スローテンポで愛して

鈴茅ヨウ

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助けて、日向!7

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 どうして日向はここまでしてくれるのか…と、日和は思ったので、そのまま聞いてみる。
 すると、
「罪滅ぼしって言うんじゃないんだけどさ。なんか、僕が家を出てからずっと、日和はあの親に抑圧されて生きて来たんだなって思って…それが、デートの為に服を見立ててなんて言われたのが…純粋にうれしくて!」
 と、笑った。
「抑圧ってほどじゃ」
「今に解る。恋人が出来て、楽しい事をたくさん経験したら、今までの環境がいかにアレだったか、解るよ。だから…日和には、幸せになって欲しいんだ。今度の恋人と、ちゃんと長く付き合って行って欲しいんだよ」
 日和は、日向がそんな風に自分を心配してくれたことが嬉しかった。
「来週、デートして、どうだったか聞かせてね。それで、次のデートの時にまた僕に助けて欲しいって思ったら、いつでも相談して! ね?」
 にこっと笑った日向の顏は、人好きのする笑顔だった。
「…振られないように、頑張るよ」
 日和もつられて笑う。
 美容室の会計まで日向がしようとするので、さすがにそれはと日和はきちんと自分で支払いをした。
 食事にでも行こうと誘ったのだが、デートの話をゆっくり聞かせてもらうからその時に、と言われてそれでお開きになってしまった。
 もしかしたら、何か予定があったのかもしれない。
 ショッピングモールに置いておいた荷物を取りに行きつつ、スーパーで弁当を買う。
 改めて何もかも日向に頼り切りになってしまった事を申し訳なく思った日和は、来週のデートの事を話す時に何か奢ろうと考えて、何がいいのか思い当たらない自分にまたすこしがっかりした。
 家に帰って、日向にプレゼントして貰った服をハンガーに吊るしたりしながら、ブランド品の服は洗濯機で洗って良いのか…? とおそらく頓珍漢であろうことを考えて、それからスーパーで買ってきた弁当を食べた。
 明日は月曜日だ。
 仕事の時にはしっかりしなくてはいけない、と考えた。
 見た目は変わったけれど、日常は、日常のままだ。
 まあ、心配しなくても自分の変化など、誰も目に留めない。
 日和はそう思って、日曜日の残りを普段通りに過ごした。
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