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助けて、日向!3
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「好きって、向こうから言われたんでしょ? だったら、好かれてる事にくらい、自信持ちなよ。なんでそんなに、自分の事卑下するの? 悲しいよ…」
「…ごめん」
そうだ。自分を否定することは、副島の気持ちを否定することだ。
好かれて悪い気がしないどころか、嬉しいと思ったのに、その事自体を否定している事になるのだ。
ほんのりと落ち込んだ様子の日和をみて、日向は息を呑む。
そして、長く息を吐きだすと、
「あ…僕こそ、ゴメンね。言い過ぎた」
と言った。
「いや…良い。俺の方こそごめんな。俺に少しでも、日向のそういう考え方が出来れば…『つまらない男』なんて言われて振られる事も無かったんだろうな」
苦笑いでそう返せば、
「えっ、なにそれ」
と食いつかれた。
「一年半付き合って結婚考えてた彼女に、そう言って振られたんだよ…」
「うわぁ…。そりゃ…ひどいね」
こんな話をしている真っ最中に、二人はショッピングモールの入り口に差し掛かり、そのまま入店する。
日和は、初めてここに来たのは副島と知り合ってすぐの事だったな…と思いだして、その流れで告白の事も思い出す。
「…あ、そういえば…あの人にこの話した後だったな…告白されたの」
「え?」
「俺の恋愛経験がそれ一度きりなんて、勿体ないって言われて…。あれ…まさか同情されたのかな…と」
「ネガティブ! ネガティブ禁止!!」
「はは…」
日向から力いっぱいそう言われて、日和の口から乾いたような力ない笑いが零れる。
「だいたい日和は僕と殆ど同じ顔なんだからさ~、そんな自信なさげにされると僕も自信なくなるよ~」
「日向と俺は生きてきた世界が違うから、…ぜんぜん違うよ」
「違わないって! もー、よし、洋服買いに行って、そのあと美容室行こう、美容室! 僕の行ってるとこ!」
思わぬ方向に話が飛び火して、日和は慌てた。
「えぇ…いいよ、そういうのは…」
「よくない! その重たい黒髪も切って染めて! モノトーンばっかりの洋服も全部変えて! イメチェンしよう、イメチェン!」
髪を染めるのなんて、生まれて初めての事だ。日向の金髪をちらりと見る。ここまでやられたら仕事に行かれなくなってしまうなと思って、慌てて止める。
「そ、そんなに変えなくても…」
「何言ってるの! お付き合い始めた人に、よく思われたいでしょ?!」
「そりゃ…まぁ…でも…」
渋る日和の肩をポンポンと叩き、日向は、
「大丈夫、日常生活に支障が出るような髪型にはしないから! はい、じゃあ決まり!」
さっさと決めてしまった。
「…ごめん」
そうだ。自分を否定することは、副島の気持ちを否定することだ。
好かれて悪い気がしないどころか、嬉しいと思ったのに、その事自体を否定している事になるのだ。
ほんのりと落ち込んだ様子の日和をみて、日向は息を呑む。
そして、長く息を吐きだすと、
「あ…僕こそ、ゴメンね。言い過ぎた」
と言った。
「いや…良い。俺の方こそごめんな。俺に少しでも、日向のそういう考え方が出来れば…『つまらない男』なんて言われて振られる事も無かったんだろうな」
苦笑いでそう返せば、
「えっ、なにそれ」
と食いつかれた。
「一年半付き合って結婚考えてた彼女に、そう言って振られたんだよ…」
「うわぁ…。そりゃ…ひどいね」
こんな話をしている真っ最中に、二人はショッピングモールの入り口に差し掛かり、そのまま入店する。
日和は、初めてここに来たのは副島と知り合ってすぐの事だったな…と思いだして、その流れで告白の事も思い出す。
「…あ、そういえば…あの人にこの話した後だったな…告白されたの」
「え?」
「俺の恋愛経験がそれ一度きりなんて、勿体ないって言われて…。あれ…まさか同情されたのかな…と」
「ネガティブ! ネガティブ禁止!!」
「はは…」
日向から力いっぱいそう言われて、日和の口から乾いたような力ない笑いが零れる。
「だいたい日和は僕と殆ど同じ顔なんだからさ~、そんな自信なさげにされると僕も自信なくなるよ~」
「日向と俺は生きてきた世界が違うから、…ぜんぜん違うよ」
「違わないって! もー、よし、洋服買いに行って、そのあと美容室行こう、美容室! 僕の行ってるとこ!」
思わぬ方向に話が飛び火して、日和は慌てた。
「えぇ…いいよ、そういうのは…」
「よくない! その重たい黒髪も切って染めて! モノトーンばっかりの洋服も全部変えて! イメチェンしよう、イメチェン!」
髪を染めるのなんて、生まれて初めての事だ。日向の金髪をちらりと見る。ここまでやられたら仕事に行かれなくなってしまうなと思って、慌てて止める。
「そ、そんなに変えなくても…」
「何言ってるの! お付き合い始めた人に、よく思われたいでしょ?!」
「そりゃ…まぁ…でも…」
渋る日和の肩をポンポンと叩き、日向は、
「大丈夫、日常生活に支障が出るような髪型にはしないから! はい、じゃあ決まり!」
さっさと決めてしまった。
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