持ち帰られて生きたまま生気を吸われるらしい。
生きたままかぁ・・・。
想像したくないな。
「時々冒険者が持ってくるな。」
「あの糸、粘度は低いけどかなり硬質なのよ。普通の剣じゃ刃こぼれするぐらい。」
「それを何に使うんだ?」
「隣町は産業が盛んな街ですので加工や工業用に使用できるんです。なるほど、それらの素材を持っていくんですね。」
「他にもレッドタートルの甲羅とかロングスケルトンの骨とかもいいかも。」
「固定買取品じゃないのか?」
「ここではそうだけど向こうでは違うの。それで儲けることは出来ないけど、ついでに持って行く分には構わないでしょ?」
「そうだな、折角行くなら馬車は満杯にしておきたい。」
高利益の物ばかりである必要はない。
ちりも積もれば何とやらだ、馬車一杯の素材だったらそれなりの値段になるだろう。
それにだ、固定買取という事は利益の計算がしやすい。
それを生業としている人がいない事からそんなに儲かるわけではないんだろうけどな。
「素材だけじゃなくて食料でもいいわよね。」
「そうですね。この時期でしたらキノコでしょうか。」
「え、アレを持っていくのか?確かに美味いが労力と合わないだろ。」
「ちがうわよ、ブラウンマッシュルームよ。」
「ダンジョンに生えている食用のキノコです。ダンジョンのある街でしたら価格も安く一般的な食材ですが、そうでない街からすれば手に入らないものですから。」
「あって当たり前のものでも、別の地域にとっては無くてはならない物ってこともある。もっぱらそういう素材は専用の業者がついているが、そういう業者はそれ以外の品を扱わない。そこを狙うわけだな。」
まとめると、隣町は産業が盛んでダンジョンが無い。
つまりそれに適合した素材を持っていけば必然的に儲かるというわけだ。
これだけ考えたら儲かりそうなものだが、労力に見合わないのかはたまたそれ以外の何かが働いているのか。
俺達が何をしようとしているかニアは把握しているだろうし、もし何かがあるのなら忠告してくれるだろう。
それが無いって事はそこまで大きな問題ではないという事だ。
「魔物の素材はエリザが、キノコとその他ダンジョン産の食べ物はミラが手配してくれ。俺は馬車を用立ててくる。」
「え、この前の業者を使うんじゃないの?」
「今回は使わない。あぁいうのは自分が行かずに取引する時に使えばいい。」
「相乗りされないのですね?」
「相手に気を使って積み荷を減らすぐらいならとことん乗せた方が満足度が違うだろ?」
「仰る通りです。」
「帰りの馬車も必要なんだし自分で手配した方が気が楽だ。グリーンスライムの核も今回三分の一ほど持っていくから各自手配する量は注意してくれ。」
「は~い。」
「お任せください。」
積み荷はこれで良しっと。
後はこまごまとした部分の確認をしておく方がいいだろうな。
まずは馬車の手配からだ。
「アネット、客が来たら明日まで待ってもらうように言ってくれ。」
「かしこまりました。」
今から動くと戻るのは夕方を過ぎるだろう。
客には申し訳ないがこれも儲けるためだ。
緊急ならベルナの店もあるしな、そっちにいくだろう。
一緒に店を出るが三人共別々の方向に散っていく。
二人共昔はそうでもなかったが、今じゃ立派な転売屋になって来たな。
大通りを抜けて商業ギルドの前を通り過ぎ、城壁に一番近い建物へと向かう。
そこには大きな車輪の紋章が掲げられていた。
輸送ギルドだ。
大きな馬車がひっきりなしに出入りしている。
わざわざこんな離れたところにあるのは利便性を考えての事だろう。
馬車が街中を走り回ると危険だからな。
さぁ入ろうかと思ったが、前にいるかなりふくよかな商人風の男が中々動かない。
「おい、何してるんだ?」
「混んでるんだ、そう急かすなよ。」
「うそだろ、そこまで並んでるのか?」
「嘘だと思うなら見てみろよ。」
男が横にずれたので開いた隙間から前を見る。
すると、カウンターまでずらっと人が並んでいた。
「マジかよ。なんでこんなに混んでるんだ?」
「もうすぐオークションがあるからな。」
「あ~、もうそんな季節か。」
「そのせいで馬車が埋まって空きが中々でないんだ。こりゃ今日中には無理かもな。」
今回のオークションは見送るつもりだったので全く考えていなかった。
しまったなぁ、馬車を手配できないんじゃ話にならないぞ。
「仕方ない、他をあたるか。」
「この時期はどこもいっぱいだぞ、大人しく並んだ方がいいんじゃないか?」
「忠告感謝するよ。別の所で話を聞いてから必要ならまた来るさ。」
「いい商売しろよ。」
「そっちもな。」
中々気さくな商人だった。
大きいのは体だけじゃなかったようだ。
列から離れ大通りを北上する。
困った時は色々使える便利な人に話を聞くのが一番だ。
「で、私の所に来たと。」
「他にも理由はあるが一番手っ取り早いからな。」
「私も色々と忙しいんですけどねぇ。」
「別に暇つぶしに来たんじゃない、回りまわってこの街が儲かる話をしに来たんだ。」
「隣町に行商に行かれるとか?」
「話が早いな。」
「そりゃあ夫婦ですから。」
っていうか、ニアの所に話を持って行ったのは今日だろ?
家に帰って話をしたならともかく何でそれを知ってるんだよ。
謎だ。
「まぁ、その通りなんだがそれをする為の足が無いんだ。オークションもあって輸送ギルドは満員御礼、話では他の業者もいっぱいいっぱいって話なんだが・・・。」
「その通りです。今はどこに行っても空き馬車はないですよ。」
「ここを経由してもダメか?」
「ダメですね。貴族の方が個人で所有している物ならまだしも、それ以外の馬車は全て埋まってます。うちだって手配するのが大変なんですから。」
「マジか・・・。」
「アナスタシア様に言えば何とかなるかもしれませんけど。」
「あの人はパスだ。謝礼に何を要求されるか分かったもんじゃない。」
「確かに。」
羊男もそういう認識で安心した。
でもなぁどうすればいいだろうか。
まぁいい、馬車の件は置いといて次の質問に移ろう。
「それとは別に、行商するにあたり色々聞いておきたいんだがいいか?」
「もちろんです、何なりとお聞きください。」
それから行商する上での注意点や税金関係、隣町との関係などの情報を仕入れてから店に戻った。
戻りはしたが馬車が手配できないんじゃ話にならない。
はてさてどうしたものか。
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