43 / 1,415
43.転売屋は奴隷を受け入れる
しおりを挟む
「あの、シロウ様これは?」
「ミラさんの荷物だけど?」
「それはわかります。でもどうしてこれがここに?」
「そりゃ今日からここに住んでもらうからだよ。これとは別にもう一台馬車が来るらしいから、適当に処理しちゃって。」
「あ、はい、わかりました。」
状況が呑み込めずボーっとするミラさんの横顔もまたいい感じだ。
ほんと、俺の好みを体現したような存在だなぁ。
奇妙な縁もあったものだ。
あの後レイブさんの所に行った理由を言う必要はないだろう。
戻ってきた俺を満面の笑みで迎えたレイブさんのあの顔。
結局この人の手の上で踊らされていたのだと思い知らされる。
上には上がいるってやつだ。
この人だけは敵にしちゃいけないと胆に銘じた。
その後仮契約を済ませるとすぐにミラさんの荷物が馬車に詰められ、こうして店に戻ってきたというわけだ。
まさか買い物に行った俺が自分の荷物を持って戻ってくるとは思わなかったんだろう。
俺だってそうさ。
まさかこんなことになるとは思いもしなかった。
でもあの話を聞かされた以上、そうするしか選択肢はなかったんだ。
別にイヤイヤ買ったわけじゃない。
むしろ望んで買ったと言えるだろう。
事実ここまで仕事のできる奴隷はそう手に入りそうにない。
何より好みがドンピシャだ。
好みの女と仕事が出来る。
仕事だけじゃない、それ以外にも色々できると思って嬉しくない男がいるだろうか。
いや居ないね。
「ミラ、しっかりしなさい。今日からこの人にお仕えするのですから。」
「レイブ様。」
「もう様付けで呼ぶ必要はありませんよ。貴女の主人はシロウ様に移りました。」
「いやいや、まだ仮契約だから。ミラさん適当にお茶出してあげて。」
「はい!」
どうやら状況を理解できたようだ。
どちらかと言うとクールな感じのミラさんが満面の笑みで店へと飛び込んでいった。
いい笑顔です。
「じゃあ代金を取ってくるんで中で待っていてください。」
「ここで結構ですよ?」
「金貨50枚の取引を店頭でするわけにはいかないでしょ。」
「私は別に構いませんが・・・。」
「貴方が良くても俺が良くないんですって。」
さっき店頭で話をさせられたことを根に持っているんだろうか。
もう一度中に入るように促して急いで二階へと上がる。
途中キッチンを見るとミラさんが小躍りしそうな感じで喜んでいた。
いや、踊ってたねアレは。
俺の想像以上にお茶目な方のようだ。
エリザとは真逆のタイプだろう。
自室へ戻り金庫からお金を取り出すと再び下に戻る。
降りる途中でミラさんと目が合ってしまったのだが、とても幸せそうな顔で微笑んでくれた。
その笑顔が買えたのなら俺は十分だよ。
「お待たせしました。」
「お先に頂いております。」
カウンターにはカップが二つ、俺の分はまだ注がれていないようだ。
と、座ると同時にミラさん登場。
俺のカップをお湯で温め、再度香茶を注いでくれた。
「シロウ様、どうぞ。」
「ありがとうミラさん。」
「あの、ご主人様になるわけですし、さん付けはもぅ・・・。」
「あ、そう?」
「その方がよろしいでしょう。奴隷と主人の立場は明確にするべきです。」
ふむ、そういうものか。
エリザも呼び捨てだし別にいいか。
「じゃあミラも契約書の確認してもらえる?」
「かしこまりました。」
さっきまでフニャフニャだったミラさん・・・もといミラの顔が一気に引き締まり、テーブルの上に置かれた契約書を素早く読み始めた。
「レイブ様、二つ質問があるのですがよろしいですか?」
「どうぞ。」
「契約条項三番目、私の私物に関してですが随分と増えています。ご説明を。」
「私からの就職祝いという事でいかがでしょうか。」
