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第二章 現実の社会はさほど甘くない。
第三十二話 バニーちゃんと一緒(11)
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「ケーちゃんっ! 面談よろしくね。ココちゃんは自然体で!」
崩れていない制服姿が珍しい。黒髪ウイッグもやけに新鮮だ。
珍しく開店が遅れたらしい。バタバタ準備のフィッシュオン。
バイキングで満腹。フレッシュジュースを満喫した永依が笑う。
早めの登校だけど徒歩で10分かからない。かなり近いよね。
事前に借りた予備の制服。ココを見つめて視線のやり場に困る。
神のいたずらか偶然だったのか。ダンジョンで進化したココ。
既存制服に問題ありまくり。類まれな胸部から視線を外せない。
小柄な身体は痩身モデル型。そこに破格な胸部と伸びた右耳。
「ダンジョンからこっち。困ってない?」正面から真顔で問う。
悩みながら右差し指を上唇にあてるココ。考えてから応じた。
「ダンジョンで思考を得たのさ。心臓を喰らいつづけただけで」
「なにもしらない。なにもなかった自分。エーは親身だったよ。
大切なことから順番に教えてくれたんだ。生活に重要なところ。
金銭と環境。ケーが整えてくれたよな。そこは感謝してるから」
一瞬だけ頭を下げてから短い言葉で語る。ココはマジメだね。
「いや。こっちもなりゆきだから。おかしな部屋の中心。ココを
見つけたんだ。永依と周囲の思惑から状況ただ流されただけで」
右脚が義足。移動で制限される。基本的にひきこもり生活だ。
面倒くさい意識の問題だ。大学も通信制。学士の資格は得た。
『実務経験を伴わない』国家資格。片っ端からすべて受験した。
走れなくなってから熱中できることもない生活。ネットの裏で
知識と人脈なんかを駆使した。無難に生きのびるだけの状況だ。
世捨て人と姉に呼ばれた見解も正しい。周囲の変化にお任せ。
自分から何かを求めることもない。ただ淡々とすごした日々だ。
すべてのきっかけ。姪っ子になる永依を預かったことになる。
なぜか年越しを経て巻きこまれた状況。驚いたのは自分だよ。
十年も停止した時間。三倍速で進み始める理由にも驚きだった。
永依が通う学園。市営地下鉄で黒字路線のターミナル本町駅。
直通階段なら傘をさす必要ない直上。最大宗教の聖地になる。
仏教で最大派閥は西本願寺。別院とされている場所が北御堂だ。
創立から130年になる。伝統ある仏教系の女子校でも特殊。
音楽科が有名だ。お嬢さま校が音楽家や宝塚スターを輩出した。
ココと横並びの正門。時刻は正午をすこしだけ経過していた。
「おまちしておりました」丁寧な所作。お辞儀する高齢女性だ。
案内で直行した場所。最奥の部屋だよ。学園の理事長室じゃん。
「えっ? いきなりですか。問題ありませんよね」驚かされた。
無理ないよね。東山と名乗る案内役は理事長。着席を促される。
「はい。事前に英田副総裁から直のお言葉。頂戴しております。
長男である英雄氏がロシア。チェルノブイリ原発事故後の視察。
設けられたお子様で訪日して間もない。よろしくお願いすると」
至極マジメな顔の理事長さん。絶妙な設定を淡々と語られた。
お願いの張本人。保護者としていたたまれない内容なんだけど。
「英田永依が迷惑かける状況です。ココの面倒まですみません」
同時に腰から折りまげる謝罪。こちらに応じて艶やかに笑う。
「とんでもございません。永依さんは無遅刻無欠席。授業態度も
マジメと担当教員から伺います。実力が伴わないのは仕方なく」
「ほんとの両親も見放した。おバカすぎて申し訳ございません」
マジメに謝罪する姿。隣に座るココも驚きながら自己紹介だ。
「日本語に不慣れで申し訳ありません。名前は宇佐美ココです」
「あら。すばらしく丁寧な挨拶。日本語に問題ございませんね」
「えぇっ? 無試験。入学が可能ならこちらもありがたいです」
艶やかに微笑む理事長さんの対応だ。本当かよと首を傾げる。
「えぇ。従姉妹にあたる永依さんも同じ学年です。同じクラス。
フォローさせましょう。校内生活についても問題ないようです」
「きめ細やかなご配慮。ありがとうございます」率直に感謝だ。
同時に理事長さん自ら。ココを教室まで案内してくれるらしい。
こっちも安心して任せられる。微笑みながら二人を見送った。
英雄さんがいる場所は地下鉄九条駅。中央線なら西に二駅だ。
この学園は本町駅に直結している。中央線まで移動を考えた。
徒歩移動より車がラクだよね。速くて安全だと脳内で計算する。
関係者以外は原則通行禁止だ。ゼネコンJV工事のなにわ筋。
狭間が北方面一方通行三車線の四ツ橋筋だ。なぜか渋滞する。
比較するなら御堂筋は南北。大阪を縦断するメインストリート。
大阪の動脈でもある御堂筋。交差する中央大通り。高架道路で
東は生駒に至り西に大阪港。数年後開催大阪万博メイン会場だ。
噂の場所夢洲になる。延伸の実現。未来は誰にもわからない。
「ココの件も片づいた」微笑みながらタクシー乗り場をめざす。
崩れていない制服姿が珍しい。黒髪ウイッグもやけに新鮮だ。
珍しく開店が遅れたらしい。バタバタ準備のフィッシュオン。
バイキングで満腹。フレッシュジュースを満喫した永依が笑う。
早めの登校だけど徒歩で10分かからない。かなり近いよね。
事前に借りた予備の制服。ココを見つめて視線のやり場に困る。
神のいたずらか偶然だったのか。ダンジョンで進化したココ。
既存制服に問題ありまくり。類まれな胸部から視線を外せない。
小柄な身体は痩身モデル型。そこに破格な胸部と伸びた右耳。
「ダンジョンからこっち。困ってない?」正面から真顔で問う。
悩みながら右差し指を上唇にあてるココ。考えてから応じた。
「ダンジョンで思考を得たのさ。心臓を喰らいつづけただけで」
「なにもしらない。なにもなかった自分。エーは親身だったよ。
大切なことから順番に教えてくれたんだ。生活に重要なところ。
金銭と環境。ケーが整えてくれたよな。そこは感謝してるから」
一瞬だけ頭を下げてから短い言葉で語る。ココはマジメだね。
「いや。こっちもなりゆきだから。おかしな部屋の中心。ココを
見つけたんだ。永依と周囲の思惑から状況ただ流されただけで」
右脚が義足。移動で制限される。基本的にひきこもり生活だ。
面倒くさい意識の問題だ。大学も通信制。学士の資格は得た。
『実務経験を伴わない』国家資格。片っ端からすべて受験した。
走れなくなってから熱中できることもない生活。ネットの裏で
知識と人脈なんかを駆使した。無難に生きのびるだけの状況だ。
世捨て人と姉に呼ばれた見解も正しい。周囲の変化にお任せ。
自分から何かを求めることもない。ただ淡々とすごした日々だ。
すべてのきっかけ。姪っ子になる永依を預かったことになる。
なぜか年越しを経て巻きこまれた状況。驚いたのは自分だよ。
十年も停止した時間。三倍速で進み始める理由にも驚きだった。
永依が通う学園。市営地下鉄で黒字路線のターミナル本町駅。
直通階段なら傘をさす必要ない直上。最大宗教の聖地になる。
仏教で最大派閥は西本願寺。別院とされている場所が北御堂だ。
創立から130年になる。伝統ある仏教系の女子校でも特殊。
音楽科が有名だ。お嬢さま校が音楽家や宝塚スターを輩出した。
ココと横並びの正門。時刻は正午をすこしだけ経過していた。
「おまちしておりました」丁寧な所作。お辞儀する高齢女性だ。
案内で直行した場所。最奥の部屋だよ。学園の理事長室じゃん。
「えっ? いきなりですか。問題ありませんよね」驚かされた。
無理ないよね。東山と名乗る案内役は理事長。着席を促される。
「はい。事前に英田副総裁から直のお言葉。頂戴しております。
長男である英雄氏がロシア。チェルノブイリ原発事故後の視察。
設けられたお子様で訪日して間もない。よろしくお願いすると」
至極マジメな顔の理事長さん。絶妙な設定を淡々と語られた。
お願いの張本人。保護者としていたたまれない内容なんだけど。
「英田永依が迷惑かける状況です。ココの面倒まですみません」
同時に腰から折りまげる謝罪。こちらに応じて艶やかに笑う。
「とんでもございません。永依さんは無遅刻無欠席。授業態度も
マジメと担当教員から伺います。実力が伴わないのは仕方なく」
「ほんとの両親も見放した。おバカすぎて申し訳ございません」
マジメに謝罪する姿。隣に座るココも驚きながら自己紹介だ。
「日本語に不慣れで申し訳ありません。名前は宇佐美ココです」
「あら。すばらしく丁寧な挨拶。日本語に問題ございませんね」
「えぇっ? 無試験。入学が可能ならこちらもありがたいです」
艶やかに微笑む理事長さんの対応だ。本当かよと首を傾げる。
「えぇ。従姉妹にあたる永依さんも同じ学年です。同じクラス。
フォローさせましょう。校内生活についても問題ないようです」
「きめ細やかなご配慮。ありがとうございます」率直に感謝だ。
同時に理事長さん自ら。ココを教室まで案内してくれるらしい。
こっちも安心して任せられる。微笑みながら二人を見送った。
英雄さんがいる場所は地下鉄九条駅。中央線なら西に二駅だ。
この学園は本町駅に直結している。中央線まで移動を考えた。
徒歩移動より車がラクだよね。速くて安全だと脳内で計算する。
関係者以外は原則通行禁止だ。ゼネコンJV工事のなにわ筋。
狭間が北方面一方通行三車線の四ツ橋筋だ。なぜか渋滞する。
比較するなら御堂筋は南北。大阪を縦断するメインストリート。
大阪の動脈でもある御堂筋。交差する中央大通り。高架道路で
東は生駒に至り西に大阪港。数年後開催大阪万博メイン会場だ。
噂の場所夢洲になる。延伸の実現。未来は誰にもわからない。
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