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三十二話 長篠合戦(その二)

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信長は、蘭丸の要求に仕方なく、重治の横に並び立った。


「今、甲斐の国に入り込んだ草より、知らせが届いた」


突然、横に並んだ信長に驚きはしたものの重治は、その事をこれ幸いにと、ゆっくりと目立たないようにと、その体を後ろへとずらしていった。
そんな様子をちらりと見て苦笑いを浮かべた信長は、表情を引き締め直し、話しを再開した。


「武田が、こりもせず出陣の準備を始めたらしい。重治の先ほどの言葉と照らし合わせても、まず間違いない情報である」


以前までなら、武田の名前を聞いただけで、恐れる者不安がる者など、ざわめきが一気に広がった織田家の諸将ではあったが、たくさんの修羅場をくぐり抜け*天下統一すら見え始めた今の織田家の武将で、武田家の名を恐れるものは誰一人いない。


「重治!!」


一旦は、下がった重治を信長は、再び手招きして呼んだ。


「はっ、はい‥‥」


織田家の方針演説からようやく解放されて一息つけていた重治は、慌てて返事を返した。


信長は、さらに手招きを続けながら重治に問うた。


「重治は、武田の動き、どう考える!?」


重治は、信長の手招きに今度は応えはしなかった。
いくら家臣の殆どが重治の存在を快く受け入れていようと、主にあたる信長と同じ場所に並び立つことだけは重治にも、はばかられたからである。


「そうですね‥‥。春、暖かくなって、雪の心配のなくなる頃に、徳川領に攻め込むと思われます」


重治にしてみれば、いつどこに攻撃を仕掛けてくるなど答えることは、歴史を知る重治にとって雑作もないことである。

重治は、ずっと送り続けられている挑戦的な蘭丸の視線に、思わず自らの持つ知識をひけらかしそうになった。


「重治様。では武田は、織田領には攻め込んでこないと!?」


そう言った蘭丸の言葉には丁寧ではあったが、敵意がありありと感じられた。


「‥‥今、武田家は、信玄が健在であった時とは違い、一枚岩ではありません」


そう言った重治を睨みつけるように蘭丸は、更に険しい表情をしてくる。


今、重治の語っていることは、織田家の草と呼ばれる忍びによってもたらされる各地の情報の一つとして蘭丸の耳にも届けられている。

そんな苦労のかいによって蘭丸が得た情報を重治だけが知ることのように語ることが、蘭丸には、かんに障るらしかった。


「後継者として息子の勝頼が選ばれはするでしょうが、全ての家臣から武田家当主として、お館として、認められるには、まず、力を示す必要があります」


蘭丸の視線が気になるものの重治は言葉を続けていった。


「従って、春先の進軍は、勝頼の腕試し的要素もあり、武田全軍を率いてという色合いのものではないでしょう」


「くっ……」


ますます、蘭丸の表情は厳しくなっていく。
それに引き換え信長の表情は、ますます愉しげに、意地の悪い笑みを増やしていく。


険しい表情の蘭丸の視線が突き刺さるのを感じて重治は、語るつもりのなかった言葉を告げることになる。


「長篠城への侵攻‥‥、武田の徳川領への侵攻に対して後詰めとして、今こそ、わが織田軍の力を見せつける時であると思われます」


重治は、蘭丸の敵意のある視線に、自分では気づかないうちに、冷静さを失っていっていたのである。

長篠というキーワードを口走ってしまったあと、その事に重治は、初めて気がつかされたのであった。


そんなやりとりのあった中、すべてを見透かしたように信長は、満足げな笑みをこぼした。


「皆の者。重治が、はっきりと春先だと断言した以上、必ず、武田と一戦交えることとなる。心して、その準備にあたるように。よいな!」


最後の締めは、当然、お館様の一言で決まる。


重治にとって、長く長く、永遠に続くかとさえ感じた評定が、ようやく終焉の時を迎えたのである。


『ふぅ、なんとか、終わってくれたぁ……』、そんな感想を抱いた時、評定最後の言葉を諸将に告げた信長が、重治に近づいた。


「重治。あとで用がある。‥‥帰るで、ないぞ」


そっと耳元で、そう呟いてニヤリと笑った。



お開きとなった評定会場では、その場で互いに話しを始める者。そそくさと退散をしていく者。また、久方ぶりの再開を果たして、互いに肩を組み、意気揚々と会場をあとにする者など、多種多様なさまが見受けられていた。