「契約条項七番目、代金についてですがこの特例は今後も継続するおつもりですか?」
「シロウ様が引き続き当店でご購入頂けるのであれば検討いたします。」
「ありがとうございました。」
私物の量なんて知らないし、特に七番については何の違和感も無かったな。
ちなみに七番は、『現金一括で支払う場合に限り、レイブの定める金額での譲渡を認める』というものだ。
つまり次回以降も現金一括で買うならレイブさんが安くしてくれるよ、ってことだな。
「それじゃ確認も出来たことだし、これが代金です。」
「お預かりします。」
ついこの間大金を持って行った所なのに、またお金が出て行ってしまった。
だが後悔はしていない。
いずれは買うって話だったし、それが少し前倒しになっただけの話だ。
多少の蓄えはまだ残っている。
また一から稼ぎなおせばいいだけの話だ。
差し出した革袋を開けレイブさんが金貨を積み上げていく。
十枚重なったタワーが五つ。
「金貨50枚、確かに頂戴いたしました。ではこちらの契約書にサインを。」
もう一度契約書を読み怪しい部分が無いのを確認してからサインをする。
エリザに偉そうに言っておきながら自分が同じような事をしたんじゃ意味ないからな。
「これで正式に奴隷の譲渡は完了いたしました。ミラ、首輪を。」
「はい。」
ミラがレイブさんの前にしゃがみ、レイブさんが首元に手をかざす。
すると、カシャンという音と共にいともあっけなく首輪が外れた。
「ではシロウ様これをミラに。」
「同じものでいいのか?」
「誰に着けられたかが重要なのです。少々痛いかもしれませんが我慢をお願いします。」
手渡された首輪は真っ二つになっており、どうやらこれをミラの首に嵌めるとくっつく仕様のようだ。
うーむ、原理が知りたい。
ミラが嬉しそうな顔で装着するのを待っている。
なんだか背徳感あるなぁ。
俺にそっちの趣味あったっけ。
両手で別れた首輪をミラの首にあてがうと再びカシャンという音と共に首輪がくっついた。
それと同時に右手の指さきに強い痛みを感じ、慌てて手を離した。
見ると針で刺したように真っ赤な血がにじんでいた。
「血を吸ったのか?」
「その通りです。これでシロウ様以外には外すことが出来なくなりました。また、シロウ様に反抗するようなことがあればこの首輪が締まるようになります。」
「反抗の基準は?」
「シロウ様が反抗だと認識した場合、それとこの街から勝手に出た場合でしょうか。」
「俺が認識しなかったら大丈夫なのか?」
「多少の事では反応しませんのでご安心を。」
なんだか曖昧な基準だなぁ。
変な事で反応しないでほしいんだけど・・・。
ま、大丈夫だろう。
「以上で終わりです。ミラ末永くシロウ様にお仕えするんですよ。」
「全身全霊をかけてご奉仕いたします。」
「ではシロウ様私はこれで、ちょうど次の馬車も来たようですね。」
全員で後ろを振り返ると店の外に二台目の馬車が横付けされていた。
早くどけないとお隣さんに迷惑がかかってしまうな。
レイブさんは一台目の馬車に乗り店へと戻っていった。
アレにはミラさんの私物しか積んでいなかったのですぐに片付いたのだが、こいつはどういう事だろうか。
「就職祝いにしては多すぎない?」
「おそらくレイブ様なりのお礼なのだと思います。」
「レイブさんの?」
「あの方がこの街に来たばかりの頃に母が色々と世話を焼いたそうなんです。今こうして商売が出来るのも母のおかげだと、私を買って下さったときにお話ししてくださいました。」
「その恩もあって、今回の取引が成り立ったわけですか。」
「母の治療費を建て替えるとまで仰ってくださったのですが、流石にそれは断りました。代わりに、こんなに素敵なご主人様に出会えたのですこれ以上望むことはありません。」
それでも奴隷になる必要はなかったんじゃないか?
