なにわ友あれダンジョン１「オタ社長が空手ギャルや巨乳バニーと同棲中(●秘)？」これは事案ですか。いいえ。人助けですからセーフ。

第三章 世界の果てと見えない未来図。

第四十八話 世界の夜明けと共に（９）

　朝のフィッシュオンでリアルタイム。特番視聴が目的なんだ。
カナメ先輩が大型モニタを調達してくれた。静かに全集中する。

　だがしかし定位置に座ると隣席を意識。永依とココの二人だ。
サクラちゃん一人がウエイトレス。カウンターにはカナメ先輩。

　姿を見せないが亮くんは調理場だ。料理に忙しい最中だろう。

　血の繋がりに業務。関連する姉夫婦はいつしか店から消えた。
忙しさに追われた英雄さん。コーキさん夫妻も見かけていない。


　英田副総裁の演説。声明は『新三国同盟』合同の記者会見だ。

　世界のジャーナリストは百人以上。注目された会見の始まり。
司会者に選ばれた男性の厳かな紹介だ。閣下が無言で登壇した。

「こりゃまた大勢の皆さん。朝も早くからご苦労さんだよなぁ。
簡潔に説明するぜ。質疑応答について応じられない場合もある」

　普段のべらんめぇ口調も鳴りを潜めた。妙に淡々とした宣言。

「詳細は入場の書面にある。帰りでもじっくりと眺めてくれよ。
まず最初が……」マジメな姿だ。戸惑いを隠せない永依の表情。

　もちろんココも興味がない。モニタを静かに見つめるだけだ。


「マジにおかしくない」小さなつぶやきだ。脳内で振り返る……
国家主席を同伴して帰国。首都のモスクワに凱旋する大統領だ。

　その行動力が凄まじい。財閥依存した政敵を速攻で駆逐する。

　表舞台に舞い戻った大統領。抜本的な改革と履行を宣言した。
すぐさま政権掌握で即座の紛争終結。それから三国対等条約だ。

　早期に締結させたい三人組。政府間での調整中と聴かされた。

　国家主席も古い体質の党派を見限った。メスを振るう改革だ。
少数民族擁護に方針を転換した。国境紛争も即座に停止される。


　これには事情もある。ダンジョンが生まれた場所に由来する。
表にできない大陸主要都市の八か所だ。ダンジョンが誕生した。

　問題だらけの香港。住民気質で反発されても無事に和解する。
日本とも関連深い台北。ダンジョンで方針転換して危機回避だ。

　ロシアが実効支配する北方領土。樺太にダンジョンの誕生だ。
日本と共同開発する形に方針転換。政府間で各種協議中らしい。

　結果として半島を分割支配する国家が世界で孤立する現状だ。


　ダンジョンを創造した圧倒的存在。目的は誰にもわからない。
そもそも実在して肉体を伴うのか。リアルに確認されていない。

　ダンジョンを媒介にする行動。直接じゃない主要国の介入だ。
支持された三人が世界の安定化に貢献している。それも現実だ。

　呑気な性格で妄想した。人類が早期にダンジョンを攻略する。
結果の掌返しから人類を滅ぼされる。また地球を支配されたり。


　昔の科学空想小説……俗にいうＳＦ。カタストロフィ展開だ。
異星人が侵略する可能性を妄想した。なぜか笑いがとまらない。

　人類に近しい思考。そんな侵略者がダンジョンを用意するか？
すべてに共通の敵対存在。それがいないと物語は展開できない。

　敵か味方かは方向性の問題。７０億人の知的生命体は種族だ。
その実効支配を目的と仮定しておかしい。ダンジョンとは何だ？

　ひとの手で捨てられた仔ウサギ。最初は何もなかったココだ。
わからなくてもココは空腹と死から逃れたい。その一心だった。

　その結果として強制された新しい身体。知能まで授けられた。
それらに近い状況を連想する。旧約聖書の創世記。その物語だ。


　世界で一番売れた本。しかもベストセラー小説が聖書になる。
この星の誕生だと称される天地の創造。神の手により完了する。

　始まりの二人が創造された。土と人の意味がある男はアダム。
生命の女がイブだ。蛇にそそのかされて知識の実を食べたイブ。

　子を育み命の実を食べつくさないように神が楽園を追放する。

　神がいないことは真理だ。それでもダンジョン創造者はいる。
音声は聴こえ目に見えない。その何かが新しい世界に存在する。

　新たな知識と肉体。ココに与えてからダンジョンを追放した。
正式な永依の奴隷扱い。そこからリアルの世界に放逐したんだ。

　どこかが似ていて元になる視点は異なる。ダンジョン創造者は
神に近しい存在。そう仮定できても最終的な目的がわからない。

　現実は物語じゃない。マンガと小説。アニメも誰かの創造だ。
個人の想像と集団で創作するストーリー。世界が求めるリアル。