そんな様々な者たちのなか、柴田勝家と丹羽長秀の二人は、信長に居残りを命じられた重治の事を心配して声をかけてきた。


「重治。もしかして、先日の事か?」


勝家は、右手で、ぐい飲みを飲む仕草をして肩をすくめた。


「殿は、執念深いからのぉ‥‥。くわばらくわばら……」


長秀が、まるで他人ごとのように、おどけて見せた。


「まぁ、何にしても上手く、お館様に取りなしておいてくれ。たのむぞ、重治!」


勝家は、重治の左肩に手をかけて笑顔でそう言うと、重治の前から長秀とともに、そそくさと去っていった。


「ふぅ‥‥」


一人、残された重治は、一つ、大きな大きな、ため息をはいた。


「どうなされましたか、重治様ともあろう御方が!?」


勝家と長秀を見送る重治の背後から声をかけたのは、竹中半兵衛であった。


「あっ、これは半兵衛様。ご無沙汰いたしております」


重治の言葉に半兵衛は、にっこりと笑ってそれに答えた。


「どうですか、領地のほうは?」


「はい。長政様のお力添えもあり、思いのほか領民が協力的で助かっております」


重治が領地だと言った場所は、もちろん、半兵衛の主にあたる秀吉の領地の事であり、元浅井領にあたる今浜の町を中心の近江の地の繁栄を計っていた。



重治に命を助けられた長政は、秀吉の領地統治のために協力を買って出てくれていたのである。


直接的に顔を出して行動することは出来なくても、領民に慕われてきた長政にしかできない事は、いくらでもあった。

長政が協力をした事が幸をそうし、浅井家のかたきにあたる筈の秀吉であるにも関わらず、領地の治安は短期間で著しく向上し、繁栄をもたらしていた。


「それよりも重治様。どう致しましたか?そんなに浮かない顔をして‥‥」


「……いえ、大したことでは……」


半兵衛と話しを続けている間も、重治に近づいて来ては、軽く頭を下げ挨拶をして行く者が続く。

何時の間にか見渡せば、すでに会場の中の残る人も、そう多くはなかった。


「できれば‥‥、場所を変えていろいろと話しを聞いていただきたかったんですが……」


重治は、自分にとっては、ご先祖様にあたる筈の同じ姓を持つ半兵衛に、相談しておきたい事があった。

文武共に優れた半兵衛は、現在、秀吉にとってなくてはならない人になっており、昨今では重治でさえ会談をゆっくり持つ時間を簡単には作って貰えれないほど、忙しい日々を送っていた。


半兵衛が不意に重治に目配せをした。それに気づいた重治は、ゆっくりと後ろを振り向いた。


「重治様。お館様が、お呼びです」


そこにいたのは、不機嫌な表情を露わに重治に向けた蘭丸であった。


「それでは重治様。私はこれにて失礼いたします。また、お屋敷の方に日を改めて、お伺いいたしますよ」


半兵衛は、蘭丸の邪魔者を威嚇するような鋭い目つきに、その場の退散を即座に決めたようである。


「いえいえ、半兵衛様。今度、私の方からお伺い致しますから‥‥」


重治の言葉に半兵衛は、にっこりと笑って応えてから頭を下げた。そして、その場から歩き出した。

重治もそんな立ち去る半兵衛に向かって軽く頭をさげた。


「それでは、重治様。私に、付いてきてください」


重治は、ぶっきらぼうに吐き捨てられた言葉の通り、蘭丸のあとをついて歩き出した。


「‥‥重治様は、馬が苦手立だとか……」


ちらりと後ろを振り向いた蘭丸が、底意地の悪い笑みをむけた。


「は、ははぁ‥‥。そうなんですよね。どうも、自分より大きな生き物は苦手で‥‥」


重治は、既に前を向き、背を向けてしまった蘭丸に、素直にそう答えた。

蘭丸は再び、ちらりと振り返り、馬鹿にした笑みを漏らした。


森蘭丸という武将は、信長の寵愛を受けた美男子の小姓のイメージが強いが、戦国武将としても抜きん出た力を有した人物でもある。

そんな蘭丸からしてみれば、馬も乗りこなせない重治は、軽蔑こそすれ、他の武将たちのように尊敬などする対象となる事は有り得なかったのである。


そんな蘭丸が尊敬してやまない人物。それはもちろん主である織田信長であり、その主の信長が、重治のような軟弱ものを頼ることがどうしても納得がいかない。

自分と、差ほど年の違わない重治が、他の重臣達から、一目おかれ、その上、信頼、尊敬さえ受けている。


重治の過去の織田家に対する貢献をじかに目にした訳でない蘭丸には納得でるものではない。
そんな蘭丸とっては、戦働きもろくに出来ない穀潰し程度にしか見えなかったのである。


