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三章 薬を求めて
障りたちはおどり、わらう
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急いでナクラの集落に戻ると、丁度日が暮れて宵闇が迫っていた。
ベッドのサギは、相変わらず眠りこけてはいるものの、症状が落ち着いているのか少し安らかな顔をしていた。
レントの葉を村長に渡して事情を説明する。
レントと出会ったことにナクラは全員が驚いたが、本物だとわかるとすぐに薬を作る準備に取りかかってくれた。
待つことしばし、村長が水と、粉状の薬をもって現れる。
「これ? 前のは液体だったけど」
「大丈夫。間違い、ない」
「でも……」
「つばさ、大丈夫だ。大事なのはレント族の葉であるということだ。そのちびの薬の技術は保証する」
エドが横から口をはさむ。
なお彼は家の中に入れないから、窓から顔だけを入れていた。
一抹の不安があったけど、エドとナクラ族を信じるしかなかった。
「サギ、起きて。薬だよ」
つばさが何度も声をかけるとうっすらと眼を開く。
苦しみで表情を歪ませたけども、つばさの姿を瞳に捉え少し微笑んだ。
頭を上げる力がないようなので、彼女の頭を抱き上げて少しあげた。そこに村長が口を開かせ、薬と水を飲ませる。
弱々しいサギの様子がすぐに変化していく。
汗が引っ込み、青白かった顔がつやのある元の元気な姿へと変わっていった。
サギの眼に焦点が戻り、じっとつばさの顔を見上げる。
「治った、治ったんだね!」
思わず大きな声をあげてサギの手を強く握った。
歓声が沸き上がり、ナクラ達が隣の者と抱き合い、手拍子を始めた。
彼等は旅人である自分たちの回復をここまで感動してくれるのか。
そのことが妙に嬉しくて、少し視界が歪む。慌てて服の裾で眼をこすった。
再び前を向くとサギの顔がすぐそばにあった。
手は握ったまま。
慌てて離すと、今度はサギの方から手を握ってきた。
手の甲が小さくて温かいものに包まれる。
「ありがとう。つばさが助けてくれたんだね」
息がかおにかかる。
つばさはきゅうにナクラ達の様子が気になって顔をそらした。彼等は喜び、踊っていた。
「お礼なんて……」
ぼくのほうこそ何度も助けられた。
ヤマのクニに迷い込んでから、ずっと君にお世話になりっぱなしだ。
いろいろな思いが、つばさの頭の中で浮かび上がる。
『ぐぅ~』
びっくりするぐらい、大きなおなかの音がなった。
自分のおなかだった。
くすりと笑い声があり、ほほに熱がこもる。
台無しだった。
「……サギが作ってくれるご飯で充分だよ」
「腕によりをかけるからね」
と、サギはにっこり笑う。
エドが鼻息をあらくしながら大笑いする声が、小屋の中でひびきわたった。
ベッドのサギは、相変わらず眠りこけてはいるものの、症状が落ち着いているのか少し安らかな顔をしていた。
レントの葉を村長に渡して事情を説明する。
レントと出会ったことにナクラは全員が驚いたが、本物だとわかるとすぐに薬を作る準備に取りかかってくれた。
待つことしばし、村長が水と、粉状の薬をもって現れる。
「これ? 前のは液体だったけど」
「大丈夫。間違い、ない」
「でも……」
「つばさ、大丈夫だ。大事なのはレント族の葉であるということだ。そのちびの薬の技術は保証する」
エドが横から口をはさむ。
なお彼は家の中に入れないから、窓から顔だけを入れていた。
一抹の不安があったけど、エドとナクラ族を信じるしかなかった。
「サギ、起きて。薬だよ」
つばさが何度も声をかけるとうっすらと眼を開く。
苦しみで表情を歪ませたけども、つばさの姿を瞳に捉え少し微笑んだ。
頭を上げる力がないようなので、彼女の頭を抱き上げて少しあげた。そこに村長が口を開かせ、薬と水を飲ませる。
弱々しいサギの様子がすぐに変化していく。
汗が引っ込み、青白かった顔がつやのある元の元気な姿へと変わっていった。
サギの眼に焦点が戻り、じっとつばさの顔を見上げる。
「治った、治ったんだね!」
思わず大きな声をあげてサギの手を強く握った。
歓声が沸き上がり、ナクラ達が隣の者と抱き合い、手拍子を始めた。
彼等は旅人である自分たちの回復をここまで感動してくれるのか。
そのことが妙に嬉しくて、少し視界が歪む。慌てて服の裾で眼をこすった。
再び前を向くとサギの顔がすぐそばにあった。
手は握ったまま。
慌てて離すと、今度はサギの方から手を握ってきた。
手の甲が小さくて温かいものに包まれる。
「ありがとう。つばさが助けてくれたんだね」
息がかおにかかる。
つばさはきゅうにナクラ達の様子が気になって顔をそらした。彼等は喜び、踊っていた。
「お礼なんて……」
ぼくのほうこそ何度も助けられた。
ヤマのクニに迷い込んでから、ずっと君にお世話になりっぱなしだ。
いろいろな思いが、つばさの頭の中で浮かび上がる。
『ぐぅ~』
びっくりするぐらい、大きなおなかの音がなった。
自分のおなかだった。
くすりと笑い声があり、ほほに熱がこもる。
台無しだった。
「……サギが作ってくれるご飯で充分だよ」
「腕によりをかけるからね」
と、サギはにっこり笑う。
エドが鼻息をあらくしながら大笑いする声が、小屋の中でひびきわたった。
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