とは言わなかった。
ミラにはミラなりの考えがあってこの取引を申し出たんだろう。
レイブさんがしつこく勧めてきた理由もここに繋がっていた。
いやー、びっくりだわ。
その後馬車にスタンバイしていたお手伝いの方々に手助けしてもらいながら、なんとか荷物を運びこむことが出来た。
もう一度言うが就職祝いにしては多すぎるんじゃないだろうか。
最初に積まれていたミラの私物を1とすると就職祝いは10ぐらいある。
中身は日用品や雑貨等、新生活に必要と思われる品ばかりだ。
食材なんかも沢山あったので当分困ることはないだろう。
「ふぅ、仕分けはこれぐらいして残りは明日にしましょう。」
「畏まりました。」
片づけに追われ気づけば日が暮れていた。
昨日と違うのはランタンなどの日用雑貨がそろっている事。
やっとまともに生活できる環境になって来たな。
「シロウ様、先にお伺いしたいことがございます。」
ミラさんお手製の食事を堪能した後の事だ。
食後の香茶を楽しんでいると急にミラが真面目な顔をして俺を見てきた。
「なんですか?」
「どうしてご購入してくださったのですか?」
「それを今聞きますか?」
「母の件があったとはいえ、シロウ様には関係のない話。お買い得ではあったかと思いますが・・・それでもどうして買って下さったんですか?」
どうして。
そんなの一つしかないよね。
「人手が欲しかったのもあるが、やはり好みだったからかな。」
「え?」
「エリザ的に言わせればお人好しってやつだろうけど、男なんてそんなものだ。」
「でも今朝は。」
「だから言っただろ、自分の物でもない女に手を出せないって。」
「じゃあ・・・!」
ミラの目が大きく見開かれる。
あれは怯える目じゃない、歓喜の目だ。
「何も言わなくても昨日のリベンジをするつもりなんだろ?レイブさんの所で何を仕込まれたか知らないが、見せてもらおうじゃないか。」
「必ずやご満足していただけると確信しております。どうかお覚悟を。」
そうとなればすることは一つ。
二人で手分けして戸締りをして二階へ上がる。
昨夜同様に月明かりの美しい夜。
俺はこの世界に来て初めての敗北を味わった。
「ミラさんの荷物だけど?」
「それはわかります。でもどうしてこれがここに?」
「そりゃ今日からここに住んでもらうからだよ。これとは別にもう一台馬車が来るらしいから、適当に処理しちゃって。」
「あ、はい、わかりました。」
状況が呑み込めずボーっとするミラさんの横顔もまたいい感じだ。
ほんと、俺の好みを体現したような存在だなぁ。
奇妙な縁もあったものだ。
あの後レイブさんの所に行った理由を言う必要はないだろう。
戻ってきた俺を満面の笑みで迎えたレイブさんのあの顔。
結局この人の手の上で踊らされていたのだと思い知らされる。
上には上がいるってやつだ。
この人だけは敵にしちゃいけないと胆に銘じた。
その後仮契約を済ませるとすぐにミラさんの荷物が馬車に詰められ、こうして店に戻ってきたというわけだ。
まさか買い物に行った俺が自分の荷物を持って戻ってくるとは思わなかったんだろう。
俺だってそうさ。
まさかこんなことになるとは思いもしなかった。
でもあの話を聞かされた以上、そうするしか選択肢はなかったんだ。
別にイヤイヤ買ったわけじゃない。
むしろ望んで買ったと言えるだろう。
事実ここまで仕事のできる奴隷はそう手に入りそうにない。
何より好みがドンピシャだ。
好みの女と仕事が出来る。
仕事だけじゃない、それ以外にも色々できると思って嬉しくない男がいるだろうか。
いや居ないね。
「ミラ、しっかりしなさい。今日からこの人にお仕えするのですから。」
「レイブ様。」
「もう様付けで呼ぶ必要はありませんよ。貴女の主人はシロウ様に移りました。」
「いやいや、まだ仮契約だから。ミラさん適当にお茶出してあげて。」
「はい!」
どうやら状況を理解できたようだ。
どちらかと言うとクールな感じのミラさんが満面の笑みで店へと飛び込んでいった。
いい笑顔です。
「じゃあ代金を取ってくるんで中で待っていてください。」
「ここで結構ですよ?」
「金貨50枚の取引を店頭でするわけにはいかないでしょ。」
「私は別に構いませんが・・・。」
「貴方が良くても俺が良くないんですって。」
さっき店頭で話をさせられたことを根に持っているんだろうか。
もう一度中に入るように促して急いで二階へと上がる。
途中キッチンを見るとミラさんが小躍りしそうな感じで喜んでいた。
いや、踊ってたねアレは。
俺の想像以上にお茶目な方のようだ。
エリザとは真逆のタイプだろう。
自室へ戻り金庫からお金を取り出すと再び下に戻る。
降りる途中でミラさんと目が合ってしまったのだが、とても幸せそうな顔で微笑んでくれた。
その笑顔が買えたのなら俺は十分だよ。
「お待たせしました。」
「お先に頂いております。」
カウンターにはカップが二つ、俺の分はまだ注がれていないようだ。
と、座ると同時にミラさん登場。
俺のカップをお湯で温め、再度香茶を注いでくれた。
「シロウ様、どうぞ。」
「ありがとうミラさん。」
「あの、ご主人様になるわけですし、さん付けはもぅ・・・。」
「あ、そう?」
「その方がよろしいでしょう。奴隷と主人の立場は明確にするべきです。」
ふむ、そういうものか。
エリザも呼び捨てだし別にいいか。
「じゃあミラも契約書の確認してもらえる?」
「かしこまりました。」
さっきまでフニャフニャだったミラさん・・・もといミラの顔が一気に引き締まり、テーブルの上に置かれた契約書を素早く読み始めた。
「レイブ様、二つ質問があるのですがよろしいですか?」
「どうぞ。」
「契約条項三番目、私の私物に関してですが随分と増えています。ご説明を。」
「私からの就職祝いという事でいかがでしょうか。」
「契約条項七番目、代金についてですがこの特例は今後も継続するおつもりですか?」
「シロウ様が引き続き当店でご購入頂けるのであれば検討いたします。」
「ありがとうございました。」
私物の量なんて知らないし、特に七番については何の違和感も無かったな。
ちなみに七番は、『現金一括で支払う場合に限り、レイブの定める金額での譲渡を認める』というものだ。
つまり次回以降も現金一括で買うならレイブさんが安くしてくれるよ、ってことだな。
「それじゃ確認も出来たことだし、これが代金です。」
「お預かりします。」
ついこの間大金を持って行った所なのに、またお金が出て行ってしまった。
だが後悔はしていない。
いずれは買うって話だったし、それが少し前倒しになっただけの話だ。
多少の蓄えはまだ残っている。
また一から稼ぎなおせばいいだけの話だ。
差し出した革袋を開けレイブさんが金貨を積み上げていく。
十枚重なったタワーが五つ。
「金貨50枚、確かに頂戴いたしました。ではこちらの契約書にサインを。」
もう一度契約書を読み怪しい部分が無いのを確認してからサインをする。
エリザに偉そうに言っておきながら自分が同じような事をしたんじゃ意味ないからな。
「これで正式に奴隷の譲渡は完了いたしました。ミラ、首輪を。」
「はい。」
ミラがレイブさんの前にしゃがみ、レイブさんが首元に手をかざす。
すると、カシャンという音と共にいともあっけなく首輪が外れた。
「ではシロウ様これをミラに。」
「同じものでいいのか?」
「誰に着けられたかが重要なのです。少々痛いかもしれませんが我慢をお願いします。」
手渡された首輪は真っ二つになっており、どうやらこれをミラの首に嵌めるとくっつく仕様のようだ。
うーむ、原理が知りたい。
ミラが嬉しそうな顔で装着するのを待っている。
なんだか背徳感あるなぁ。
俺にそっちの趣味あったっけ。
両手で別れた首輪をミラの首にあてがうと再びカシャンという音と共に首輪がくっついた。
それと同時に右手の指さきに強い痛みを感じ、慌てて手を離した。
見ると針で刺したように真っ赤な血がにじんでいた。
「血を吸ったのか?」
「その通りです。これでシロウ様以外には外すことが出来なくなりました。また、シロウ様に反抗するようなことがあればこの首輪が締まるようになります。」
「反抗の基準は?」
「シロウ様が反抗だと認識した場合、それとこの街から勝手に出た場合でしょうか。」
「俺が認識しなかったら大丈夫なのか?」
