スローテンポで愛して

木崎 ヨウ

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★隙間を埋めるみたいに。2

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「どうしたの?」
 副島は、日和の様子に気が付いて優しく声をかけてくれた。
「え、あ…ええと、あの、すいません、なんでも…」
 副島は冷蔵庫に寄り、日和の隣に座りながら、
「そんな青ざめた顔してて、何でもないわけないよ。あ…もしかして…嫌になっちゃった?」
 日和は、はじかれたように顔を上げた。
「違います…!」
「そう? でも…急ぎすぎちゃったかな。ごめんね」
 ほんのり困ったような笑みを浮かべる副島に、胸がきゅっと締め付けられるような気持ちがして、日和は首を振った。
「謝らないでください。違うんです、本当に…。あの…ただ、…不安で」
「そっか。何が不安なのか…教えてくれる?」
「はい…、俺は女の子も一人としか経験がないし…男の人とこういう事になったのは貴方が初めてだから…、どう…どうしたらいいのかなって不安になってしまって…」
 副島は、そっと日和の手を取った。
「僕も男は日和が初めてだよ?」
「でも…女性との経験はたくさんあるでしょう…?」
「そ…れは、まぁ…」
 副島は決まり悪そうに口ごもった。
「あ、いえ、経験がある事自体は、良いんです。それは、良いんですけど、……その…女の子と比べたら…」
「まさか、他の子と比べたりしないよ!」
「…いえ…、他の人と比べて…貴方に満足して貰えなかったり…つまらないと思われたらと思うと…不安なんです」
 日和の手を握っていた副島の手に、力が入る。そして、勢いよく引っ張られたかと思うと、抱き締められていた。
「…隆弘さん…?」
 驚きつつ見上げると、そのまま唇を奪われた。
「んっ…?! う…ンっ…んんっ」
 まだ慣れる事が出来ない激しいキスに翻弄されながら日和は、ガウン越しに伝わってくる副島の鼓動の速さに、ときめきを覚えていた。
 キスの合間に唇を少し浮かせて、副島が囁いた。
「こんな可愛い事言われたら、加減してあげられなくなっちゃうよ…」
 濡れた声でそんな風に言われて、日和は恥ずかしくてたまらなくなってしまった。
「…だって…俺…、こんな気持ちになるの初めてで…」
「嬉しいよ。ねえ日和…、愛してる」
 流れるように、ベッドへ押し倒されて、日和は戸惑いながら目を閉じた。
「優しくするよ」
 どう受け答えするのが正解なのか…と、日和は一瞬考えたが、
「隆弘さんが優しくないなんて、ぜったいあり得ないですから…」
 と答えた。
「信用されているね、僕」
「ええ。…ただあの…、お手柔らかにお願いします」
 日和が笑顔を向けると、副島はにこりと笑った。
「出来る限り、そのつもりだよ」
 と、少々不安になる一言も付け加わった。
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