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第一章「記憶あるのに個人情報なし」モブなオレ。

第三話「ダンジョンに出会いはないよ」当前だけど。

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「ダンジョンに出会いを求めるのは大間違いだ」長めおもらしだけど本心だよ。
 転生してから目的もないから流されるオレだ。学校で空気扱いも当前だった。


 人間として扱われることもなかった三年間だよ。いまさら後悔もしないけど。
長い時間をすごした幼馴染がいなくなって久しい。新たな出会いもありえない。

 それがデジタル三つ揃いしてないのに大当たり。美少女の三人と邂逅したよ。
きっかけはネタ三昧で漠然とした前世の記憶融合。個人データはなかったけど。

 両親から幼少期の子守歌代わりに聴いた冒険譚。それも恐しさが優ったんだ。
肉体だけは否応なしに鍛えられても微妙な火魔法。母は水魔法の名手だけどさ。

 感覚派の魔女である母のアドバイスも無意味だ。教師の指導は理解できない。


 経験値の獲得で親心から同伴されたダンジョン。死の恐怖もトラウマなんだ。
それでも前世の記憶が芽生えて人格は変換された。能力を上げたい意識も強い。

 そのためにダンジョンを攻略するなら当たり前。パーティー編成も必要だね。
魔法学校時代は究極ボッチ。命の危機待ったなし。このままなら一手詰み状態。

 一見ハーレムに見えても力関係が完全に真逆だ。上位貴族に絶対逆らえない。


 考えるとオヤジは『勇者』母が【魔女】なんだ。お互いが間違いなく対等だ。
オヤジは元平民。母が元大商会の跡取り娘だけど。オレたちと一緒じゃねぇの。

 上級貴族と王族が三人揃いで超絶優秀な有名人。オレは目立たない空気くん。

 オヤジは力強さで無敵。ダンジョンなら勇者だ。魔法使いの母をゲットした。
まさかまさかまさかオヤジみたいに一発逆転狙い。特大ホームラン飛ばしたり?

 もちろんオレの前世メジャーリーガーじゃない。ショウヘイくんは無理だよ。
マズいよ不味いよ。三人組の雰囲気ヤバいんだよ。逃げ道どこにもないからね。


 誰かに絡まれることもなく冒険者ギルドに到着。この段階で登録しないんだ。

 こんな辺境にいるのがおかしい国内最強レベル。A級の冒険者に敵はいない。
しかも先導する美女が数百年は生きたエルフだよ。声をかけられることもない。


 二階まで上がると豪奢な部屋に小柄なご老人だ。正面に座って待ってたんだ。
「アランの坊主さぁ。しばらく会わなかったがね。すげえ魔力あがったじゃん」

「あっはっは」バカ親父の元相棒ジンさん。疑問に冷や汗が止まらずに笑った。
「そうよねぇ。学校から資料として送られた成績。平凡そのもので絶対変だわ」

「まぁまぁ男子三日会わざれば刮目して見よじゃ。その体現としては悪くない。
それより姫さまじゃ。お嬢さんたちの問題が先だ。ワシらなにも聴いとらんし」

 その流れから追加の連撃が来る。副代表レイラさんが語る事実で無言になる。
ギルド支部代表のご老人エンデさま。ツッコミが美少女三人組に炸裂したんだ。


「エンデ先生ご無沙汰ですわ。あたしらはアレよ。婚約者候補撃退したいんだ」
 第三王女の言葉が辛らつすぎた。三人の美少女を除いた全員の目が点になる。

「無理です」現実に起こったことが理解不能だ。いますぐ走って逃げだしたい。
 ほとんど意味もわかんない。懇願された「美少女三人見守り隊長」お仕事だ。


 いやいやいやいや。なにがいいたい。どうしてそうなる。よくわかりません。

 第三王女は隣国第二王子。侯爵令嬢は公爵家次男。伯爵令嬢は筆頭侯爵長男。
それぞれ典型的テンプレ超絶おバカ。昔から同世代女子に避けられる三人組だ。


 親の派閥頼みで強引な婚約打診。断るための「アタシを倒せたら」条件だよ。
美少女たちは自分可愛さで両親に直訴。ダンジョンで強くなろうと飛びだした。

 面識のない『勇者』【魔女】高名な子爵領で鍛えたい。強くなりたい一心だ。


 この世界の片隅にある辺境の冒険者ギルド。説明を聴いて頭を抱える関係者。
コソコソ会話するご老人とエルフ美人に無双冒険者だ。いたたまれない三人娘。

 もっとも居心地が悪いオレは空気くん。無言のままソファで放心状態に近い。
前の侯爵令嬢は涙を浮かべて達観した顔の第三王女。懇願するのは伯爵令嬢だ。

 なんでこうなったオレ……どこにも逃げ場がないよ。言葉通りの四面楚歌だ。


『モンスタースタンピード』いわゆる魔物の大氾濫。もしくは大暴走だろうか。
 もちろん発生自体が珍しい。それが連動したダンジョンは過去に存在しない。

 誰かに導かれた結果か。なにかが意図的に起こしたか。すべてが謎とされた。

 偶然なのか運命か。巻きこまれた『勇者』【魔女】「無双」多数の冒険者だ。
因果の回収なのか。偶然の結末だったのか。運命の成せる業か。無事収束した。


 その結果として数百年ぶりに誕生するエンデル子爵領。領都の冒険者ギルド。
「空気くん」このオレにできることも多くない。そもそもがなんでこうなった?


 この世界のダンジョン。モンスターを討伐して得られるモノはたくさんある。
この状況を考えて「ゲーム設定」それに近い。上位者が関係するかもしれない。

 テンプレート全開の世界観。RPG要素満載のモンスター。冒険者ギルドだ。


 ダンジョンモンスター討伐で「金貨」「宝箱」「アイテム」出現する不思議。
それに加えて見えない「貢献度」ステータス。または芽生える「スキル」能力。

 モンスターを倒すと確かに身体能力が上昇する。これに誰も疑問を抱かない。
ただ判明した事実。上級者による護衛「養殖」行為はスキル上昇値が高くない。

「同ランクの強さ」少数精鋭パーティー。それがステータスアップに直結する。


「異世界サンパール」ゲームかあるいは小説。マンガの世界か誰もわからない。
世界の誕生は神によるものと宗教で語られる。謎を解きあかしたいと思わない。


 それでも目前に涙を流して懇願する美少女。なにかができるかもしれないね。
なにかを成すことから新たな事実も判明する。その結果としてどうなるだろう。


 未来は誰にもわからない。いや唯一わかる存在が事実上「神」そう呼ばれる。


「仕方がない。腹をくくろうか」典型的な巻きこまれ。主人公かもわからない。
「ありがとね」目前は今泣いたカラスがもう笑う美少女たちだ。これも運命か。


「ダンジョンで美少女を守る」それだけのカンタンなお仕事です……じゃねぇ。
 なにもわからないのはいまさらの状況でもない。ただ運命に流された結果だ。


 その先で見える。なにかが待ち受けて誰かがそこにいる。そう「きっと来る」
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