105 / 108
心細いときには、5
しおりを挟む
マンションへ戻ると副島の寝室にそっと入り、メモを回収する。
寝苦しそうな様子もなく、汗もそれほどかいている様子はないので、寝室をそっと出た。
買ってきたものを少し食べてから、何となく遠慮がちに、カウチソファに横になった。
副島の部屋のリビングには、大きなカウチソファが置いてある。
日和一人が横になったところでびくともしないが、やはり人の家であるという意識が、日和を遠慮がちにした。
真っ暗にすることが少し不安で、常夜灯だけにして目をつぶってみる。
副島の様子が気がかりなのと、人の家にいるという緊張感で、いざ眠ろうとするとなかなか寝付けない。
時刻が深夜一時を回っていることも考えて、余計に眠れなかった。
そして怒らない眠気と格闘している間に、日和はいつの間にか眠りに落ちていた。
「…!!」
耳元で目覚ましが鳴り、驚いて目を覚ます。
勢いよく身体を起こして、周りの景色が違う事に一瞬パニックになると、副島の家だということを思い出して一気に落ち着きを取り戻した。
「そうだ。看病のために泊まったんだ……」
変な恰好で眠っていたようで身体が痛くなっている気がした。
身体を伸ばすように動かしてから、副島の寝室へと向かう。
そっと開けると、まだ副島は眠っているようだった。
苦しそうな様子もないのでほっとして、日和は副島が着替えたパジャマを洗濯するために、洗面所へ向かう。
洋服のタグを確認して、洗濯機を回した。
昨日買ってきたものを食べてから、おかゆを少し温める。
朝7時を回った頃、日和はまたマスクを着けてから副島を起こしに行くと、副島はベッドの中でスマホを持っていた。
「えっ日和…!?」
驚いた顔で、日和の方を見ているので、首をかしげながら朝の挨拶をする。
「おはようございます、隆弘さん。調子はどうですか?」
「昨日よりはだいぶいいよ…ていうか、あれ、今日仕事じゃ…」
「あぁ…」
平日の朝から、日和がくつろいだ格好で現れたことに驚いているようだった。
「えっと…パートナーが体調不良なので有休くださいって、今日と明日、休んじゃいました」
ははっと照れ笑いする日和を見て、副島はぎゅっと眉を寄せる。
「泣いちゃうじゃん、こんなの」
まるで子供が泣き出す瞬間のようだと思ったその表情で、副島は顔を覆った。
「えっえっ、なんで泣くんですか…」
「泣くでしょ!? だって…、こんな、ただの風邪でも弱ってる時に、こんなに優しくされてさ…? 愛されてるなって、喜んじゃうじゃん、泣くよ?」
日和はそっとベッドに乗り上げると、副島をぎゅっと抱きしめる。
「愛してますよ。恋人のために有休使わないで、いつ使うんです? それにうちの会社、社員を大事にしてくれるんで、部長クラスでも簡単に有休貰えちゃうんです。だから、課長の俺だって簡単に有休貰っちゃいますからね」
「泣いちゃうってぇ…」
「うれし泣きなら、良いです。隆弘さんいつも完璧にしててカッコイイから、たまにはこういう瞬間も必要です」
日和はぎゅうぎゅうに副島を抱きしめて、副島はされるがままになりながら、涙をぬぐった。
寝苦しそうな様子もなく、汗もそれほどかいている様子はないので、寝室をそっと出た。
買ってきたものを少し食べてから、何となく遠慮がちに、カウチソファに横になった。
副島の部屋のリビングには、大きなカウチソファが置いてある。
日和一人が横になったところでびくともしないが、やはり人の家であるという意識が、日和を遠慮がちにした。
真っ暗にすることが少し不安で、常夜灯だけにして目をつぶってみる。
副島の様子が気がかりなのと、人の家にいるという緊張感で、いざ眠ろうとするとなかなか寝付けない。
時刻が深夜一時を回っていることも考えて、余計に眠れなかった。
そして怒らない眠気と格闘している間に、日和はいつの間にか眠りに落ちていた。
「…!!」
耳元で目覚ましが鳴り、驚いて目を覚ます。
勢いよく身体を起こして、周りの景色が違う事に一瞬パニックになると、副島の家だということを思い出して一気に落ち着きを取り戻した。
「そうだ。看病のために泊まったんだ……」
変な恰好で眠っていたようで身体が痛くなっている気がした。
身体を伸ばすように動かしてから、副島の寝室へと向かう。
そっと開けると、まだ副島は眠っているようだった。
苦しそうな様子もないのでほっとして、日和は副島が着替えたパジャマを洗濯するために、洗面所へ向かう。
洋服のタグを確認して、洗濯機を回した。
昨日買ってきたものを食べてから、おかゆを少し温める。
朝7時を回った頃、日和はまたマスクを着けてから副島を起こしに行くと、副島はベッドの中でスマホを持っていた。
「えっ日和…!?」
驚いた顔で、日和の方を見ているので、首をかしげながら朝の挨拶をする。
「おはようございます、隆弘さん。調子はどうですか?」
「昨日よりはだいぶいいよ…ていうか、あれ、今日仕事じゃ…」
「あぁ…」
平日の朝から、日和がくつろいだ格好で現れたことに驚いているようだった。
「えっと…パートナーが体調不良なので有休くださいって、今日と明日、休んじゃいました」
ははっと照れ笑いする日和を見て、副島はぎゅっと眉を寄せる。
「泣いちゃうじゃん、こんなの」
まるで子供が泣き出す瞬間のようだと思ったその表情で、副島は顔を覆った。
「えっえっ、なんで泣くんですか…」
「泣くでしょ!? だって…、こんな、ただの風邪でも弱ってる時に、こんなに優しくされてさ…? 愛されてるなって、喜んじゃうじゃん、泣くよ?」
日和はそっとベッドに乗り上げると、副島をぎゅっと抱きしめる。
「愛してますよ。恋人のために有休使わないで、いつ使うんです? それにうちの会社、社員を大事にしてくれるんで、部長クラスでも簡単に有休貰えちゃうんです。だから、課長の俺だって簡単に有休貰っちゃいますからね」
「泣いちゃうってぇ…」
「うれし泣きなら、良いです。隆弘さんいつも完璧にしててカッコイイから、たまにはこういう瞬間も必要です」
日和はぎゅうぎゅうに副島を抱きしめて、副島はされるがままになりながら、涙をぬぐった。
0
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる