スローテンポで愛して

木崎 ヨウ

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答えは…?3

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 でも、あの時はほとんど初対面のようなものだったのに、楽しかった。
 副島が自分に合わせてくれていたからかもしれないけれど、それでも楽しかった。
 副島の所に飲みに行くのも、居心地が良いからに他ならない。
 だからと言って、その居心地のよさを副島の恋愛感情と重ねて良いのだろうか。
 日向から色々とシミュレーションしてみろと具体的なアドバイスが出たものだから、日和は乏しい想像力をフル稼働させる。
 一足飛びに、副島に抱かれる妄想が飛び出した。
「ううう…ッ!」
 経験値の低さゆえに、具体的に想像しきれない部分があったが、あまりにも恥ずかしすぎて日和は枕に顔を埋めた。
「だいたい…なんで俺が下の妄想なんだよっ!」
 日和は思わず頭を抱えた。
「いやっ、そもそも、三カ月のお試し期間があるわけで、そこで副島さんが……俺のつまらなさに気が付いたら…そこで終わりになるんだから…」
 言いながら、日和は落ち込んでいくのを自覚した。つまらないと振られたのを思い出すにつけ、きっと副島も自分にそういう感情を持つはずだから、副島と身体を重ねるような事にはならないと思ったのだ。
 もしかしたら、この先誰とも付き合う事はないのかもしれない。
 日和はこのまま、一人で生きていくのだと思っている節もあった。
 だったら、たった三ヶ月の期間だって、副島と恋人として過ごしてみてもいいのかもしれないと思った。
 あんなに求めてくれた人の気持ちに、応えてみたって罰は当たらないだろう。
 お試し期間があるのだからと思えば、それは付き合った事にも別れた事にはならないし、亀裂も入りにくいのではないかと、甘い事を考えた。
「…副島さんに…連絡してみようかな…」
 一週間待ってくれとは言った。
 日和の中でもう、気持ちは固まったのだから引き伸ばす必要もないのではないかと考えたのだ。
 自分から電話をするのは初めての事だ。
 時計を確認する。仮眠をしていたらまずいかと思いながら、スマホを手に取った。
 何度目かのコールの後、電話がつながった。
「もしもし…?」
『あっ、三上さん? どうしたの…?』
 日和は急に緊張してしまった。
「今…電話してて、大丈夫ですか?」
『うん、平気だよ』
「あの…、本当は直接、会って伝えた方がいいかなって思ったんですけど…」
 しどろもどろにそう伝えると、電話の向こうで、副島が息を呑むのが解った。
『あー…ええと、もしかして、返事をくれるってことかな…?』
「はい。来週まで待ってくれって言ったのは俺なのにすみません…。俺なりによく考えて、答えが出たので…」
『そっか…』
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