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第二章 現実の社会はさほど甘くない。
第二十七話 バニーちゃんと一緒(6)
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「おもったよりもいい。給仕と料理人も想定外ね。すばらしい」
真っ白の布巾。口元をぬぐう隣席の女王陛下……コーキさん。
傍で跪く給仕服姿。接客担当のカナメ先輩に厳かな宣言だった。
「ありがたいお言葉いただきました。一層邁進に努める所存で」
カナメ先輩が恭しく腰から頭をさげる。やけに綺麗な仕草だ。
「ホント温かい。味と色どりもすばらしい多国籍料理ばかりね」
姉である圭子が語る。過去に類もない食感に満足したらしい。
「コーキさんが考えた栄養満点おいしい料理……これもお土産?
英雄さんの『いろいろ』発言。考えるだけでも恐ろしいけどさ」
苦笑するだけだ。再会して早々の伯父による一言が気になる。
ココと永依は四脚テーブル一面に並べられた大皿。料理をお米
一粒残さない。そんな意気ごみで奪うように食べまくる二人だ。
「コーキが考えた料理だよな。お土産には入らないんじゃねえ?
それぞれ別で勝手に考えた土産さ。あんまり詳しくしらねぇよ」
正面に座る英雄さん。応じながらもニヤリと笑みをこぼした。
「俺の土産はすこし遅れるぜ……チェックおわれば陸送するさ」
「あっ。前に伝えられた黒の新型CIVIC。ついに納車かな」
んーとつぶやきながら額を抑える。考える仕草の英雄さんだ。
大切な情報は秘密なんだろう。微妙なニュアンスで濁したよ。
「そうだ。外見の装飾品以外は黒いCIVIC。間違いないな」
きっと『いろいろ』隠し種がある。なぜか冷汗がとまらない。
「あたしたちは車のお願いね。金銭しか用意してないんだけど。
ココに関する書類。緊急でっちあげ。作業けっこう大変でさぁ」
実姉の圭子が笑う。隣で苦笑する勝利さんも印象的だったよ。
しばらく歓談タイム。大食い少女の二人もおちついたらしい。
緊急事態宣言されたフィッシュオン。一般客も途絶えて久しい。
「そういえば先輩。ここ以外の店は放っておいても平気です?」
先輩やサクラちゃんの部屋。徒歩圏にあるらしい。ほとんどの
店員も見かけないね。カナメ先輩に疑問をそのまま投げかけた。
「そうね。しばらく副店長の二人に堂山。三津寺もおまかせよ。
毎日かんたんな報告だけね。ここはサクラと料理人の亮で三人。
しばらくこのままね」カウンターの対面。カナメ先輩が応じた。
「あら? 料理人。亮くんって名前なのね気になるわ。いまから
三人着席してお話しましょう」コーキさんが笑いながら伝える。
それは無理だと辞退する先輩たち。交えてコーヒータイムだ。
幸いだったのが人数。テーブル席でも事たりる総勢は十人だ。
保護者に包囲された永依とココ。ソフトドリンクなら飲み放題。
軽いツマミとデザートまで用意された。ご満喫の笑顔だよね。
大人たちはそれぞれ希望の種類。アルコールも振るまわれた。
閣下に請求するから問題ないとすべて。英雄さんが支払ったよ。
「では改めまして失礼します。冴島亮子……ここでは亮と呼ばれ
調理を担当しています。残念ながらデザートは別注なんですが」
すらっとした細身の高身長だ。黒い短髪でメガネ姿。爽やかな
好青年と呼ぶべき風貌で三十路に近い。オナベさんなんだよね。
「みんな素敵な自然体。佳二の先輩もカミングアウトで正解よ。
キャリア入庁できる能力。美貌の特殊捜査官はハリウッド映画か
連続ドラマで主演も間違いない」コーキさんが全力なんだけど。
「地味に見える偽装だけど料理人。プロ裸足の男装女性と自然な
ゴスロリ姿の中学生に見える。それが成人男性ってすばらしい」
誰が対象か不明な熱い双眸がハートマーク。コーキさんだよ。
実姉である圭子。生粋の宝塚ファンで亮に対する視線が鋭い。
ヘラヘラ笑う勝利さんはいつも同じだ。英雄さんの熱い視線は
ココの白い右耳。巨大すぎる胸部装甲から移動する気配もない。
おかしな状況だねと考えながら支払いは閣下に請求するのだ。
超高級なマッカラン30年。ロックで味わいながら思考放棄だ。
途轍もないシングルモルトウイスキー。甘い香りに誘われる。
最後かもしれないと意識しながら魅惑の美酒。味わうだけだよ。
旨い酒と泪はおいても男と女……残念だけど姪は中学生だよ。
常識が一切ない。ウサ耳少女も生まれたばかりの赤ん坊なんだ。
この場にいない美女の二人。肢体を脳裏で軽く妄想してみる。
誘惑とか魅了される意識もない現状だ。それも仕方ないだろう。
厳しく哀しい現実。はぐれ佳二の純情は行き先も定まらない。
真っ白の布巾。口元をぬぐう隣席の女王陛下……コーキさん。
傍で跪く給仕服姿。接客担当のカナメ先輩に厳かな宣言だった。
「ありがたいお言葉いただきました。一層邁進に努める所存で」
カナメ先輩が恭しく腰から頭をさげる。やけに綺麗な仕草だ。
「ホント温かい。味と色どりもすばらしい多国籍料理ばかりね」
姉である圭子が語る。過去に類もない食感に満足したらしい。
「コーキさんが考えた栄養満点おいしい料理……これもお土産?
