もう「友達」なんかじゃいられない。

【中2編】（初期設定）

冒頭（亜紀目線）

　「俺は、亜紀と付き合いたい。俺以外の男の事なんて考えるな」　
誰もいない体育館裏で、いきなり陽真に告白された。こいつは脳内腐ってんのか…？何で男の俺に告ってるんだよ。
　その時、ぐいっと腕を引き寄せられ、陽真の唇に触れそうになった。
「何も言わないんなら俺のものにしてやる」
「ちょ、陽真待てって！」
え、キスされる！？「初めて」が男、しかも友達なんてそんなの…
「いやーーーーーーー！！」
　ガバッ。
　なんだ、夢か。時計の針は7時を指していた。にしても、奇妙な夢を見たものだ。BLの主人公がキスされる時ってこんな感じか…って感心してる場合か！？今日月曜日って、学校じゃん！

　そもそも男同士で恋愛してる夢見るとか、なんかの予兆なのか？もしや自分にBL展開が…？いやいや、そんなはずはないと信じたい。というか信じる。BLしてるなんて、どんなメリットがあるっていうんだよ。
「斎藤ー、はよ」　
「あ、おはよー」
登校中、通学路で陽真に後ろから声をかけられた。
　土谷陽真は、俺と同じクラスでバスケ部で成績優秀。それに身長高め、ちょっとツンデレでスタイルが良い、といった女子の好みそうなタイプを詰め込んだようなイケメン男子だ。でも、悪口多めの最低男子でもあるような…？
「ねえ斎藤さ、今日部活ってあるん？」　
「あるけど、もしかしてサボるん？」　
「大会前だし面倒くさいから行かない、って部長と顧問に伝えといて」　
「スタメンから外されても知らんよ…？」
　正直なところ、それはただ単にからかっただけで、本当はそんなことは99％ありえないと思う。なぜなら陽真は小学１年生からバスケを習っていて、その腕前はプロ並みと言っても過言ではなかった。部活の顧問の先生からの期待と信頼は厚いため、どんな試合の時にもいつも陽真をスタメンに入れる。俺なんか、まだ2回しかないのに…
「お前も今回のスタメン入り頑張れよー？笑」　
「自称イケメンのサボり魔に言われたくないんだけど」
　何こいつ、くそムカつくんだけど。部活来てないくせに、しかも自分で自分のバスケの上手さ認めてるし、さらには煽ってくるとかまじ最低じゃん。こういうナルシスト、好きになった人絶対後悔するな。
「まあ明日は必ず部活行くから、それも伝えといて」
「俺のことパシリに使わないでくれる？サボる方が悪いんじゃん」
　やっぱこいつのこと嫌いだわ。いくら陽真と友達でも、もしも「あの夢」が本当だったとしても、陽真とだけはBLしたくないな。…というか、そもそもそんな展開なんて望んでもないんだけど！？