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第二章 現実の社会はさほど甘くない。
第三十四話 バニーちゃんと一緒(13)
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「チッチッチ。ケージ君ってさ。ギター弾けたりしないかな?」
いきなりの質問が理解できない。判断できずに躊躇うだけだ。
時代錯誤に右差し指を振る姿。自称魔法使いさんが癪に障る。
迷惑を被った過去まで連想した。無意識に顔をしかめたぐらい。
「前に触ったぐらいで弾けない。周囲も音楽には関心ないんだ」
「ふーんやっぱさ。昭和の戦隊ヒーローだよ。白いギターを抱え
颯爽登場。少女を怪人から助けるまでがお約束じゃないかなぁ」
ニヤリと笑ってのネタ振り。斜め上に転がり言葉を失くした。
「怪人なんかいるわけねぇじゃん。そもそもヒーローは無理だ」
冷ややかな返答。めげないデスボイスにすかさず応酬された。
「だってそうじゃないか? ダンジョンの奥バニーちゃん助けて
美少女ギャル振りまわすオトコ。車は切り札そのまんまじゃね?
なんとかライダー。レンジャーとか呼ばれるスーパーヒーロー」
「えっ……待ってよ。JOKERの意味が切り札……城のカー。
佳二はK2。2000の意味だからダジャレ。語呂あわせか?」
いきなり正解して喜ぶべきかな。しばらく沈黙しかできない。
「ようやくケージも気づいたようだね。正義のヒーロー爆誕!」
腕を組みながら感激するオッサン。その姿がキモい英雄さん。
「ヒーローって……悪の組織がない。車は変形と合体できない」
うんざりした表情をうかべたのかな。応じる声まで低くなる。
「ケージも甘いねぇ。あきらめたらそこで試合終了じゃないか」
「まっまさかっ……リアルだよ。そんなもんできるはずがない」
バスケ漫画じゃねぇ。ツッコミどころだけどあえての放置だ。
「ホーッホッホッホッドーン!……てのはもちろんジョークだ」
また懐かしのアニメネタ。腕を振りながら英雄さんが大笑い。
「稼働する二足ロボ。哀しいが現代科学で再現は不可能だった。
だがしかしケージ君。現代のスーパーカーに不可能もないよ!」
右差し指でこちらの左胸に照準。AIの開発責任者が嘲笑う。
スーパーカーって表現。昭和じゃねぇと考えながら衝撃だった。
「へっ? まさかとおもいますが車いす。勝手に動くんだよね。
可能性あるけど。まさか運転席に変わったり……しないよねぇ」
「さすがの猿飛じゃない推理。天丼しないけどマニア。ケージは
気づいて当然さ。ホンダの技術力。開発の我々と変形合体だ!」
マジメにふざける英雄さん。現実をバカにする自称魔法使い。
いつから手を組んだかもわからない。すぎた過去も戻らない。
巻きこまれてひどい状況になる。本気でかかわりたくないんだ。
イベントじみた騒動。抑えられるかな。不安しかないけどね。
「female? 右脚代わりになるAIさん。質問できる?」
『もちろん佳二さま。スリーサイズはありません。体重が……』
おかしな開発者。天才ハッカー。悪い意味で調教されたAI。
普通じゃないから平然とボケをかますAI。苦笑しかでない。
「それ必要ないから。まさかCIVIC。運転席に変わるの?」
冗談のつもりで問いかけた。超マジメに即応されたんだけど。
『はい。そのとおりです。佳二さまは座って合言葉を叫ぶだけ。
自動でmaleと同期。150度ひらく扉の下から台座レール。
延伸しながらバックした車いすと合体。回転すると運転席です』
「うぉぅ。なんでいつも悪い方向。想像だけがよくあたるんだ。
車と運転席と操縦者。三位一体するとかさ……アニメじゃない」
それこそクロスなんちゃら叫ぶんだよな……最強ロボに合体?