英雄さんの『いろいろ』発言。考えるだけでも恐ろしいけどさ」
苦笑するだけだ。再会して早々の伯父による一言が気になる。
ココと永依は四脚テーブル一面に並べられた大皿。料理をお米
一粒残さない。そんな意気ごみで奪うように食べまくる二人だ。
「コーキが考えた料理だよな。お土産には入らないんじゃねえ?
それぞれ別で勝手に考えた土産さ。あんまり詳しくしらねぇよ」
正面に座る英雄さん。応じながらもニヤリと笑みをこぼした。
「俺の土産はすこし遅れるぜ……チェックおわれば陸送するさ」
「あっ。前に伝えられた黒の新型CIVIC。ついに納車かな」
んーとつぶやきながら額を抑える。考える仕草の英雄さんだ。
大切な情報は秘密なんだろう。微妙なニュアンスで濁したよ。
「そうだ。外見の装飾品以外は黒いCIVIC。間違いないな」
きっと『いろいろ』隠し種がある。なぜか冷汗がとまらない。
「あたしたちは車のお願いね。金銭しか用意してないんだけど。
ココに関する書類。緊急でっちあげ。作業けっこう大変でさぁ」
実姉の圭子が笑う。隣で苦笑する勝利さんも印象的だったよ。
しばらく歓談タイム。大食い少女の二人もおちついたらしい。
緊急事態宣言されたフィッシュオン。一般客も途絶えて久しい。
「そういえば先輩。ここ以外の店は放っておいても平気です?」
先輩やサクラちゃんの部屋。徒歩圏にあるらしい。ほとんどの
店員も見かけないね。カナメ先輩に疑問をそのまま投げかけた。
「そうね。しばらく副店長の二人に堂山。三津寺もおまかせよ。
毎日かんたんな報告だけね。ここはサクラと料理人の亮で三人。
しばらくこのままね」カウンターの対面。カナメ先輩が応じた。
「あら? 料理人。亮くんって名前なのね気になるわ。いまから
三人着席してお話しましょう」コーキさんが笑いながら伝える。
それは無理だと辞退する先輩たち。交えてコーヒータイムだ。
幸いだったのが人数。テーブル席でも事たりる総勢は十人だ。
保護者に包囲された永依とココ。ソフトドリンクなら飲み放題。
軽いツマミとデザートまで用意された。ご満喫の笑顔だよね。
大人たちはそれぞれ希望の種類。アルコールも振るまわれた。
閣下に請求するから問題ないとすべて。英雄さんが支払ったよ。
「では改めまして失礼します。冴島亮子……ここでは亮と呼ばれ
調理を担当しています。残念ながらデザートは別注なんですが」
すらっとした細身の高身長だ。黒い短髪でメガネ姿。爽やかな
好青年と呼ぶべき風貌で三十路に近い。オナベさんなんだよね。
「みんな素敵な自然体。佳二の先輩もカミングアウトで正解よ。
キャリア入庁できる能力。美貌の特殊捜査官はハリウッド映画か
連続ドラマで主演も間違いない」コーキさんが全力なんだけど。
「地味に見える偽装だけど料理人。プロ裸足の男装女性と自然な
ゴスロリ姿の中学生に見える。それが成人男性ってすばらしい」
誰が対象か不明な熱い双眸がハートマーク。コーキさんだよ。
実姉である圭子。生粋の宝塚ファンで亮に対する視線が鋭い。
ヘラヘラ笑う勝利さんはいつも同じだ。英雄さんの熱い視線は
ココの白い右耳。巨大すぎる胸部装甲から移動する気配もない。
おかしな状況だねと考えながら支払いは閣下に請求するのだ。
超高級なマッカラン30年。ロックで味わいながら思考放棄だ。
途轍もないシングルモルトウイスキー。甘い香りに誘われる。
最後かもしれないと意識しながら魅惑の美酒。味わうだけだよ。
旨い酒と泪はおいても男と女……残念だけど姪は中学生だよ。
常識が一切ない。ウサ耳少女も生まれたばかりの赤ん坊なんだ。
この場にいない美女の二人。肢体を脳裏で軽く妄想してみる。
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