「重治は‥‥、何故、武田の攻め込むさきが徳川領だと判断した!?」


周りに人のいない二人きりの今、蘭丸は敵意丸出しで、重治の名前を呼ぶにしても呼び捨てである。


重治としても、自分よりも年齢の上の者に、様付けの敬承されるよりも遥かに気が楽というものである。


「そうだね‥‥、一番の理由は、織田家と武田家の力の差が、はっきりとついたことかな」


重治もまた、友達に語りかけるように、気軽なしゃべり口調で蘭丸に言葉を返した。


「まずは、徳川を滅ぼして力を蓄える。そういうことだと思うよ‥‥」


重治に質問を投げかけた蘭丸は、何も応えず、歩みを緩めもしなかった。
たんに重治を試しただけで、応え、云々にはまるで興味を示さなかったのである。



蘭丸が、重治を案内した部屋では、そんな二人のやり取りを知ってか知らずか信長が、にやにやしながら、自ら重治を部屋へと迎えいれた。

その部屋には、既に酒宴の席が用意されおり、後ろから信長に両の肩をがっちりと掴まれた重治は、強制的にその席へと座らされたのである。


「よもや、わしの酒が飲めぬなどとは、言わぬよなぁ‥‥、重治」


信長のその目は、真剣そのもので、冗談の欠片は微塵の一つも感じられない。


「そ、そりゃあ‥‥、もちろんで御座いますぅ……」


重治の一言で、信長の厳しい表情が忽ちに変わる。
いつもの重治にとって、兄であり親でもある、優しい瞳の微笑みを見せる柔和な笑顔に変化した。


「蘭丸。そちは、もう下がって良いぞ!」


「‥‥はっ」


信長の言葉を受け、蘭丸の眉間には、キツいしわが寄り重治を怨めしげに睨みつけた。

重治は、信長の何気ない一言から、また、いわれのない恨みを蘭丸から買うことになったのである。



大評定のあったその日一日、重治は、信長から解放されることはなかった。


余程、勝家らとの酒宴に誘われなかった事が頭にきたのか、はたまた、大大名となってからの孤独の反動であったのか。

重治は、蘭丸の最後に見せた表情を気にしつつ、信長の愚痴を永遠と聞かされ続けながら、酒を酌み交わしあったのである。



その後、重治の周りは何事もなく、表面上は平穏な日々が続いていた。

そうした平穏な日々がおくられていた重治屋敷に、日の長さも長くなり、暖かい日が増えた頃、その知らせは、届けられた。


「そうか、動いたか!?」


重治からその事を詳しく聞いていた伊蔵ではあったが、その内容が聞いていたものと寸分違わない事に、毎度の事ながら驚かされていた。


「ご苦労」


「はっ」


用を終えた、行商人風の男(もちろん伊蔵配下の忍び)は、伊蔵の前から何事も無かったかのように姿を消した。

配下から知らせを受け取った伊蔵は、すぐに重治のもとへと急いだ。


「重治様、お知らせ致します」


伊蔵が重治の部屋に訪れた時、重治は、深く考え事をしていた。


「……!!、えっ!!、何かようかい‥‥」


「はい。重治様のおっしゃっていた通り、武田が動き始めました」


「‥‥うん。わかった、ご苦労」


重治の考え事とは、今まさに始まろうとしている戦い、武田の攻め込む長篠への後詰めのありようについての事であった。


大評定では、織田家の力を見せつける機会だとは言ったものの、今の織田家にとって、東の抑えとしての徳川家は、どうしても必要な同盟国ではない。


まして、暗躍し、信長に画策し続ける家康を助ける気には到底ならない。
さりとて、後詰めを出さず、家康を見殺しにして歴史を大きく変える勇気もなかった。


重治は、制限時間いっぱいを悩み抜くが、最終的結論を得ることなく、長篠の合戦を迎えてしまう事になる。



天正三年(西暦1575) 四月、武田勝頼は、一万五千の兵を率いて、三河の長篠城を包囲していた。

その情報は、もちろん同盟国の当主である信長の元にも、いち早く知らされていた。


「蘭丸。重治を呼んでまいれ!!」


信長は、そばに控えていた小姓の蘭丸にそう命じた。

蘭丸は、幾分不満げな表情を示したものの、信長の命令に従い、すぐに重治を屋敷へと迎えに向かった。




*天下統一に対する見解

戦国時代、京の都を中心に畿内全域及びその周辺地域を勢力圏におさめることが天下統一と見なされていた。決して日本全土の統一ではない。
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