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第1話 異世界転生?! 1
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湧谷永遠(わくたに・とわ)、22歳、職業はコンビニアルバイト兼大学生。
物心ついた時には、いわゆる児童養護施設というところで生活していたが、18歳で大学に進学してから一人暮らしをしている。
授業料などある程度は奨学金などで賄ってはいるが、それ以外のところは自分で稼がなければならい。
大学での勉強と、コンビニでのアルバイトと多忙な日々を送りながら、就職活動の真っただ中である。
それでも、将来の夢に向かって頑張る事が楽しくもあった。
秋も深まり、冬の足音が聞こえてくるような、ある夕方の事。
今日は給料日だったので、下ろしたてのお金をもって夕食の材料を買い出しに行こうと、スーパーへ向かった。
「久しぶりに…、鶏のから揚げ食べたいなあ」
奨学生の一人暮らしは、決して贅沢ができる生活ではない。
子供の頃からずっとそうだ。でも、施設での生活が不幸せなものだったわけではない。
それでも、自由ではなかった部分も多い。
時々、個数のきまったおかずを、意地の悪い年上にこっそり浚われたりしたことを考えると、自分の好きなように食べられるようになったのは幸せだ。
ウキウキしながら晩御飯のメニューを考えていると、ふと、視界の端に光る塊が過った。
「なんだろう、あれ…?」
見ると、道路の真ん中に青白く光る塊がある。
光るそれは小型犬ほどの大きさだったが、よく見るとどうやらカエルのようだった。
「カエルか! デカっ! え、なんであんな光ってるの…?」
そう思いながら、左右を確認する。
車が来ていないことを確認してから、ガードレールを乗り越えて、そのカエルに近づいた。
「こんな所にいたら、車に引かれて死んじゃうよ~」
そう言って、カエルに手を伸ばす。
カエルがこちらを向いたので、
「車が来ないうちに逃がしてあげるからね!」
と声をかける。
重さも感じない様子で大きなカエルが跳んで離れていった。
「大丈夫だから、おいで、ほら」
じり…っ、と永遠が近づいていく。
目が合うとカエルがまた逃げそうだったが、永遠は目を離すことはしなかった。
「大丈夫だよ、怖くないから…、おいでよ」
もう一度飛んできたカエルと、永遠の手が触れる瞬間、カエルがさらに強く光った。
「うわっ、なんだ、まぶし…っ!」
驚きに目をぎゅっとつぶる。
それと同時に、永遠の耳にけたたましいクラクションの音が届いた。
「…えっ…?! なんで…!?」
音の方に目をやると、そこには大きなトラックが迫ってきていた。
咄嗟にカエルをどうにかしようかと思ったが、なにもかも間に合わなかった。
どうしてこんなことになったんだ…、と思った所で、永遠の意識は途切れた。
物心ついた時には、いわゆる児童養護施設というところで生活していたが、18歳で大学に進学してから一人暮らしをしている。
授業料などある程度は奨学金などで賄ってはいるが、それ以外のところは自分で稼がなければならい。
大学での勉強と、コンビニでのアルバイトと多忙な日々を送りながら、就職活動の真っただ中である。
それでも、将来の夢に向かって頑張る事が楽しくもあった。
秋も深まり、冬の足音が聞こえてくるような、ある夕方の事。
今日は給料日だったので、下ろしたてのお金をもって夕食の材料を買い出しに行こうと、スーパーへ向かった。
「久しぶりに…、鶏のから揚げ食べたいなあ」
奨学生の一人暮らしは、決して贅沢ができる生活ではない。
子供の頃からずっとそうだ。でも、施設での生活が不幸せなものだったわけではない。
それでも、自由ではなかった部分も多い。
時々、個数のきまったおかずを、意地の悪い年上にこっそり浚われたりしたことを考えると、自分の好きなように食べられるようになったのは幸せだ。
ウキウキしながら晩御飯のメニューを考えていると、ふと、視界の端に光る塊が過った。
「なんだろう、あれ…?」
見ると、道路の真ん中に青白く光る塊がある。
光るそれは小型犬ほどの大きさだったが、よく見るとどうやらカエルのようだった。
「カエルか! デカっ! え、なんであんな光ってるの…?」
そう思いながら、左右を確認する。
車が来ていないことを確認してから、ガードレールを乗り越えて、そのカエルに近づいた。
「こんな所にいたら、車に引かれて死んじゃうよ~」
そう言って、カエルに手を伸ばす。
カエルがこちらを向いたので、
「車が来ないうちに逃がしてあげるからね!」
と声をかける。
重さも感じない様子で大きなカエルが跳んで離れていった。
「大丈夫だから、おいで、ほら」
じり…っ、と永遠が近づいていく。
目が合うとカエルがまた逃げそうだったが、永遠は目を離すことはしなかった。
「大丈夫だよ、怖くないから…、おいでよ」
もう一度飛んできたカエルと、永遠の手が触れる瞬間、カエルがさらに強く光った。
「うわっ、なんだ、まぶし…っ!」
驚きに目をぎゅっとつぶる。
それと同時に、永遠の耳にけたたましいクラクションの音が届いた。
「…えっ…?! なんで…!?」
音の方に目をやると、そこには大きなトラックが迫ってきていた。
咄嗟にカエルをどうにかしようかと思ったが、なにもかも間に合わなかった。
どうしてこんなことになったんだ…、と思った所で、永遠の意識は途切れた。
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