56 / 108
助けて、日向!7
しおりを挟む
どうして日向はここまでしてくれるのか…と、日和は思ったので、そのまま聞いてみる。
すると、
「罪滅ぼしって言うんじゃないんだけどさ。なんか、僕が家を出てからずっと、日和はあの親に抑圧されて生きて来たんだなって思って…それが、デートの為に服を見立ててなんて言われたのが…純粋にうれしくて!」
と、笑った。
「抑圧ってほどじゃ」
「今に解る。恋人が出来て、楽しい事をたくさん経験したら、今までの環境がいかにアレだったか、解るよ。だから…日和には、幸せになって欲しいんだ。今度の恋人と、ちゃんと長く付き合って行って欲しいんだよ」
日和は、日向がそんな風に自分を心配してくれたことが嬉しかった。
「来週、デートして、どうだったか聞かせてね。それで、次のデートの時にまた僕に助けて欲しいって思ったら、いつでも相談して! ね?」
にこっと笑った日向の顏は、人好きのする笑顔だった。
「…振られないように、頑張るよ」
日和もつられて笑う。
美容室の会計まで日向がしようとするので、さすがにそれはと日和はきちんと自分で支払いをした。
食事にでも行こうと誘ったのだが、デートの話をゆっくり聞かせてもらうからその時に、と言われてそれでお開きになってしまった。
もしかしたら、何か予定があったのかもしれない。
ショッピングモールに置いておいた荷物を取りに行きつつ、スーパーで弁当を買う。
改めて何もかも日向に頼り切りになってしまった事を申し訳なく思った日和は、来週のデートの事を話す時に何か奢ろうと考えて、何がいいのか思い当たらない自分にまたすこしがっかりした。
家に帰って、日向にプレゼントして貰った服をハンガーに吊るしたりしながら、ブランド品の服は洗濯機で洗って良いのか…? とおそらく頓珍漢であろうことを考えて、それからスーパーで買ってきた弁当を食べた。
明日は月曜日だ。
仕事の時にはしっかりしなくてはいけない、と考えた。
見た目は変わったけれど、日常は、日常のままだ。
まあ、心配しなくても自分の変化など、誰も目に留めない。
日和はそう思って、日曜日の残りを普段通りに過ごした。
すると、
「罪滅ぼしって言うんじゃないんだけどさ。なんか、僕が家を出てからずっと、日和はあの親に抑圧されて生きて来たんだなって思って…それが、デートの為に服を見立ててなんて言われたのが…純粋にうれしくて!」
と、笑った。
「抑圧ってほどじゃ」
「今に解る。恋人が出来て、楽しい事をたくさん経験したら、今までの環境がいかにアレだったか、解るよ。だから…日和には、幸せになって欲しいんだ。今度の恋人と、ちゃんと長く付き合って行って欲しいんだよ」
日和は、日向がそんな風に自分を心配してくれたことが嬉しかった。
「来週、デートして、どうだったか聞かせてね。それで、次のデートの時にまた僕に助けて欲しいって思ったら、いつでも相談して! ね?」
にこっと笑った日向の顏は、人好きのする笑顔だった。
「…振られないように、頑張るよ」
日和もつられて笑う。
美容室の会計まで日向がしようとするので、さすがにそれはと日和はきちんと自分で支払いをした。
食事にでも行こうと誘ったのだが、デートの話をゆっくり聞かせてもらうからその時に、と言われてそれでお開きになってしまった。
もしかしたら、何か予定があったのかもしれない。
ショッピングモールに置いておいた荷物を取りに行きつつ、スーパーで弁当を買う。
改めて何もかも日向に頼り切りになってしまった事を申し訳なく思った日和は、来週のデートの事を話す時に何か奢ろうと考えて、何がいいのか思い当たらない自分にまたすこしがっかりした。
家に帰って、日向にプレゼントして貰った服をハンガーに吊るしたりしながら、ブランド品の服は洗濯機で洗って良いのか…? とおそらく頓珍漢であろうことを考えて、それからスーパーで買ってきた弁当を食べた。
明日は月曜日だ。
仕事の時にはしっかりしなくてはいけない、と考えた。
見た目は変わったけれど、日常は、日常のままだ。
まあ、心配しなくても自分の変化など、誰も目に留めない。
日和はそう思って、日曜日の残りを普段通りに過ごした。
0
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる