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【中2編】第3章「諦めたくない。」
大会前の部活(亜紀目線)
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大会まであと二日となった。
残念ながらスタメン入りは出来なかったが、部活には毎日行くようにしている。先生の気を引きたいわけじゃなく、自主練、といった感じだろうか。
チャイムが鳴って、帰りの会が終わった。
さて、部活行きますかー…って、あれ。陽真ってもしかして自分から部活に…!?なら、一緒に行こっかな。
俺は陽真のところに駆け寄った。
「あれ、陽真今日も部活行くんだ」
ちゃんと部活用シューズや体操服も持ってる。偉いな。
「いや当たり前じゃん。明後日県大会だし、流石にいかないとまずい」
「そういうことか。なるほどね、ごめん」
言われて、我に返った。陽真が今まで部活サボりすぎて、スタメンだったことをすっかり忘れていた。そして俺はスタメン入りを果たせなかった。
「斎藤は今日部活行くん?」
「一応行く。まあ、今行っても大会メンバーしかいないと思うけど」
「自主練しとけばなんとかなるっしょ」
「そっか。陽真は大会頑張れ」
「あー、ありがと」
俺の言葉を聞いた陽真は、照れ隠しなのか、俯いてそう言った。
こういうツンデレが照れてるのは、案外レアかもしれない。陽真のことが好きな女子は、多分ここで尊死するだろうな。俺はそんな事あんまり共感できないかも、多分。
「明後日の大会でスタメン入りしてるやつ、ステージ前のコートに集まって練習試合しろー。他のやつは走り込みか、ペア練習しろー」
顧問がスタメン入りしている人に指導を集中しているせいか、その他の人に対して冷たいのは気のせいなのだろうか。
「じゃあ俺、走り込みしてくる。陽真は練習試合頑張って」
悔しさを紛らわせるために、体育館から出たかったから走り込みを選択をした。パス練の方は、今日は仲いい人がいないから楽しくない。いてもスタメンの中にいる、陽真とかしかいない。
体育館から出ようとしたところで、陽真に呼び止められた。
「待って斎藤。今日審判する先輩欠席だったから、補欠で頼んでも良い?」
「森沢先生がやってもいいんじゃない?」
「急に会議が入ったらしくて、部活終わるまで顔出せないって」
「じゃあ、それなら…」
今日限りの1クォーターだけの審判で、という形になったが、スタメングループに関われた事はすごく嬉しい。でも俺なんかがやって、皆が迷惑しないといいけど。
ピー。
試合開始の笛を鳴らすとともに、ボールをトスアップした。そして陽真たちのチーム(仮)がボールを手にした。1年の高瀬が陽真にボールをパスし、そのまま陽真はゴールリングに向かってボールを投げた。パサッ、っと気持ちのいい音とともに、陽真たちのチーム(仮)に先制点が入った。
え、開始から5秒でスリーポイントシュート!?陽真がスタメンから外されない理由が改めて分かったような気がした。
ピー。
試合終了の笛を鳴らしたあと、得点板を見てみると、15対27で陽真たちのチーム(仮)が勝利した。殆どの得点、特にスリーポイントシュートは陽真が入れたものだった。どうやったらあんな点数が8分以内に入るんだろ。
「陽真おつかれー」
「今日あんなに点数入っても大会で反映出来なきゃ意味ねぇーーー」
どうやらさっきの試合で全力を出しすぎたのか、陽真は息を切らしながら話した。そりゃあ、あれだけ点数を入れれば疲れるも同然だ。
「明後日のためにしっかり休めよ」
「俺、斎藤がいてくれたらいつでも元気になれるわ」
「えっ!?」
…なんか顔があつい。鏡を見なくても、自分の顔が赤くなってる事を悟った。
今、陽真の言葉にドキッとしてしまったのは何だったんだろ。他の友達には感じない、異性にしか感じないはずの「あの感情」が湧いたような気がした。
試合中、陽真のことをなぜか目で追ってしまっていた。無意識に「かっこいいな」とか「目が合わないかな」とか考えていた。