「多少の事では反応しませんのでご安心を。」
なんだか曖昧な基準だなぁ。
変な事で反応しないでほしいんだけど・・・。
ま、大丈夫だろう。
「以上で終わりです。ミラ末永くシロウ様にお仕えするんですよ。」
「全身全霊をかけてご奉仕いたします。」
「ではシロウ様私はこれで、ちょうど次の馬車も来たようですね。」
全員で後ろを振り返ると店の外に二台目の馬車が横付けされていた。
早くどけないとお隣さんに迷惑がかかってしまうな。
レイブさんは一台目の馬車に乗り店へと戻っていった。
アレにはミラさんの私物しか積んでいなかったのですぐに片付いたのだが、こいつはどういう事だろうか。
「就職祝いにしては多すぎない?」
「おそらくレイブ様なりのお礼なのだと思います。」
「レイブさんの?」
「あの方がこの街に来たばかりの頃に母が色々と世話を焼いたそうなんです。今こうして商売が出来るのも母のおかげだと、私を買って下さったときにお話ししてくださいました。」
「その恩もあって、今回の取引が成り立ったわけですか。」
「母の治療費を建て替えるとまで仰ってくださったのですが、流石にそれは断りました。代わりに、こんなに素敵なご主人様に出会えたのですこれ以上望むことはありません。」
それでも奴隷になる必要はなかったんじゃないか?
とは言わなかった。
ミラにはミラなりの考えがあってこの取引を申し出たんだろう。
レイブさんがしつこく勧めてきた理由もここに繋がっていた。
いやー、びっくりだわ。
その後馬車にスタンバイしていたお手伝いの方々に手助けしてもらいながら、なんとか荷物を運びこむことが出来た。
もう一度言うが就職祝いにしては多すぎるんじゃないだろうか。
最初に積まれていたミラの私物を1とすると就職祝いは10ぐらいある。
中身は日用品や雑貨等、新生活に必要と思われる品ばかりだ。
食材なんかも沢山あったので当分困ることはないだろう。
「ふぅ、仕分けはこれぐらいして残りは明日にしましょう。」
「畏まりました。」
片づけに追われ気づけば日が暮れていた。
昨日と違うのはランタンなどの日用雑貨がそろっている事。
やっとまともに生活できる環境になって来たな。
「シロウ様、先にお伺いしたいことがございます。」
ミラさんお手製の食事を堪能した後の事だ。
食後の香茶を楽しんでいると急にミラが真面目な顔をして俺を見てきた。
「なんですか?」
「どうしてご購入してくださったのですか?」
「それを今聞きますか?」
「母の件があったとはいえ、シロウ様には関係のない話。お買い得ではあったかと思いますが・・・それでもどうして買って下さったんですか?」
どうして。
そんなの一つしかないよね。
「人手が欲しかったのもあるが、やはり好みだったからかな。」
「え?」
「エリザ的に言わせればお人好しってやつだろうけど、男なんてそんなものだ。」
「でも今朝は。」
「だから言っただろ、自分の物でもない女に手を出せないって。」
「じゃあ・・・!」
ミラの目が大きく見開かれる。
あれは怯える目じゃない、歓喜の目だ。
「何も言わなくても昨日のリベンジをするつもりなんだろ?レイブさんの所で何を仕込まれたか知らないが、見せてもらおうじゃないか。」
「必ずやご満足していただけると確信しております。どうかお覚悟を。」
そうとなればすることは一つ。
二人で手分けして戸締りをして二階へ上がる。
昨夜同様に月明かりの美しい夜。
俺はこの世界に来て初めての敗北を味わった。
19
お気に入りに追加
388
あなたにおすすめの小説

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

Age43の異世界生活…おじさんなのでほのぼの暮します
夏田スイカ
ファンタジー
異世界に転生した一方で、何故かおじさんのままだった主人公・沢村英司が、薬師となって様々な人助けをする物語です。
この説明をご覧になった読者の方は、是非一読お願いします。
※更新スパンは週1~2話程度を予定しております。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる