スローテンポで愛して

木崎 ヨウ

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浮かれているかもしれない4

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「ごめん…聞いちゃまずいヤツだった?」
「あっ、いえ、違いますっ、すいません…。あのー…、うち、ちょっと家庭環境がめんどくさい家だったんで…」
「そっかぁ」
 日和の言葉に、副島は苦笑いを浮かべる。
「…うちはね…、母親しか居ない家なんだけど…、うちの母親もちょっと変わった人だったから、家庭環境がしんどいのって、ちょっと解る」
 え、と思って見上げると、副島はすごく真剣な表情をしていたのに、突然急にニコッと笑って、
「ねえ、おなかすかない? なんか食べに行こうよ」
 と言う。
「えっ、買い物は良いんですか…?」
「目星は付けたから大丈夫。ごはん食べたりするのに、荷物持ってると邪魔でしょ? だから、食事済ませて、ブラブラして、最後に買おうと思ってるんだけど…どう?」
「あ、はい、大丈夫です」
 副島は、レストランエリアでよく来るというハンバーガー屋に案内してくれた。
 良くあるようなチェーン店ではないその店は、フィッシュ&チップスやフレンチフライはシェアして食べないと間に合わない量が来ると楽しそうに話してくれた。
 昼前に入った店内はあまり混んでおらず、注文したものがスムーズに出て来た。本当に山盛りのフィッシュ&チップスと、ハンバーガーも一般的なものより、だいぶ大きい。
 分厚いハンバーグと、レタスとトマト、オマケにスライスチーズとたっぷりとソースが挟まったハンバーガーは、日和の胃に収まるのか不安なほどの大きさだった。
 ハンバーガーにかぶりついたりポテトを食べたりしながら、他愛もない話が続く。
 日和は相変わらず、上手く話せなかったけれど、副島は持ち前の話術で話を転がしてくれていた。
 こんなに、俺ばかりが楽しくていいのだろうか。日和はそんな風に思っていたが、副島は時々、笑ってくれていたので大丈夫なのかな…と思う事にした。
 食事を終えると、今度は本屋に行きたいというので、おとなしく後をついて行く。
「三上さん、また絵描いたりしないの?」
 本屋の入り口に置かれた子供の夏休みの宿題に使うような教材を見ながら、副島が日和に突然そんなことを聞いて来た。
「ええ…。子供の頃の話ですし…もう…ずっと描いてなかったから、きっと描けなくなってると思うんですよね」
「そっか。ごめんね、変な事聞いて」
「いえ。こちらこそ…すいません。なんか、色々話してくれてるのに、俺、否定してばっかりなんで気分良くないですよね」
「ううん。そうじゃないんだ。ただ…三上さんが楽しいって思う事、一つでも見つかればいいなって思って言ってるだけだから」
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