それよりなんで俺は、陽真に惚れたんだろ。
残念ながらスタメン入りは出来なかったが、部活には毎日行くようにしている。先生の気を引きたいわけじゃなく、自主練、といった感じだろうか。
チャイムが鳴って、帰りの会が終わった。
さて、部活行きますかー…って、あれ。陽真ってもしかして自分から部活に…!?なら、一緒に行こっかな。
俺は陽真のところに駆け寄った。
「あれ、陽真今日も部活行くんだ」
ちゃんと部活用シューズや体操服も持ってる。偉いな。
「いや当たり前じゃん。明後日県大会だし、流石にいかないとまずい」
「そういうことか。なるほどね、ごめん」
言われて、我に返った。陽真が今まで部活サボりすぎて、スタメンだったことをすっかり忘れていた。そして俺はスタメン入りを果たせなかった。
「斎藤は今日部活行くん?」
「一応行く。まあ、今行っても大会メンバーしかいないと思うけど」
「自主練しとけばなんとかなるっしょ」
「そっか。陽真は大会頑張れ」
「あー、ありがと」
俺の言葉を聞いた陽真は、照れ隠しなのか、俯いてそう言った。
こういうツンデレが照れてるのは、案外レアかもしれない。陽真のことが好きな女子は、多分ここで尊死するだろうな。俺はそんな事あんまり共感できないかも、多分。
「明後日の大会でスタメン入りしてるやつ、ステージ前のコートに集まって練習試合しろー。他のやつは走り込みか、ペア練習しろー」
顧問がスタメン入りしている人に指導を集中しているせいか、その他の人に対して冷たいのは気のせいなのだろうか。
「じゃあ俺、走り込みしてくる。陽真は練習試合頑張って」
悔しさを紛らわせるために、体育館から出たかったから走り込みを選択をした。パス練の方は、今日は仲いい人がいないから楽しくない。いてもスタメンの中にいる、陽真とかしかいない。
体育館から出ようとしたところで、陽真に呼び止められた。
「待って斎藤。今日審判する先輩欠席だったから、補欠で頼んでも良い?」
「森沢先生がやってもいいんじゃない?」
「急に会議が入ったらしくて、部活終わるまで顔出せないって」
「じゃあ、それなら…」
今日限りの1クォーターだけの審判で、という形になったが、スタメングループに関われた事はすごく嬉しい。でも俺なんかがやって、皆が迷惑しないといいけど。
ピー。
試合開始の笛を鳴らすとともに、ボールをトスアップした。そして陽真たちのチーム(仮)がボールを手にした。1年の高瀬が陽真にボールをパスし、そのまま陽真はゴールリングに向かってボールを投げた。パサッ、っと気持ちのいい音とともに、陽真たちのチーム(仮)に先制点が入った。
え、開始から5秒でスリーポイントシュート!?陽真がスタメンから外されない理由が改めて分かったような気がした。
ピー。
試合終了の笛を鳴らしたあと、得点板を見てみると、15対27で陽真たちのチーム(仮)が勝利した。殆どの得点、特にスリーポイントシュートは陽真が入れたものだった。どうやったらあんな点数が8分以内に入るんだろ。
「陽真おつかれー」
「今日あんなに点数入っても大会で反映出来なきゃ意味ねぇーーー」
どうやらさっきの試合で全力を出しすぎたのか、陽真は息を切らしながら話した。そりゃあ、あれだけ点数を入れれば疲れるも同然だ。
「明後日のためにしっかり休めよ」
「俺、斎藤がいてくれたらいつでも元気になれるわ」
「えっ!?」
…なんか顔があつい。鏡を見なくても、自分の顔が赤くなってる事を悟った。
今、陽真の言葉にドキッとしてしまったのは何だったんだろ。他の友達には感じない、異性にしか感じないはずの「あの感情」が湧いたような気がした。
試合中、陽真のことをなぜか目で追ってしまっていた。無意識に「かっこいいな」とか「目が合わないかな」とか考えていた。
それよりなんで俺は、陽真に惚れたんだろ。
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