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第2話 異世界に来てみたら… 13
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「これ…、他の人も一緒に食べてくれるってことだよね…?」
不安げにイグニスを見上げる永遠に、イグニスは面食らったような表情をした。
今まで、こんな事を言った者はいなかったのだろう。
「もちろんだ。ちゃんと客人たちにも振る舞われるぞ」
「そうだよね!! そりゃ、そうだよ、はぁ、よかった…!」
永遠は、自分のためだけにこんなにごちそうが用意されたわけではないということを改めて確認したことでホッとした。
こんな大量の食事が数人分だなんて、そんなもったいないことはない。
「みなさん、こんなにたくさんの食事を用意してくれて、どうもありがとうございます!」
永遠はその場にいた使用人たちに向かって、頭を下げた。
その姿に、ざわ…っ、と使用人たちが騒めく。
「?」
不思議そうに永遠が首をかしげると、ヴィオラが目を細めてこちらを見ていた。
それも不思議で、思わずイグニスを見上げると、イグニスは楽しそうにくっくと笑っている。
何か変な事を言ったのか…と思っていると、イグニスがパンパンと手をたたいた。
その音で、皆がイグニスに注目した。
「歓迎の宴を開催する! みな、今日は存分に楽しんでくれ」
その一声で今度はバルコニーだった場所に階段が現れた。
「これって魔法かな…」
永遠がつぶやくと、いつの間にか近くに来たヴィオラが、
「そうです。詳しい事をお知りになりたければ、あとで本を届けますよ」
と言ってくれた。
「うん、知りたい! お願いしてもいい?」
「勿論でございます」
食事をとり分けてくれる使用人がいる事に驚きながら、出された食事を楽しもうとしていると、ムスタが飛んできた。
「トワ様、トワ様、これ、オレが獲ってきた鳥で作ったから揚げ! 食べて!」
と、山盛りのから揚げを持ってきた。
「ありがとう、ムスタ。でも一人で食べきれないから、ムスタも食べようよ」
ムスタはきらきらとした笑顔で頷いた。
オオカミの姿だったら、もしかしたら尻尾がブンブンと振られているかもしれないという様子だった。
「オレ、向こう座ってないといけないから、もらってくね」
「そうなの? わかった。ありがとう。じゃあ、いただきます」
ムスタが見つめているので、から揚げをフォークで刺して齧ってみる。
サクサクの衣に、香辛料の香りと、じゅわっとした肉汁があふれ出してくる美味しいから揚げだった。
「んんん、美味しい! ムスタ、これすごくおいしいよ!」
「そりゃあ良かったァ! 調理したのはオレじゃねーけど、喜んでもらえると嬉しいぜ!」
永遠は嬉しそうなムスタを見ながら、嬉しくなった。
不安げにイグニスを見上げる永遠に、イグニスは面食らったような表情をした。
今まで、こんな事を言った者はいなかったのだろう。
「もちろんだ。ちゃんと客人たちにも振る舞われるぞ」
「そうだよね!! そりゃ、そうだよ、はぁ、よかった…!」
永遠は、自分のためだけにこんなにごちそうが用意されたわけではないということを改めて確認したことでホッとした。
こんな大量の食事が数人分だなんて、そんなもったいないことはない。
「みなさん、こんなにたくさんの食事を用意してくれて、どうもありがとうございます!」
永遠はその場にいた使用人たちに向かって、頭を下げた。
その姿に、ざわ…っ、と使用人たちが騒めく。
「?」
不思議そうに永遠が首をかしげると、ヴィオラが目を細めてこちらを見ていた。
それも不思議で、思わずイグニスを見上げると、イグニスは楽しそうにくっくと笑っている。
何か変な事を言ったのか…と思っていると、イグニスがパンパンと手をたたいた。
その音で、皆がイグニスに注目した。
「歓迎の宴を開催する! みな、今日は存分に楽しんでくれ」
その一声で今度はバルコニーだった場所に階段が現れた。
「これって魔法かな…」
永遠がつぶやくと、いつの間にか近くに来たヴィオラが、
「そうです。詳しい事をお知りになりたければ、あとで本を届けますよ」
と言ってくれた。
「うん、知りたい! お願いしてもいい?」
「勿論でございます」
食事をとり分けてくれる使用人がいる事に驚きながら、出された食事を楽しもうとしていると、ムスタが飛んできた。
「トワ様、トワ様、これ、オレが獲ってきた鳥で作ったから揚げ! 食べて!」
と、山盛りのから揚げを持ってきた。
「ありがとう、ムスタ。でも一人で食べきれないから、ムスタも食べようよ」
ムスタはきらきらとした笑顔で頷いた。
オオカミの姿だったら、もしかしたら尻尾がブンブンと振られているかもしれないという様子だった。
「オレ、向こう座ってないといけないから、もらってくね」
「そうなの? わかった。ありがとう。じゃあ、いただきます」
ムスタが見つめているので、から揚げをフォークで刺して齧ってみる。
サクサクの衣に、香辛料の香りと、じゅわっとした肉汁があふれ出してくる美味しいから揚げだった。
「んんん、美味しい! ムスタ、これすごくおいしいよ!」
「そりゃあ良かったァ! 調理したのはオレじゃねーけど、喜んでもらえると嬉しいぜ!」
永遠は嬉しそうなムスタを見ながら、嬉しくなった。
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