いつのまにか並行世界。転移させられたんじゃないのか……。
おかしな妄想が芽生え始めた。膝から崩れてうずくまるorz。
「そろそろリアルをうけいれようぜ。ラクになろうじゃないか」
背後の英雄さんに両肩をガシガシ揺すられた。ツラすぎるよ。
「合体する漆黒のスーパーマシン。乗りまわせる正義の主人公。
無理やり与えられたリアルだけど。泣きたくなっても仕方ない」
苦しくったって。哀しくったって何もいえない。自分なんだ。
なんだかんだコントじみた状況。いきなり終了のおしらせだ。
ボカロのスマホ音声。古い最強ロボアニメのテーマが英雄さん。
同時にスマホをつかんだ二人。背後の機械音がシンクロした。
『エマージェンシーエマージェンシー速報です。英田永依さん。
宇佐美ココさん。二人が何者かに拉致されました。緊急受信中』
もちろん男声の機械音。AIのmaleだ。車載スピーカから
伝えられた音声だ。内容を理解した瞬間。全員同時に驚愕する。
安寧はつづかない……それが世の理だ。また必然とも呼べた。
いきなりの質問が理解できない。判断できずに躊躇うだけだ。
時代錯誤に右差し指を振る姿。自称魔法使いさんが癪に障る。
迷惑を被った過去まで連想した。無意識に顔をしかめたぐらい。
「前に触ったぐらいで弾けない。周囲も音楽には関心ないんだ」
「ふーんやっぱさ。昭和の戦隊ヒーローだよ。白いギターを抱え
颯爽登場。少女を怪人から助けるまでがお約束じゃないかなぁ」
ニヤリと笑ってのネタ振り。斜め上に転がり言葉を失くした。
「怪人なんかいるわけねぇじゃん。そもそもヒーローは無理だ」
冷ややかな返答。めげないデスボイスにすかさず応酬された。
「だってそうじゃないか? ダンジョンの奥バニーちゃん助けて
美少女ギャル振りまわすオトコ。車は切り札そのまんまじゃね?
なんとかライダー。レンジャーとか呼ばれるスーパーヒーロー」
「えっ……待ってよ。JOKERの意味が切り札……城のカー。
佳二はK2。2000の意味だからダジャレ。語呂あわせか?」
いきなり正解して喜ぶべきかな。しばらく沈黙しかできない。
「ようやくケージも気づいたようだね。正義のヒーロー爆誕!」
腕を組みながら感激するオッサン。その姿がキモい英雄さん。
「ヒーローって……悪の組織がない。車は変形と合体できない」
うんざりした表情をうかべたのかな。応じる声まで低くなる。
「ケージも甘いねぇ。あきらめたらそこで試合終了じゃないか」
「まっまさかっ……リアルだよ。そんなもんできるはずがない」
バスケ漫画じゃねぇ。ツッコミどころだけどあえての放置だ。
「ホーッホッホッホッドーン!……てのはもちろんジョークだ」
また懐かしのアニメネタ。腕を振りながら英雄さんが大笑い。
「稼働する二足ロボ。哀しいが現代科学で再現は不可能だった。
だがしかしケージ君。現代のスーパーカーに不可能もないよ!」
右差し指でこちらの左胸に照準。AIの開発責任者が嘲笑う。
スーパーカーって表現。昭和じゃねぇと考えながら衝撃だった。
「へっ? まさかとおもいますが車いす。勝手に動くんだよね。
可能性あるけど。まさか運転席に変わったり……しないよねぇ」
「さすがの猿飛じゃない推理。天丼しないけどマニア。ケージは
気づいて当然さ。ホンダの技術力。開発の我々と変形合体だ!」
マジメにふざける英雄さん。現実をバカにする自称魔法使い。
いつから手を組んだかもわからない。すぎた過去も戻らない。
巻きこまれてひどい状況になる。本気でかかわりたくないんだ。
イベントじみた騒動。抑えられるかな。不安しかないけどね。
「female? 右脚代わりになるAIさん。質問できる?」
『もちろん佳二さま。スリーサイズはありません。体重が……』
おかしな開発者。天才ハッカー。悪い意味で調教されたAI。
普通じゃないから平然とボケをかますAI。苦笑しかでない。
「それ必要ないから。まさかCIVIC。運転席に変わるの?」
冗談のつもりで問いかけた。超マジメに即応されたんだけど。
『はい。そのとおりです。佳二さまは座って合言葉を叫ぶだけ。
自動でmaleと同期。150度ひらく扉の下から台座レール。
延伸しながらバックした車いすと合体。回転すると運転席です』
「うぉぅ。なんでいつも悪い方向。想像だけがよくあたるんだ。
車と運転席と操縦者。三位一体するとかさ……アニメじゃない」
それこそクロスなんちゃら叫ぶんだよな……最強ロボに合体?
いつのまにか並行世界。転移させられたんじゃないのか……。
おかしな妄想が芽生え始めた。膝から崩れてうずくまるorz。
「そろそろリアルをうけいれようぜ。ラクになろうじゃないか」
背後の英雄さんに両肩をガシガシ揺すられた。ツラすぎるよ。
「合体する漆黒のスーパーマシン。乗りまわせる正義の主人公。
無理やり与えられたリアルだけど。泣きたくなっても仕方ない」
苦しくったって。哀しくったって何もいえない。自分なんだ。
なんだかんだコントじみた状況。いきなり終了のおしらせだ。
ボカロのスマホ音声。古い最強ロボアニメのテーマが英雄さん。
同時にスマホをつかんだ二人。背後の機械音がシンクロした。
『エマージェンシーエマージェンシー速報です。英田永依さん。
宇佐美ココさん。二人が何者かに拉致されました。緊急受信中』
もちろん男声の機械音。AIのmaleだ。車載スピーカから
伝えられた音声だ。内容を理解した瞬間。全員同時に驚愕する。
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