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日常は崩れないからこその日常5
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家に帰ったらスーツを脱いでハンガーに吊るしてから、シャワーを浴びて、部屋着に着替えつつテレビをつけ、コンビニで買った物を食べながら天気予報やニュースを少しチェックする。
日和はドラマやバラエティ番組などにもあまり興味がない。
あまりにも使わないので、時々、テレビは必要ないんじゃないかとさえ思うくらいだ。
翌日の天気予報をチェックしたら、二十二時頃寝て、朝は六時半に目を覚ます。
これが、ここ数年の日和の日常だ。
恋人でもいたら別だが、今は居ない。
二十六歳の時に、会社の違う部署の子に告白されて付き合い初めて、二十八歳の誕生日を目前に控えた頃、彼女から、
「あなたとの単調な日々に疲れた。穏やかな日々も良いけど、…ごめんね、飽きちゃったの」
などと言われて、振られてしまった。
彼女に楽しんでほしくて、柄にもなく水族館に誘ったり、興味もないのに彼女が好きな映画を観に行ったり、誕生日も付き合い始めた記念日も忘れないようにカレンダーとスマホにチェックして、ちょっと良いレストランに行ってみたり、彼女が欲しがっていたブランド物のバッグをプレゼントしたりもした。
日和にとってはかなり張り切っていた一年半だったが、それでも、彼女は日和との生活を単調でつまらないと言った。
何をどうしてあげたら彼女を満たしてあげられたのか、日和には解らなかった。
その彼女は、日和と別れた半年後、別会社の重役だという顔の良い男と結婚するといって寿退社していった。
日和はと言えばその後、あれだけ頑張ってもつまらないと言われるならと、交際することすら面倒になって、もう六年も恋人がいない。
その前は二十六年居なかったので、別になんということはなかった。
日和は人から世捨て人のようだなどと言われた事もあるが、別に世を捨てているつもりも、隠居のつもりも微塵もなかった。
正直、他人から自分自身がどう評価されているかなんて、どうでも良い。
仕事を真面目にこなしていることを評価してもらえさえすればそれでいいと思っているところもある。
仕事にやりがいを覚えて、生き甲斐を見いだす日々だ。
そういう所が世捨て人だと言われる原因なのかもしれないと日和自身も考える事があったが、変える必要も感じないのでそのまま生きている。
親には孫を催促されることもあるけれど、幼い頃から双子の弟と比べられて、弟ばかりを可愛がってきた両親に今さら何を期待されても、応えてやろうという気も起きない。
日和はドラマやバラエティ番組などにもあまり興味がない。
あまりにも使わないので、時々、テレビは必要ないんじゃないかとさえ思うくらいだ。
翌日の天気予報をチェックしたら、二十二時頃寝て、朝は六時半に目を覚ます。
これが、ここ数年の日和の日常だ。
恋人でもいたら別だが、今は居ない。
二十六歳の時に、会社の違う部署の子に告白されて付き合い初めて、二十八歳の誕生日を目前に控えた頃、彼女から、
「あなたとの単調な日々に疲れた。穏やかな日々も良いけど、…ごめんね、飽きちゃったの」
などと言われて、振られてしまった。
彼女に楽しんでほしくて、柄にもなく水族館に誘ったり、興味もないのに彼女が好きな映画を観に行ったり、誕生日も付き合い始めた記念日も忘れないようにカレンダーとスマホにチェックして、ちょっと良いレストランに行ってみたり、彼女が欲しがっていたブランド物のバッグをプレゼントしたりもした。
日和にとってはかなり張り切っていた一年半だったが、それでも、彼女は日和との生活を単調でつまらないと言った。
何をどうしてあげたら彼女を満たしてあげられたのか、日和には解らなかった。
その彼女は、日和と別れた半年後、別会社の重役だという顔の良い男と結婚するといって寿退社していった。
日和はと言えばその後、あれだけ頑張ってもつまらないと言われるならと、交際することすら面倒になって、もう六年も恋人がいない。
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日和は人から世捨て人のようだなどと言われた事もあるが、別に世を捨てているつもりも、隠居のつもりも微塵もなかった。
正直、他人から自分自身がどう評価されているかなんて、どうでも良い。
仕事を真面目にこなしていることを評価してもらえさえすればそれでいいと思っているところもある。
仕事にやりがいを覚えて、生き甲斐を見いだす日々だ。
そういう所が世捨て人だと言われる原因なのかもしれないと日和自身も考える事があったが、変える必要も感じないのでそのまま生きている。
親には孫を催促されることもあるけれど、幼い頃から双子の弟と比べられて、弟ばかりを可愛がってきた両親に今さら何を期待されても、応えてやろうという気も起きない。
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