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第一章「記憶あるのに個人情報なし」モブなオレ。

第四話「モンスターがテンプレなんだ」当たり前だ。

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 当たり前だのクラッカーはなかったよ。郷愁を漂わせるビスケットは食べた。
確か……不法データ侵入者がクラッカー。ハッキング技術を悪用する人間たち。

 悪人でも大泥棒の三世は格好よかった。警部と三人の微妙な掛けあいがいい。
「ウフフ」二期ヒロインは超絶艶っぽい。初代はハードボイルド気分が最高だ。


 足元に絡みつく赤い波じゃないアイツ。プルプルして蠢くのは青い粘性体X。
はっきりした種族名ならスライムだろう。ズルズル動く姿態が超絶キモいんだ。

 ピョンピョン跳ねて可愛いヤツがいい。アイツなら仲間に加えられるんだよ。


 三人娘なんてオレの後ろでビビってる。ピッチャーならオレの背後に立つな。
メタな前世ネタはきっと誰もわからない。事前準備した秘密兵器はあるんだよ。

 もちろんしわがれ声で説明しないから。いわゆる「藻塩」天然モノ。岩塩だ。
前世のラノベかマンガで見つけた攻略法。袋を手にすると三人棒立ちでリーチ。


 確変みたいに嬉しい美少女の三人揃い。サービス心で多めに塩を放り投げた。
うごうごルーガじゃない蠢くのは粘着体。直撃したスライムはそのまま消える。

「これで得られる経験値なら楽勝じゃん」均等にメンバーで分割されるらしい。
あわてる三人が前でなにかを拾い集める。ドロップ品らしいモノを大量ゲット。


 もちろん……これはダンジョン攻略だ。すこし時間を戻して経緯を説明する。


 ダンジョンは未だ誰にも攻略されない。入退場自由で国家も束縛していない。
さほど距離を置かないダンジョン二か所。内部に差があり初心者と上級向けだ。

 便宜上は初心者向けに分類される空間。それでも10階層を超えると変わる。
しかも現状50階層が攻略されていない。低層はお遊びでも深い場所は異質だ。

 上級ダンジョンは氾濫の危険性も高い。中層からは攻略できない高い難易度。
現状でもA級に近い冒険者のホーム扱い。無双や両親が常に間引く対象になる。


 この説明は登録時にレイラさんの言葉。テンプレじゃないけど登録はD級だ。
いわゆる魔法学校卒業者だけの特権かな。それなりに魔法を使えるから当前だ。

 A級の冒険者は世界で数えられる程度。伝説クラスS級は山を砕けるらしい。
モンスター盗伐実績と貢献度評価になる。もちろん熟練度が必要な厳しい制度。


 それなりの装備をギルドで整えてある。三人は基本的に後衛専門の魔法職だ。
縦横無尽に動けるオレは前衛アタッカー。王女は回復防御で二人が魔法で攻撃。

「問題ないだろう。引き際だけ注意しろ」入口まで同伴したジンさんの助言だ。
 初回なら10階層の攻略が目標になる。中ボスまでの基本対策は学んできた。


 改めて意識すると生命の危険度は高い。「まずは命大事に」「ケガをしない」
それだけを守っていればなんとかなるさ。パーティー連携と切り替えも実践だ。

「とりあえず初めてのダンジョンだから。落ちついて仲間の位置を常に確認で」
 なんとなく任されたリーダー役なんだ。唯一の男だから当たり前なんだけど。

「「「はいっ!」」」返事はいいんだよ。へっぴり腰になるのも仕方ないかな。
「まぁビビるのは仕方ない。慣れるまで」オレなんて昔ムカデにかまれたんだ。


「かなり前なんだけど。入口で大ムカデ。天井から落っこって噛まれたんだよ」
「ひえぇ。そんなの毒でしんじゃうよぉ」侯爵令嬢は見かけどおり臆病すぎる。

「はっはっは。まぁ回復魔法あるからね。たぶん低層ならほとんど問題ないよ」
 かなり身体能力まで高そうな第三王女。毒消しと回復魔法はかなり役に立つ。


「アタシ攻撃と防御。水魔法使えるんだ」「土魔法だょ。たぶん攻撃できなぃ」
 引きつる侯爵令嬢と大喜びの伯爵令嬢。涙こぼれた侯爵令嬢をフォローする。

「王女さまは回復防御。侯爵令嬢も防御。伯爵令嬢は両方。オレが先攻するよ」
 なんか最初からのワヤクチャな展開だ。お互いに興味がなかったパーティー。

 水魔法はいずれ母に指導されるといい。土魔法はイメージの説明が超むずい。


 とりあえず前から一歩ずつ先行しよう。イメージよりも周囲が明るく見える。
前後左右と上下を意識してノロノロ進む。進んだ先は広場で床全面が青かった。


 ここでようやく冒頭のシーンに戻れる。キモいスライムはゲームっぽい動き。
素早さステータスならゼロかもしんない。生物の消化や酸をはく攻撃はしない。

 まぁ人畜に無害でもないけど弱っちぃ。塩ぶん投げたらほとんど消滅したよ。
ドラクエよりも楽勝なスライムだったよ。カンタンに強くなれたりしないけど。


 ステータスの上昇だけじゃダメなんだ。スキルを磨いて実践する必要がある。
体力バカと腹黒に剣術マニア。A級三人はちっちゃな頃から悪ガキで苦労した。

 それぞれ考えがあり目標を持ち闘った。その下地をダンジョンで開花させる。
モンスタースタンピードも成り行きだよ。死ねない一心で最後まで闘えたんだ。

 結果『英雄』【魔女】「無双」二つ名。偶然と前提があり結果を導いたんだ。

 いまのオレにできることをやればいい。まず成り行きだけど美少女を守ろう。
こんなの超絶カンタンなお仕事じゃない。「美少女三人見守り隊」ひでぇ名前。


「こんなのでましたぁおにぃちゃんっ♪」なんじゃそりゃ? 前世のネタかよ。
 あわててアイテムを集めた侯爵令嬢だ。いきなり目の前でおにーちゃん呼び?

 ヤべぇ。妹萌え属性あれば即落ちする。一撃必殺の笑顔に魂射貫かれちゃう。
「ちょっと待て。オレたち同い年だよ?」目線をあわせてゆっくり声かけする。

「ちがうよぉ。ホントは二つも下だから」えっ? 魔法学校ってスキップあり?

「そうなんだ。この娘って人見知りでさ。侯爵家が心配して裏から手回しだよ」
 教えてくれたのは伯爵令嬢。その言葉おかしくねぇか。どこの誰が人見知り?


「えぇっとおにぃちゃん。超絶やさしぃ。地味でもかわぃぃ。おもしろぃもん」
「おぅふっマジかよ。小動物系の美少女。可愛げない妹よりまんま天使じゃん」

 両手のひらこぶしあわせでうるうる涙、上目遣いおねだりされたらヤベぇわ。
オジサンなんでも好きなモノ買っちゃう。この娘って天性の小悪魔じゃねぇか。


「二人だけの世界つくんのもいーけどよ。ここダンジョンなんだ。やばくね?」
 あきれた顔で距離をとる第三王女さま。冗談の境目がわからないけどヤバい。
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